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IT・ネット法務 弁護士監修記事 更新日:

企業のX(旧Twitter)炎上事例|4つの予防策と炎上時の対策

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

「企業の公式X(旧Twitter)アカウントが炎上し、コールセンターや店舗にクレームが殺到した」というような事例はしばしば発生しています。

X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSは、企業のウェブ戦略の一環としてますます重要性を増しています。

特にX(旧Twitter)はSNSの中でも拡散力が高く、情報発信のツールとして有効ですが、その拡散力ゆえに企業がX(旧Twitter)を活用する際は炎上のリスクもつきまといます。

本記事では、企業がX(旧Twitter)を活用するメリット・デメリットや炎上の予防策、炎上してしまったときの対処法などを解説します。

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企業がX(旧Twitter)を活用するメリットとデメリット

X(旧Twitter)のユーザー数は世界に数億人おり、毎日5億を超えるポスト(旧ツイート)が投稿されているといわれています。

X(旧Twitter)は瞬時に情報を発信できてリアルタイム性が高く、投稿が多くのユーザーの目に触れやすいというのが特徴です。

自社の商品・サービスやブランドの認知度を高めるために非常に有効であり、X(旧Twitter)の投稿から自社サイトに誘導したり、影響力の強いX(旧Twitter)ユーザーとコラボしたりすることで企業の評判や顧客との関連性を高めることもできます。

一方、X(旧Twitter)で短期間に爆発的に拡散されることで、批判や攻撃的なコメントが殺到する場合もあります。

そのような場合に対応を誤ると企業の信用失墜を招き、場合によっては株価の暴落・店舗の閉鎖・倒産などに追い込まれることもあります。

企業の公式X(旧Twitter)アカウントの炎上事例

2017年には、企業の公式X(旧Twitter)によるポスト(旧ツイート)が原因で、以下のような炎上が発生しました。

 シャープの公式ツイッターアカウントが、任天堂の復刻版ゲーム機「ミニスーパーファミコン」について、一部の収録ソフトの価値を「0円」と評するツイートを投稿し、インターネット上で批判が相次いでいる。

   問題の投稿を寄せたのは、「シャープ製品」(@SHARP_ProductS)。同アカウントは「誤解を招いた」などとしてすでに該当の投稿を削除しているが、ネット上では今も「きちんと説明すべき」「謝罪しろ」などの批判が止まない状況だ。

引用:J-castニュース

これは「他社のゲーム製品を値付けするような内容のポスト(旧ツイート)をしたことが原因で批判が殺到した」という事例で、結果的に「担当者の個人的な想いをポスト(旧ツイート)してしまった」として謝罪し、同アカウントの運営は停止されました。

X(旧Twitter)を炎上させないためにできる4つの予防

X(旧Twitter)を炎上させないための予防策としては、以下の4つがあります。

担当者への研修・指導

X(旧Twitter)の担当者が企業の公式アカウントを適切に運用できるよう、研修や指導をすることが重要です。

研修では、ビジネスモラル・コンプライアンス・情報セキュリティなどの基本的な事項を確認し、過去の炎上事例や炎上のリスクについても学習が必要です。

私物化させない

X(旧Twitter)で炎上する原因のひとつとして、「企業の公式アカウントを運用しているうちに、担当者がアカウントを私物化してしまう」というのがあります。

「企業の公式X(旧Twitter)アカウントの炎上事例」で解説した事例も、担当者が個人的な意見を表明してしまったことで炎上が発生しました。
企業の公式アカウントを運用していると、自分の個人アカウントでは得られないような反響を得られるため、徐々に自分の発言に影響力があるような錯覚に陥って公私混同してしまう恐れがあります。

