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2019年度におけるインターネットでの著作権侵害事犯は123件で、2015年以降は減少傾向にはあるものの一定数発生しています。
DVDや書籍などの他人の著作物を無断で利用する行為は、著作権法違反に該当します。
なかには著作権法に違反しているとは知らずに利用されるケースなどもありますが、たとえ意図的でなくても罰せられる可能性があります。
本記事では、著作権法の違反基準や、著作権侵害された際の対処法や相談先などを解説します。
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どこまでが著作権として扱われ、どこからが侵害に該当するのか。 これらは法律の知識を持ち合わせていないと、正確な判断は難しいかと思われます。 著作権について悩みがある場合は、弁護士への相談を検討したほうがよいでしょう。 <弁護士がしてくれること>
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ここでは、著作権法違反で逮捕された事例を解説します。
インターネット上の風景画像をコピーし、写真集として販売して写真投稿サイトにも無断投稿したとして、50代の男性が逮捕されたという事例です。
これは著作権法第21条の「複製権」を侵害した事例で、複製とは作品を複写したり、音楽や映画などの場合は録画・録音したりすることを指します。
基本的には著作者だけが著作物を複製する権利を持っており、著作者以外が無断で複製したり営利目的で販売したりすると罰則の対象になります。
オンラインゲームを有利に進めるための改造アプリをネット上で公開し、不特定多数がダウンロードできるようにさせたとして、10代の少年が逮捕されたという事例です。
書籍や写真だけでなく、ゲームアプリなどのデータも著作物のひとつです。
プログラムやコードを勝手に書き換えた場合も、著作権侵害として罰則の対象になります。
著作権とは、著作権法で保護されている著作物を創作した著作者に与えられる権利のことです。
ここでは、著作物に該当するものや著作権の内容などについて解説します。
著作権法第10条によると、著作物に該当するものは以下のとおりです。
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
引用元:著作権法第10条
基本的には形に残る作品や芸術品などが著作物になりますが、たとえば即興の歌などでも保護対象になります。
一方、料理のレシピなどはアイディアに分類され、保護対象にはなりません。
著作権は創作した時点で自動的に発生するので、登録手続きなどは不要です。
このように「著作物が生まれるのと同時に著作権が伴う」という考え方を無方式主義と呼び、日本だけでなく150ヵ国以上で無方式主義は採用されています。
著作者に与えられる著作権は、正確には「著作者人格権」と「財産権」の2つで構成されています。
ここでは、著作者人格権と財産権の中身について解説します。
著作者人格権とは、著作者の人格的な利益を保護するための権利であり、下記の3種類があります。
財産権とは、著作者の財産的な利益を保護するための権利であり、以下の種類があります。
複製権 |
著作者の了解を得ず、無断で著作物をコピーすることは禁止されています。 |
上演権・演奏権 |
著作者の了解なく、公衆に対して演劇の上演をしたり音楽の演奏をしたりすることは禁止されています。 |
上映権 |
著作者の了解なく、公衆に対してスクリーンやディスプレイで映画を上映することは禁止されています。 |
公衆送信権・公の伝達権 |
放送・有線放送・インターネットなどを通じて、著作物を公衆に向けて無断送信することは禁止されています。 |
口述権 |
著作者の了解なく、小説などの言語の著作物を朗読して公衆に伝えることは禁止されています。 |
展示権 |
著作者の了承なしに、無断で美術品などの著作物を展示することは禁止されています。 |
譲渡権 |
映画以外の著作物について、原作品やコピーしたものを公衆に提供することは禁止されています。 |
貸与権 |
映画以外の著作物について、コピーしたものを公衆に向けて貸与することは禁止されています。 |
頒布権 |
映画の著作物のコピーについて、販売や貸与などをすることは禁止されています。 |
翻訳権・翻案権等 |
著作者の許可を得ずに、翻案・翻訳・編曲・変形などで加工して二次的な著作物を作ることは禁止されています。 |
