インターネット上で誹謗中傷を受けて、開示請求を検討している方も多いのではないでしょうか。
誹謗中傷の被害に遭った場合、発信者情報開示請求によって匿名の投稿者を特定し、法的責任を追及できる可能性があります。
ただし、アクセスプロバイダが保有する通信ログには保存期限があるため、早めに動くことが重要です。
また、開示請求を進めるときは2022年10月に施行された法改正も念頭に入れて動く必要があります。
本記事では、開示請求の基本的な仕組みから手続きの流れ・費用の目安・弁護士に依頼するメリットまでを解説します。
被害を受けてどう対応すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
発信者情報開示請求とは、SNSや掲示板などに匿名で誹謗中傷を書き込んだ投稿者を特定するための法的手続きです。
開示請求が認められると、投稿者の住所・氏名・電話番号・メールアドレス・IPアドレスなどが判明します。
ネット上の誹謗中傷は匿名投稿が多く、書き込みの内容だけでは誰が書いたかを特定できません。
損害賠償請求や刑事告訴をするには、相手の氏名と住所が必要なため、開示請求は法的対応の出発点となります。
なお、厳密に説明をすると、刑事告訴において、相手方の氏名と住所は必須ではありません。
しかしながら、氏名と住所が判明していない場合、よほど重大な事案(殺害予告など)を除いて、警察側が告訴を受理することに非常に消極的なため、多くの事案で、事実上被害者の側で相手方を特定したうえで、刑事告訴をおこなう必要があります。
ひとつ注意すべきなのは、アクセスプロバイダが保存している通信ログは、多くのアクセスプロバイダで3~6ヵ月程度で削除されるため、開示請求は時間との勝負であるという点です。
アクセスプロバイダとは、光回線などの回線網をインターネットに接続する役割を担う事業者のことです。
もし裁判で開示命令が出ても、ログが消えていれば投稿者の特定は不可能になるので、被害に気づいたらできる限り早く動きましょう。
また、2022年10月の法改正で発信者情報開示命令という手続きが新設され、従来は2段階に分かれていた裁判手続きを、1回の手続きで進められるようになりました(従来型の手続きも引き続き選択できます)。
ネット上で誹謗中傷された場合は、投稿者を特定するために発信者情報開示請求が可能です。
ネット上の誹謗中傷は、書き込んだ本人を特定できなければ法的責任を追及できません。
発信者情報開示請求は情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)※に基づいて、相手の特定を可能にする制度として認められています。
※旧名称:プロバイダ責任制限法
開示請求の主な対象となるプラットフォームは、次のとおりです。
なお、開示請求が認められるには書き込みが違法な権利侵害にあたることが条件です。
単に不快な言葉であっても、法的に権利侵害と判断されなければ請求は認められず、名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害など、具体的な違法性が必要となります。
開示請求をする際は、投稿プラットフォームの運営者と投稿者が利用した通信会社の両方に対して手続きをおこなうのが基本的な流れです。
2022年10月の法改正によって、発信者情報開示命令という新しい手続きが導入されました。
発信者情報開示命令は、インターネット上の掲示板やSNSなどで誹謗中傷や不適切な書き込みをした発信者の情報を開示するための法的手続きです。
改正前は、まずはサイト運営者への仮処分命令申立手続きでIPアドレスを取得し、次にアクセスプロバイダへの訴訟で契約者情報を開示させるという2段階の異なる法的手続きが必要であり、手続きの完了までに1年近くかかるケースも珍しくありませんでした。
新制度では、同一の手続き内でサイト運営者とアクセスプロバイダの両方に開示を求めることが可能です。
手続きが一本化されたことで期間は3~4ヵ月程度に短縮されました。
なお、改正後も従来型の手続きは選択することが可能です。
案件によってどちらが適切か異なるため、自分のケースに合った方法は弁護士に相談して判断するのがおすすめです。
開示請求の手続きが順調に進んだ場合、申し立てから3~4ヵ月程度で投稿者を特定することができます。
