ネットの誹謗中傷問題を弁護士に依頼した場合、投稿削除・開示請求・損害賠償で弁護士費用は100万円前後になることが多いです。
月額2,950円の保険料で、依頼したときにかかる弁護士費用(着手金)の補償が受けられます。
ネットの誹謗中傷問題だけでなく、労働問題、自転車事故、刑事事件被害、離婚や相続など様々なトラブルで使うことができます。
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ネット上で誹謗中傷を受けた場合、発信者情報の開示請求によって、加害者を特定できることがあります。
しかし、「開示請求の方法がわからない」「そもそも誹謗中傷でも開示請求できるのか」などの不安や疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、開示請求の対象となる誹謗中傷の具体例、開示請求の一般的な流れなどについて解説します。
開示請求によって相手を特定したあとの対応方法なども紹介するので、誹謗中傷で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ネット上の書き込みは匿名でおこなわれることも多いですが、「発信者情報開示請求」を利用すれば投稿者を特定できる可能性があります。
発信者情報開示請求とは、ネット上で誹謗中傷をしてきた人物の情報を開示するようプロバイダに求める手続きのことです。
発信者情報開示請求をおこなえば、相手の氏名・住所・電話番号などを知ることができるため、損害賠償請求や刑事告訴なども可能になります。
発信者情報開示請求に関連して、2022年10月からは発信者情報開示命令手続の運用が始まったことも覚えておきましょう。
発信者情報開示請求では、サイト管理者と通信プロバイダの両方に対して、個別に裁判手続をおこなう必要がありました。
しかし、発信者情報開示命令手続では、1回の裁判手続きでサイト管理者と通信プロバイダの両方に情報開示を請求できるようになっています。
発信者情報開示請求では情報開示までに半年~1年程度を要していましたが、発信者情報開示命令であれば数ヵ月~半年程度で済ませられます。
また、申し立て1回あたりの裁判所に支払う手数料も1万5,000円から1,000円に抑えられるので、弁護士とも相談しながら積極的に活用してみてください。
次に、発信者情報開示請求の対象となる誹謗中傷の具体例を2つ紹介します。
発信者情報開示請求は権利侵害の有無が重要な要件となるので、自分自身が置かれている状況を振り返りながら読み進めてみてください。
事実かどうかにかかわらず、その人の社会的な評価を下げるような書き込みも、発信者情報開示請求の対象となる誹謗中傷といえます。
具体例として、以下のような書き込みが挙げられるでしょう。
特定の事実を摘示して、社会的な評価を下げる内容を投稿した場合、名誉棄損にあたる可能性が高いと考えられます。
その人の容姿や人格を否定するような書き込みも、発信者情報開示請求の対象となる誹謗中傷のひとつです。
具体的には、以下のような書き込みは該当するでしょう。
ここからは、発信者情報開示請求の大まかな流れを紹介します。
まずは、誹謗中傷を受けたことがわかる証拠を残しておきましょう。
発信者情報開示請求をおこなうには、権利侵害を明らかにするための証拠が必要です。
あとで証拠として提出できるよう、以下のような方法で誹謗中傷を証拠化しておいてください。
誹謗中傷を受けたサイトの管理者に対し、まずは任意の開示を求めましょう。
任意開示を求める場合、サイト管理者に発信者情報開示請求書を送付します。
しかし、任意開示には強制力がなく、サイト管理者は通信の秘密や顧客情報をむやみに開示できないため、応じてくれる可能性は極めて乏しいでしょう。
情報開示に応じてもらえない場合は、裁判所に仮処分を申し立てる必要があります。
「ネット上で誹謗中傷された場合は発信者情報開示請求ができる!」内でも解説したように、発信者情報開示命令の申し立てをおこないます。
2022年施行の改正プロバイダ責任法によって、仮処分申し立てと発信者情報開示請求を同時にできる「発信者情報開示命令」という非訟手続きもおこなえるようになりました。
これにより、これまではサイト管理者と通信プロバイダそれぞれに対する別の法的手続きが必要だったものが、1回の手続きの中で同時に審理することができるようになりました。
具体的には、まずサイト管理者に対して発信者情報開示命令の申立てや提供命令の申立てをおこない、これにより判明した通信プロバイダに対して発信者情報開示命令の申し立てをおこない、これらを一つの手続きの中で実施することができます。
ただし、サイト管理者によっては、発信者情報開示命令が発令されても、すぐに情報を開示しない会社もあります。
