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名誉毀損に関する判例|名誉毀損になる場合とならない場合の要件とは
名誉毀損 2017.12.5

名誉毀損に関する判例|名誉毀損になる場合とならない場合の要件とは

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名誉毀損という言葉自体は聞いたことがある人は多いでしょう。とはいえ具体的にどういうことが当てはまるのかご存知でしょうか?

名誉棄損とは以下の要件をすべて満たす場合のことを指します。

  • 不特定あるいは複数の人が見聞きできる状況
  • ある特定の人に関する事実を示す(事実の摘示)
  • その特定の人の社会的評価を下げる

「○○さんは会社の経費を着服した」というような、「特定の人」と「社会的評価を下げるような事柄」を結びつける情報かつ社会的にダメージを与えるような事実を第三者に伝えることを指します。

真偽は問われず、本当のことでも嘘のことでも名誉毀損になりえます。この記事ではまず判例を2つご紹介し、その上で名誉毀損に関しての説明をさせていただきます。

名誉毀損における判例

名誉毀損に関する判例にはどのようなものがあるでしょうか。

街頭宣伝やTwitterでの投稿が侮辱行為として認められた判例

これは、ネット上の生放送、街頭宣伝・Twitterでの一審被告らの発言・投稿について一審原告の社会的評価を低下させる・侮辱行為として損害賠償が認められた事例です。

在日朝鮮人フリーライターの原告が一審被告らの行為(名誉毀損もしく侮辱または脅迫及び業務妨害に当たる発言又は投稿)が民法709条に基づく不法行為に当たるとして550万円の損害賠償を請求しました。

またその反訴として、一審被告らは一審原告である在日朝鮮人がTwitterで一審被告らへ名誉毀損または侮辱する投稿を行ったと主張し、同じく不法行為に基づく損害賠償を求めました。

一審では一審被告が一審原告へ77万円の支払を命じる判決が出ました。原告、被告の双方とも控訴をしましたが、大阪高裁は双方の控訴を棄却し、一審の77万円の支払を支持しました。

主文

 

 1 本件各控訴をいずれも棄却する。

 2 一審原告の控訴費用は一審原告の負担とし,一審被告らの控訴費用は一審被告らの負担とする。

 

裁判年月日 平成29年 6月19日 裁判所名 大阪高裁 裁判区分 判決

事件番号 平28(ネ)2767号

事件名 損害賠償、同反訴請求控訴事件

裁判結果 控訴棄却 文献番号 2017WLJPCA06199002

名誉毀損とは認められなかった判例

こちらは、温泉だと偽装しているという虚偽の記事を発表され信用が傷ついたとして新聞社に損害賠償を請求した判例です。

奈良県の老舗旅館の温泉について新聞社Aが「水道水で沸かしたものを天然温泉と表示し、景品表示法違反にあたるとし、県が行政指導を行なった」と報道したことに関し、旅館側は景品表示法に違反し保健所が行政指導をしたという事実はないと主張し、虚偽の記事によって信用を損なわれたとして4,800万円の損害賠償、遅延損害金、謝罪広告の掲載をもとめ訴えました。

しかし摘示された記事に関しては重要な部分においては真実であると認められ、原告は組み上げポンプが故障し温泉の提供ができないことを認識しているにも関わらず、天然温泉の表示を止めないという行為に対し故意があったと判断され、またそれが真実である以上、温泉偽装であるとみなされてもやむを得ないとされました。

主文

 

 1 原告の請求をいずれも棄却する。

 2 訴訟費用は原告の負担とする。

 

記事は、公共の利害に関する事実および公益を図る目的によって発表されたものであって、摘示の事実が重要な部分に対し真実であったと認められました。

ゆえに記事には名誉毀損の違法性はなく、不法行為ではないとなりました。

 

結果としては主文のとおり、原告側の損害賠償、遅延損害金、謝罪広告の掲載は棄却され、また訴訟費用は原告が負担することになりました。

裁判年月日 平成29年 4月13日 裁判所名 奈良地裁 裁判区分 判決

事件番号 平27(ワ)387号

事件名 信用棄損謝罪広告・賠償等請求事件

文献番号 2017WLJPCA04136006

名誉毀損で裁判を起こす際に知っておくべきこと

冒頭にて名誉毀損は、「不特定の人へ向け」「ある特定の人に関する事実を示し」「その人の社会的評価を下げる」ことを言います。名誉毀損における民事と刑事の相違点をこちらで説明させていただきます。

ちなみにここでいう「事実」と「真実」って同じじゃないの?と思うかもしれませんが、「事実」というのは、実際にあった事柄のことであって、真実とは異なります。

例えば、机に置いてあったAさんの本を、Bさんが自分のカバンにいれた、とします。これは「事実」です。この時点では、事実が示すものはカバンに他者の本をいれたというだけで、その行為がなぜ行われたのかまでは含んでいないのです。

