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IT・ネット法務 公開日:2018.1.15  更新日:2021.6.29 弁護士監修記事

景品表示法の有利誤認表示に該当する行為と下される2つの命令とは

弁護士法人本江法律事務所
富永慎太朗 弁護士
監修記事
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商品やサービスを消費者に購入してもらうために、価格がお得であること(どのくらい安いのか)をアピールことはよくある手段でしょう。

しかし、しっかりとルールを守らないと「優良誤認」「有利誤認」として景品表示法に抵触するおそれがあり、違反行為とみなされた場合は企業としての信用も落としかねません。

この記事では

  1. 具体的に「有利誤認」とはどんな行為を指すのか
  2. 違反した場合にどうなるのか
  3. 有利誤認の事例

についてご紹介します。

この記事に記載の情報は2021年06月29日時点のものです

景品表示法とは

景品表示法の正式な名称は、不当景品類及び不当表示防止法です。

また景品表示法は、消費者庁のHPによると下記のように説明されます。

景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。

引用:消費者庁HP (https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/) 参照日:2021/6/28

つまり、景品表示法は、下記2点を禁止しています。

  1. 消費者を誤認させる不当な広告の表示をすること(広告表示についての規制)
  2. 過大な景品の提供をすること(景品についての規制)

3つの規制

「優良誤認表示の禁止」

景品表示法第5条1号により禁止されている表示です。

「優良誤認表示の禁止」は、商品やサービスの品質等について、「実際のものよりも著しく優良であると表示するケース」や、「事実に相違して競合他社の商品・サービスよりも著しく優良であると示す表示するケース」です。

「有利誤認表示の禁止」

有利誤認表示は、景品表示法第5条2号により禁止されている表示です。

有利誤認表示は、「実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるケース」や、「競争事業者のものやサービスよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるケース」をいいます。

「その他誤認させるおそれがある表示の禁止」

「優良誤認表示の禁止」及び「有利誤認表示の禁止」が広告表示についての主な規制ですが、そのほかにも、以下6つの規制が業種毎に定められています。

  1. 無果汁の清涼飲料水等についての表示
  2. 商品の原産国に関する不当な表示
  3. 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
  4. 不動産のおとり広告に関する表示
  5. おとり広告に関する表示
  6. 有料老人ホームに関する不当な表示

景品表示法における有利誤認とは

有利誤認表示とは、①実際の商品・サービスの取引より(消費者にとって)有利な表示をする行為または②事実に反して競合他者の同種または類似の商品・サービスの取引より有利であると表示する行為で、景品表示法第5条2号で規定される違反行為「不当表示」の一種です。(不当表示には有利誤認のほか、優良誤認とその他誤認されるおそれのある表示がある)

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

引用:景品表示法 第五条 (https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000134&openerCode=1) 参照日:2021/6/28

有利誤認を簡単に言えば、商品やサービスの価格に関して実際よりも安く公表している、ということです。(よその会社と比べた場合を含めて)

消費者庁の有利誤認の例

消費者庁HPでは下記事例が有利誤認の事例として掲載されています。

(1)取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示

例:当選者の100人だけが割安料金で契約できる旨表示していたが、実際には、応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていた場合

(2)取引条件について、競争業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示

例:「他社商品の2倍の内容量です」と表示していたが、実際には、他社と同程度の内容量にすぎなかった。

引用:表示規制の概要(消費者庁) (https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price/) 参照日:2021/6/28

二重価格表示                      

二重価格表示とは販売価格と併せてそれよりも高額な他の価格を表示することです。

二重表示価格自体は比較対象価格が適正なカタチで表示されているのであれば問題ありませんが、適正ではないと認められれば有利誤認表示となる可能性があります。

適正ではない二重価格表示とは

同一ではない商品を比較対象としている

販売する商品とは異なる商品を価格の比較対象とした場合、消費者が比べて安いと見誤る可能性があり、不当表示とみなされる可能性があります。

理由としては2つの商品に実際に価格差があったとしても、それぞれの質(パソコンならCPUなどのスペックとか)にも違いがあり、単純な価格で安いかどうかを比べることは難しいからです。

ただし、同じ事業者(会社など)が同一ではない商品を比較対象とすること自体は景品表示法上、問題とはなりません。

比較対象の金額が事実ではないand曖昧な表示

販売価格の比較対象とする金額は、事実である必要があります。嘘をついて高い価格を表示してはいけません。

また事実に基づいた正しい金額だとしても、それが何の価格(メーカー希望小売価格だとか過去の販売価格だとか)なのか曖昧である表記もNGです。

優良誤認と有利誤認の違い

優良誤認表示は、商品・サービスの品質、規格、その他の内容についての不当表示をいいます。一方、有利誤認表示は、商品・サービスの価格、その他の取引条件についての不当表示をいいます。

つまり、優良誤認表示は、商品やサービスそのものの表現が不当な表示方法をいいます(魚沼コシヒカリ産と称して実は別の材料を使用して商品を販売していた等)。

有利誤認表示は、商品やサービスに不当性はないが、売り方等が不当な表示方法をいいます(ある商品を常時2,000円で販売しているにもかかわらず、元値は10,000円であり今がお得と表示して商品を販売している場合等)。

消費者庁HPでは具体例として下記事例が掲載されています。

家電量販店の場合

家電製品の店頭価格について、競合店の平均価格から値引すると表示しながら、その平均価格を実際よりも高い価格に設定し、そこから値引きを行っていた。

引用:消費者庁HP (https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price/) 参照日:2021/6/28

メガネ店の場合

フレーム+レンズ一式で「メーカー希望価格の半額」と表示したが、実際には、メーカー希望価格は設定されていなかった。

引用:消費者庁HP (https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price/) 参照日:2021/6/28

