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IT・ネット法務 弁護士監修記事 更新日:

不正アクセス禁止法とは?被害時の対処法と未然に防ぐ方法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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不正アクセス禁止法とは、利用権限のない他者のコンピューターシステムへ許可なくIDやパスワードを用いてログインしたり、パスワード情報の抜き取り不正利用または不正利用できるような状況にしてしまう行為を禁止する法律です。

不正アクセスの被害は、個人だけではなく企業にも及び、個人情報が流出するなどして大きな損害を受けることとなります。

またSNSアカウントを不正アクセスにより乗っ取られることで、自分の名前をかたり誹謗中傷をおこなわれるなど社会的信用を棄損される恐れもあるでしょう。

この記事では、不正アクセス禁止法に関する解説をしたうえで、不正アクセスの被害に遭った場合の対処方法、不正アクセスを未然に防ぐために必要なことをご紹介します。

不正アクセスの被害に遭っているあなたへ

不正アクセスの被害に遭っているけど、どう対処すればいいかわからず悩んでいませんか?

 

結論からいうと、利用権限のない他社のコンピュータシステムに許可なく侵入して、情報を悪用することは不正アクセス禁止法で禁止されています。

不正アクセスの被害を最小限に食い止めたい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。

 

弁護士に相談・依頼すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • これ以上の被害を防ぐための方法を教えてもらえる
  • 警察に被害届を出すときのポイントを教えてもらえる
  • 依頼すれば、サービス運営会社へ問い合わせてもらえる

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不正アクセス禁止法違反になる行為と科される罰則

不正アクセス禁止法では以下のような行為が禁止されています。また違法に対して、刑法が設けられています。

不正アクセス:3年以下の懲役または100万円以下の罰金

不正アクセスをおこなうことで、『3年以下の懲役または100万円以下の罰金』が科されます。

第三条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。

(他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止)

 引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律第3条

他者のアカウント情報の不正取得:1年以下の懲役または50万円以下の罰金

不正アクセスをおこなう目的で、第三者のアカウント情報を取得すると、『1年以下の懲役または50万円以下の罰金』が科されます。

何人も、不正アクセス行為(第二条第四項第一号に該当するものに限る。第六条及び第十二条第二号において同じ。)の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律第4条

具体的に該当するケースと該当しないケースを紹介します。

  • 該当するケース:友人のプライベート情報を知る目的で、その友人がSNSでログインするのを覗き見し、アカウント情報を取得した場合
  • 該当しないケース:友人からの依頼で、当人のSNSのアカウントへログインするために、そのアカウント情報を教えてもらった場合

ただし、該当しないケースであっても依頼があった場合はその旨を文書やメモを残しておくことがポイントです。

メールやLine上でいいので、誰から誰に依頼があったか明確にしておくことで、後々のトラブルを解決できます。

他者のアカウント情報を正当な権利のない者へ教える:1年以下の懲役または50万円以下の罰金

他者のアカウント情報を、その情報を知る権利のない者へ教えた場合、『1年以下の懲役または50万円以下の罰金』が科されます。

《例》

  • 該当する場合:友人のアカウント情報を、詐欺を働く第三者へ無断で教えた場合
  • 該当しない場合:退職した同僚の、社内用PCのアカウント情報を、業務上必要のある特定の同僚へ教えた場合

何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律第5条 

不当に取得した他者のアカウント情報を保管する:1年以下の懲役または50万円以下の罰金

不正アクセスを目的に、不正に取得したアカウント情報を保管すると、『1年以下の懲役または50万円以下の罰金』が科されます。

《例》

不正アクセス目当てで取得したアカウント情報を忘れないために、ノートにメモを取った場合

何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得されたアクセス制御機能に係る他人の識別符号を保管してはならない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律第6条

管理人のふりをして不正にアカウント情報を取得する

アカウントの管理者のふりをして、第三者のアカウント情報を所得した場合、『1年以下の懲役または50万円以下の罰金』が科されます。

《例》

Facebookからの管理人を装ったメールを送り、ログインID、パスワードの情報を教えてもらった場合

何人も、アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者であると誤認させて、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、当該アクセス管理者の承諾を得てする場合は、この限りでない。

引用元:不正アクセス行為の禁止等に関する法律第7条

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不正アクセス禁止法に違反した事例

実際に不正アクセス禁止法を違反し逮捕や取り調べを受けた事例を紹介します。

不正アクセスしてモデルの携帯電話を覗き見

新聞会社の元社員が、女性アイドルのプライベートのメールや写真を閲覧する目的で、携帯電話のサーバーへ不正アクセスしたために逮捕されました。

被告は、日本経済新聞を懲戒解雇されたうえに、東京地裁から懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受けました。

不正アクセスによる仮想通貨の流出

大手仮想通貨取引所から580億円相当の仮想通貨NEMが不正流出しました。海外からの不正アクセスによる可能性もあるため、不正アクセス禁止法違反の容疑で取り調べがおこなわれる予定です。

不正アクセスによる銀行からの不正送金

メキシコの中央銀行を含める複数の銀行が、ハッカーから不正侵入・不正送金の被害に遭いました。セキュリティ上の欠陥をついた犯行だったため、メキシコではサイバー攻撃への対処法を実施する予定です。

不正アクセスの被害に遭った場合どうすれば良いの?

不正アクセスの被害に遭った場合の対処方法をご紹介します。

アカウント情報を変更する

まず、アカウント情報を変更してください。相手側が一度ログアウトすれば、再度ログインすることが難しくなるので、被害の拡大を避けることができるかもしれません。

サービスの運営会社(カード会社・金融機関)へ問い合わせする

しかし、アカウント情報を変更しても、相手側がログアウトしなければ、引き続き悪用することは可能です。

そのため、アカウント情報の変更と同時に、アカウントの管理人へ問い合わせて、アカウントの利用停止を申請しましょう。

また、悪用されたアカウント情報がクレジットカードや銀行の預金通帳だった場合、被害額を補填してもらえる可能性があります。

被害額の補填は、契約内容や金融機関によって取り扱いが変わります。問い合わせする際は、その点も確認しましょう。

警察へ被害届を提出する

警察へ被害届を提出し事件性があると判断されることで、警察は調査をおこなってくれます。

必ずしも調査をおこなってくれるわけではありませんが、被害届を提出すれば、不正アクセスされたアカウントの管理人へ、主張を通しやすくなります

不正アクセスを未然に防ぐ方法

不正アクセスを防止するにはどうすればいいのでしょうか。ここでは不正アクセスの対策を紹介します。

銀行やクレジットカードの取引履歴を定期的に確認する

定期的に、銀行やクレジットカードの取引履歴を確認する習慣をつけましょう。

『必要以上にお金が引き落としされていないか』、『身に覚えがないショッピングの履歴がないか』などを定期的に確認すれば、不正利用されてもすぐに気づくことができます。

不正利用時の補償サービスを受ける

銀行口座、クレジットカードを不正利用された時に備えて、対象の金融機関で利用できる補償サービスがないか確認しましょう。

金融機関によって補償サービスの取り扱いは異なりますが、補償サービスを受けることで、万が一被害に遭った場合、金融機関から被害額を補償してもらうことができます。

セキュリティソフトを取り入れる

不正アクセスは、セキュリティの欠陥をついたものが多いため、必ずパソコンやスマホにはセキュリティソフトを導入しましょう。

まとめ

この記事では、不正アクセス禁止法の解説や、不正アクセスの被害へどのように対策すればよいのかを紹介しました。

不正アクセス禁止法について理解するうえで、参考にしていただければ幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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