2022年の法改正の施行によって、投稿者の特定までにかかる期間が短縮されました。
ただし、期間は案件によって変動します。
サイト運営者やアクセスプロバイダが反論してきた場合や権利侵害を証明する資料の準備に時間がかかった場合は、期間が長引くおそれがあるので注意が必要です。
また、アクセスプロバイダの特定に手間取ってしまうケースも期間が延びる要因になります。
早期解決のために重要なのは、証拠資料を迅速に揃えて開示請求の実績が豊富なネットトラブル専門の弁護士に依頼することです。
手続きに精通した弁護士であれば、スケジュール管理から書面作成まで滞りなく進めてくれます。
通信ログが消える前に手続きを完了させるためにも、相談は早いほど有利です。
誹謗中傷においては、全ての書き込みが開示請求の対象になるわけではありません。
請求が認められるには、違法な権利侵害があることが条件です。
どのような投稿が対象になるのか、具体的に確認しておきましょう。
書き込みがあなたの社会的評価を下げる内容である場合、名誉毀損として開示請求が認められる可能性があります。
名誉毀損とは、事実を摘示することで人の社会的評価を不当に下げる行為です。
具体的な例は、次のとおりです。
事実の有無にかかわらず他人の評判を傷つける内容は、名誉毀損として認められる可能性があります。
重要なのは、事実か真実であるかどうかよりも社会的評価を下げるかどうかという点です。
仮に書き込みの内容が真実であっても、公益性がない場合や表現の仕方が不当に人を貶めるものであれば違法と判断される可能性があります。
なお、職場・学校・地域コミュニティなど特定の環境での評価に関わる書き込みも含まれます。
相手の人格や容姿を一方的に否定・攻撃する投稿は侮辱とみなされ、開示請求が認められる可能性があります。
たとえば、「死ね」「ブス」「気持ち悪い」などの言葉が繰り返し投稿されるケースなどが典型例です。
また、住所・電話番号・人に知られたくない過去の出来事などを本人の同意なくネット上に晒す行為も、プライバシー侵害として開示請求の対象です。
なお、具体的な事実を示さずとも相手の人格や容姿を一方的に否定・攻撃する投稿は侮辱として認められる可能性があります。
侮辱罪は2022年の刑法改正で厳罰化され、法定刑が引き上げられました。
現在の法定刑は1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料であり、公訴時効も1年から3年に延長されています。
単なる悪口だから諦めるしかないと感じている方でも、内容次第では法的手続きが取れる可能性があるので、まずは弁護士に相談し、書き込みの違法性を確認することが第一歩です。
近年は、個人だけでなく企業も誹謗中傷による深刻な被害を受けるケースがあります。
企業が誹謗中傷を受けると経営面・組織面の両方に影響が及ぶため、放置は危険です。
ここでは、誹謗中傷によって企業が受ける3つの影響を解説します。
企業が誹謗中傷を受けると、採用活動が不利な状況に陥ります。
求職者の多くは応募前にネットで企業の評判を調べるので、検索結果に誹謗中傷や根拠のない悪評が表示されていると、応募をためらう原因になります。
たとえば、「ブラック企業」「詐欺会社」といった書き込みが上位に表示され続けると、採用広告にどれだけ費用をかけても応募数が伸びない状況に陥りかねません。
優秀な人材ほど情報収集に慎重なため、誹謗中傷が放置されるほど採用競争で不利な状況が続くため注意が必要です。
人材確保が難しくなれば、事業の成長にも直接ブレーキがかかってしまいます。
誹謗中傷による採用活動への影響は、表面的なコスト問題にとどまらない深刻な問題です。
誹謗中傷によって、従業員の離職につながるリスクが高まります。
多くの人にとって、自分が働いている会社が誹謗中傷されているという事実は、会社に対する信頼感や帰属意識を損なうからです。
その結果、「こんな会社にいていいのか」という心理が生まれ、離職の引き金になるケースも少なくありません。
特に影響を受けやすいのは、将来を期待されている若手社員です。
熟練した人材が流出すれば、採用コストの増大だけでなく、ノウハウや顧客関係の喪失にもつながります。
社外からの誹謗中傷は採用だけでなく、社内にいる従業員のモチベーションにも影響し、組織の安定そのものを脅かします。
外部からの誹謗中傷が原因で、売上・業績の低下につながるおそれもあります。
