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名誉毀損の対処法 弁護士監修記事 更新日:

トレンドブログの実名批判が名誉毀損になる理由と被害への対処法

甲斐 伸明 弁護士
監修記事

世の中で話題になっている内容をいち早く取り上げ、興味を引くことで知られるトレンドブログは、デマの拡散誹謗中傷などが含まれていることがあるようです。

ある日突然、事件に関与しているとして、名前を公開されてしまった人もいます。閲覧数を増やす目的のために悪質な内容を書いているものがあり、名誉毀損に該当する場合があるのです。

トレンドブログで悪質な記事を投稿されている場合には、一刻も早い対処をする必要があります。

トレンドブログで名誉毀損をされてしまっているかもしれない場合、この記事を参考にしてみてください。

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実名での批判は名誉毀損になる可能性が高い

名前を挙げて批判や誹謗中傷をすることは、名誉毀損になる可能性が高くなるでしょう。

人が社会的生活を営む上で、「借金をしている」ことや「不貞を働いている」などの、世間から後ろめたいと思われる内容を投稿されれば、社会的な評価が下がることになります。

名誉毀損の構成要件について詳しい内容が記載された記事がありますので、参考にしてください。

詳細記事 名誉毀損とは|成立する要件と訴える方法を分かりやすく解説

名誉毀損は誰を指しているかわかることが前提

また名誉毀損が成立する大前提には、投稿された文章が誰のことについて書かれたものかが、第三者に分かることが重要です。これを「特定可能性(同定可能性)」といいます。

例えば知人や友人がその書き込みを見た場合に、「あの人だ」と特定できるかどうかです。

同定可能性は、表現対象者の身近にいる知人といった「対象者に関する知識がある人」が、その内容を見たときに同定することが可能か否かにより判断するものです。

また同定可能性はあくまで誰かがわかれば良いので、ハンドルネームや源氏名などでも、その人のことと分かれば同定可能性が認められます。本名を把握しなくても、「どこの誰」とか「何をしてる誰」かがわかれば認められるでしょう。

名前とあわせて最終学歴や、勤務先などが書き込まれている場合にも、「特定可能性あり」と判断されます。

ポイントは自分を知ってる人が自分だとわかるかどうか

名前を伏せてても、通学先や勤務先、乗っている車や趣味など、知人や友人が見て「あの人のことだ」とわかる内容は同定性が認められる可能性が高い!

トレンドブログによる名誉毀損の事例

これまでにトレンドブログで、名誉毀損に該当した事件の概要をご紹介していきます。

「ガラケーの女」とデマ情報を拡散

2019年8月10日常磐自動車道で、被害者に対しあおり運転を繰り返した挙句、暴力をふるったあおり運転傷害事件。加害者である男の車に同乗していた女が、被害者をガラケーで撮影する姿が、ドライブレコーダーで撮影されていました。

この「ガラケー女」として無実の女性が、トレンドブログ上で実名をさらされてしまったことに始まります。女性の服装や顔が『インスタグラム』で公開していたものに似ていたことや、加害者の男が女性のアカウントをフォローしていたことからデマが広まったのです。

その直後に別の女が逮捕されましたが、デマ被害を受けた女性のインスタグラムには誹謗中傷が相次ぎました。

情報を拡散させる原因の一つとして、リツイート等のシェア機能があります。他人の文章をリツイートしただけで、「自らは情報を発信していない」という弁解は通用しません。

裁判例にはリツイートは自分の発言として、名誉毀損に該当するとされたものもあります。リツイートを行う場合にも、責任を持った行動を行いましょう。

リツイートによる名誉毀損で33万円の慰謝料請求

過去に知事に就任した経験がある原告(被害者)に対する誹謗中傷ツイートを、報道等を行う株式会社の代表取締役兼ジャーナリストの被告(加害者)がリツイートで拡散し、名誉毀損が成立した裁判

