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SNSでの誹謗中傷とは?法律上の責任の範囲と被害を受けたときの対処法

監修記事
蓮池 純

SNSでの誹謗中傷は、気づいたときには広く拡散されているケースも珍しくありません。
「投稿者を特定して慰謝料を請求したい」「とにかく投稿を削除させたい」
こうした悩みを抱えながら、何から始めればよいかわからない方は少なくないでしょう。

SNSでの誹謗中傷は、内容によって名誉毀損罪・侮辱罪などの刑事責任や、民法上の損害賠償責任につながる深刻な問題です。プロバイダのログは3〜6ヵ月で消えるため、早期対応が解決の鍵を握ります。

本記事では、誹謗中傷の定義から法律上の責任の範囲・被害を受けた場合の対策・相談窓口まで順を追って解説します。解決事例も紹介するので、参考にしてください。

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目次

SNSでの誹謗中傷とは?

誹謗中傷とは、他人の社会的評価を下げたり、尊厳を傷つけたりする言動です。批判や意見表明との境界は明確ではなく、内容・文脈によって個別に判断されます。

以下では定義・批判との違い・該当する言葉の例を順に解説します。

誹謗中傷の定義・意味

誹謗中傷とは、事実の有無を問わず、他人の社会的評価を低下させたり、人格・尊厳を傷つけたりする言動です。

誹謗は他人へ悪口を言ったり罵ったりする行為。中傷は根拠のない悪口で、相手の名誉を傷つける行為を指します。2つの言葉が組み合わさって誹謗中傷として用いられるのが一般的です。

SNSは、匿名性の高さから投稿のハードルが下がりやすく、誹謗中傷が起きやすい環境です。被害を受けた場合、内容によっては法的な問題に発展する可能性もあります。

誹謗中傷と批判との違い

批判とは、事実や意見に基づく評価です。一方で誹謗中傷は、虚偽の事実や相手が知られたくない情報を広めて相手の社会的評価を下げたり、侮辱したりする行為を指します。

たとえば、飲食店の口コミで「ドリンクの提供が遅いので、改善を望みたい」と書くのは批判にあたるでしょう。しかし、「店員が無能過ぎて、ドリンクすらまともに作れない」といった内容は、誹謗中傷にあたります。

体験した事実に基づく客観的・論理的意見は、正当な批判と評価されるでしょう。他方、人格や人間性を否定する攻撃的な発言は、発言の自由として正当化できません。

誹謗中傷にあたる言葉一覧

他人の社会的評価を下げる事実の主張や人格を侮辱する表現は、誹謗中傷に該当しやすい言葉です。誹謗中傷にあたる言葉の代表的な例は、以下のとおりです。

社会的評価を下げる事実の主張

人格を侮辱する表現

・〇〇には前科がある

・〇〇は不倫している

・〇〇は多額の借金で破産するらしい

・〇〇は会社の機密情報を持ち出している

・〇〇店は料理にゴミが入っている不潔な店だ

・〇〇社は労災隠しをしているブラック企業だ

・〇〇社は詐欺まがいの商売をしている

・ブス

・バカ、アホ

・ブタ

・クソジジイ

・クソババア

・ゴミ

・死ね

SNSでの誹謗中傷で法律上の責任が問われるのはどこから?

誹謗中傷は、法律上の用語ではありません。しかし、投稿の内容によっては名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪などの刑事責任や、民法上の不法行為として損害賠償責任を問われる可能性があります。

以下では、SNSでの誹謗中傷で成立し得る犯罪と民事上の責任を順に解説します。

誹謗中傷で問われ得る刑法上の責任

誹謗中傷の内容によっては、名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪・信用毀損罪・業務妨害罪などの刑事罰が科される可能性があります。

各犯罪の成立要件と法定刑は以下のとおりです。

犯罪名

成立要件

法定刑

名誉毀損罪

公然と事実を示して社会的評価を低下

3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

侮辱罪

事実を示さず公然と侮辱

1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料

脅迫罪

生命・身体などへの害悪告知

2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

信用毀損・業務妨害罪

虚偽の風説流布・偽計による妨害

3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

威力業務妨害罪

威力による業務妨害

3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

名誉毀損罪

名誉毀損罪は、公然と事実を示して人の社会的評価を低下させた場合に成立する犯罪です。示した事実が真実であっても成立します。

たとえば、「〇〇は前科がある」「〇〇は不倫をしている」といった投稿が該当します。公然性が要件のため、ダイレクトメッセージには原則として成立しません。

名誉毀損罪の罰則は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

ただし、以下の要件を満たす場合は、名誉毀損罪は成立しません。

  1. 公共の利害に関する事実にかかわること(公共性)
  2. もっぱら公益を図る目的であること(公益性) 
  3. 示した事実が真実であること(真実性)