購入や利用前に口コミやレビューを確認する消費者は年々増えており、根拠のない悪評が検索結果に出ると、消費者が購入・利用を避ける要因となります。
具体的には、「〇〇を食べて食中毒が出た」「詐欺的な商法をしている」など事実無根の書き込みでも、多くのユーザーの目に触れれば実害となります。
直接的な売上ダウンだけでなく、ブランドイメージの毀損による中長期的な業績悪化を招くのも事実です。
一度失った信頼の回復には、時間と費用の両方が必要となります。
誹謗中傷は放置しても自然に消えるものではないため、早めに対処して業績を守る姿勢が重要です。
発信者情報開示請求の進め方は、大きく分けると、改正前からの従来型と、2022年10月から始まった新制度の2種類に分けられます。
もっとも、従来と同様、コンテンツプロバイダに対して、仮処分命令を申し立て(旧制度)、アクセスプロバイダに対して開示命令を申し立てる(新制度)場合もあります。
たとえば、あるコンテンツプロバイダは、新制度に基づく裁判所の開示命令が出されても、なかなか情報を開示してくれません。
悠長に開示を待っていると、アクセスプロバイダのログ保存期限を経過してしまいます。
この場合、間接強制といって、命令に従わない場合、制裁金を支払わなければならないという強制執行の手続きを取る必要がありますが、新制度の場合、命令から1ヵ月経過しないと間接強制手続きを実施することができません。
他方で、旧制度であれば、即時に間接強制手続きを実施することが可能です。
どちらの制度も一長一短なので、案件ごとに、どの手続きが適切かを見極める必要があるため、まずは弁護士に状況を整理してもらうのが現実的です。
開示請求にかかる費用は、手続きの種類によって大きく異なります。
任意の請求と裁判を通じた請求では、費用も手間もまったく異なるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
任意の開示請求でかかる費用は、書留や速達などの郵送代(数百円~1,000円程度)のみです。
書面(発信者情報開示請求書)を送るだけなので、裁判費用はかかりません。
ただし、サイト運営者側には投稿者のプライバシーを守る義務があるため、裁判所の命令なしに個人情報を任意で開示することは原則としてありません。
サイト運営者への任意開示請求はもっとも低コストでおこなえる方法ですが、実際に特定できる可能性は極めて低いのが現実です。
まずは試してみること自体は悪くありませんが、拒否される前提でスケジュールを組み、ログが消える前に裁判手続きへ移行できる準備をしておくことが重要です。
裁判上の開示請求でかかる費用は、10万円~20万円程度です。
主に、任意開示を拒否され、裁判所を通じてサイト運営者にIPアドレスなどの開示を求める仮処分手続きに移行した際に発生します。
費用の内訳は、次のとおりです。
担保金とは、万が一その後の裁判でこちらが敗訴した場合に相手方への損害をカバーするための仕組みです。
手続きが正常に終了すれば、原則として全額返還されます。
任意請求よりも一時的な費用負担は大きいですが、担保金は将来的に戻ってくるお金です。
実質的に消えてなくなる費用は、弁護士を立てない場合の印紙・切手代(数千円程度)のみといえます。
サイト運営者への手続きでIPアドレスが判明したら、次はアクセスプロバイダに対して契約者情報の開示を求める手続きに移ります。
アクセスプロバイダへの請求も、任意と裁判上の2段階があります。
任意の請求は郵送費か無料のフォーム送信でおこなえますが、ドコモ・KDDI・ソフトバンクなどの大手通信キャリアが任意請求に応じる可能性は非常に低いです。
アクセスプロバイダには契約者情報を厳重に保護する法的義務があり、裁判所の正式な命令なしに開示することは原則として認められないからです。
いわば任意請求は、裁判手続きに移行するための前提ステップとして捉えておくのが正解といえます。
ここでは、アクセスプロバイダに開示請求をする際の費用を任意の開示請求・裁判上の開示請求別に解説します。
アクセスプロバイダへの任意開示請求にかかる費用は、郵送する場合は書留などの郵送費(数百円程度)、専用フォームから申請する場合は無料です。
費用面の手軽さはあるものの、実務上は拒否される可能性が非常に高いです。
ただし、任意請求をすると、アクセスプロバイダは発信者に対して、情報の開示に同意するか否かの意見照会書を送付します。
