被害を受けながら、どう動けばよいかわからずにいる方も少なくないでしょう。
名誉毀損は、民事・刑事の両面で法的措置をとれます。ただし、名誉毀損罪や不法行為の成立要件を満たさなければ、いくら傷ついていても法的責任を問えません。
本記事では、名誉毀損の定義や成立要件を解説します。侮辱罪など混同しやすい犯罪行為との違いや法的責任を追求する方法、慰謝料の相場も解説するので、ぜひ参考にしてください。
名誉毀損とは、他人の社会的評価を低下させることです。民事と刑事では扱いが異なるため、以下で両方の定義を正確に押さえましょう。

民事上の名誉毀損とは、故意または過失により、個人や法人の名誉権を侵害する行為です。
名誉権は、人や法人がみだりに社会的評価を低下させられない権利で、人格権の一種です。
名誉権を侵害する行為は、民法上の不法行為にあたります。具体的な事実を示した場合だけでなく、意見や論評によって社会的評価が低下した場合も不法行為となり得ます。
名誉権を侵害された被害者は、加害者に対し、損害賠償請求が可能です。あわせて、名誉回復措置として謝罪広告の掲載などを請求できます。また、名誉毀損行為が継続している場合には、差止請求が認められる場合もあります。

名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損する犯罪です。①公然性・②事実の摘示・③名誉の毀損の3要件を満たした場合に成立します。具体的な事実の存在を示さない意見や、論評による名誉侵害は名誉毀損罪にはあたりません。
有罪となれば、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。
名誉毀損罪は親告罪のため、被害者側が告訴しなければ起訴されません。告訴期間は犯人を知った日から6ヵ月以内です。
名誉毀損罪が成立するのは、①公然性、②事実の摘示、③名誉の毀損の3要件が揃う場合です。一つでも欠けると、名誉毀損罪は成立しません。
公然とは、不特定または多数人が認識できる状態を指します。
1対1の会話やメッセージのやり取りは、原則として公然性が認められません。一方、ネット掲示板への書き込みやSNSへの投稿は、不特定多数の人が閲覧できる状態に置かれるため、原則として公然性が認められます。
鍵アカウントによるSNS投稿でも、フォロワーが多数いる場合は公然性が認められる余地があります。スクリーンショットによる二次拡散が想定できる場合も同様です。
事実の摘示とは、人の社会的評価を低下させるに足りる具体的な事実を示すことです。一見すると意見・論評に見えても、読み手に具体的な事実を印象づける内容であれば、事実の摘示と評価される場合があります。
事実の摘示に当たるかどうかの判断基準は、具体的な出来事・行為・状態が特定できる形で述べられているかどうかです。抽象的な感情表現は、事実の摘示に当たりません。
|
事実の摘示にあたる |
事実の摘示にあたらない |
|
・「○○は会社の金を横領して解雇された」 ・「○○は不倫している」 ・「○○は過去に詐欺罪で逮捕された」 |
・「○○は最低な人間だ」 ・「○○は性格が悪い」 ・「○○は能無しだ」 |
なお、示した事実の真偽は問われません。伝聞に基づく内容や根拠のない内容でも、公然と事実を述べて人の名誉を毀損すれば、名誉毀損罪は成立します。
名誉の毀損とは、社会的評価を害するおそれのある状態を生じさせることを指します。
実際に社会的評価が下がったかどうかは問われません。その行為によって社会的評価が下がるおそれがあれば、名誉を毀損したと認められます。
名誉の毀損にあたるかどうかは、投稿の内容・文脈・対象者の社会的立場などを総合的に考慮して判断されます。
社会的評価を低下させる言動でも、常に名誉毀損罪が成立するわけではありません。正当な批判や報道を保護するために、刑法に例外規定が設けられているためです。
社会的評価を低下させる言動が例外的に違法ではないとされる事情を、違法性阻却事由といいます。以下で示す3つの条件を満たす場合、名誉毀損罪は成立しません。
示した事実が公共の利害に関わる事実であること(公共性)が必要です。公共の利害に関する事実とは、多くの人に社会的利益をもたらす事柄を意味します。
たとえば、公金の不正・消費者被害・政治家や大企業の不祥事に関する情報は、公共性が認められやすいです。一方、私人の恋愛や家庭事情などは、公共の利害に関する事実には通常あたりません。