上記3を満たしていない場合でも、伝えた内容が真実だと信じるのに十分な理由があったときは、違法性はないと判断されます(相当性)。

侮辱罪

侮辱罪は、事実を示さずに公然と人を侮辱した場合に成立する犯罪です。「ブス」「バカ」「クソジジイ」「ゴミ」など、具体的な事実に基づかない人格否定・侮辱的な表現が該当します。

侮辱罪の罰則は、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。2022年の法改正で厳罰化されており、軽い気持ちで書いた一言でも刑事罰の対象になり得ます。

脅迫罪

脅迫罪は、本人または親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加える旨を告知した場合に成立する犯罪です。一般人が恐怖を感じる程度の害悪の告知があれば成立し、被害者が実際に恐怖したかどうかは問われません。

「殺す」「家を知っている」「家族に危害を加える」といった内容のSNS投稿やダイレクトメッセージが該当します。名誉毀損や侮辱と異なり、公然性は要求されません。

脅迫罪の罰則は、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。SNS上の発言でも、対面での発言と同様に、脅迫罪が成立する可能性があります。

信用毀損罪および業務妨害罪

信用毀損罪および業務妨害罪は、虚偽の風説を流布したり偽計を用いたりして、人の信用を毀損したり業務を妨害した場合に成立する犯罪です。虚偽の風説の流布とは、嘘の情報を流すことです。偽計とは、人を欺いたり、誤解・無知を利用したりする手段を指します。

「◯◯で買った食品に異物が混入していた」「◯◯店は産地を偽装している」など、虚偽の情報をSNSや掲示板に投稿するケースが該当します。

信用毀損罪および業務妨害罪の罰則は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。口コミサイトへの虚偽の書き込みなど、間接的な業務妨害も本罪の対象になります。

威力業務妨害罪

威力業務妨害罪は、威力(他人の自由意思を制圧するに足る勢力)を用いて業務を妨害した場合に成立する犯罪です。偽計を用いる信用毀損罪・業務妨害罪とは異なり、暴行・脅迫・威圧的な行為など強制力を伴うケースに適用されます。

「爆弾を仕掛けた」などの脅迫的な投稿で店舗の営業を妨害したケースや、組織的な攻撃投稿で業務停止に追い込んだケースが該当します。

威力業務妨害罪の罰則は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。みんなでやっているからという集団行動も免罪符にはなりません。加担した一人ひとりが責任を問われる可能性があります。

誹謗中傷で問われ得る民法上の責任

誹謗中傷は刑事罰とは別に、民法上の不法行為として損害賠償を請求される可能性があります。刑事事件として立件されなかった場合でも、民事上の請求は可能です。加害者が特定できれば、精神的苦痛や業務上の損害に対して賠償を求められます。

問われやすい類型は、名誉権の侵害・名誉感情の侵害・プライバシーの侵害です。

名誉毀損(名誉権の侵害)

名誉権の侵害として損害賠償請求の対象となり得ます。

名誉権とは、人がみだりに社会的評価を低下されない権利です。名誉権の侵害により、社会的評価の低下や損害が生じた場合、民法上の不法行為が成立します。刑法上の名誉棄損罪と異なり、事実を示さない意見の表明・評論でも、名誉毀損に該当する可能性があります。

被害者は、加害者に対して、損害賠償(慰謝料)を請求できます。相場は個人で10万円〜50万円、法人で50万円〜100万円程度です。

ただし、以下の場合には、不法行為は成立しません。

投稿内容が真実かどうかを証拠で証明できる場合(事実摘示型)

投稿内容が証拠による証明になじまない意見や評論の場合(意見評論型)

以下の3つの要件を満たす場合

①公共の利害に関する事実にかかわること②もっぱら公益を図る目的であること
③示された事実が真実であること、または示された事実が真実と信じるのに十分な理由があること

以下4つの要件を満たす場合

①公共の利害に関する事実にかかわること
②もっぱら公益を図る目的であること 
③意見・論評の前提としている事実が重要な部分についての真実であること、または真実と信じるのに十分な理由があること
④人身攻撃に及ぶなど意見論評としての域を逸脱したものでないこと

名誉感情の侵害

誹謗中傷をすると、名誉感情の侵害として損害賠償請求の対象となり得ます。

名誉感情とは、自分自身が感じている自分への評価、いわば自尊心です。人は誰でも名誉感情を持っており、他人の行為で自尊心を傷つけられた場合には、人格的価値を侵害されたと同様の精神的苦痛を受けるでしょう。

もっとも、名誉感情は主観的な感情であるため、無条件に法的保護の対象とはできません。裁判所は、態様・程度などから社会通念上許される限度を超える名誉感情に対する侵害に限って、人格権の侵害として慰謝料請求の事由となるとしています。

