景品表示法では、不当表示規制や景品規制などの規制が定められています。
景品表示法に違反した場合、行政処分として措置命令や課徴金納付命令を受けたり、刑事罰として拘禁刑や罰金刑が科されたりすることもあります。
上記のようなペナルティやイメージの低下などを避けるためにも、企業としては景品表示法の規制内容を正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、景品表示法違反となるケースや違反事例、景品表示法に違反した場合の罰則や、違反しないために企業がやるべき対策などを解説します。
景品表示法とは、一般消費者の方々の利益を保護するために定められた法律です(景品表示法第1条)。
正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」であり、景品表示法や景表法などと呼ばれることもあります。
景品表示法の対象となるのは「一般消費者に商品やサービスを提供する全ての事業者」で、大企業や中小企業だけでなく個人事業主やフリーランスなども遵守しなければいけません。
以下では、景品表示法の規制内容や、景品の定義などについて解説します。
景品表示法の規制内容は、不当表示規制と景品規制の2種類に大別されます。
なお、ここでいう「景品類」とは、以下の全てに該当するものを指します。
景品表示法では、商品やサービスに関する不当な表示を禁じています(景品表示法第5条)。
景品表示法における不当表示は、優良誤認表示・有利誤認表示・その他の不当表示の3種類に大きく分けられます。
ここでは、景品表示法違反となる不当表示について解説します。
優良誤認表示とは、商品やサービスの品質・規格・その他内容に関する不当表示のことです(景品表示法第5条1号)。
優良誤認表示については、さらに以下の2タイプに分類されます。
上記のような表示によって不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的・合理的な選択を妨げる可能性があると判断されるものは景品表示法違反となります。
一例として、以下のようなケースでは、優良誤認表示と判断される可能性があります。
有利誤認表示とは、商品やサービスの価格・その他取引条件に関する不当表示のことです(景品表示法第5条2号)。
有利誤認表示については、さらに以下の2タイプに分類されます。
上記のような表示によって不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的・合理的な選択を妨げる可能性があると判断されるものは景品表示法違反となります。
一例として、以下のようなケースでは、有利誤認表示と判断される可能性があります。
上記のほかにも、その他の不当表示として「ステルスマーケティング」や「おとり広告」などもあります(景品表示法第5条3号)。
消費者庁ホームページでは、その他の不当表示について以下のように示されています。
その他の不当表示に該当する場合も景品表示法違反となり、詳細は上記の各リンクをご覧ください。
景品表示法では、景品類に関する金額の上限なども定められています(景品表示法第4条)。
上限額は、一般懸賞・共同懸賞・総付景品のどれに該当するのかによって異なります。
ここでは、各景品類の定義や上限額などを解説します。
懸賞とは、くじなどの偶然性や、特定の行為による優劣・正誤などで景品類の提供先や提供価額などを決めることです。
懸賞のうち、後述する共同懸賞に該当しないものは「一般懸賞」と呼ばれています。
一例として、以下のようなケースが一般懸賞に該当します。
一般懸賞には以下のような上限額があり、規定範囲を超えた場合は景品表示法違反となります。
| 懸賞による取引価額 | 各景品類の上限額 | 景品総額の上限額 |
|---|---|---|
| 5,000円未満の場合 | 取引価額の20倍 | 懸賞にかかる売上予定総額の2% |
| 5,000円以上の場合 | 10万円 | 懸賞にかかる売上予定総額の2% |
懸賞のうち、複数の事業者が参加しておこなう懸賞は「共同懸賞」と呼ばれています。
一例として、以下のようなケースが共同懸賞に該当します。
共同懸賞でも以下のような上限額があり、規定範囲を超えた場合は景品表示法違反となります。
| 各景品類の上限額 | 景品総額の上限額 |
|---|---|
| 30万円 | 懸賞にかかる売上予定総額の3% |
事業者が、一般消費者に懸賞以外の方法で提供する景品類のことは「総付景品」や「ベタ付け景品」などと呼ばれています。
一例として、以下のようなものが総付景品に該当します。
総付景品でも以下のような上限額があり、規定範囲を超えた場合は景品表示法違反となります。
なお、以下の制限が適用されない例外もあり、詳細は以下の参考元リンクをご覧ください。
| 取引価額 | 各景品類の上限額 |