起訴前の犯罪事実は、法律上、公共の利害に関する事実とみなされます。ただし、公益目的のない告発や未確認情報に基づく発信は保護されないため、②公益目的・③真実性の証明は別途必要です。
事実を示した目的が公益のためであること(公益目的)が必要です。
示した事実が公共の利害に関する事柄でも、投稿の主たる目的が個人的な恨みや炎上商法である場合は、公益目的の要件を欠きます。
ただし、投稿者に私怨などの公益以外の目的があるとしても、それだけでは公益目的なしと評価されるわけではありません。あくまで主たる目的が公益目的といえるかどうかで判断されます。
違法性が否定されるには、示した事実が真実である(真実性)か、真実と信じるに足りる相当な根拠があること(真実相当性)が必要です。
嘘の情報を故意に公開しても、公益にならないのは明らかなためです。真実でなかった場合でも、客観的な資料・根拠と照らして真実と誤信したことに相当の理由があると判断されれば、処罰は免れます。
なお、真実性の証明は、行為者がおこなう必要があります。
名誉毀損は、相手の社会的評価を下げる事実を、公然と示したといえるかどうかで判断されます。本章では、名誉毀損にあたりやすいケース・あたりにくいケースを、判断のポイントとともに例示します。
なお、以下はあくまで名誉毀損罪が成立するかどうかの観点からの整理です。民事上の責任が別途発生する可能性がある点にはご注意ください。
名誉毀損にあたりやすいのは、社会的評価を低下させる可能性がある具体的事実を、不特定または多数の人が知り得る形で示すケースです。
たとえば、次のような行為が該当する可能性があります。
「前科があるらしい」は断定を避けた表現ですが、事実を伝える内容として受け取られるため、名誉毀損と評価される可能性があるでしょう。不倫相手を名指ししたSNS投稿は、当事者双方の社会的評価を下げる具体的な事実の摘示にあたる行為です。
SNSへの投稿は不特定多数が閲覧できる状態に置かれるため、公然性が認められやすいでしょう。
具体的な事実を示さず、感情や主観的評価にとどまる表現は、通常は名誉毀損にあたりにくいといえます。
たとえば、次のようなケースが該当します。
「最低なやつだ」といった表現は、相手を傷つける言葉ではあるものの、具体的な事実を示すものではありません。ただし、侮辱罪が成立する可能性はあります。
一対一での発言は、不特定または多数の人に伝わる可能性がない限り公然性を欠くため、名誉毀損は成立しにくいです。「接客が雑だと感じた」は利用者の主観的感想であり、事実の摘示とは区別されるのが一般的です。
名誉毀損は、侮辱罪・誹謗中傷・信用毀損罪・名誉感情侵害といった概念と混同されやすいです。それぞれ保護する利益や成立要件が異なるため、正確に区別しておくのが重要です。
侮辱罪と名誉毀損罪の違いは、具体的な事実を示しているかどうかです。
侮辱罪は、具体的事実を示さず、不特定また多数の人が認識できる状態で、他人に対する軽蔑の表示を行うと成立します。
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投稿内容の例 |
該当する罪 |
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「バカ」「ゴミ」など感情的な罵倒 |
侮辱罪 |
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「○○は会社の金を横領して懲戒解雇された」など具体的事実を伴う書き込み |
名誉毀損罪 |
なお、一つの投稿が名誉毀損罪と侮辱罪の両方の要素を含むケースでは、双方が問題となる場合もあります。
誹謗中傷と名誉毀損罪の違いは、法律上の定義があるかないかです。
誹謗中傷は、法律上の定義をもつ用語ではありません。一般的には、根拠のない悪口や中傷行為を指す言葉として使われています。
行為の内容によって、刑事上・民事上の責任が問われる場合があります。
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刑事責任 |
名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪など |
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民事責任 |
名誉権の侵害(名誉毀損)、名誉感情の侵害、プライバシーの侵害など |