【詳細】平成30(ワ)1593  損害賠償請求事件

リツイートの内容

「Dが30代でA知事になったとき,20歳以上年上のAの幹部たちに随分と生意気な口をきき、自殺にまで追い込んだことを忘れたのか!恥を知れ!」

裁判の判決

加害者から被害者に対して、以下の損害賠償(慰謝料&加害者特定と損害賠償請求にかかった弁護士費用)の支払いが命じられました。

  • 慰謝料30万円の支払い
  • 弁護士費用3万円の支払い
  • 訴訟費用4/5の支払い

誤情報で無関係な企業への誹謗中傷

愛媛県の縫製工場で低賃金長時間労働をさせられているベトナム人技能実習生が、ドキュメンタリー番組で取り上げられました。

この放送により、この会社への批判が高まり、画面に映りこんだ建物などから会社名を特定したつもりになったようです。

しかし特定されたとされる会社では、技能実習生を雇用しておらず、全く関係がありませんでした。

それでもトレンドブログで取り上げられた会社には多数の誹謗中傷が相次ぎ、業務に支障が出ました。この会社は、法的措置を検討するとしています。

芸能人でも名誉毀損の被害は認められる

常に批評される立場ともいえる芸能人に対しても、書き込みの内容次第によっては名誉毀損が成立する可能性は十分あります。

たとえば以下のような内容は、名誉毀損が成立する可能性が高いでしょう。

  • 女優の◯◯は子どもを虐待している
  • 俳優の◯◯は暴力団とつながりがある

近年、ネットの誹謗中傷に立ち上がる芸能人も多くいます。批評される立場にある人だからといって、どのような内容を書き込んでも許されるわけではないのです。

名誉毀損をしたブログ運営者への罰則

名誉毀損の被害にあった場合、民事事件で訴える場合と刑事事件で訴える場合には対応が異なります。

慰謝料を請求する場合には民事で、刑罰をもって罪を償わせたいと考えるなら刑事事件として、責任追及を行うことになるでしょう。

損害賠償(慰謝料)の支払い

民事では加害者に対して、慰謝料の請求が行われます。納得のいく金額の提示が得られれば示談となりますが、不服であれば民事訴訟となるでしょう。

示談は適切な金額設定や交渉が難しいうえ、裁判になった場合には多くの専門知識が必要になります。必要に応じて弁護士に相談しましょう。

刑事罰(罰金・懲役刑など)

警察への告訴状が受理されれば、捜査が開始されます。犯罪事実が認められれば加害者が起訴され、刑事裁判で有罪となれば刑事罰が下ることになります。

名誉毀損の罰則は、「三年以下の懲役または五十万円以下の罰金」です。

告訴状の記載すべき事項(告訴先・告訴の趣旨・告訴事実・事情・証拠)などが多いうえ、警察が必ず告訴状を受理してもらえるとは限りません。確実に捜査を開始して欲しい場合、弁護士へ相談すべきでしょう。

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トレンドブログの被害に遭った際の対処法

トレンドブログで誹謗中傷の投稿をされてしまったら、どのような対処を取るべきなのでしょうか。詳しくご紹介してきましょう。

問題のブログ記事の削除を要求する

各サイトの中に設置されている「お問い合わせフォーム」やメールアドレスから、投稿者に対して削除の要求をしていきます。記事の中のどこの部分が何の権利を侵害しているかを書き添えることが必要です。

決して感情的にならず、必要なことのみ記載してください。しかし削除依頼を行う場合、権利侵害を立証する必要があるため、内容が複雑な場合もあります。

またどのような権利侵害に該当するかを判断することが難しい場合、弁護士に依頼しましょう。

ブログ管理者を特定して訴える

もしブログの管理者を訴えたいと考えている場合には、管理者を特定することから始めなければなりません。

そのためにはIPアドレスを開示してもらったり、有料レンタルサーバーを契約して開設しているブログであれば直接契約者情報の開示を受けたりする必要があります。

しかしサイト運営者やサーバー会社が任意に情報を開示することはありませんので、裁判が必要になり、弁護士に依頼が必要です。

投稿者の特定から裁判までの詳しい流れは、以下の記事に詳細がありますので、参考にしてみてください。

詳細記事 ネットの誹謗中傷の削除方法|3つの相談先と費用の目安について

警察と弁護士のどちらに被害を相談するべきか

警察に相談する場合には、最寄りの警察署に行きましょう。告訴状が受理されれば、対応してもらうことができます。

しかし身に危険が及ぶ恐れがある場合や、事件性が強い場合でなければすぐに捜査してくれないことが実情です。相談すれば必ず捜査を行うわけではないことを、念頭に入れておく必要があるでしょう。

また弁護士に依頼すれば、代理人として告訴状を提出してもらうことも可能です。

まとめ

多くの人が閲覧するトレンドブログで誹謗中傷されてしまえば、リツイートなどによって拡散されるスピードも速く、止めることが難しくなるかもしれません。

内容が名誉毀損に該当するものであれば、日常に支障をきたす可能性さえあるでしょう。

自分での対処は難しいものがあるため、弁護士への依頼も視野に入れ、早急な解決をしてください。

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この記事の監修者
東京みらい法律事務所
甲斐 伸明 弁護士 (東京弁護士会)
2005年弁護士登録。インターネットの普及に伴うさまざまなトラブルに対し、培ってきた様々な知識・経験を活かし、被害者に寄り添う。テレビなどメディアでの掲載実績も多数有。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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