ここで、発信者が情報の開示に同意した場合、発信者の情報が開示されることになるため、まったく意味がない手続きではありません。
最初から裁判手続きを見据えて証拠やスケジュールを管理することが、ログが消える前に特定を完了させるための重要な対策になります。
任意開示が拒否された後、アクセスプロバイダに対して契約者情報の開示を求める訴訟を起こす場合にかかる費用は2万円程度です。
費用の内訳は、収入印紙代13,000円と送達用予納郵券約6,000円(東京地裁の場合)です。
訴額が一律160万円と定められているため、請求内容の大小に関わらず印紙代は一定となっています。
主要なアクセスプロバイダの本社は東京にあることが多いため、実務上は東京地裁へ申し立てるケースが大半を占めます。
なお、サイト運営者への仮処分のときと異なり、アクセスプロバイダへの本訴訟では数十万円にのぼる担保金は不要です。
実費だけで見れば比較的低予算で進められますが、書面作成や法廷での主張には専門知識が必要なので、弁護士に依頼する場合は別途弁護士費用が加算されます。
改正前の手続きでは、投稿者を特定するために2段階の裁判が必要です。
時間と費用がかかる反面、手続きの流れを把握すれば開示命令(新制度)との違いが理解しやすくなります。
ここでは、従来型(旧法)の発信者情報開示請求の流れを解説します。
まずは、書き込みがされたサイト(コンテンツプロバイダ)の運営者を相手に、裁判所へ仮処分命令の申し立てをおこないましょう。
仮処分命令の申し立てをおこなう主な目的は、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプを取得するためです。
投稿者のIPアドレスとタイムスタンプとは、インターネット上の電子掲示板やSNSなどのサーバーに記録される通信ログデータのことです。
匿名でおこなわれた誹謗中傷などの投稿者を特定する際の重要な手がかりとして活用されます。
原則として、サイト運営者は任意の請求に対して投稿者の個人情報を開示しませんが、裁判所の仮処分命令を取得して初めて開示に応じさせられます。
このステップで判明するのは、投稿者がどの通信会社(アクセスプロバイダ)を経由して書き込んだかという情報です。
投稿者の氏名・住所を特定するには、次のステップが必要です。
続いて、取得した投稿者のIPアドレスとタイムスタンプをもとに、投稿者が書き込みに使った通信会社(アクセスプロバイダ)を割り出します。
具体的には、JPNIC WHOIS Gatewayなどの検索ツールにアクセスし、開示されたIPアドレスを検索窓に入力してください。
検索すると、IPアドレスの情報からソフトバンク・ドコモ・KDDI・OCNなど、どのアクセスプロバイダを経由しているかを特定することが可能です。
ここが判明して初めて、次のステップで誰に訴訟を起こすかが決まります。
なお、IPアドレスがネットカフェや公共Wi-Fiのものだった場合は、店舗側へ接続端末の特定や防犯カメラの映像開示を求める手続きなどが必要になるケースもあります。
次に、特定したアクセスプロバイダに対して投稿者の住所・氏名の開示を求めて正式な訴訟を提起します。
裁判所が権利侵害を認めれば、アクセスプロバイダに対して開示を命じる判決が出ます。
その後、投稿者の実名と住所が手元に届き、損害賠償請求や刑事告訴といった次のアクションに移れます。
このステップまで完了すると、従来型の場合は申し立てから合計で6~9ヵ月程度かかることが一般的です。
開示請求はログの保存期間との戦いでもあるので、一日でも早めに着手することが重要です。
2022年10月から運用が始まった新制度では、従来の2段階の裁判を1回の手続きに統合できます。
具体的なステップを追って確認しましょう。
まずは、書き込みがあったSNSやサイトの運営者(コンテンツプロバイダ)を相手取り、裁判所へ開示命令の申し立てをおこないます。
この申し立てが、その後の全ての手続きの土台となります。
申し立て時には、どの投稿が権利を侵害しているかを具体的に示す証拠資料の提出が必要です。
スクリーンショットやURLの記録など、証拠の質と量がその後の審理の速度を左右します。
ステップ①の審理が動いている間に、2つの命令を同時に申し立てます。
提供命令とは、サイト側に対して「投稿者が利用した通信会社(アクセスプロバイダ)の情報を被害者に教えなさい」と命じるものです。