二次的著作物の利用に関する権利 |
第三者が二次的著作物を利用する場合、二次的著作物の著作者だけでなく原著作者の承諾も必要です。 |
著作権の保護期間は、原則として「著作者の死後70年」です。
著作者が死亡してから70年以上経過すると、著作権は消滅します。
なお、無名・変名の著作物や団体名義の著作物などについては、以下のように起算点などが異なる場合もあります。
|
保護期間 |
無名・変名の著作物 |
公表後70年(公表されていない場合は創作後70年) |
団体名義の著作物 |
公表後70年(公表されていない場合は創作後70年) |
映画の著作物 |
公表後70年(公表されていない場合は創作後70年) |
著作物を公衆に伝達した者に対しては、著作隣接権が与えられます。
ここでは、著作隣接権が与えられる対象や保護期間などについて解説します。
著作隣接権は以下のような者に与えられます。
歌手や俳優といった実演家には、主に「氏名表示権」や、許可なく録画や録音をされない「録画権・録音権」、CDなどのレンタルに対して使用料を請求する権利などが与えられます。
レコード製作者には、主に「複製権」「貸与権等」「譲渡権」などが与えられます。
なお、レコード製作者とは最初に原盤を作った者のことを指します。
NHK・民間放送各社・CATVなどの放送事業家には、主に「送信可能化権」「再放送権・有線放送権」などが与えられます。
著作隣接権の保護期間は、原則として以下のとおりです。
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保護期間 |
実演 |
実演がおこなわれてから70年 |
レコード |
CDの発売やデータ配信などがおこなわれてから70年 ※音の固定がおこなわれてから70年以内に音源を発行していない場合は、音の固定がおこなわれてから70年 |
放送・有線放送 |
放送・有線放送がおこなわれてから50年 |
著作権や著作隣接権を侵害した場合、加害者は民事上だけでなく刑事上の責任を問われることもあります。
民事上では差し止め請求や損害賠償請求など、刑事事件として有罪判決が下されると懲役刑や罰金刑などが科せられます。
ここでは、著作権法の違反例や罰則などについて解説します。
インターネット上で起こりうるケースとしては、以下があります。
他人のブログ記事の内容を一語一句変えずに自分のサイトに掲載することは、著作権法違反に該当します。
動画サイトで映画やアニメなどの映像作品を無断で配信することは、著作権法違反に該当します。
著作物が違法にアップロードされていることを知りながら反復・継続してダウンロードする行為は、違法ダウンロードとして罰則の対象になります。
なお、違法にアップロードされたものを視聴するだけであれば罰則の対象にはなりません。
著作権法に違反した場合の刑事罰は以下のとおりで、特に企業による著作権侵害については重い罰則が設けられています。
著作権侵害は犯罪であり、被害者である権利者が告訴することにより侵害者を処罰してもらうことができます(親告罪。一部を除く)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。
また、企業などの法人による侵害の場合(著作者人格権侵害、実演家人格権侵害を除く)は、3億円以下の罰金と定められています。
さらに、私的使用目的であっても、無断でアップロードされていることを知っていて、かつダウンロードする著作物等が有償で提供・提示されていることを知っていた場合、そのサイトから自動公衆送信でデジタル録音・録画を行うと、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられます
なお、「懲役刑」と「罰金刑」は併科されることがあります(第119条~第122条の2、第124条)。
基本的に、ネット上で公開している著作物の無断利用を完全に防ぐことは困難です。
「無断転用禁止」などの警告を記載してコピー利用の禁止を促すという方法もありますが、それでも無断利用される可能性はあります。
実際のところは、自分の著作物が勝手に別サイトなどで利用されていることを知ってから、以下のような方法で対処することになります。
自分のサイトで公開している記事や画像などが別サイトで転用されていることが発覚した場合は、Googleの「著作権侵害の報告」から通報するという方法があります。
著作権侵害の疑いがあるサイトのURLなどを報告して著作権法に違反することが認められた場合、Googleの検索結果から除外されます。