名誉毀損罪と信用毀損罪の違いは、何を傷つけるかという保護法益にあります。
名誉毀損罪が問題とするのは、人や法人の社会的評価が下がるかどうかです。一方、信用毀損罪が問題にするのは、事業上の信用や支払い能力への評価、つまり経済的な信用です。
また、名誉毀損罪は事実を摘示すれば成立し得ますが、信用毀損罪は、虚偽の風説の流布または偽計が構成要件となっています。たとえば、「〇〇社は資金繰りに行き詰まっている」という虚偽情報を拡散した場合、名誉毀損罪ではなく信用毀損罪が成立し得ます。
名誉毀損は、第三者からの社会的評価が下がるかどうかで判断されます。一方、一方、名誉感情の侵害は、自分自身へのプライドや自尊心が傷つけられたかどうかで判断されます。
たとえば、「バカ」「ブス」といった具体的な事実を含まない純然たる罵倒は、名誉毀損には該当しません。しかし、内容や頻度、文脈によっては、名誉感情の侵害として民事上の損害賠償請求が認められる場合があります。
インターネット・SNS上の名誉毀損が深刻な理由は、拡散速度・残存性・匿名性の高さにあります。
ネット上の投稿は瞬時に不特定多数へ届き、削除しない限り半永久的に残り続けます。元の投稿を削除しても、スクリーンショットで保存・拡散されていれば完全な消去は困難です。
名前や会社名を検索すれば、誰でも閲覧できる状態が続きます。就職・転職・取引先との関係など、日常生活への影響が長期にわたる場合もあるでしょう。
匿名性の高さも、被害を深刻にする要因のひとつです。身元を隠したまま投稿できるため、現実では言えないような過激な内容が書き込まれやすい環境といえます。
本章では、名誉毀損行為に対して、被害者がとれる法的措置を5つ紹介します。
削除請求とは、投稿の削除を求める手続きです。
投稿者を特定できない場合や投稿者本人に応じてもらえない場合、サイト管理者やプロバイダなどに削除を申し入れるのが一般的です。サイト上に設置されたウェブフォームやメールアドレスあてに削除を申し入れます。
書面で依頼する場合は、情報流通プラットフォーム対処法に基づく送信防止措置依頼を活用するとよいでしょう。任意で応じてもらえない場合は、裁判所への仮処分申立によって削除を求めます。
差止請求は、名誉毀損行為の継続を排除し、将来の侵害を予防するための手続きです。
たとえば、連載形式のWebコラムで特定人の社会的評価を低下させる内容が、継続的に掲載されるケースもあります。請求が認められれば、個々の記事の削除にとどまらず、同様の内容の掲載自体を差し止められます。
発信者情報開示請求とは、匿名の投稿者のIPアドレスや氏名・住所をSNS事業者やプロバイダに開示させる法的手続きです。

一般的な流れはコンテンツプロバイダへのIPアドレス開示請求→アクセスプロバイダへの氏名・住所の開示請求という2段階です。
2022年に施行された改正法で新設された発信者情報開示命令により、従来より迅速に加害者を特定できるようになりました。開示命令手続は従来の仮処分手続と比べ、審理期間が短く設定されています。
プロバイダのログ保存期間は3〜6ヵ月が多いです。期間を過ぎると特定が困難になります。被害を受けたと気づいた時点で早期に着手するのが重要です。
損害賠償請求とは、名誉毀損による精神的苦痛に対して、金銭での賠償を求める手続きです。名誉権を侵害する行為は、不法行為として損害賠償の対象となります。
名誉毀損によって損害賠償を請求できる条件は、以下のとおりです。
まずは内容証明郵便などにより任意の交渉を行い、合意に至らない場合には訴訟を提起して解決を図るのが一般的です。
慰謝料のほか、発信者情報開示請求にかかった費用や弁護士費用の一部も損害として認められる場合があります。
名誉回復措置請求とは、謝罪広告や訂正記事の掲載などを求める手続きです。
不法行為に基づく損害賠償は、原則として金銭でおこなうものとされています。しかし、名誉毀損は、人の社会的評価を低下させるという特殊な形態の不法行為です。金銭賠償だけでは、低下した社会的評価を回復できない場合があります。
そのため、金銭による損害賠償以外に、名誉回復のための適当な処分も請求できます。裁判所が命ずる処分の例は、以下のとおりです。
損害賠償請求と並行すれば、金銭的な賠償と社会的評価の回復を同時に図れます。
刑事告訴とは、犯罪の被害者などが捜査機関に犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示です。
