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LINE詐欺の撃退方法と実際に被害に遭った際の対策
その他 2018.7.2 弁護士監修記事

LINE詐欺の撃退方法と実際に被害に遭った際の対策

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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今や日本人の代表的なコミュニケーションツールになったLINE。そんなLINEを悪用して金銭を騙し取ろうとする詐欺が多発しています。その手口が広く知られるようになってきたのか、騙されたふりをして詐欺業者を撃退しようとする人も現れています。中には犯人をおちょくって楽しんでいる人も…。

参考:【実録】死闘74分! 今度こそマジのマジで念願だった「LINE乗っ取り」と戦えた!! ジラしにジラして寝技に持ち込み相手はブチギレ爆発TKO

いくら相手が詐欺業者とはいえ、行き過ぎた行為は法的に問題ないのでしょうか?

LINE詐欺を撃退するための正しい方法と併せて解説します。

 

LINE詐欺の手口とは

LINE詐欺にはいくつかの手口があります。

 

代表的な手口:プリペイドカードを購入させる

1つは、Amazonギフト券やiTunesカードなどを購入するように誘導することです。Amazonギフト券やiTunesカードはコンビニなどで簡単に購入することができるプリペイドカードの一種。カードの裏側に書いてある英数字のコードをインターネット上で入力することで買い物ができます。このカードを購入させる手口が、LINE詐欺の手口として最も有名です。

 

手口の流れ

まず、もともと個人が使用していたLINEアカウントを乗っ取ったり、友人や芸能人を装ったLINEアカウントからメッセージを送ってきたりします。

メッセージの内容は「急にお金が必要になったから助けてほしい」「何も聞かずにいうとおりにしてほしい」といったものがほとんどで、日本語として不自然なことも多いので、手口を知っている人にはすぐに詐欺だとわかります。

そして、コンビニでAmazonギフト券や iTunesカードを購入するように求め、裏側のコードを写真に撮って送るように要求してきます。写真を送ってしまうとカードは詐欺業者によってただちに使用されてしまい、メッセージの主とは二度と連絡をとることができなくなってしまいます。

 

その他の手口

Amazonギフト券や iTunesカードを買わせる手口のほかに、悪質な有料サイトへの登録を促す手口もあります。

この手口では、まず友人や芸能人を装ってメッセージを送り、LINE以外で連絡をとりたいと有料サイトに誘導し、登録料を騙し取ろうとしてきます。芸能人やきれいな女性を装って接触をしてくることが多いようです。

 

騙されたふりをしてLINE詐欺を撃退

 

騙されたふりをする人が続出

このようなLINE詐欺に対し、詐欺だとわかった上で『撃退』しようとする人が続出しています。騙されたふりをして「カードを買ってきたけどどうすればいいのかわからない」などとコードを送らずに相手を焦らしたり、わざと関係のない話題を振ったりして反応を楽しむといったやり方です。

詐欺業者は外国人のことが多いようで、おかしな日本語で返信をしてくることもあれば、早々に諦めてトークを退出してしまうこともあります。中には意図的に延々とやりとりを続けて、悪ふざけとも言えるその一部始終をネットで公開している人たちもいます。

 

『撃退行為』に法的な問題はない

このような行為に法律的な問題はないのでしょうか。まず、一般企業のお客様センターなどにわざと相手を困らせるようなメッセージを送り、担当者に対応させたら犯罪になるか考えてみましょう。

刑法には偽計業務妨害罪(刑法 233条)という罪が定められています。これは『虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて人の業務を妨害する罪』で、人を欺罔(きもう)したり、人の錯誤や不知を利用したりして業務を妨害したときには、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

この罪の適用範囲は広く、企業に度重なるいたずら電話をかけた場合や、ネットで犯罪予告を行った場合などに適用されるほか、2011年にはインターネットを利用して大学受験でカンニングを行おうとした少年が偽計業務妨害罪の疑いで捜査を受けました。

 