したがって、ポスト(旧ツイート)の内容は常にモニタリングし、私物化させないための指導を定期的におこなった方がよいでしょう。

「誤爆」を防ぐ

自分の個人アカウントから投稿しようとして誤って企業の公式アカウントから投稿してしまい、いわゆる「誤爆」によって炎上するというケースもあります。

そのような誤爆が起きてしまうのは、スマートフォンのアプリなどで個人アカウントと企業の公式アカウントを一元的に管理してしまうのが原因です。

「個人アカウントと企業の公式アカウントで使う端末をそれぞれ分ける」「企業の公式アカウントはパソコンだけで管理する」などの方法で誤爆を防ぐことができます。

ダブルチェックの仕組みを作る

X(旧Twitter)での炎上を防ぐためには、さまざまな視点からポスト(旧ツイート)の内容に問題がないか確認することが重要です。

X(旧Twitter)の担当者にポスト(旧ツイート)の全権限を与えるのではなく、「ポスト(旧ツイート)の内容や投稿時間を上司や同僚がチェックしてから投稿する」というようなダブルチェックの体制を作っておくのが有効です。

X(旧Twitter)が炎上したときの対処法

もしX(旧Twitter)で炎上してしまった場合は、以下のような対応を取りましょう。

火種を早期に見つける

まずは、なるべく早く炎上の原因を見つけて、さらに拡散される前に対策を講じましょう。

X(旧Twitter)で炎上すると、基本的には以下のような流れで事態が進んでいきます。

  1. 炎上の火種が発見され話題になる
  2. リポスト(旧リツイート)によってポスト(旧ツイート)が拡散する
  3. まとめサイトに掲載される
  4. まとめサイトの記事が拡散する
  5. ニュースメディアやテレビで報道される

特に不適切なポスト(旧ツイート)が爆発的に拡散するのは③以降で、①や②の段階で適切な対策を講じておき、できるだけ早く炎上の拡大を防ぐことが重要です。

炎上の火種を早期発見するためにも、企業名・商品名・サービス名・ブランド名・経営者氏名などで定期的にX(旧Twitter)で検索して、ネガティブな話題がないかチェックしましょう。

速やかに謝罪をする

X(旧Twitter)で炎上してしまった場合は、問題のポスト(旧ツイート)をできるだけ早く削除し、同アカウントできちんと謝罪しましょう。

このとき、アカウントに鍵をかけて非公開にしたり、アカウント自体を削除したりするのは避けた方が賢明です。

特に、アカウントを削除すると謝罪の投稿もできず、ユーザーからのネガティブな評価を覆せなくなる恐れがあるので注意が必要です。

謝罪する際は、問題のあるポスト(旧ツイート)をしてしまった原因を明らかにし、今後同じような問題が起こらないようにすることを約束したうえで、ポスト(旧ツイート)によって傷ついた方や不快な思いをした方にお詫びをしましょう。

炎上が収まった後の対応

炎上が収まったあとは、社内で同じような問題を起こさないための方法を協議し、実行しましょう。

炎上してしまったアカウントは、運用方法を変えて継続する、更新を停止する、一定の期間が経過してから削除するといった方法が考えられます。

風評被害を受けた時の対応

投稿を削除することでさらなる拡散を防止できるほか、投稿内容次第では損害賠償請求が認められる場合もあります。

以下の記事では、X(旧Twitter)での投稿削除の方法や、削除依頼が認められなかった場合の対処法などについて詳しく解説しています。

【関連記事】X(旧Twitter)の削除依頼方法と削除されなかった場合の対処法

なお、2022年10月に改正プロバイダ責任制限法が施行されたことで、従来2段階の裁判手続きが必要だった発信者情報開示請求について、1回の非訟手続きだけで済むようになりました。

また、ログイン時情報の発信者情報開示請求については、一定の条件はあるものの明文で認められるようになりました。

さいごに

X(旧Twitter)では手軽に情報発信できて拡散力が強く、うまく活用できれば多くの方に自社のサービスや商品などを認知してもらえるというメリットがあります。

しかし、ポスト(旧ツイート)が炎上した場合の拡大速度も早く、悪意のあるコメントや事実に反した情報が拡散してしまう恐れもあります。

ポスト(旧ツイート)をする際は、内容をよく吟味して炎上しないように細心の注意を払い、もし炎上した場合は被害を最小限に抑えるために適切な対応を取りましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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