このような場合は、従前の仮処分手続きをおこない、間接強制を申し立てるなど、特別な対応が必要になる場合があり、推奨される手続きの具体的な内容については、弁護士への相談が必要です。
なお、発信者情報開示命令を申し立てる際には、印紙代1,000円~2,000円、送達用費用が数千円程度の費用が発生します。
ここからは、発信者情報開示請求で誹謗中傷の加害者を特定したあとの対応について解説します。
損害賠償請求は、誹謗中傷によって受けた損害を金銭で賠償してもらうためにおこないます。
誹謗中傷の加害者に対しては、精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料と、発信者の開示にかかった弁護士費用を請求するケースが一般的です。
損害賠償の金額は話し合いによって決定しますが、意見が折り合わない場合は、裁判を通して損害賠償を請求することになるでしょう。
ネット上の誹謗中傷で請求できる慰謝料の相場は、以下のとおりです。
【ネット誹謗中傷で請求できる慰謝料の相場】
内容 |
慰謝料相場 |
名誉毀損 |
個人の場合:10万円〜50万円 法人の場合:50万円〜100万円 |
侮辱 |
10万円〜30万円 |
プライバシー侵害 |
10万円〜50万円 |
慰謝料の金額は、誹謗中傷の回数・期間・悪質性などによっても変動します。
事案によっては、100万円以上の慰謝料が認定されることもあります。
適切な金額を獲得するためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
刑事告訴とは、誹謗中傷を受けたことを警察に申告し、加害者を処罰するよう求めることです。
無限にあるインターネットトラブルについて、警察に相談をしても、体良く断られてしまうのが実情です。
しかしながら、弁護士を通じて刑事告訴をおこなうことで刑事事件として取り扱ってもらえる可能性があります。
起訴されて有罪となった場合、加害者は罪状に応じた法定刑を受けることになります。
ただし、有罪となったからといって加害者から金銭の賠償を受けられるわけではないので、刑事告訴をするかどうかは慎重に検討しましょう。
誹謗中傷によって成立する可能性がある罪の種類と刑罰は以下のとおりです。
【ネット誹謗中傷で成立する可能性がある犯罪と刑罰】
犯罪 |
刑罰 |
名誉毀損罪 |
3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金 |
侮辱罪 |
1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料 |
脅迫罪 |
2年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
偽計業務妨害罪・信用毀損罪 |
3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
なお、刑事告訴をすると、刑罰を軽くするために加害者側から示談の申入れがおこなわれ、その中で損害賠償金(示談金)を獲得できるケースもあります。
ネットで誹謗中傷を受けて発信者情報開示請求をおこなう場合は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
ここからは、発信者情報開示請求を弁護士に依頼するメリットを4つ紹介します。
発信者情報開示請求が認められるには、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
とはいえ、上記の要件を全て満たしているかを自分で判断するのは難しいでしょう。
弁護士に相談すれば、要件を満たしているか、開示請求が認められるかを判断してもらえます。
実際、誹謗中傷の実態によっては開示請求が難しいケースも存在するため、一人で悩んだ時間や証拠収集の労力などが無駄になってしまわないように、まずは弁護士に助言を求めることから始めましょう。
迅速に開示請求手続をおこなってくれる点も、弁護士に依頼したほうがよい理由のひとつといえます。
発信者情報開示請求を自力でおこなうのは至難の業です。
開示請求が認められるには、誹謗中傷によって権利を侵害されたことを主張しなければなりません。
その際、法的根拠や条文を用いた論理的な主張が求められますが、法律の知識がないと対応しきれないでしょう。
また、発信者情報開示請求をおこなうには、原則として裁判手続きが必要です。
しかし、裁判手続きを起こすとなると、申立書や訴状の提出、証拠の収集・提出などを一つひとつ確実にこなしていく必要があり、一般の人がスムーズに進めるのは決して簡単ではありません。
