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リベンジポルノは、近年スマートフォンやSNSの普及によって被害が増加している重大な犯罪であり、加害者に対して慰謝料の請求も可能です。
リベンジポルノによる被害は大きく、一般的な名誉棄損のケースなどと比べ慰謝料額が高くなることも少なくありません。
本記事では、リベンジポルノにおける慰謝料の相場や慰謝料が相場より高くなるケース、慰謝料請求をする方法、弁護士に依頼するメリットについて解説しました。
本記事を読めば、どの程度の慰謝料を請求できるかおおよその目安をイメージできるうえに、慰謝料請求の適切な方法も把握できます。
リベンジポルノの被害にあってしまったら、慰謝料を請求することができます。
リベンジポルノは、名誉毀損やプライバシー侵害にあたる行為です。一般的に名誉棄損やプライバシー侵害に対する慰謝料であれば、10万~50万円程度が相場です。
しかし、リベンジポルノの場合は性的な写真や動画の公表という悪質性から、通常の名誉毀損やプライバシー侵害における慰謝料を上回る金額となることも少なくありません。
以上をふまえ、リベンジポルノの慰謝料は最低でも50万~100万円程度が相場といわれています。
ただリベンジポルノ被害については示談が成立することもあり、相場の参考になるような判例があまり多くない状況です。
この相場はあくまで目安であり、悪質性が高い場合はより高額な慰謝料を獲得できることも十分に考えられます。
前述のように、リベンジポルノの慰謝料の相場は一般的に50万~100万円程度とされていますが、それ以上の金額を請求できるケースもあります。
以下、慰謝料の相場が相場より高くなるケースをみていきましょう。
公表された画像や動画の内容が過激な場合には、被害者の精神的な苦痛も大きくなりやすいことから、慰謝料も高くなると考えてよいでしょう。
たとえば、服を身につけている状態なのか、何も身につけていない状態なのか、また顔がはっきりと写っているか否か等によって流出した際の精神的苦痛は大きく異なると考えられます。また、行為の内容によっても過激性を踏まえて請求額を検討すべきだといえます。
撮影方法が悪質であれば、相場より多くの慰謝料を受け取れる可能性が高くなります。
たとえば、盗撮されていた場合や強制的に撮影された場合は、悪質性が高いといえます。
一方で、被害者が撮影に同意していた場合、撮影行為自体の悪質性は低いとみなされるでしょう。
ただし、同意したとしても脅迫によるものなどであれば、やはり悪質性は高いといえます。
画像や動画が広く拡散されてしまった場合も、被害者の精神的な苦痛が大きいと考えられ慰謝料は相場より高くなる可能性があります。
たとえば知人だけが見られるSNSアカウントで投稿されたケースと、誰もがアクセスできるWebサイト上で公開されたケースでは、後者のほうが精神的苦痛は大きく、慰謝料も高額になると考えられます。
また、そこから派生して他のサイト等に情報が拡散されてしまっている状況であれば、さらに慰謝料は高額になると考えられます。
画像や動画が販売され、加害者が収益を得ているケースも、相場よりも多く慰謝料を請求できる可能性は高いでしょう。この場合、拡散行為の悪質性が高いと考えられます。
リベンジポルノがきっかけで精神的に不安定になり、自傷行為をしてしまう被害者もいます。
また、最悪のケースでは被害を苦に自殺をしてしまうこともあります。このように被害が非常に大きい場合、慰謝料や損害賠償額は高くなるでしょう。
しかし、健康を害したり命を落としたりしてしまえば、いくら多額の慰謝料を受け取れたとしても取り返しがつきません。
最悪の事態に陥る前に、弁護士に相談してください。
被害者が若い場合、とくに未成年であれば、慰謝料を数百万円以上受け取れる可能性があります。
なお未成年者本人からであっても、弁護士に相談することはできます。親に知られたくない場合でも、その旨を含めて、まずは弁護士に相談しましょう。