一方、消去禁止命令はサイト運営者や通信会社に対して「特定が完了するまで通信ログを削除せずに保管しなさい」と命じることを指します。
この2つをセットで申し立てれば、ログが消える前に手続きを進められる状態を確保できます。
従来型では別々に手続きが必要だった部分を、同時並行で進められるのが新制度の大きなメリットです。
申立て後は、提供命令に基づき、サイト運営者から投稿者が使ったアクセスプロバイダ名が直接提供されます。
従来型では、仮処分の完了を待ってからアクセスプロバイダの特定に動く必要がありましたが、新制度ではサイト側の審理と並行してアクセスプロバイダ情報を入手できます。
このタイムラグの短縮が、全体の期間を3~4ヵ月に圧縮できる主な理由のひとつです。
続いて、ステップ③で判明したアクセスプロバイダを現在進行中の裁判手続きに参加(追加)させます。
サイト側とアクセスプロバイダ側を同じ裁判手続きの中で審理することになります。
新制度では、「サイト運営者への仮処分が終わるまでアクセスプロバイダへの訴訟を始められない」という従来型の制約がなくなります。
並行して審理が進むため、全体のスピードが上がります。
裁判所が「権利侵害がある」と最終判断を下せば、アクセスプロバイダに対して開示命令が出されます。
この段階まで進めば、投稿者の氏名・住所が被害者の手元に届きます。
次に、開示された情報をもとに損害賠償請求や刑事告訴といった次の段階に進めることが可能となります。
特定はあくまで通過点であり、最終的なゴールは被害の回復と再発防止です。
弁護士に一貫して依頼している場合は、特定後の手続きもスムーズに移行できます。
開示請求は手続きの正確さとスピードが求められます。
準備が不十分だと、せっかく裁判で勝っても投稿者を特定できないケースがあります。
あらかじめ注意点を把握しておきましょう。
開示請求では、被害者側がどの書き込みで・何の権利が侵害されたかを証明する責任を負います。
証拠が不十分だと、開示請求が認められない場合があります。
スクリーンショットを撮る際は、投稿の内容だけでなくページのURLが画面に映るように撮影することが重要です。
URLがなければ、その書き込みがどのサイトのものかを証明しにくくなりますし、サイト運営者の側でIPアドレスを抽出することができなくなります。
また、投稿単体だけでなく前後のやり取りや一連の流れも保存しておくと、侵害の実態をより客観的に示すことが可能です。
証拠保全は早いほど有利なので、書き込みに気づいた時点ですぐにスクリーンショットとURLの記録を取っておきましょう。
アクセスプロバイダが保有するアクセスログの保存期間は3~6ヵ月程度と短く、この期限を過ぎると投稿者の特定は事実上不可能になります。
アクセスログとは、Webサイトやサーバー、システムなどに対するアクセス履歴を時系列で記録したデータのことです。
裁判で開示命令が認められても、ログがすでに削除されていれば何も得られません。
手続きに時間がかかっている間にログが消えてしまうケースは、実際に起こり得るリスクです。
期間が迫っている場合は、アクセスプロバイダに直接ログの保存を要請するか、裁判所へ消去禁止命令の申し立てをおこなえば、ログを強制的に保全できます。
被害に気づいたらまず証拠を確保し、すぐに弁護士へ相談することがタイムリミットを守るための最善策です。
法律上、開示請求は自分でもおこなえますが、裁判書類の作成や権利侵害の立証など、高度な専門知識が求められる場面が多くあります。
ここでは、開示請求を弁護士に依頼して得られるメリットを解説します。
弁護士に開示請求を依頼する主なメリットは、状況に合った最適な方法を提案してもらえる点です。
開示請求には、新制度・従来型・任意請求など複数の手段があり、どれが有効かは、サイトの性質・投稿内容・相手から想定される反論の内容などによって変わります。
開示請求や削除請求の実績が豊富な弁護士であれば、個別のケースに応じてもっとも効率的な手段を判断してくれます。
開示請求をおこなううえで、どの方法が最善なのかを見極めるのは法的知識がなければ非常に困難です。
状況を細かく整理したうえで最善の方針を提案してもらえるのが、弁護士に依頼する大きなメリットです。
弁護士の力を借りれば、アクセスログの保存期間をふまえて迅速に手続きを進めてくれます。
