ネットの誹謗中傷問題を弁護士に依頼した場合、投稿削除・開示請求・損害賠償で弁護士費用は100万円前後になることが多いです。
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名誉毀損とは、公然と事実を摘示して相手の社会的評価を低下させる行為のことです。X(旧Twitter)、InstagramなどのSNSや、5ちゃんねるなどの匿名掲示板に誹謗中傷や悪口を投稿された場合には、投稿者に対して民事責任・刑事責任を追及できます。
ただし、インターネット上に投稿された全てのネガティブな投稿が名誉毀損に該当するわけではありません。なぜなら、投稿する側には表現の自由が与えられているからです。
本記事では、名誉毀損罪の構成要件や法定刑、名誉毀損の被害を受けたときに追及できる法的責任、ネットで名誉毀損されたときに弁護士へ相談・依頼するメリットなどについてわかりやすく解説します。
名誉毀損とは、「公然と事実を示して相手の名誉を毀損する行為」のことです。
名誉毀損における「名誉」とは、外部的名誉・社会的評価のことを意味します。つまり、名誉毀損のイメージをわかりやすく言い換えると、「誰にでもわかるような状況で相手の社会的評価を傷つけること」といえるでしょう。
そして、名誉毀損をした人物に対しては、刑事責任・民事責任の2種類の法的責任を追及できます。
名誉毀損に当たる可能性がある具体例は以下のようなケースです。
なお、実際に刑事責任・民事責任を追及するには、刑法及び民法で定められた要件を満たす必要があります。
どのような行為が名誉毀損に該当するかは、個別事案の状況を踏まえて決まるので、素人だけで名誉毀損への該当性を判断するのは簡単ではありません。
経緯や誹謗中傷内容次第では、侮辱罪や業務妨害罪などの名誉毀損以外の犯罪が問題になる可能性も否定できないので、ネットの誹謗中傷被害にあったときには、速やかに弁護士などの専門家へ相談してください。
刑法では、名誉毀損罪について以下の規定が定められています。
(名誉毀損)
刑法第230条第1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。
第2項 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
引用元:刑法第230条
ここから、名誉毀損罪の構成要件として以下3点が挙げられます
それぞれのポイントについて、以下で詳しくみてみましょう。
ネットの誹謗中傷行為に対して名誉毀損罪が適用されるには、当該誹謗中傷が「人の社会的評価を下げるおそれがある行為であること」という要件を満たす必要があります。
まず、名誉毀損罪が成立するために、「人の名誉が現実かつ具体的に侵害されたこと」までは要求されません。なぜなら、社会的評価が実際に低下したことを裁判の場で立証するのは困難だからです。
次に、「人の社会的評価」における「人」には、幼児や大人などの自然人だけではなく、法人などの団体も含まれます。これは、法人などの団体も自然人と同じように社会的な活動をおこなっている以上、一定の社会的評価の対象になることは避けられず、法的保護に値するものだと考えられるからです。
なお、名誉毀損罪を適用するには、特定個人や法人に対する行為である必要があります。たとえば、「関西人はうるさい」「関東人はつまらない」などの不特定集団に対する誹謗中傷については名誉毀損罪は成立しません。
名誉毀損罪が適用される「事実の摘示」の要件を満たすには、具体性が必要です。
第一に、名誉毀損罪において摘示される事実は、それ自体が「人の社会的評価を低下させるような具体的事実」でなければいけません。
第二に、摘示される事実は、人の社会的評価に関係する事実であれば足ります。たとえば、プライバシーに関わる事実であったとしても、それが現に社会的評価に関係するものであれば、名誉毀損罪が成立します。
第三に、誹謗中傷を受けた被害者が明確に特定されていなくても、他の事情などから総合的に判断して被害者であることを特定できれば、名誉毀損罪が適用される可能性があります。
第四に、誹謗中傷の内容が一般人でも事実関係に疑いを持たない程度に広く知れ渡っている「公知の事実」であったとしても名誉毀損罪は成立します。
公知の事実に位置付けられるような内容でも、その事実を知らない人が存在する以上、被害者の社会的評価を下げるおそれがあるからです。
一方で、具体性の観点で注意すべきなのが、ネット上でおこなわれた誹謗中傷が「個人の主観に基づく感想・評価」でしかない場合には、名誉毀損罪は成立しない点です。