名誉毀損罪は親告罪であるため、原則として告訴がなければ起訴されません。告訴は、警察署や検察庁に告訴状を提出しておこないます。
捜査の結果、犯罪の成立が認められれば、加害者に罰金刑や拘禁刑が科される可能性があります。刑事手続は処罰を目的とするため、被害者の損害回復が直接図られるわけではありません。損害賠償請求などの民事手続と並行して進めるのが一般的です。
なお、投稿内容が公共の利害に関する事実であり、専ら公益を図る目的でなされた場合には、違法性が否定される余地があります。刑事告訴を検討する際は、投稿の内容や経緯を踏まえた慎重な判断が求められます。
名誉毀損には、民事の消滅時効と刑事の公訴時効の2種類があり、それぞれ起算点と期間が異なります。時効を過ぎると法的措置が取れなくなる可能性が高まります。被害を認識した時点で早めに動き出すのが重要です。
民事上の損害賠償請求権の消滅時効は、以下のいずれか早い方です。
匿名投稿の場合は、加害者を特定した日から3年の時効のカウントが始まります。名誉毀損行為から20年が経過した場合は、加害者が不明な状態でも、時効により権利が消滅します。
時効が迫っている場合は、内容証明郵便の送付や訴訟の提起などの対応が必要です。
なお、対象の投稿が削除されず残り続けている場合は、損害が発生し続けているとみなされ、時効期間は進行しません。
名誉毀損罪の公訴時効は、犯罪行為が終わった日から3年です。期間を過ぎると起訴できません。投稿が複数・継続している場合は、投稿ごとに公訴時効の起算点が異なります。
親告罪としての告訴期間も別途定められています。告訴は、犯人を知った日から6ヵ月以内におこなわなければなりません。
したがって、公訴時効が完成していないときでも、犯人を知った日から6ヵ月が経過すると、刑事責任を問えなくなります。
名誉毀損罪は親告罪のため、被害者本人が告訴しなければ起訴されません。告訴から処罰の決定まで、以下の5つのステップで進みます。
告訴状には決まった書式はありませんが、以下の項目を記載するのが一般的です。
あわせて、以下の証拠資料を準備します。
加害者側に投稿を削除されると証拠収集が困難になります。被害に気づいた時点で速やかに保全しておくのが重要です。
匿名投稿の場合でも告訴状の提出は可能です。ただし、投稿者の氏名・住所を特定したうえで提出する方が、受理につながりやすい傾向があります。
告訴状は原則として、被害者の住所地を管轄する警察署に提出します。
ただし、いきなり告訴状を提出しようとしても、受理されないケースが多いです。民事上のトラブルとして当事者での解決を促される場合もあります。
そのため、あらかじめ警察に相談しておくのが大切です。被害の深刻さを理解してもらえれば、告訴に必要な証拠についてアドバイスを受けられる場合もあります。
受理されない場合は、検察庁への直接告訴も検討できます。
また、一般的には法律家である弁護士が作成した告訴状の方が、受理してもらえる可能性は高まります。
告訴状が受理されると警察が捜査を開始します。必要に応じて、投稿者のIPアドレス照会・SNS事業者やプロバイダへの協力要請・参考人や被疑者への聴取がおこなわれます。
捜査の過程で、被害者側が事情聴取を求められる場合もあるため、被害の経緯を時系列で整理したメモを手元に用意しておきましょう。
捜査に時間がかかるケースは少なくありません。進捗状況を定期的に確認しましょう。
警察の捜査が進むと事件は検察庁に送致され、検察官が起訴するかどうかを判断します。
名誉毀損事件では、不起訴または起訴猶予となるケースも一定数あります。不起訴の結果に不満がある場合は、検察審査会への申し立てが可能です。
示談が成立している場合や証拠が不十分な場合は、不起訴になりやすいため、証拠の充実度は事前に弁護士に確認しておきましょう。
起訴されると刑事裁判に移行します。
審理では、検察官が証拠に基づいて犯罪事実を立証し、裁判官が有罪・無罪を判断します。
有罪判決が確定した場合、加害者には刑事罰が科されます。名誉毀損罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
民事上の損害賠償請求は、証拠収集から強制執行まで複数のステップで進めます。加害者が匿名の場合は発信者情報開示請求による特定が必要なため、刑事告訴とは異なる手順を踏みます。
民事訴訟で請求が認められるには、発言や投稿が名誉毀損に該当することを立証する必要があります。