本を盗んだかもしれないし、事前にAさんから許可をもらっていたのかもしれません。

もしも許可をもらっていたことが「真実」であるならば、本を盗んだことが「嘘」になります。

この例で事実と真実を改めて述べますと、

  • 事実=BさんがAさんの本を自分のかばんに入れた 
  • 真実=BさんはAさんから事前に許可をもらい自分のかばんに入れた

になるので、事実=真実にはなりません。

ただし、「BさんがAさんの本をかばんに入れた」という第三者が見た状況そのものが問題になっているのであれば、事実も真実も「BさんがAさんの本をかばんに入れた」になります。

民事での名誉毀損

民事では警察が動いてくれません。したがって自分で訴えを起こすことになりますので、弁護士を雇って代理人をつける形になるのが一般的でしょう。

刑事とは異なり、相手に懲役などの刑罰を負わせるのではなく、精神的・金銭的損失に対しての賠償請求や原状回復を求めることになります。

民事での名誉毀損は民法にて規定されています。

(不法行為による損害賠償)

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条  他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

(名誉毀損における原状回復)

第七百二十三条  他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。

引用:民法

名誉を回復するのに適当な処分と言っても、実際にできることといえば、新聞やHPに謝罪文を掲載するぐらいしか方法はありません。

したがって金銭による賠償を求めていくわけですが、この金額(相場としては数万円~数十万円)は精神的なモノを金額化するわけですから、その金額に対する明確な根拠はありません。

刑事での名誉毀損

刑事では名誉毀損があったときに名誉毀損罪として相手方を訴えることができます。

親告罪ですので、被害に遭われた方が告訴をして初めて警察が動くことを覚えておきましょう。

名誉毀損罪として認められれば、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金という刑罰を与えることができます。

(名誉毀損)

第二百三十条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

引用:刑法

侮辱罪とはどうちがう

似たようなものに侮辱罪がありますが、名誉毀損とはどのような点でしょうか。

それは事実の摘示が必要であるかどうかです

名誉毀損が誰がどのようなことをしたという具体的な事実を言っていなければ当てはまらないのに対し、侮辱はそのような具体的な事実を示す必要はありません。

名誉毀損にならない可能性がある場合について

複数人へ向けて、特定の人の社会的評価を下げる事実を示した、という名誉毀損の要件を満たしていたとしても、名誉毀損にはならない場合があります。それが以下の2つです。

  • 公益目的かつ真実性が立証できる場合
  • 公益目的かつ真実性の錯誤であると認められた場合

公益目的かつ真実性が立証できる

「公共の利害に関する事実(一般多数人の利害に関係する事柄)」であり、またその発言・暴露が「公益のためであることが主な動機」であり、かつ「事実が真実であると証明すること」ができれば違法性は認められず、名誉毀損とはなりません。

真実性の錯誤 | 当時は真実であると信じていた

上述のように名誉毀損の要件に当てはまるときは公益目的かつ真実性を証明しなければならないのが通常ですが、真実性の証明ができなくとも、それが公益目的であり、かつ当該行為が行われた当時において、真実であると信じられていたあるいは根拠があり信じても仕方ない状況の場合、名誉毀損にはなりません。

名誉毀損で相手を訴えたい時

誰かから名誉毀損を受けた場合、まずは相手方と任意の交渉をします。相手が交渉に応じなかったり、あるいは話が上手くまとまらなかった場合は、民事にて損害賠償請求をしましょう。

また相手の行為が悪質であれば、刑事告訴も考えていくことになります。民事でも刑事でも変わらずに必要なことは、名誉毀損とそして損害の間に因果関係があるかどうかです。

名誉毀損の要件を満たし、相手に公益目的かつ真実性がなく、また真実性の錯誤もない場合は、この因果関係を証明できれば名誉毀損行為があったと認められます。

このような交渉・裁判に勝つためにも、法律に精通している専門家である、弁護士に依頼すべきなのです。

どのくらい費用がかかる

インターネット上での誹謗中傷と考えた場合、投稿者の身元を特定するところから始まることになります。

よって概ね以下のような費用になります。

 

着手金

報酬金

裁判費用

投稿者の身元特定

裁判外

約5万円~10万円

約15万円

×

裁判

約20万円~30万円

約15万円~20万円

6万円

慰謝料請求

裁判外

約10万円

慰謝料の16%

×

裁判

約20万円

慰謝料の16%

3万円

参考:名誉毀損による慰謝料の請求方法と相場と弁護士に依頼した場合の費用

弁護士の選び方

名誉毀損といってもどのような形でなされたかによっても異なるでしょう。もしもインターネット掲示板やSNSなどネット環境による名誉毀損行為がなされているのであれば、ネット関係に強い弁護士を雇う必要があります。

また弁護士側としては、依頼主であるあなたから事件に関わる情報をできるだけ多く聞きたいと考えていますが、多くの情報を伝えることはあなたにとっても、もちろん良い結果を得られる要因になります。

したがって、あなたの話を引き出してくれるような弁護士が理想ですので、初回無料相談をしているような事務所をまずはいくつかあたってみて、目星をたてるのもいいかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

名誉毀損というのは、特に目立った活動をしている人や法人の場合、避けられないものでもあります。しかし、だからといって放置していると、場合によっては社会から大きな誤解を受けることになってしまう危険性もあります。

名誉毀損被害に遭った際にはしっかりと対応をし、長い目で見て社会的な評価を下げられないように行動しましょう。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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