たとえば、「会社の上司〇〇は日常的にセクハラを繰り返している。とても気持ち悪い」という表現は具体的な事実を添えているので名誉毀損罪が成立する可能性がありますが、一方で、「会社の上司〇〇はとても気持ち悪い」という表現は個人の感想でしかないので名誉毀損罪は適用されません。
名誉毀損罪は、ネットなどでされた誹謗中傷の文言が真実であろうかなかろうが成立する可能性があります。
たとえば、「〇〇は過去に万引きで逮捕されて前科がついている」とSNSで投稿をした事案では、仮に当該事実が真実であったとしても、プライバシー性が高く社会的評価を低下させるような発信をしている以上、名誉毀損罪の成立は妨げられません。
実際に名誉毀損罪は、「その事実の有無にかかわらず」、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損したときに成立する犯罪類型だと定められています。
ただし、ネット上の誹謗中傷行為が、公共の利害に関する事実であり、かつ、その目的が公益を図ることにあったと認める場合において、発信された内容が真実であることが証明されると、投稿者が名誉毀損罪で罰せられることはありません(刑法第230条第2項)。
たとえば、「食料品メーカー〇〇は入荷している原材料の産地を偽装している詐欺師のような企業だ」というケースでは、産地偽装の件が真実であれば、情報発信者の名誉毀損罪の刑事責任は阻却されます。
しかし、産地偽装の件が虚偽の場合には、具体的な事実の摘示をもって食料品メーカー〇〇の社会的名誉を毀損しているため、名誉毀損罪は成立します。
名誉毀損罪が成立するには、事実の摘示が「公然と」おこなわれる必要があります。
公然とは、発信された事実を不特定または多数の人が認識しうる状態のことです。不特定とは「摘示の相手方が特殊な関係によって限定された者ではないこと」、多数とは「複数人では足りず、相当の多数であること」を意味します。
たとえば、周囲に多数の人がいる公共の場所、クラスメイト全員がそろっている学校の教室、同僚などが多数出勤している状態の会社のオフィス、インターネット上の匿名掲示板・ブログ・SNSなどにおける誹謗中傷行為は、名誉毀損罪における「公然性」の要件を満たすと考えられます。
一方で、閉鎖的な環境での1対1のやり取り、個人宛のメール、2,3人程度の限られたグループ内での非公開の会話などにおける誹謗中傷行為は、不特定または多数人が認識できるわけではないので、名誉毀損罪は成立しない可能性が高いです。
なお、事実摘示の直接の相手方が特定少数人であったとしても、その者たちを通じて不特定多数人へと伝播する場合には、名誉毀損罪の公然性要件を満たす可能性があります。
つまり、フォロワー数・閲覧数が極めて少ないSNSの公開アカウントで誹謗中傷をしたケース、オンラインサロンで暴言などを吐いたケースでも、切り抜き動画やストリーミングなどの手段でインターネットを通じてどれだけの人数に閲覧されるかわからない以上、公然性の要件を満たすと判断されます。
以上を踏まえると、匿名掲示板やSNSなどで誹謗中傷をされた事案では、ほとんどのケースで公然性要件を満たすといえるでしょう。
名誉毀損罪との区別が問題になる犯罪として「侮辱罪」が挙げられます。
侮辱罪とは、「事実を摘示することなく、公然と人を侮辱したとき」に成立する犯罪類型のことです(刑法第231条)。
侮辱罪と名誉毀損罪の1つ目の違いは、「事実の摘示」の有無です。名誉毀損罪は「事実の摘示」が必要ですが、侮辱罪では「事実の摘示」要件は必要とされません。
たとえば、「アホ、バカ、ブス」などの感情的表現である誹謗中傷事案は、「事実の摘示」が存在しないため、名誉毀損罪ではなく侮辱罪が成立します。
侮辱罪と名誉毀損罪の2つ目の違いは、法定刑の重さです。近年の刑法改正で侮辱罪の法定刑は「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」に引き上げられました。一方で、名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。「事実の摘示」がある分だけ、名誉毀損罪のほうが侮辱罪よりも重い法定刑が定められています。
ただし、侮辱罪と名誉毀損罪のいずれが問題になるかは、個別事案の経緯・事情によって異なります。そのため、インターネット上で誹謗中傷を受けたときには、被害者自身で対応を即断するのではなく、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談したうえで、どのような法的措置を選択するべきかについて判断を仰ぐべきでしょう。
