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その他 公開日:2020.8.21  更新日:2020.8.21 弁護士監修記事

IPアドレス漏洩で何がわかる? 特定班は処罰できるのか

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IPアドレスとはインターネットを利用する端末の識別番号を指し、パソコンやスマートフォンなどでインターネットに接続する都度割り振られます

ほとんどの投稿サイトには、投稿者の接続IPアドレスは閲覧者からはわからない(サイト管理者にしかわからない)ようになっていますが、最近では、サイト側の不具合で投稿者の接続IPアドレスが閲覧者にわかってしまうという事例も発生しています。

この記事では、自身の投稿に利用したIPアドレスが第三者に漏れた場合のリスク等について解説します。

IPアドレスから判明する個人情報の範囲

投稿に利用したIPアドレスが漏えいした場合、投稿者についての以下の情報が特定される可能性があります。

IPアドレス漏えいにより特定され得る個人情報

・住んでいる国や都道府県

・IPアドレスを提供しているプロバイダ等の管理者情報

しかし、上記を超えて投稿者の氏名・住所等の個人情報は、IPアドレスからは直ちに辿ることはできません

このような個人情報まで辿るためには、IPアドレスから特定される管理者(プロバイダ)に対し、別途IPアドレスを利用した者の情報開示を請求する必要があります。

しかしプロバイダ側は、違法な権利侵害行為(例えば名誉毀損などの犯罪行為)が明白であると裁判所で認められるような場合でない限り、この情報を開示することはありません。

また、プロバイダ側の仕様や保管期間の関係でIPアドレスログを辿ることができない場合も、プロバイダ側から情報開示を受けることはできません。そのため、IPアドレスから実際の個人情報を辿る作業は、必ずしも容易ではありません

「特定騒ぎ」の原因である「特定班」は処罰できる?

漏洩した著名人のIPをもとに掲示板などの書き込みに表示されているIPアドレスと照らし合わせ「○○はこんなことを書いている」などと、特定する騒ぎもおこりました。

しかし、IPアドレスは、端末において固定IPアドレス設定をしていない場合にはインターネット利用の都度割り当てられるものであり、同じアドレスによる発信行為が必ずしも同一人物による発信ということにはなりません

そのため、このような騒ぎによって覚えのない書き込みを「○○の投稿」と名指しされ、結果、名誉や信用を損なった場合、法的な処分を求めたいと思う人もいるでしょう。

IPアドレス情報が同じであるということを理由に「同一人物の可能性がある」程度の投稿であれば、同一人物であると断定しているわけではないので投稿者の責任を追及することは難しそうです

しかし、これを超えて、「IPアドレスが同じだから同一人物である」と断定しつつ、特定の人物の名誉を毀損したり、人格を否定するような言動をすれば、その特定の人物に対する名誉毀損や侮辱という犯罪が成立することはあり得ます

また、同様に特定の人物であると断定したうえで、その人物のプライベートな事柄について投稿すれば、プライバシーを侵害したとして不法行為が成立する可能性もあります。

まとめ

IPアドレスが流出しただけでは、直ちに具体的な個人情報が特定されることはありません。

ただ、IPアドレスの情報を誤用または悪用して他人の誹謗中傷や名誉毀損する行為は決して許されない行為です。絶対にやめましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。