なお実際に契約して依頼をする場合は、原則、親権者や未成年後見人の承諾が必要となりますが、どのように承諾を得ればよいかなども弁護士からアドバイスをもらうことができます。
加害者への慰謝料請求は、どのような手順でおこなうべきなのでしょうか。ここでは大まかな流れを解説します。
自分だけでおこなうのがむずかしい工程は、相談できる友人や家族の力を借りたり、早急に弁護士に相談したりするようにしてください。
リベンジポルノ被害者が慰謝料請求をする場合、一般的にはまず相手に内容証明郵便を送付しリベンジポルノ行為を認めさせます。
相手が素直にリベンジポルノ行為を認めれば、慰謝料請求を早いタイミングでおこなえるうえに、コストもおさえられるからです。
相手がリベンジポルノ行為を認めない場合は、このあとの手順にすすみます。
慰謝料を請求するためには、証拠が必要です。被害者にとっては苦痛な作業かもしれませんが、警察や裁判所などが客観的に判断できる証拠がなければ、リベンジポルノの被害にあったことをいくら主張しても対応してもらうことができません。
弁護士に相談する際にも、弁護士が適切な判断をするためには証拠の確認が必要です。
なおスマートフォンのスクリーンショットで証拠を取得する場合、内容やURLが明確に確認できる状態で撮影してください。
Twitterやインスタグラムなどの場合、アプリではなくブラウザで開くことでURLの確認が可能です。投稿された内容が動画であれば、動画を録画する必要もあります。
このあたりの判断が難しい場合は、できるだけ早急に弁護士に相談をして、弁護士に証拠を保全してもらっても良いでしょう。
リベンジポルノの被害の場合、加害者については見当がついているケースも多いかと思います。
しかし、その相手が画像の公開などをしたという客観的な証拠がなければ、慰謝料の請求に問題が生じる場合があります。
加害者が撮影行為自体は認めているが、公開を否定している場合や、否定する可能性が高い場合は、誰が投稿をおこなったかを証拠上明らかにする必要があります。
たとえばSNSで拡散されているとき、X(旧Twitter)ならX社、YouTubeならGoogle社などのコンテンツプロバイダに情報開示請求をします。
そして相手のIPアドレスやタイムスタンプなどを開示してもらいます。
次に、それらの情報をもとに相手の氏名や住所を知るため、NTTなどのアクセスプロバイダへ情報開示請求をする必要があります。
コンテンツプロバイダは、投稿者の正確な氏名や住所といった情報をもっていないことが多いからです。
しかし、いくらリベンジポルノの被害にあったからといって、自分でプラットフォームやアクセスプロバイダに問い合わせても、情報開示をしてくれる可能性は高くありません。
これらプロバイダ側としても、内容はどうであれ個人情報を任意で開示するのはリスクがあるためです。
プロバイダが開示に応じない場合は裁判所に発信者情報開示命令の申し立て等をおこない、裁判所の命令によって開示を求めることになります。
相手が特定できたら、慰謝料を請求します。請求方法としては、任意交渉にもち込むか民事訴訟を提起するというのが一般的です。
あるいは、刑事事件化することによって、相手から示談の申し入れを待つことでも慰謝料を請求できます。
もちろん、示談を受け入れずに刑罰を課すことを目指すのもひとつの手です。
特にリベンジポルノ案件は、警察も積極的に動いてくれるケースが多いです。
加害者の状況や性質、そして被害の大きさによって、どのような方法で慰謝料を請求するのがベストかは異なります。わからないことがあれば弁護士に相談してみましょう。
リベンジポルノ被害にあってしまった場合、どのようにして慰謝料を請求すればよいのでしょうか。2つの方法を紹介します。
任意交渉とは裁判所を介さずに、当事者同士で話し合い和解を目指す方法です。