ネット上の投稿については、URLや投稿日時がわかるようスクリーンショットを撮りましょう。ウェブ魚拓などの証拠保全サービスを使うと、投稿内容を改ざんなく保存した記録として残せます。
スマートフォンのみに頼らず、クラウドや外部ストレージへのバックアップも取っておきましょう。加工したと争われないよう、複数の方法で証拠を保全し、保存した日時も記録しておくのが重要です。
匿名投稿の場合は、発信者情報開示請求・発信者情報開示命令により、加害者を特定する必要があります。
発信者情報の開示を受ける要件はいくつかありますが、代表的なものが次の2点です。
権利侵害が明白か否かは、投稿内容が名誉毀損などの不法行為にあたり、かつ違法性阻却事由が存在しないのが明らかかどうかで判断されます。
正当な理由とは、損害賠償請求・削除要請・名誉回復措置・刑事告訴など、法的手段をとるために発信者を特定する必要性があることを指します。私的制裁など不当な目的での請求は認められません。
プロバイダのログ保存期間は3〜6ヵ月が多く、期間を過ぎると特定が困難になります。被害を認識した時点で早期に着手するのが重要です。
加害者が特定できたら、訴訟前に内容証明郵便を送付して示談交渉をおこなうのが一般的です。交渉で解決できれば、時間・費用・精神的負担の大きい訴訟を避けられます。
交渉でも、法的根拠を前提とした請求である必要があります。問題となる投稿の特定・違法性の指摘・請求内容(削除・謝罪・慰謝料)を整理したうえで通知しましょう。主張や証拠が不十分だと、相手方に軽視され対応を引き延ばされるリスクがあります。
弁護士が代理人として介入すると、相手方が任意の解決に応じる可能性が高まります。示談が成立した場合は合意内容を書面化し、削除義務・再発防止条項・違反時の対応まで明記しておくのが大切です。
交渉が決裂した場合は、民事訴訟による解決を図ります。
訴状は、請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所に提出します。原則は加害者(被告)の住所地を管轄する裁判所ですが、被害者(原告)の住所地を管轄する裁判所への提起も認められるのが一般的です。
訴状には、以下の情報を記載します。
主張を裏付ける客観的証拠の提出も必要です。訴えの提起時には、裁判所に訴訟費用(収入印紙)と郵便切手をおさめます。たとえば、名誉毀損による請求額が100万円の場合、訴訟費用は1万円、郵便切手6,000円前後(裁判所によって異なる)です。
訴状が受理されると、裁判所が第1回口頭弁論期日を指定したうえで、被告に訴状が送達されます。以後、弁論期日で双方が主張・立証を繰り替えし、必要に応じて当事者尋問や証人尋問がおこなわれます。
期日は約1ヵ月~2ヵ月置きに開かれるのが一般的です。双方の主張・立証が尽くされた段階で審理が終結します。和解により解決するケースも少なくありません。和解に至らなければ、裁判所が判決を下します。
判決に不服がある場合は、控訴して上級審での審理を求められます。
判決が確定しても相手が賠償金を支払わない場合は、強制執行を申し立てられます。強制執行とは、相手の給与や財産を差し押さえて、強制的に賠償金などを回収する手続きです。
代表的な執行方法は、以下のとおりです。
相手に資力がない場合は回収が困難になるケースもあります。訴訟前に相手の資産状況を把握しておくのが重要です。
名誉毀損による慰謝料は、投稿の内容・悪質性・被害の規模などによって異なります。
被害者が個人の場合の慰謝料の相場は、10万円〜50万円程度です。
一般私人が名誉を侵害されたケースでは、慰謝料はさほど高額にはなりません。ただし、社会的評価の著しい低下が認められる場合などには、個人でも100万円以上の慰謝料が認められるケースもあります。
被害者が企業(法人)の場合の慰謝料の相場は、50万円~100万円程度です。
企業活動に対する批判として悪口も受忍すべきという考えをもつ裁判官もおり、無形の損害は低く認定される印象です。ただし、事業者の場合は、名誉毀損により営業損失などが発生した場合には、経済的損害についても賠償を請求できます。
そのため、個人に比べて慰謝料額が高くなる傾向があります。
慰謝料に影響する主な要素は、以下のとおりです。
|
要素 |
内容 |
|
投稿の悪質性・内容 |
虚偽の事実・犯罪行為の断定など内容が悪質なほど高額になりやすい |
|
拡散・閲覧の規模 |