通信ログの保存期間は3~6ヵ月と短いため、個人が書類を集めて裁判所の手続きを調べながら動いた場合、すぐタイムリミットに近づくため注意が必要です。
早い段階から弁護士に依頼すれば、期限を念頭に置いて迅速に手続きを進めてくれます。
裁判書類の作成・ログ保存要請・消去禁止命令の申し立てなど、緊急性の高い対応も確実におこなってくれます。
何から動けばいいかわからないという状況でも、すぐに適切な対処をしてくれるので安心です。
投稿者特定後の損害賠償請求や刑事告訴を任せられるのも、弁護士に依頼する大きなメリットです。
開示請求に強い弁護士に依頼すれば、相手との示談交渉・適正な賠償額の算出・刑事告訴の準備まで、被害の回復を最大化するための対応を一括して任せられます。
投稿者の特定はゴールではなく責任の追及や被害回復への出発点であり、特定後に損害賠償請求や刑事告訴をおこなうには、別の専門知識が必要です。
開示請求の段階から一貫して同じ弁護士に依頼しておけば、特定後の手続きもスムーズに移行できます。
誹謗中傷による開示請求を検討している方には、「ベンナビIT」の活用をおすすめします。
ベンナビITとは、開示請求・削除請求・誹謗中傷などのインターネットトラブルに特化した弁護士検索サービスです。
インターネットトラブルに強い全国の弁護士を、対応エリアや対面・オンラインなどの相談方法を細かく絞り込んで検索できます。
初回無料相談に対応している事務所も多く、まずは状況を整理したい・費用感を確認したいという段階から気軽に利用することができます。
通信ログのタイムリミットを考えると、迷っている時間はあまりありません。
被害に気づいたら、まずは初回無料相談を利用して相談してみるのをおすすめします。
続いて、実際に弁護士に依頼して開示請求をおこない、問題を解決したケースを紹介します。
自分のケースでも対応できるかを判断するうえで参考にしてください。
まず紹介するのは、5ちゃんねるへの事実無根の誹謗中傷について、弁護士に相談した事例です。
弁護士が介入したところ、投稿は2日程度で削除されました。
続いてIPアドレスを取得してアクセスプロバイダへ開示請求をおこなったところ、開示された情報はインターネット喫茶のものでした。
担当弁護士はインターネット喫茶が保有していると考えられる情報を想定し、さらにさまざまな手続きを重ねて投稿者の特定に成功。
最終的には投稿の悪質性が認められ、80万円程度の損害賠償請求が認められました。
通常、インターネット喫茶経由の誹謗中傷は特定を諦めてしまうケースが多いですが、弁護士の粘り強い対応によってトラブルを解決できた事例です。
※インターネット喫茶や公共Wi-Fiなどを経由した投稿は、店舗側のログ保存状況などにより、特定が極めて困難なケースもあります。
次に紹介するのは、SNSへの誹謗中傷投稿に対して弁護士を通じて相手と直接交渉した事例です。
弁護士が相手方に対し、速やかに投稿を削除することと今後の誹謗中傷をおこなわないことを求める通知を送付しました。
通知には、条件に応じれば損害賠償請求権を免除し刑事告訴もおこなわない旨も明記されていました。
相手は通知を受けて謝罪・投稿をすぐに削除し、今後の再発防止と違反時の違約金条項を含む合意書の締結にも至りました。
裁判手続きを経ずに解決できたため、費用と時間の両面で依頼者の負担を大きく抑えられた事例です。
最後に紹介するのは、X(旧Twitter)への誹謗中傷について裁判によらない方法で投稿者を特定した事例です。
弁護士がアカウント保有者に対してメッセージなどで警告し、直接交渉による解決を目指しました。
結果として、相手本人に氏名・住所などを開示させ、再発防止の誓約と真摯な謝罪を受け、示談金を獲得できました。
DMでの警告は開示に至らないリスクも伴う方法ですが、裁判をおこなわないので、費用と時間的なコストを大幅に抑えられる手段です。
相談内容に合った最適な方法を選ぶのが、満足のいく問題解決につながることを示した事例です。
最後に、開示請求を検討している方からよく寄せられる疑問をまとめました。
開示請求は単なる悪口などでは認められず、権利侵害が明らかであることが条件です。
具体的には、社会的立場を低下させる名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害などが対象となります。