たとえば、「バカ・ブス・デブ」など具体的な事実を含まない純然たる罵倒でも、悪質性や頻度によっては、慰謝料請求の対象となり得ます。慰謝料の相場は1万円~10万円程度と、名誉権侵害より低くなる傾向です。

プライバシーの侵害

プライバシー権の侵害として損害賠償請求の対象になる可能性もあります。

プライバシー権とは、私生活をみだりに公開されない権利です。以下の3つ要件を満たす場合、法的保護が及びます。

  1. 私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄
  2. 一般人の感受性を基準に当該私人の立場に立った場合、公開して欲しくない情報
  3. 一般の人々に未だ知られていない事柄

上記①には、氏名・住所・電話番号なども含みます。②の典型例は、身体的特徴・既往歴・離婚歴・犯歴などです。たとえば、他人の運転免許証の画像をSNSに無断で投稿する行為は、プライバシー権の侵害にあたり得ます。

プライバシー侵害による慰謝料の相場は、10万円~50万円程度です。侵害の態様が悪質な場合には、100万円以上の慰謝料が認められるケースもあります。

SNS・インターネット上の誹謗中傷の事例

SNSや掲示板などインターネット上の誹謗中傷は、実際に多くの裁判で法的責任が認められています。本章では、note・インターネット掲示板・X(旧Twitter)における誹謗中傷投稿が問題となった、3つの裁判例を紹介します。

X(旧Twitter)上の誹謗中傷投稿で損害賠償が認められたケース

感染症専門医である原告に対し、被告がX(旧Twitter)上で「人殺し」「ヤブ医者」「犯罪者」などの投稿を繰り返した事例です。原告は、被告の投稿によって名誉を毀損されたとして、損害賠償を求めて提訴しました。

裁判所は、「人殺し」「犯罪者」などの投稿が、原告の社会的評価を低下させる名誉権の侵害にあたると認定。一方、「ヤブ医者」などの投稿については、具体的な事実の示さない侮辱として名誉感情の侵害にあたると判断しました。

いずれも不法行為にあたるとして、慰謝料・調査費用・弁護士費用を含む34万5,000円の支払いを命じています。

noteの誹謗中傷記事の削除が認められたケース

一般私人である原告に対する誹謗中傷記事が、note上に投稿された事例です。原告は、投稿者本人ではなく、noteを運営するnote株式会社を被告として、記事の削除を求めて提訴しました。

削除を求めた記事には、以下のような記述がありました。

  1. 「原告がコネや金銭で番組出演した」
  2. 「原告がC店員に脅迫されて100万円以上払った」
  3. 「原告が風俗嬢に怪我をさせた」
  4. 「原告が風俗店を出入り禁止になった」

裁判所は、上記のうち1・2・4の記述について名誉毀損を認定。一方、2の示唆は、仮説・意見の表明に過ぎないとして名誉毀損の成立を否定しています。

名誉毀損にあたる記述は記事の主要部分を占めており、記事全体が誹謗中傷を目的としたものと判断されました。その結果、記事全体の削除が命じられています。

掲示板での組織的な誹謗中傷投稿で損害賠償が認められたケース

被告A(競合歯科医師)から依頼を受けた被告B(広告事業者)が、インターネット上の掲示板に原告への誹謗中傷を投稿した事例です。原告は、AおよびBに対して、損害賠償を求めて提訴しました。

