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名誉毀損の対処法 弁護士監修記事 更新日:

リツイートで名誉毀損が成立した判例と犯罪になる理由を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

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第三者のポスト(旧ツイート)をリポスト(旧リツイート)しただけでも、その行為により他者の社会的信用を貶めた場合には、名誉毀損が成立する可能性があります。

たとえ本人にそんな気がなかったとしても、結果的に誹謗中傷や悪質なデマなどを拡散されているなら、被害者から責任を追及される可能性があります。

この記事では、過去の裁判事例(判例)を基に、リポスト(旧リツイート)で名誉毀損が成立する理由を解説いたします。

X(旧Twitter)での誹謗中傷にお悩みの方は、参考にしてみてください。

X(旧Twitter)r上で誹謗中傷を受けているあなたへ

X(旧Twitter)上の誹謗中傷がリポスト(旧リツイート)で拡散されているけど、名誉棄損で責任追及できるかわからず困っていませんか?

 

結論からいうと、第三者の投稿をリポスト(旧リツイート)しただけでも、他者の社会的信用を貶めた場合には、名誉毀損が成立する可能性があります。

もし、リポスト(旧リツイート)した人を特定して責任追及したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします

 

弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • ポスト(旧ツイート)に違法性があるか判断してもらえる
  • 削除依頼の出し方を教えてもらえる
  • 依頼すれば、ポスト(旧ツイート)を削除してもらえる
  • 依頼すれば、損害賠償請求の手続きを一任できる

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リポスト(旧リツイート)で名誉毀損が成立した判例

まずは、リポスト(旧リツイート)で名誉毀損が成立した過去の裁判事例をご紹介します。

リポスト(旧リツイート)による名誉毀損で33万円の慰謝料請求

過去に知事に就任した経験がある原告(被害者)に対する誹謗中傷ポスト(旧ツイート)を、報道等を行う株式会社の代表取締役兼ジャーナリストの被告(加害者)がリポスト(旧リツイート)で拡散し、名誉毀損が成立した裁判

【詳細】平成30(ワ)1593  損害賠償請求事件

リポスト(旧リツイート)の内容

「Dが30代でA知事になったとき,20歳以上年上のAの幹部たちに随分と生意気な口をきき、自殺にまで追い込んだことを忘れたのか!恥を知れ!」

裁判の判決

加害者から被害者に対して、以下の損害賠償(慰謝料&加害者特定と損害賠償請求にかかった弁護士費用)の支払いが命じられました。

  • 慰謝料33万円の支払い
  • 訴訟費用1/5(3万円)の支払い

問題のリポスト(旧リツイート)の内容は、何も事実を裏付ける根拠がない悪質な虚偽で、名誉毀損に該当する悪質なものです。

そのようなポスト(旧ツイート)を何もコメントを付けずに拡散する行為は、一般のユーザーの注意と読み方を基準にすれば、その意見に賛同するものだと考えられます。

リポスト(旧リツイート)の前後のポスト(旧ツイート)にも、被告に対するフォローは何もなかったので、誹謗中傷を拡散した責任を負うべきだと判断されました。

なぜリポスト(旧リツイート)でも名誉毀損は成立するのか

名誉毀損が成立するのは以下の要件を満たす場合です。

名誉毀損が成立する要件

  • 社会的評価を下げる可能性がある
  • 具体的な事実を挙げている
  • 公然の場(SNSも該当)である

【詳細】名誉毀損とは|成立する要件と訴える方法をわかりやすく解説

リポスト(旧リツイート)行為は、他人の発信行為を援用する行為ではありますが、当該発信内容が上記要件を満たす場合、たとえ大元の発信者ではなくても、援用行為が名誉毀損となる内容を発信したものと同視できます

そのため、名誉毀損の加害者として責任を追求される可能性は否定できません。

名誉毀損の罰則(慰謝料・刑事罰)

名誉毀損の被害者は、加害者を特定して以下のような対応を検討できます。

  • 民事:加害者への民事責任の追及(慰謝料請求)
  • 刑事:加害者への刑事責任の追及(刑事告訴)