裁判所の手続きによらないことから、任意交渉は次に紹介する方法より短時間で手間なくおこなえます。
任意交渉をする場合、まず内容証明郵便を相手へ送付し交渉を開始するのが一般的です。
内容証明郵便を送ることで、その内容を証拠として残すことができます。内容証明郵便に記載すべき主な内容は以下のとおりです。
【行為の違法性】
リベンジポルノ行為が、リベンジポルノ防止法やわいせつ電磁的記録の頒布罪などに関わる犯罪行為にあたること
【刑事告訴の可能性】
慰謝料が支払われない場合は、刑事告訴をすること
任意交渉には強制力がないことから、相手の同意が得られないと解決に至りません。
任意交渉で解決しない場合は、次に紹介する方法を検討します。
内容証明郵便の送付や交渉を進めても、示談がまとまらず解決に至らないケースもあります。
その際は、民事訴訟を提起して慰謝料を含む、損害賠償請求をおこなうのがよいでしょう。
裁判を通じて請求が認められれば、強制力が生じます。加害者が裁判所から命じられた損害賠償金を支払わない場合には、民事執行手続きによって加害者の預貯金や給与、不動産などの資産を差し押さえることができるのです。
警察に相談して捜査がなされている場合であっても、民事訴訟を提起することはできます。
また、捜査が進んで刑事告訴がはじまったとしても、民事訴訟を並行しておこなうことは可能です。
リベンジポルノ被害について悩んでいる方は、まずは迷わず弁護士に相談することをおすすめします。
なかでも、リベンジポルノの加害者に対する慰謝料請求を得意としている実績ある法律事務所や弁護士を探すことが、より納得のいく解決への近道です。
弁護士に依頼することで、どのようなメリットがあるのか、4つ紹介します。
弁護士が代理人として慰謝料請求をおこなうことで、自分で交渉するよりも高額な慰謝料を受け取れる可能性が高くなります。
弁護士は法律のプロであると同時に、交渉のプロでもあります。被害者が自分でするより、ずっと有利に交渉をすすめてくれるでしょう。
また性犯罪やIT問題に注力している弁護士であれば、豊富な経験や知識を駆使し、高額な慰謝料で決着をつけてくれる可能性が高くなります。
弁護士に依頼すれば、相手との交渉や法律的な手続きを代行してもらえることから、被害者の精神的・肉体的負担を大幅に軽減できます。
リベンジポルノの被害者が、加害者側と直接交渉すれば、嫌な記憶を何度も思い出すことになり精神的にも大きな負担になるでしょう。
相手から反論されたり、その反論に答えたりするのも大きなストレスになると考えられます。
弁護士に交渉を任せれば、被害者はこういった負担から解放されるのです。
また慰謝料請求では、内容証明郵便の送付や裁判手続きなど、さまざまな労力がかかります。
相手が慰謝料の支払いに応じない場合は、さらにその負担は大きくなります。
このような負担を減らすことができるのは、弁護士に依頼する大きなメリットです。
連絡や交渉はもちろん、民事訴訟を提起する必要がある場合も、弁護士に一任すれば最低限の労力で進めることができます。
リベンジポルノの被害を受けたことで精神的にも肉体的にも辛い状況にあると考えられますので、弁護士を頼り、極力、自分にかかる負担を減らしましょう。
リベンジポルノ対応に実績がある弁護士は十分なノウハウがあることから、被害者自身で対応するよりずっと迅速に事件を解決できます。
またリベンジポルノの対応を得意とする弁護士は、適切な交渉の方法も把握しているので、法律知識も加味した解決への道筋を描けます。
そのため交渉を有利にすすめるための無駄も少なくなり、結果的に効率的・迅速に解決をはかれるのです。
訴訟に発展するようなケースであれば、なおさらノウハウがある弁護士に依頼した方がスピーディに解決がはかれます。
弁護士に依頼すれば、削除申請を任せることも可能です。
弁護士であれば、Webサイトに削除申請をするべきか、投稿者本人に削除をさせるべきか、裁判手続きをとるべきかなど、状況に応じて最善の判断をすることができます。