著作権法違反であることをメールやFAXなどで伝えて、公開を差し止めるように要求するという方法もあります。
ただし、法律知識のない素人では違法かどうかの見極めが難しい場合もあり、その場合は後述する相談窓口を利用することをおすすめします。
著作物だからといって全ての利用が禁止されているわけではなく、なかには利用が認められる場合もあります。
ここでは、著作物の正しい利用方法について解説します。
以下のフローチャートは、著作物を利用するために許諾などが必要かどうかを判断するものです。
主に「日本で保護されているものかどうか」や「保護期間内かどうか」などがポイントになります。
引用元:著作物の正しい利用方法|文化庁
まだ保護期間内で、無断利用すると著作権法に違反してしまう場合などは、利用の許諾を著作権者から得る必要があります。
口約束でも問題ありませんが、念のため書面に許諾の旨や使用料などについて記載し、証拠を残しておいた方が安心でしょう。
また、著作権そのものを譲り受けて著作物を利用するということもできます。
なお、著作権者が不明で交渉相手がいない場合は、文化庁長官の裁定を受けることで利用できます。
以下のような場合については、著作物を利用することができます。
著作物の使用者が個人に限られる場合であれば、著作物を複製できます。
たとえば、録画したDVDを家族で鑑賞するために所有することは許されます。
一方、DVDのデータをインターネットで流したり、他者に販売したりすると罰則の対象になります。
図書館では、定められた範囲内であれば複写が認められています。
また、一定の措置を講ずれば、図書館蔵書の一部分を電子メールなどで利用者に送信することも認められています。
自身の著作物には、引用の目的上正当な範囲内であれば他人の著作物を使用できます。
正当な範囲内かどうかは、引用する必要性の有無・引用の量・引用箇所の明確性などから判断されます。
(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
引用元:著作権法第32条
ここでは、著作権侵害に関する相談先を解説します。
自身の著作物が無断で利用されている場合は各協会などに問い合わせて、加害者に著作権侵害について警告しても利用を止めない場合は弁護士への相談が有効です。
著作物の種類ごとの相談窓口は以下のとおりです。
取り扱う著作物の種類など |
法人名 |
連絡先 |
著作権全般 |
公益社団法人 著作権情報センター |
〒164-0012 |
03-5333-0393 |
||
放送 |
日本放送協会 |
〒150-8001 |
03-3465-1111 |
||
放送 |
一般社団法人 日本民間放送連盟 |
〒102-0094 |
03-5213-7711 |
||
コンピュータ・プログラム |
一般社団法人 コンピュータソフトウェア著作権協会 |
〒112-0012 |
03-5976-5175 |
||
ビデオ |
一般社団法人 日本映像ソフト協会 |
〒104-0045 |
03-3542-4433 |
||
ビデオ |
株式会社 日本国際映画著作権協会 |
〒102-0083 |
03-3265-1401 |
||
出版 |
一般社団法人 日本書籍出版協会 |
〒101-0051 |
03-6273-7061 |
||
写真 |
一般社団法人 日本写真著作権協会(JPCA) |
〒102-0082 |
03-3221-6655 |
||
著作権侵害の被害に遭った場合は、そのような行為を止めるように加害者へ通知しましょう。
しかし、なかには加害者が「著作権は侵害していない」などと言い張って争いになる可能性もあります。
インターネット上の著作権侵害トラブルに注力している弁護士であれば、違法性があるのかどうか確認してくれて、今後の対応について的確なアドバイスが望めます。
初回相談無料の法律事務所もあるので、まずは一度詳しく話を聞いてみることをおすすめします。
保護期間内の著作物を無断利用したりすると著作権侵害が成立し、場合によっては有罪判決が下されて懲役刑や罰金刑などが科されることもあります。
特に、法人による著作権侵害については「3億円以下の罰金刑」という重い罰則が設けられています。
「著作権侵害が成立しているのかどうか判断が難しい」「どのように対応を進めればよいかアドバイスが欲しい」というような場合は、弁護士に相談してみましょう。
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