閲覧数が多く、広範囲に拡散しているほど損害が大きいと評価される |
|
被害者の職業・社会的地位 |
医師・弁護士など専門職は職業的信用への影響が大きく認定されやすい |
|
精神的・経済的損害の程度 |
精神疾患の発症や収入減少など具体的損害があると金額が上がる |
|
投稿の継続性 |
長期間・繰り返しの投稿は被害が積み重なるとして高額になりやすい |
弁護士に相談すると、解決の見通しを立てられます。
ネット上の名誉毀損は、匿名の投稿者を相手にするケースが多く、個人での対応には限界があります。自分の被害が名誉毀損に該当するかの判断自体、法律の知識がなければ難しいでしょう。弁護士に相談すれば、個々の状況に応じた適切な解決策を提案してもらえます。
匿名の投稿者を特定するには、IPアドレスの取得やプロバイダへの開示請求まで複数の手続きが必要です。プロバイダのログは一定期間が過ぎると削除されるため、迅速な対応が求められます。手続きに慣れた弁護士に早期に依頼すれば、期限を逃すリスクを軽減できるでしょう。
慰謝料の交渉は、個人で進めると適正な金額を把握できないまま合意してしまうリスクがあります。弁護士に依頼すれば、被害の内容に見合った金額を請求できます。
弁護士費用は、法律相談料・着手金・報酬金の3つで構成されるのが一般的です。事案の難易度や手続きの種類によって金額は変動します。
法律相談料は、30分あたり5,000円〜1万円程度が目安です。初回相談を無料としている事務所もあります。
料金体系は事務所によって異なるため、事前にホームページや電話で確認しておくと安心です。
着手金は、弁護士が依頼に応じて事件処理に着手するために必要な費用です。事案の難易度や手続きの種類により、金額が変わります。
手続き別の着手金の目安は、以下のとおりです。
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手続きの種類 |
着手金の目安 |
|
|
削除請求 |
任意請求 |
0円〜10万円 |
|
仮処分申立て |
20万円〜30万円 |
|
|
発信者情報開示請求 |
任意請求 |
0円〜20万円 |
|
仮処分申立て |
10万円〜30万円 |
|
|
訴訟提起 |
10万円〜30万円 |
|
|
発信者情報開示命令 |
- |
20万円~30万円 |
|
損害賠償請求 |
交渉・訴訟 |
10万円~30万円 |
|
刑事告訴 |
- |
20万円~30万円 |
着手金は、結果に関わらず原則として返金されません。金額と内訳を依頼前に確認し、納得した上で契約しましょう。
報酬金は、結果の成功の程度に応じて、事件解決後に支払う成功報酬です。一部成功も含まれますが、完全な不成功の場合には報酬金は発生しません。
手続き別の報酬金の目安は、以下のとおりです。
|
手続きの種類 |
報酬金の目安 |
|
|
削除請求 |
任意請求 |
5万円〜20万円 |
|
仮処分申立て |
10万円〜20万円 |
|
|
発信者情報開示請求 |
任意請求 |
5万円〜30万円 |
|
仮処分申立て |
10万円〜30万円 |
|
|
訴訟提起 |
10万円〜30万円 |
|
|
発信者情報開示命令 |
- |
10万円~30万円 |
|
損害賠償請求 |
交渉・訴訟 |
回収額の10〜20% |
|
刑事告訴 |
- |
20万円~30万円 |
何をもって成功とするのか、依頼前に必ず確認しましょう。
インターネット上の名誉毀損トラブルにお悩みなら、「ベンナビIT」の活用をおすすめします。
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本章では、名誉毀損の被害を受けた方が抱えやすい疑問に、Q&A形式で回答します。
名指ししていなくても、名誉毀損が成立する場合があります。同定可能性が認められるケースです。同定可能性とは、投稿・記事などにおける表現が、特定の個人や法人を指していると第三者が認識し得る状態を指します。
たとえば、勤務先名・役職・特徴的なエピソードなどから人物を特定できる場合は、同定可能性が認められる可能性があります。イニシャルやニックネームでも、周辺情報から人物を特定できるケースも同様です。
名前を出していないから問題ないとは言い切れないため、投稿内容が気になる場合は弁護士への相談をおすすめします。
虚偽の事実を摘示した場合に限り、刑法上の名誉毀損罪が成立します。