拡散状況によっては海外のサイトに転載されているようなケースもあり、この場合通常の削除申請とは異なる「デジタルミレニアム著作権法」に基づく削除請求をおこなうのが効果的です。
自分で対応するのがむずかしいと感じる場合は迷わず弁護士に任せましょう。
ここからはリベンジポルノの被害にあった際の慰謝料請求に関する、よくある質問に回答します。
加害者が未成年であっても、原則として慰謝料の支払い責任は本人にあります。
民法712条では、未成年者が他人に損害を加えても、自己の行為の責任を理解する知能を備えていなかったときは賠償の責任を負わないと定めています。
しかし、判例によると、責任能力の有無は12歳前後が境界になると考えられます。
リベンジポルノの事件においては、加害者は12歳以上であることが多いため、ほとんどのケースで、未成年だとしても本人に慰謝料請求をするのが妥当といえます。
そうはいっても、未成年者は経済的に自立していない場合が多いため、事実上は親が代わりに支払うことが多いです。
あるいは、請求した時点では本人に支払い能力がなかったとしても、加害者が仕事をするようになってから支払われるようにするなどの手立てがあります。
慰謝料を請求する権利の消滅時効まで10年あります。
また、万が一10年以内に支払われそうにないときでも、10年で消滅してしまわないように更新や完成猶予という制度があり、弁護士に相談すれば適切に対応してくれます。
加害者やその弁護士から示談の申し入れがあった場合は、すぐに示談を受けずに弁護士に相談し、少しでも納得のいく解決を目指しましょう。
示談を受けるかどうかの基準は、提示された金額が妥当かどうか判断することから始まります。
リベンジポルノは刑事事件に発展する可能性がある事件です。告訴されれば前科がつくかもしれないため、示談で済ませたいと考える加害者が多いと考えてよいでしょう。
そのため、民事訴訟で提示される損害賠償額より高額な慰謝料で示談できる可能性があるのです。
一方で、加害者の経済力が十分でない場合には、高額の慰謝料請求をしても支払われない可能性があるため、相手の資力も含めて検討すべきです。
親族が示談金を支払うケースも多い、さまざまな状況を鑑みて判断しましょう。
また、お金を受け取る以上に、相手に罰を与えたいと考える場合には、安易に示談をしないほうがよいといえます。
状況によって適切な解決方法は異なるため、あらかじめ弁護士に相談することを強く推奨します。
警察に証拠を提出するなどして犯罪であることが明らかと判断されれば、警察は捜査を開始してくれます。
警察の捜査によって投稿者の身元が特定され、任意の取調べをおこないます。
事案によっては、任意の取調べをせずに逮捕して身柄を拘束したうえで、取調べをおこなう場合もあります。
そうして投稿者に刑事責任を問うべきと検察官が判断した場合、投稿者は起訴されることになるのです。
裁判で有罪となれば、投稿者は刑事罰を受けることになります。リベンジポルノ防止法違反によって、加害者に科せられる可能性がある刑事罰は以下のとおりです。
ただし警察に動いてもらうためには、リベンジポルノ被害を受けているという明確な証拠を提示しなくてはなりません。
弁護士に依頼すれば、適切に証拠収集や事実整理をすすめることが可能です。
そのため弁護士を通じて被害申告をすることで、警察に動いてもらいやすくなるでしょう。
相手を処罰して欲しい場合も、弁護士に相談することを推奨します。
リベンジポルノの被害にあったら、迷わず弁護士や警察に相談するべきです。
弁護士へ依頼する場合は弁護士費用がかかりますが、慰謝料を獲得することで弁護士費用を支払っても余裕が残るケースがほとんどです。
無料相談を受け付けている法律事務所も増えているので、まずは弁護士へ相談しましょう。
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