|---|---|
| 1,000円未満の場合 | 200円 |
| 1,000円以上の場合 | 取引価額の10分の2 |
業種別景品告示とは、特定の業種にのみ適用される景品規制のことを指します。
たとえば、新聞業・雑誌業・不動産業・医療用医薬品業・医療機器業および衛生検査所業の各業種などについては、上記とは異なる内容の規制が別途設けられています。
各業種で定められた規定範囲を超えた場合は景品表示法違反となり、詳細は以下の各リンクをご覧ください。
ここでは、実際に景品表示法違反で罰則が科された事例を3つ紹介します。
一つ目は、広告上に掲載した美容機器に関する表示が「優良誤認」と判断されたという事例です。
本事例では、対象の美顔器について、広告上にて「細胞活性化・脂肪分解効果・殺菌効果・美容成分の浸透効果」などが得られるかのように表示していました。
しかし、実際は上記表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料がありませんでした。
消費者庁は上記表示を優良誤認と判断し、一般消費者に対する違反事実の周知徹底や、再発防止策の実施・周知徹底のほか、今後同様の表示をしないことなどを命じました。
二つ目は、チラシやサイト上に掲載した浴場に関する表示が「優良誤認」と判断されたという事例です。
本事例では、スポーツクラブ内の浴場について、チラシやサイト上に「天然鉱石ラジウム温泉<露天風呂>」や「ヘルストン温泉<露天風呂>」と表示していました。
しかし、実際は温泉法に基づく温泉の利用許可を得ておらず、水道水・井戸水・工業用水を加温したものであり、表示内容とは異なるものとなっていました。
消費者庁は上記表示を優良誤認と判断し、一般消費者に対する違反事実の周知徹底や、再発防止策の実施・周知徹底のほか、今後同様の表示をしないことなどを命じました。
三つ目は、サイト上に掲載したダイビングライセンスの費用に関する表示が「有利誤認」と判断されたという事例です。
本事例では、世界最大のダイビング教育機関であるPADIのライセンス取得費用について、サイト上に「今ならPADIライセンスが1万円(税込)ポッキリで取得できる‼」と記載し、下部に「※別途、機材のレンタル代金はかかります。」と小文字で記載していました。
実際にライセンスを取得するためには、1万円の教育コース料金に加えて、ダイビング器材のレンタル料金として約2万円、ドライスーツの購入費用として約16万円が必要でした。
消費者庁は上記表示を優良誤認と判断し、一般消費者に対する違反事実の周知徹底や、再発防止策の実施・周知徹底のほか、今後同様の表示をしないことなどを命じました。
景品表示法に違反した場合、企業に対して以下のような罰則が科されるおそれがあります。
ここでは、景品表示法に違反した場合のペナルティについて解説します。
景品表示法に違反した場合、消費者庁による措置命令を受ける可能性があります(景品表示法第7条)。
措置命令を受けた場合は、企業側は以下のような対応を取らなければいけません。
また、消費者庁ホームページでは違反内容や企業名などが公表され、たとえば2026年度に関しては「景品表示法関連報道発表資料 2026年度|消費者庁」から確認できます。
措置命令を受けた事実が公表されることで、企業イメージや信用度の低下などにつながる可能性もあります。
景品表示法の違反行為のうち「優良誤認表示」や「有利誤認表示」については、消費者庁による課徴金納付命令を受ける可能性もあります(景品表示法第8条)。
課徴金納付命令を受けた場合は、課徴金として「違反行為の期間中に獲得した売上額の3%」を納付しなければいけません。
なお、過去10年以内に課徴金納付命令を受けていた場合は、課徴金算定率が3%から4.5%へと引き上げられます。
一方、例外として以下のように課徴金が減額・免除となる場合もあります。
| 違反状況 | 課徴金の納付内容 |
|---|---|
| 調査開始前に自主申告した場合 | 50%の減額(景品表示法第9条) |
| 算出された課徴金額が150万円未満の場合 | 納付免除(景品表示法第8条) |
| 優良誤認表示や有利誤認表示に該当するとは知らず、知らないことについて相当の注意を怠らなかった場合 | 納付免除(景品表示法第8条) |
景品表示法の違反行為のうち「優良誤認表示」や「有利誤認表示」については、刑事事件として捜査機関が動き、刑事罰が科されて前科が付いたりする可能性もあります。
個人だけでなく法人も処罰対象となり、各罰則は以下のとおりです。
| 違反状況 | 個人に対する罰則 | 法人に対する罰則 |
|---|---|---|
| 優良誤認表示・有利誤認表示をした場合 | 100万円以下の罰金刑(景品表示法第48条)。 | 100万円以下の罰金刑(景品表示法第49条1項2号)。 |