刑法は、死者の名誉毀損について、虚偽の事実を摘示した場合に成立すると定めています。真実の事実を述べる場合は罰せられません。しかし、ありもしない事実をでっち上げて故人の評判を傷つけた場合は処罰の対象となります。
一方、民事上の損害賠償請求は、原則として認められません。名誉権は一身専属の権利であり、死亡によって消滅するためです。ただし、遺族の故人に対する敬愛追慕の情が受忍限度を超えて侵害された場合には、遺族からの損害賠償請求が認められる余地があります。
ありもしない噂を広められた場合も、名誉毀損罪や民法上の不法行為が成立し得ます。
虚偽の事実でも、不特定多数に具体的な事実を示して社会的評価を低下させる内容であれば、刑事・民事両面での責任追及が可能です。
警察が告訴状を受理しない理由を正確に把握したうえで、対応を検討しましょう。
警察が告訴を渋る理由が告訴状の不備・証拠の不足であれば、告訴状の内容改善・証拠の補充が必要です。
それでも警察が動いてくれない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。弁護士なら、告訴状に記載した事実が法的に犯罪として成立するかを判断したうえで、警察に受理されやすい形に整えられます。警察署への同行や事前相談も代理できるため、被害の実情が伝わりやすくなります。
また、警察が受理しない場合は、検察庁への告訴も可能です。
費用倒れになるケースはあります。慰謝料の認容額が弁護士費用を下回る場合や、相手に資力がなく判決が出ても回収できない場合が典型的な例です。
費用倒れを防ぐには、依頼前に弁護士と費用対効果を確認しておくのが重要です。慰謝料の見込み額・弁護士費用の総額・相手の資産状況を整理したうえで、訴訟に進むかどうかを判断しましょう。
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名誉毀損とは、人や法人の社会的評価を低下させる行為です。
刑法上は公然性・事実の摘示・名誉の毀損の3要件を満たせば名誉毀損罪が成立します。民法上は意見・論評による社会的評価の低下も不法行為となり得ます。
名誉毀損に対して被害者が取れる主な法的措置は、削除請求・発信者情報開示手続・損害賠償請求・刑事告訴などです。
ネット上の名誉毀損行為は、時間が経つほど証拠が消え、加害者の特定が困難になります。被害を確認したらまず証拠を保全し、早期に行動に移すのが重要です。
自分のケースが名誉毀損にあたるかどうかという疑問も、弁護士への相談で具体的な見通しが得られます。まずは「ベンナビIT」で初回無料相談できる弁護士を探し、解決への第一歩を踏み出しましょう。
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本記事では、SNSや匿名掲示板で名誉毀損罪などが問題になる悪口一覧や、誹謗中傷行為に及んだ加害者に追及できる法的責任の内容などについてわかりやすく解...
本記事では、SNSや匿名掲示板などで名誉毀損行為をおこなった発信者を罪に問う際に求められる要件、手続き上の注意事項、弁護士へ相談するメリットなどにつ...
本記事では、名誉毀損トラブルを相談できる弁護士の探し方、名誉毀損被害に遭ったときに弁護士へ相談・依頼するメリットなどについてわかりやすく解説します。
本記事では、ネットで誹謗中傷を受けて苦しい思いをしている方のために、誹謗中傷に対して適用される法律や発信者にどのような罪が適用されるか、誹謗中傷を受...
SNSで特定された情報を晒された場合の対処法を解説します。削除依頼や発信者情報開示請求、損害賠償請求まで5つの具体的な対応方法を紹介するほか、相手に...
侮辱罪とは、事実の摘示をせずに公然と人を侮辱したときに成立する犯罪です。ネット上で誹謗中傷を受けた場合、侮辱罪が成立する可能性があります。本記事では...
転職会議への投稿によって生じた法的な紛争を具体的に解説し、万が一、訴えられた場合にどのような対応をすべきか、またどのようにして訴訟リスクを避けながら...
ネット上の書き込みを侮辱罪で訴えるには、証拠集めが重要です。ネット上で誹謗中傷を受けたときは、相手の責任を追及できます。匿名で書き込まれた誹謗中傷で...
SNSを使用したさまざまなデマが流れ、拡散してしまうことで犯罪やトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。デマ拡散による事件は、犯罪として問うこと...