ここからは、インターネット上で誹謗中傷や悪口を投稿された場合に、名誉毀損が成立しうる具体例について解説します。
名誉毀損罪が成立するには、<誹謗中傷や悪口が「公然」とおこなわれる必要があります。
インターネット上の投稿について名誉毀損が問題になるケースでは、以下のような場合に公然性が認められる可能性が高いです。
逆に、完全非公開のSNSアカウントで誰も閲覧できない状態で誹謗中傷をされたケースや、個人宛にダイレクトメッセージを送信されたケースでは、不特定または多数人が誹謗中傷の内容に触れることはできません。そのため、公然性の要件を満たさず、名誉毀損罪は成立しません。
名誉毀損罪の「事実の摘示」の方法は文章だけに限定されません。
口頭、文書・図画・ビラの配布、動作、写真やイラストの投稿なども、被害者の社会的評価を下げるおそれがあるものであれば名誉毀損罪が成立します。
たとえば、<インターネット上に悪質なコラージュ画像・動画を投稿された場合や、自分がアップロードした写真に侮辱的な文字を付して再投稿された場合には、名誉毀損罪で加害者に対する法的責任を検討するべきでしょう。
インターネット上でよくある誹謗中傷のうち、名誉毀損が成立する可能性がある書き込み例は以下のとおりです。
インターネット上の投稿などについて名誉毀損が成立するとした裁判例を紹介します。
大阪知事である原告が、当時新潟県知事であった被告がX(旧Twitter)でおこなった原告所属政党への誹謗中傷ポスト(旧ツイート)について、名誉毀損をされたことを理由に損害賠償請求をした事例。本件では、被告は原告の名前を投稿していなかったものの、被告のポストの内容が明らかに原告を対象としていることを容易に判別できたものであったため、名誉毀損を理由として33万円の慰謝料が認定された。 |
被告が原告の名前と顔写真を使用したなりすましアカウントを開設したうえで、インターネット掲示板上で第三者を罵倒するような投稿を繰り返していた事例。名誉権・肖像権・プライバシー権・アイデンティティ権などの権利侵害を理由に、130万6,000円の慰謝料請求が認められた。 |
漫画家である原告が、自身の描いた似顔絵の無断投稿に対して削除依頼を出した。すると、削除依頼を受けた被告が、X(旧Twitter)において、原告から殺害予告を受けたかのようなポスト(旧ツイート)をした。「殺害予告を受けた」という虚偽のポストをされたことが名誉毀損に該当すると判断されて、50万円の慰謝料請求が認められた事例。 |
ネットの誹謗中傷トラブルを得意とする弁護士へ相談すれば、過去の裁判例などを参考にしながら、名誉毀損への該当性や慰謝料額の目安などを判断してくれます。
加害者側に投稿を削除されると法的責任を追及するハードルが高まるので、できるだけ早いタイミングで相談してください。
インターネットサービスにおいて誹謗中傷をされた場合、加害者に対して以下2種類の法的責任を追及することが可能です
ここでは、ふたつの法的責任の内容について解説します。
刑事責任とは、<刑法などで規定された犯罪行為に及んだ際に加えられる刑罰・制裁のことです。
警察や検察官などの捜査機関と被疑者・被告人が当事者となり、公開の刑事裁判で刑事責任の有無が争われます。
ネットでの誹謗中傷が名誉毀損罪に該当すると判断された場合、加害者には「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」の範囲で刑罰が科されます(刑法第230条第1項)。
ただし、ネットでの誹謗中傷・悪口を名誉毀損罪の容疑で逮捕・起訴するかを判断するのは捜査機関です。
たとえば、比較的軽微な誹謗中傷に過ぎなかったり、早期に示談交渉が成立したりする場合には、不起訴処分が下されて刑事手続きが終了することも少なくありません。
また、仮に名誉毀損罪の容疑で起訴されたとしても、事案の状況次第では執行猶予付き判決が下される可能性もあります。
民事責任とは、他人の権利・利益を侵害した者に科される私法上の賠償責任のことです。
ネットで誹謗中傷されたケースでは、不法行為に基づく損害賠償責任・慰謝料支払義務のことを意味します(民法第709条、民法第710条)。
刑事責任とは異なり、<民事責任を追及する際には、名誉毀損をされた被害者が当事者として加害者に対して損害賠償請求などをおこなわなければいけません。
インターネットでの誹謗中傷が名誉毀損に該当する事例の慰謝料額の相場は以下のとおりです。
なお、損害賠償額・慰謝料額は、個別具体的な事案の状況を踏まえてそれぞれ認定されます。