また「景品表示法違反で消費者庁から命令を受けたにもかかわらず、適切に対応しなかった」というような悪質なケースでも、刑事罰が科される可能性があります。
個人だけでなく法人も処罰対象となり、各罰則は以下のとおりです。
| 違反状況 | 個人に対する罰則 | 法人に対する罰則 |
|---|---|---|
| 消費者庁の命令に従わなかった場合 | 2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑(景品表示法第46条)。 | 3億円以下の罰金刑(景品表示法第49条1項1号)。 |
景品表示法違反のトラブルを避けたいのであれば、以下のような対応が有効です。
ここでは、景品表示法に違反しないために企業がやるべき対策について解説します。
景品表示法に違反しないためには、社内でガイドラインを作成しておくことが大切です。
明確なガイドラインがないと、現場の属人的な判断に依存することになり、担当者の知識不足や判断のブレなどによって景品表示法違反のトラブルに発展するおそれがあります。
消費者庁ホームページの「表示に関するQ&A」や「景品に関するQ&A」なども参考にしながら、自社はどのような点に注意するべきか具体的なルールを定めておきましょう。
たとえば、広告表現のチェックをおこなう際は、ひとつの部署だけでなく複数の部署で対応するなど、チェック体制を強化するのも効果的です。
景品表示法に違反しないためには、定期的に社内研修を実施することも大切です。
ガイドラインの策定やチェック体制の構築などを済ませても、実際に対応する社員側のコンプライアンス意識が十分にないとうまく機能しないおそれがあります。
景品表示法に関する社内研修を定期的におこなうことで、各社員のコンプライアンス意識を維持・向上でき、知識のアップデートなども望めます。
研修方法としては、講師と対面形式で直接やり取りする方法のほか、基礎知識をインプットするために全社的に実施する場合はオンライン研修なども有効です。
景品表示法違反のトラブルを避けたいのであれば、弁護士への相談も検討しましょう。
日頃から法律問題を扱っている弁護士なら、「この場合は法律違反になるのか」「どのような表現であれば問題ないか」など、状況に応じて的確なアドバイスが望めます。
現在では初回相談無料の法律事務所も多くあり、法律相談のみの利用も可能です。
強引に契約を迫られるようなことはありませんので、弁護士が必要かどうか迷っている場合も、まずは一度無料相談を活用してみることをおすすめします。
ここでは、景品表示法違反に関するよくある質問について解説します。
景品表示法に違反した場合、企業は以下のような罰則を受ける可能性があります。
| 罰則の種類 | 罰則の内容 |
|---|---|
| 措置命令 | ●一般消費者に対する誤認排除 ●再発防止策の実施・社内での周知徹底 ●違反行為の差止め など |
| 課徴金納付命令 | 違反行為の期間中に獲得した売上額の3%にあたる金額の納付 |
| 刑事罰 | ●優良誤認表示や有利誤認表示をした場合:100万円以下の罰金刑(個人・法人) ●消費者庁の命令に従わなかった場合:2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑(個人)、3億円以下の罰金刑(法人) |
なお、措置命令を受けた場合は、消費者庁ホームページにて違反内容や企業名などが公表されるため、企業イメージや信用度の低下などにつながるリスクもあります。
景品表示法違反が発覚し、罰則が科されるまでの基本的な流れは以下のとおりです。
調査手順については消費者庁ホームページに記載されているので、詳しくは以下をご覧ください。
景品表示法では、商品やサービスに関する不当な表示や、過大な景品類の提供などが禁止されています。
たとえば、以下のようなケースでは優良誤認表示や有利誤認表示に該当し、景品表示法違反として罰則を受ける可能性があります。
景品表示法違反は大企業でも個人事業主でも起こり得るものであり、違反すると措置命令や課徴金納付命令を受けたり、逮捕されて刑事罰が科されたりすることもあります。
ただし、景品表示法の規制内容は複雑であるため、少しでも判断に不安が残る場合は弁護士にアドバイスを求めるのがおすすめです。
当サイト「ベンナビIT」では、景品表示法などのIT法務が得意な全国の弁護士を掲載しています。
都道府県・市区町村・最寄り駅などの地域検索や、電話相談可・オンライン面談可・休日の相談可などの条件検索も可能で、今すぐ信頼できる弁護士を探せます。
初回相談無料の法律事務所も多く掲載しているので、景品表示法違反のトラブルが不安なら一度ご利用ください。
プライバシーポリシーを作成してWeb上で掲示することで、個人情報保護法に規定された利用目的明示等の義務を果たすことができます。本記事では、「プライバ...