民事訴訟をして裁判で名誉毀損の被害を立証できれば、加害者への慰謝料の請求が認められます。

名誉毀損の慰謝料の相場は、以下の通りです。

名誉毀損の慰謝料相場

一般人

10〜50万円

事業主

50〜100万円

加害者に刑事責任を追及したい場合は、警察へ告訴状を提出することができます。

捜査機関は告訴を受理した場合捜査を開始し、捜査の結果、犯罪事実が認められれば、加害者は起訴(刑事裁判を起こすこと)される可能性があります。

そして起訴後の刑事裁判で有罪が確定すれば、加害者には以下の刑事罰が宣告されることになるでしょう。

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

X(旧Twitter)での名誉毀損への対処法

X(旧Twitter)で名誉毀損の被害に遭ったときの主な対処法は、以下の2通りです。

  • X(旧Twitter)運営へ削除依頼をする
  • 開示請求で加害者を特定して訴訟する

X(旧Twitter)運営へ削除依頼をする

X(旧Twitter)では名誉毀損の要件を満たすような他者を誹謗中傷する投稿は禁じられています。

もし誹謗中傷の被害に遭っているのであれば、運営への報告で削除に応じてもらえる可能性が高いでしょう。

誹謗中傷の削除依頼は、PCからなら『ヘルプセンター』から、アプリ内からならポスト(旧ツイート)の右上の▽をタップし『ポスト(旧ツイート)を報告する』から可能です。

【詳細】X(旧Twitter)の削除依頼方法と削除されなかった場合の対処法

ただし、ポスト(旧ツイート)の違反内容を報告しても必ず削除に応じてもらえるとは限りません。

削除依頼をしても削除に応じてもらえない場合は、裁判(仮処分)での対応が必要になるケースもあります。

個人で違反報告をしても削除が難しい場合は、弁護士への相談をご検討ください。

開示請求で加害者を特定して訴訟する

損害賠償請求や刑事告訴など、訴訟での対応を検討している場合は、加害者の身元を特定する必要があります。

加害者の身元を特定するには、X(旧Twitter)社とプロバイダ(ネット事業者)に対して開示請求を行います。

開示請求は裁判での対応になるケースがほとんどなので、弁護士へ手続きを依頼するのが一般的です。

【詳細】X(旧Twitter)誹謗中傷の犯人特定|開示請求と方法と費用の相場について

なお、「裸の写真を晒された」「殺してやるなど脅迫を受けている」など、事件性が高い被害であれば、警察へ調査を依頼できるケースもあります。

上記のような被害に遭っている場合は、まず警察への相談をおすすめします。

もしそれでも特定が難しければ、弁護士への相談をご検討ください。

また、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。

改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。

これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。

また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

弁護士への依頼費用の相場

弁護士へ加害者への損害賠償(慰謝料)請求を依頼する費用の相場は、以下の通りです。

着手金

着手金:10万~30万円

報酬金

報酬金:賠償金の15~20%

加害者の特定後は、加害者側に実際に賠償請求等を行います。

訴訟外の交渉で協議がまとまればそこで解決ですが、そうでない場合は訴訟手続を起こすことも視野に入れざるを得ません。

また、開示請求の手続きを弁護士に依頼する場合には、別途依頼費用が必要です。

以下はその目安です。

IPアドレス開示請求

着手金:約20万円
報酬金:約15万円

契約者情報開示請求

着手金:約20〜30万円
報酬金:約15〜20万円

※加害者の身元特定にかかった費用は、民事訴訟で請求が認められるケースもありますが、必ずしも全額が認められるとは限らないので注意してください。

X(旧Twitter)誹謗中傷に関するQ&A

X(旧Twitter)誹謗中傷に関するQ&A

『いいね』でも名誉毀損は成立する?

『いいね』の機能は、リポスト(旧リツイート)と異なり元記事を援用するものではなく、これを評価するものに過ぎません。

そうすると、『いいね』という意思表示をしたからといって、当該行為に名誉毀損その他法的責任が生じることは考えにくいです。

フォロワーが少ない一般人でも訴訟できる?

名誉毀損における「公然性」は不特定又は多数の者に知られる可能性があるか否かにより判断されるものであり、フォロワーの多寡は直接影響するものではありません。

したがって、フォロワーが少ないから名誉毀損行為とならないということは基本的にありません

なお、フォロワー数が多ければ拡散力が強く、被害が比較的大きいと評価される可能性はあります。

内容が真実なら罪に問われない?

名誉毀損となるかどうかに内容が真実であるかどうかは直接関係しません。

したがって、真実であろうが、虚偽であろうが、他者の名誉を毀損する発信を行えば、名誉毀損の責任を問われる可能性は原則としてあります

もっとも、「大企業の不正行為の告発」や「政治家の汚職の報道」など、情報に公共性があり、公益目的であるようなケースで、その内容が真実であるか真実と信じるに足りる相当な理由がある場合には、名誉毀損の責任を負わないこともあります。

まとめ

名誉毀損に該当するポスト(旧ツイート)をリポスト(旧リツイート)して、そのポスト(旧ツイート)に対して肯定的な投稿や振る舞いをしている場合には、名誉毀損が成立する可能性はあります。

民事訴訟で名誉毀損の被害を立証できれば、損害賠償(慰謝料)の請求も可能です。

SNSでの誹謗中傷はれっきとした犯罪行為ですので、被害にお悩みの場合は、警察や弁護士など専門家への相談を検討してみてください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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