たとえば、SNSで何百件、何千件と名誉毀損に該当する投稿を執拗に繰り返していたケースでは、相場よりもはるかに高額の慰謝料請求が認められる可能性があります。
一方で、極めて少数の閲覧者しかいないアカウントでなされた名誉毀損投稿が拡散される前に民事責任を追及したような事例では、相場よりもはるかに低額の慰謝料しか請求できないでしょう。
つまり、ネットに投稿された誹謗中傷の経緯・事情・内容次第では、損害賠償請求などをする手間・労力・金銭コストのほうが重く、結果として費用倒れになるリスクも少なくないということです。
ネットでの名誉毀損トラブルを得意とする弁護士へ相談すれば、慰謝料請求できる金額や弁護士費用を加害者側に請求できる可能性などを総合的に考慮したうえで、適切な解決策を提案してくれるでしょう。
SNSなどのインターネットサービスで名誉毀損行為に及んだ加害者に対して「刑事責任」を追及するときの流れを解説します。
ネットなどで誹謗中傷・悪口を発見したときには、「できるだけ早く削除して欲しい」という気持ちになるのは当然です。
ただ、将来的に刑事責任の追及を視野に入れているのなら、何よりも優先して名誉毀損の証拠を確保してください。というのも、誹謗中傷の証拠が手元になければ、捜査機関が被害届・告訴状を受理さえしてくれないリスクが生じるからです。
名誉毀損の証拠として以下のものが挙げられます。
そのほか、事案ごとに保全するべき証拠の種類は異なるので、詳しくは弁護士の指示を仰いでください。
悪質かつ執拗な誹謗中傷がインターネット上でおこなわれた事案では、<被害者側がわざわざ加害者を特定しなくても、捜査機関側が主導して加害者を特定してくれるケースもあります。
一方で、平均的なネットの誹謗中傷トラブルでは、刑事告訴をする前の段階で、被害者自身が誹謗中傷投稿などをした加害者の特定作業を済ませておかなければいけません。
なぜなら、ネットの名誉毀損をめぐる相談件数は近年急増している一方で、捜査機関側の人手には限りがあるため、投稿者がどこの誰か判明していないケースでは被害届・告訴状を受理してもらえない可能性が高いからです。
匿名の加害者を特定する方法として以下のものが挙げられます。
なお、近年の「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」の改正により、情報開示請求手続きが大幅に簡素化しました。
問題の名誉毀損投稿が削除されたり、IPアドレスの保管期間が経過したりすると、加害者を特定するのがほとんど不可能になってしまいます。できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談のうえ、匿名加害者の特定作業をスタートしてもらいましょう。
インターネット上での誹謗中傷について刑事責任を追及する準備が整ったら、捜査機関に対して刑事告訴をしましょう。
名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪です(刑法第232条第1項)。告訴権者による告訴状の提出がなければ、刑事事件化することができません(刑事訴訟法第230条など)。
告訴状の方式に法的な決まりは存在しません。ただ、急増しているインターネット上の誹謗中傷トラブルに関する告訴状をスムーズに受理してもらうためには、<捜査活動が必要である旨を警察に対して説得的に伝える必要があります。
そのため、名誉毀損行為に対する刑事責任追及を検討しているなら、弁護士へ相談をしたうえで、告訴状を作成してもらうことを強くおすすめします。
なお、仮に告訴状が受理されたとしても、逮捕・起訴される確証は得られませんし、有罪判決が下されるかは裁判所の判断次第です。
厳罰を望むなら、捜査機関で実施される参考人聴取などの機会に、丁寧に被害状況などを説明し、強い処罰意思があることを粘り強く伝え続けましょう。
SNSなどのインターネットサービスで名誉毀損行為に及んだ加害者に対して「民事責任」を追及するときの流れを解説します。
まずは、インターネット上に投稿された誹謗中傷や悪口などが、民法上の不法行為に基づく損害賠償責任の要件を満たしているかを確認してください(民法第709条、民法第710条)。
インターネット上で誹謗中傷をされた事案では、1,3,4の要件が問題になることは考えにくいでしょう。
一方で、「2.権利・利益の侵害があること」については注意が必要です。なぜなら、<「民法上の名誉毀損」と「刑法上の名誉毀損」はその範囲が異なるからです。