本記事では秘密保持契約書に収入印紙の貼付が必要なのかについてご紹介します。また収入印紙が必要になる書類の定義や必要にもかかわらず貼り忘れてしまったと...
機密情報とは、「企業が保有するさまざまな情報のうち、外部への公表を想定していない情報のこと」です。本記事では、機密情報に含まれる情報の種類や概要、管...
優良誤認とは、自社が提供する商品やサービスを、消費者に対して実際よりも優れたものとして表示する行為で、景品表示法に規定されている違反事項の1つです。...
消費者は商品やサービスを購入する際に企業がおこなう宣伝活動には、景品表示法によってある程度の制限がかかっています。景品表示法における有利誤認表示の概...
プライバシーポリシーとは個人情報取扱事業者の個人情報の取扱いや保護などを求めた規範のことです。なぜ事業者はプライバシーポリシーを公表するのか、その理...
秘密保持契約(NDA)とは、取引などで自社の秘密情報を開示する場合、情報漏洩や目的外利用などを防ぐために締結される契約です。本記事では、秘密保持契約...
景品表示法違反とは?違反事例や違反した場合のペナルティをわかりやすく解説景品表示法違反とは、景品表示法が定める不当表示規制や景品規制に違反することを...
営業秘密とは、一般的には、企業が事業活動の中で取得する情報で、企業外への開示を予定していないものを指します。しかし、不正競争防止法で保護される『営業...
企業におけるネット炎上の実態や原因を解説します。その上で、具体的な対策も記述していきますので、企業のSNS運用担当者も参考にしていただければ幸いです...
本記事では、レピュテーションリスクの基本から企業への影響、主な原因、管理・予防策、可視化の方法、起きてしまった場合の対処法までを詳しく解説。
サイバー警察は、インターネットやコンピュータネットワーク上で発生する犯罪やトラブルに対応している組織です。本記事では、サイバー警察とはどんな組織かを...
本記事では、誹謗中傷はどこから違法として扱われるのか分かりやすいよう複数の具体例を用いて解説します。ネット上での悪質な嫌がらせにお悩みの方は、参考...
優良誤認とは、自社が提供する商品やサービスを、消費者に対して実際よりも優れたものとして表示する行為で、景品表示法に規定されている違反事項の1つです。...
プライバシーポリシーとは個人情報取扱事業者の個人情報の取扱いや保護などを求めた規範のことです。なぜ事業者はプライバシーポリシーを公表するのか、その理...
企業におけるネット炎上の実態や原因を解説します。その上で、具体的な対策も記述していきますので、企業のSNS運用担当者も参考にしていただければ幸いです...
機密情報とは、「企業が保有するさまざまな情報のうち、外部への公表を想定していない情報のこと」です。本記事では、機密情報に含まれる情報の種類や概要、管...
秘密保持契約(NDA)とは、取引などで自社の秘密情報を開示する場合、情報漏洩や目的外利用などを防ぐために締結される契約です。本記事では、秘密保持契約...
営業秘密とは、一般的には、企業が事業活動の中で取得する情報で、企業外への開示を予定していないものを指します。しかし、不正競争防止法で保護される『営業...
この記事では、企業がTwitterを活用するメリット・デメリットと、Twitterを炎上させないための方法、そして万が一Twitterが炎上してしま...