また、発信者情報の多くが、3ヶ月程度で消えてしまうため、迅速に手続きを進める必要があります。
その点、知識と経験が豊富な弁護士であれば、権利侵害の主張や裁判手続を迅速に進めてくれます。
結果的に誹謗中傷の加害者を早く特定でき、問題の早期解決につながるでしょう。
発信者情報開示請求を弁護士に依頼すれば、加害者を特定したあとの手続きも一任できます。
たとえば、加害者の特定後は、相手に対して損害賠償請求をおこなうケースがあります。
弁護士に依頼すれば、賠償額の算定や交渉を代わりにおこなってくれるので、話し合いがスムーズに進む可能性が高くなるでしょう。
交渉が早く終われば、その分損害賠償を早期に受け取ることも可能です。
また、加害者への処罰感情が強い場合などは刑事告訴をおこなうことになりますが、弁護士に依頼すれば、告訴状の作成・提出や裁判所とのやり取りなどを全て任せられます。
誹謗中傷によって心身ともに疲弊しているなか、一貫したサポートを得られることは、精神的な負担の軽減にもつながるはずです。
自分の状況に応じた解決策を提案してくれる点も、発信者情報開示請求を弁護士に依頼したほうがよい理由として挙げられるでしょう。
誹謗中傷問題の解決策は、損害賠償請求や刑事告訴、書き込みの削除請求など多岐にわたります。
また、発信者情報開示請求と発信者情報開示命令のどちらがよいか、どのような流れで情報開示を請求すべきか、などもケースによって異なります。
IT問題が得意な弁護士に相談すれば、知識と経験に基づいた解決策を提案してもらえるので、自身にとって最も望ましい問題解決につながる可能性が高いといえます。
ネットで誹謗中傷を受けたら、発信者情報開示請求に詳しい弁護士に相談しましょう。
発信者情報開示請求が得意な弁護士は「ベンナビIT」で簡単に検索できます。
ベンナビITは、地域や相談内容を選択するだけで、希望条件に合った弁護士を探せるポータルサイトです。
相談内容も細かく絞り込めるので、発信者情報開示請求が得意な弁護士も効率的に見つけられます。
誹謗中傷の投稿者を一刻も早く特定したいなら、ぜひベンナビITを利用してみてください。
誹謗中傷で発信者情報開示請求をする際は、以下の点に注意してください。
判断を誤ると取り返しのつかない事態に陥る可能性もあるので、一つひとつのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
誹謗中傷を受けてから開示請求までに時間がかかりすぎると、アクセスログが消えてしまうので注意しましょう。
スマートフォンで利用するプロバイダの場合、3ヵ月程度しかログが保存されません。
ログが消えてしまうと当該ログから投稿者を特定することができなくなってしまうので、誹謗中傷を受けたら開示請求に向けてすぐに行動することが大切です。
開示請求をしたからといって、投稿者を必ず特定できるとは限りません。
投稿者が海外のプロバイダやフリースポットWi-Fiを利用していた場合、たとえIPアドレスがわかったとしても特定に結びつかない可能性があります。
海外のプロバイダを利用していた場合は特別な手続きが必要となりますが、対応できる法律事務所は多くありません。
対応できたとしても、高額な費用がかかるでしょう。
また、フリースポットWi-Fiを利用していた場合、プロバイダ側には投稿者の情報がないため特定するのは難しいといえます。
ネット掲示板やSNSなどで誹謗中傷をしてきた相手とは、直接やりとりしないようにしましょう。
焦ってすぐに削除請求をしてしまうと、誹謗中傷を受けた証拠が消えてしまい開示請求できなくなってしまうおそれがあります。
また、やり取りを晒されたり、逆恨みにより誹謗中傷がエスカレートするなど、さらなるトラブルを招く可能性も否定できません。
相手とすぐにやりとりをするのではなく、まずは落ち着いて証拠を残し、弁護士に相談することが大切です。
ネット上で誹謗中傷を受けたときは、発信者情報開示請求によって投稿者を特定することができます。
しかし、開示請求が認められるには法律的な知識が必要であるため、自力で投稿者を特定するのは難しいでしょう。
そのうえ、アクセスログは数ヵ月で消えてしまうので、できるだけ早く開示請求をおこなう必要があります。
誹謗中傷への対応に困っている方や、開示請求手続に不安がある方は、まずは弁護士に一度相談してみてください。
弁護士に相談すれば、開示請求手続きがスムーズに進むうえ、損害賠償請求に伴う交渉なども全て代わりにおこなってくれます。
自力で対応するよりも早く問題解決できるので、少しでも困っているなら弁護士に相談しましょう。
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