景品表示法における有利誤認表示の事例

実際に有利誤認表示を行なったとして措置命令が下された事例について2つご紹介します。

株式会社ビーラインの有利誤認表示(平成29年6月28日)

自動車のタイヤ販売を行なっている株式会社ビーラインの新聞広告(平成28年4月8日配布)の内容が不当表示として措置命令が下されました。

広告にはある特定のタイヤの価格が「通常(1本価格(実際の表記は○で囲ってある))3,900円⇒50%OFF 1本価格1,950円+消費税別」と表示されていましたが、「通常」「通常1本価格」と称した部分については同店舗において販売実績の無い価格であり、消費者に対して誤認させる表示と判断されました。

株式会社ビーラインに下された措置命令の内容

  • 対象商品の取引条件は消費者に対し「消費者にとって有利な取引内容である」と誤認させるものだ、という事実について一般消費者にせること
  • 再発防止策を講じ、役員・従業員に周知させること
  • 今度は同様の表示を行わないこと

株式会社キャリアカレッジジャパンの有利誤認表示(平成27年3月20日)

資格の通信教育サービスを事業とする株式会社キャリアカレッジジャパンは、20XX年6月1日~6月30日までとか20XX年7月1日~7月31日まで、などというように、特定の期間中にサービスを申込んだ場合、正規受講料から1万円割引されると記載していました。

しかし実際には、平成22年5月25日~平成26年7月31までのほぼすべての期間、正規受講料が1万円割引になっていました。

これも一般消費者が特定の期間安く申し込めるとみせかけたものだったので、有利誤認と認められ措置命令が下されました。

株式会社キャリアカレッジジャパンに下された措置命令の内容

  • 対象商品の取引条件は消費者に対し「消費者にとって有利な取引内容である」と誤認させるものだ、という事実について一般消費者に周知させること
  • 再発防止策を講じ、役員・従業員に周知させること
  • 今度は同様の表示を行わないこと

景品表示法に違反したときの罰則・リスク

景品表示法に違反したときの罰則・リスクについて解説します。

社会的信用が失われる

景品表示法に違反すると、当然コンプライアンス違反(法令遵守違反)となります。コンプライアンス違反となると、当該企業はコーポレート・ガバナンス(企業管理・統治)がなされていない健全性の低い企業だと評価されてしまいます。

措置命令と課徴金制度

1.措置命令

景品表示法の違反が認められると、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる「措置命令」が下されます。

※措置命令に従わない場合、刑事罰(最大2年の懲役・最大300万円の罰金)が科せられます。

2.課徴金の納付命令

事業者が優良誤認表示や有利誤認表示をする行為をした場合、消費者庁は、課徴金納付命令を行います(所定の法律で定められている除外事由を満たす場合を除く)。

有利誤認表示をした場合の措置命令と課徴金納付命令

有利誤認表示の疑惑がある場合は消費者庁等からの調査を受け、有利誤認表示と認められた場合は措置命令および課徴金納付命令を下されることになります。

措置命令とは

有利誤認表示行為が認められた場合、消費者庁または都道府県から以下のような内容の措置命令が下されます。

  • 違反行為の差し止め
  • 再発防止策の実施
  • 同様の違反行為を再度しないこと
  • 一般消費者に 与えた誤認を排除すること

また、対象の事業者に対して措置命令を行ったことがリアルタイムで消費者庁のHPに掲載され、消費者に周知されます。

もしこれらの命令に従わない場合はどうなるのでしょうか。

措置命令に違反した場合はどうなるか

措置命令に違反した場合刑罰が下されます。

具体的には2年以下の懲役または300万円以下の罰金または懲役と罰金の併科です。

課徴金納付命令とは

有利誤認表示をした場合、課徴金納付命令によって課徴金を納める必要が出てきます。

課徴金(かちょうきん)とは違反行為をした者に対して行政が課す金銭的不利益のことで、有利誤認表示のほか優良誤認表示をした場合でも課される可能性があります。

課徴金の算定方法

課徴金の対象期間中の商品またサービスの売上額に3%を掛けた金額が課徴金です。

課徴金対象期間の商品・サービスの売上額×3%=課徴金額

例えば売上額が1億円ならば、1億円×3%=300万円なので、課徴金額は300万円です。

課徴金納付命令を下されない条件

有利誤認表示が認められても課徴金納付命令が下されないケースもあります。

それは前述の課徴金の算定をした結果、課徴金額が150万円未満(売上額5,000万円未満)であるときです。

裏返せば算定額が150万円以上のときのみ課徴金納付命令が下され、課徴金を納付しなければならないのです。

有利誤認表示をしないために気をつけるポイント

社内で有利誤認表示を引き起こさないようにするためにはなにができるでしょうか。

  • 有利誤認表示の考え方、景品表示法ついて従業員に周知する
  • 有利誤認に対する企業の方針を明確化する
  • 表示内容には根拠となる情報をしっかり確認する
  • 弁護士等に依頼してリーガルチェックをする

このように日頃から景品表示法を意識し、表示の内容について問題がないかを確認しましょう。

また、自社のサービス・商品の販売にかかる表示や景品類が景品表示法に違反していないかを判断する際には、事例を参考にしてみましょう。

さらに、消費者庁が公表している、景品表示法に関するガイドラインも確認することをおすすめいたします。

まとめ

根拠のない価格表示、虚偽の価格表示をして消費者を騙してはいけません。

有利誤認をはじめ景品表示法を遵守することで、ただしいカタチで販売を続けられるようにしましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人本江法律事務所
富永慎太朗 弁護士 (福岡県弁護士会)
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本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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