事実上問題とならない

では、LINE詐欺を『撃退』しようとする行為は偽計業務妨害罪にあたるのでしょうか。

確かに、業者を困らせるといういたずら目的で業者の行為の邪魔をしているという点では、『偽計』によって業者の行為を『妨害』しているようにも思えます。したがって、形式的には偽計業務妨害行為に該当することはあり得ます。

しかし、相手が詐欺業者である場合、相手は相手で不正アクセス禁止法違反や詐欺罪に該当する犯罪行為に手を染めている可能性があります。そのような業者があえて上記のような偽計業務妨害行為を受けたと警察に被害申告することは考えにくいですし、民事的な請求をしてくることも考えにくいです。

そのため、上記『撃退行為』が正当性の範ちゅうを超えていたとしても、これが問題となることは事実上ないと考えられます。

 

LINE詐欺の正しい撃退方法

このように、いくら相手が詐欺業者とはいえ、こちらも違法・不当な行為で対抗することは好ましいことではありません。では、LINE詐欺を行う業者を正しく『撃退』するためにはどうすればよいのでしょうか。

 

LINE運営や警察に通報して撃退

まずは詐欺的なメッセージが送られてきたことを通報することが考えられます。LINE詐欺の通報先としては、LINE社や警察があります。LINE社への通報はLINEのお問い合わせページ(https://contact.line.me/detailId/10557)から行うことができます。

警察への通報の方法としては、110番をしたり、近くの警察署や交番に届け出たりといった方法があります。しかし、「そこまでするのは大げさではないか」と思われるかもしれませんし、事実、より緊急性の高い事件の邪魔になってしまうおそれもあります。

そのようなときには、『警察相談』に電話をするとよいでしょう。警察相談とは、普段の生活の安全や平穏に関する悩みごとや困りごとを相談できる電話窓口です。『#9110』とダイヤルすると、地域が直轄する警察本部などの相談窓口につながります。

 

無視する

通報が面倒なときには、無視してしまっても問題ありません。詐欺目的のメッセージが届いても何も返信せずに無視しておけば、詐欺業者はすぐに諦めることが多いようです。これが最も現実的な対処法といえるでしょう。

 

知人のアカウントなら本人に確認する

知人のアカウントから詐欺的なメッセージがきている場合は問題です。友人のアカウントがなりすましの被害に遭っている可能性が高いので、放置しておくとその知人のアカウントからほかの知人へ詐欺行為が行われ、被害が連続する可能性があるからです。

そこで、このような場合は知人に電話をしたり、直接会ったりするなどしてLINE以外の手段で連絡をとり、LINEアカウントがなりすましの被害に遭っていることを伝えてあげましょう

残念ながらなりすましの被害に遭ったアカウントを再び使用できるようにすることは難しいですが、犯人がさらに詐欺を行うことを防ぎ、被害が拡大することを防ぐことができるという意味ではLINE詐欺の正しい『撃退』の手段といえるでしょう。

 

実際に被害に遭ってしまったら

では、Amazonギフト兼やiTunesカードを購入してコードを伝えてしまった、有料サイトで支払いをしてしまったという場合など、実際に詐欺の被害に遭ってしまった場合にはどうすればよいのでしょうか。

残念ながら、被害に遭ったお金を取り戻すことは難しいのが現実です。確かに、法律的には不当利得として返還を求めたり、損害賠償請求をする権利があります。

しかし、そのためには相手の住所や氏名を特定する必要があります。LINE詐欺は海外から行われていることも多く、警察が捜査を行っても犯人を特定することが困難なため、被害金の返還を求めることは現実的ではないのです。

 

さいごに

LINE詐欺の撃退方法について説明しました。

騙されたふりをしてメッセージのやりとりをすること自体は犯罪ではありませんが、積極的に相手を加害してやろうと過激ないたずらに及べば、それは違法行為となってしまう可能性は否定できません。

また、今後LINEを使ったさらに巧妙な詐欺の手口が出てこないとも限りません。LINE詐欺の手口を知り、メッセージを受け取っても無視することが大切です。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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