嫌な気持ちになったという感情的な被害だけでは認められにくく、投稿の内容が法的に違法と判断されるかどうかが分かれ目です。
自分の被害が開示請求の対象になるかの判断は、弁護士への相談で確認するのをおすすめします。
弁護士に依頼して投稿者を特定する場合の費用相場は、30万円~80万円程度です。
自分で手続きをおこなう場合の裁判実費のみであれば、数万円~30万円程度に抑えられます。
主な目安は、次のとおりです。
費用は高額に見えますが、投稿者が特定できた場合、かかった弁護士費用や慰謝料を損害賠償として相手に請求・回収できるケースもあります。
まずは費用対効果を含め、ネットトラブルに強い弁護士に相談して今後の動きを判断するのが現実的です。
5ちゃんねる、2ちゃんねる、ホスラブなどの掲示板でも、開示請求は可能です。
そのほか、X(旧Twitter)・Instagram・Facebookなど、多くの主要SNSや、YouTube、TikTokなどの動画配信サイトも開示請求の対象となります。
ただし、VPNを利用した投稿や海外の特殊なサービスを経由している場合は、特定が非常に困難になるケースもあります。
VPNとは、インターネット上に仮想の専用線を作り出し、安全な通信経路を確保する技術です。
誹謗中傷を書く投稿者の中には、VPNを使っているから平気と思っている場合もありますが、VPNの種類や設定次第では特定に至るケースもあります。
アクセスプロバイダから意見照会書が届いたら、無視せず慎重に対応してください。
意見照会書とは、アクセスプロバイダがあなたの情報を開示してよいかを確認するために送る書面です。
拒否自体は可能ですが、法的に正当な理由がなければ開示される可能性が高いです。
むしろ無視や不当な拒否は心証を悪化させるリスクがあるので注意が必要です。
意見照会書が届いた時点で早めに弁護士へ相談し、自分の投稿内容に違法性があるかどうかを確認し、今後の対応方針を検討するのが賢明です。
法律上は自分でも開示請求できますが、実務的には非常に困難です。
開示請求は、手続きの選択、裁判所への申し立て書類の作成・権利侵害の立証・相手方からの反論への対応など、専門知識が求められる場面が多くあります。
IT・ネット分野に精通した弁護士であれば、必要な手続きをスムーズに進めてくれます。
特に通信ログのタイムリミットが迫っている場合、書類の不備や手続きのミスで期限を過ぎてしまうリスクは大きいです。
費用はかかりますが、特定の確率を少しでも上げたいのであれば、弁護士への依頼が現実的な選択です。
可能ですが、同定可能性があるかどうかがポイントになります。
同定可能性とは、書き込みの内容から現実の特定の人物への攻撃であると客観的に判断できるかどうかです。
名誉毀損の場合は、第三者から見ても特定の人物に対する投稿であると特定できていることが必要ですが、侮辱の場合は、本人が自分に対する投稿であると特定できていれば足ります。
したがって、匿名アカウント同士のやり取りでも、内容によっては開示請求の対象となります。
オンラインゲームのオープンチャットでの誹謗中傷も同様で、内容によっては開示請求が認められるケースがあります。
ゲーム内だから関係ないということにはならないので、被害の内容を弁護士に確認してもらい、請求の可否を判断してもらいましょう。
誹謗中傷による発信者情報開示請求は、投稿者を特定して法的責任を追及するための重要な手続きです。
開示請求が認められるには、名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害など違法な権利侵害を受けた事実が必要です。
単なる不快な書き込みでは認められないので、まずは弁護士に書き込みの違法性を確認してもらいましょう。
2022年10月の法改正によって、以前は8ヵ月以上かかっていた発信者情報開示請求手続きが3~4ヵ月程度に短縮されました。
ただし、アクセスプロバイダの通信ログは3~6ヵ月で削除されるので、被害に気づいたらすぐに動くことが不可欠です。
開示請求を弁護士に依頼した際の費用は30万円~80万円程度ですが、特定後に相手から慰謝料や弁護士費用を損害賠償として回収できる場合もあります。
費用対効果を含めた最終的な判断は、初回無料相談を活用して弁護士に確認しましょう。
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