わかりやすく表現すると、「刑法上の名誉毀損」は「事実の摘示」が要件として掲げられています。一方で、「民法上の名誉毀損」では、事実の摘示ではない意見・論評であったとしても、その内容が過度に攻撃的な場合には、不法行為責任を追及可能です。
名誉毀損を理由に損害賠償・慰謝料を請求する余地があるか否かについては被害者本人だけで判断できないのでできるだけ早いタイミングで弁護士まで相談してください。
ネット上で名誉毀損行為に及んだ加害者に対して民事責任を追及すると決めたら、加害者の特定作業が必要です。たとえば、個人的に連絡先を知っている人物による誹謗中傷であれば、特定作業に労力は要しません。
一方で、SNSの匿名アカウントや匿名掲示板で名誉毀損行為がおこなわれたときには、発信者情報開示請求などの法的手続きに着手する必要があります。
ネット上で名誉毀損行為に及んだ加害者を特定できた場合、いきなり民事訴訟を提起して慰謝料などを請求することも可能です。
ただし、一般的には、<民事訴訟を提起する前段階で、名誉毀損行為に及んだ加害者に対して示談交渉をおこなうことが多いです。
示談交渉とは、裁判所の手続きを利用するのではなく、被害者・加害者の間で直接紛争の解決案について協議をおこない、和解契約(示談契約)締結を目指すことです。慰謝料の金額、支払い方法、支払い時期、宥恕条項など、当事者間で合意形成に至れば、その時点でネットの誹謗中傷トラブルの民事紛争は解決します。
一方で、加害者本人との直接交渉で示談金などの諸条件について合意形成に至らないときには、民事訴訟を提起せざるを得ません。
被害者側からすると、名誉毀損の加害者と直接対面したり電話・手紙などでやり取りをするのは気分が良いものではないはずです。
ネットの誹謗中傷トラブルなどを得意とする弁護士へ相談すれば、加害者の特定から示談交渉までを代理してくれるので、被害者本人が心労を負担せずとも紛争の早期解決を期待できるでしょう。
ネット上で名誉毀損に及んだ加害者との間で示談条件が折り合わなかったり、加害者側が話し合い自体を拒絶したりすると、最終的に民事訴訟を提起して損害賠償請求・慰謝料請求することになります。
民事訴訟を提起すると、複数の口頭弁論期日を経て証拠調べや証人尋問が実施されて、最終的に判決が下されます。
勝訴判決を獲得できた場合、被告側が判決通りに慰謝料などを支払うことで紛争は解決します。勝訴判決を獲得しても被告側が自主的に慰謝料を支払ってくれないときには、強制執行によって被告人の財産などを差し押さえなければいけません。
民事訴訟を進めるには、<被害者側で訴状や証拠書類などを用意したり、口頭弁論期日へ出席したりするなどの負担を強いられます。
また、ネットでの名誉毀損をした加害者に対する損害賠償請求権・慰謝料請求権の主張立証責任は原告側が負担する必要があるので、勝訴判決を獲得するには丁寧な弁論活動が不可欠です。
名誉毀損の被害者だけで民事訴訟を進めるのは難しいので、可能な限り弁護士へ依頼をして、訴訟手続きを代理してもらいましょう。
名誉毀損の投稿などが拡散・炎上されてしまうと、<加害者から慰謝料を受け取っただけでは、毀損された名誉が全く回復されない可能性があります。
そこで、被害者からの請求があれば、裁判所は他人の名誉を毀損した者に対して、損害賠償に代えて、名誉を回復するのに適当な処分を命じることができます(民法第723条)。
たとえば、ホームページ、SNSアカウントでの投稿、新聞などに謝罪広告を掲載するなどの措置が挙げられます。
どのような方法で名誉回復するべきかは個別事案の状況によって異なります。適宜弁護士へ相談のうえ、損害賠償請求とあわせて適切な名誉回復措置を請求してもらいましょう。
名誉毀損罪の構成要件に該当するような誹謗中傷がネット上でおこなわれた場合でも、以下の要件を満たす場合には、違法性が否定されて刑事責任を追及することができなくなります(刑法第230条の2第1項)。
たとえば、企業の不祥事を暴く目的でおこなわれた暴露投稿、刑法犯を摘発する目的で投稿された書き込みなどが挙げられます。
ネットで名誉毀損をされたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談するのがおすすめです。
ネットをめぐる法律問題を得意とする弁護士へ相談・依頼すれば、以下のメリットを得られます。
ネット上での名誉毀損行為に及んだ加害者の法的責任を追及するには、ログなどが保存されている3ヵ月~半年以内に各種手続きを済ませなければいけません。
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