被告らが、2ちゃんねるやYahoo!知恵袋に投稿した内容と裁判所の判断は、以下のとおりです。

投稿内容

裁判所の判断

原告が患者に虚偽の説明をして300万円の高額治療を迫った

名誉毀損と認定

治療行為は詐欺行為にあたる

名誉毀損と認定

カルト宗教のようだ

名誉毀損と認定

530万円の見積もりを出して患者を騙した

名誉毀損と認定

無資格者がカウンセリングをしている

評価低下にあたらないとして否定

裁判所は、投稿内容の真実性が証明されないとして、上記のとおり名誉毀損を認定し、被告ら連帯で240万円の支払いを命じました。

SNSで誹謗中傷の被害を受けた場合の対応方法

誹謗中傷被害への対処は、証拠保存・削除依頼・投稿者特定・法的措置の順で進めるのが一般的です。本章では、被害者が取るべき5つのステップを順番に解説します。

1.証拠を保存したうえでミュート・ブロックする

被害に気づいたら、問題投稿をスクリーンショットで保存しましょう。記録を残したうえで、ミュート・ブロックをおこなうのが望ましいです。

先にブロックしても、相手が削除しない限り、投稿は残ります。しかし通報による削除後は、URLが無効になり、証拠が消えるおそれがあります。

証拠は、少なくとも以下の情報がわかるように保存してください。

  • 投稿本文
  • 投稿日時
  • 投稿者のアカウント名
  • URL

証拠保存後にブロック・通報をする手順が、後の手続きを進めるうえで重要です。

2.運営者・管理者に投稿の削除を依頼する

問題投稿の証拠を保全したら、SNSの運営者・管理者に削除を依頼しましょう。主要なSNS事業者の申請先は以下のとおりです。

プラットフォーム

申請先

Facebook

名誉毀損に関する報告フォーム|Facebook

Instagram

Instagramでの嫌がらせやいじめの報告 | Instagramヘルプセンター

TikTok

問題の報告 | TikTok

X(旧Twitter)

X上の攻撃的な行為を報告する方法 | Xヘルプ

2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法により、大規模SNS事業者には削除申出から原則7日以内の結果通知義務が課されています。削除基準の公表も義務化されており、対応の迅速化・透明化が図られています。

申請が通らない場合は、弁護士を通じた削除申請を検討してください。

3.誹謗中傷の投稿者を調べる

SNSでの誹謗中傷が匿名投稿の場合、発信者情報開示手続を利用して、IPアドレスや氏名・住所などの開示を求めます。

投稿者の特定は、基本的に以下の二段階で進めます。

  1. SNSの運営者に対してIPアドレス開示
  2. プロバイダへの契約者情報開示

誹謗中傷の投稿者を調べる

従来の発信者情報開示請求では、段階ごとに個別の申立てが必要でした。2022年の法改正により新設された発信者情報開示命令では、SNS運営とプロバイダ双方への開示を一度の裁判手続で完結できます。

また、SNSへのログイン時のIPアドレスも開示対象に追加され、裁判所による消去禁止命令でログの消去を防げます。

プロバイダのログの保存期間は、一般的に3〜6ヵ月とされている場合が多いです。迅速かつ正確な対応が求められるため、弁護士への依頼をおすすめします。

4.投稿者に損害賠償を請求する

投稿者を特定できれば、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求できます。

慰謝料の金額は、以下のような要素を総合的に考慮して算定されます。

  • 投稿の悪質性
  • 拡散範囲
  • 投稿の動機・目的
  • 被害の継続期間
  • 被害の程度
  • 当事者の関係性

手続きは、内容証明の送付→交渉→解決困難な場合は訴訟提起の順で進めるのが一般的です。弁護士に依頼すると、損害額の算定・内容証明の作成・交渉・訴訟まで一貫したサポートを受けられます。

5.警察に被害届・告訴状を提出する

脅迫・名誉毀損・侮辱など事件性が明らかな場合は、証拠を揃えたうえで警察への被害届・告訴状の提出を検討してください。

刑事告訴は、加害者への社会的制裁と再発防止の効果があります。

なお、侮辱罪・名誉毀損罪は親告罪のため、被害者本人の告訴が必要です。公訴時効はいずれも3年ですが、告訴は犯人を知った日から6ヵ月以内におこなわなければなりません。

早期の決断が求められるため、手続きに不安がある場合は、弁護士への依頼を検討してください。

SNSで誹謗中傷の加害者にならないための対策

誹謗中傷の加害者にならないためには、投稿前の確認を習慣づけるのが重要です。特にリポストは、元の投稿の内容を十分確認せずにおこなわれやすく、加害者になりやすい行為のひとつです。本章では、意図せず加害者とならないための対策を解説します。

感情的な投稿をする前に一呼吸置く

感情的になりやすい場面では、すぐに投稿せず一呼吸置く姿勢が重要です。怒りや不満を抱えたまま書いた内容は表現が過激になりやすく、相手を傷つけたり、名誉毀損などの法的責任を問われたりするリスクを高めます。

投稿前に、投稿を見た相手がどのような気持ちになるか想像してください。以下の三つの観点で検討しましょう。

  • 事実に基づいているか
  • 公益性が認められる内容か
  • 相手を不必要に傷つける表現になっていないか

投稿前の確認の習慣化は、SNS上のトラブルや法的リスクの回避につながります。

他人の投稿を安易に再投稿・拡散しない

第三者の投稿をリポストした場合、元の投稿が誹謗中傷にあたると、拡散者も法的責任を問われる可能性があります。

「シェアしただけ」「リポストしただけ」は免罪符とはなりません。拡散行為そのものが名誉毀損の共同不法行為と判断される可能性があります。情報の真偽を確認せずに拡散した投稿が誹謗中傷だった場合、元の投稿者と同様の責任を問われるかもしれません。

本当に情報は正しいか・相手を傷つけないかを確認してから、拡散するかどうかを判断しましょう。

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SNSで誹謗中傷を受けたときの相談窓口

SNSで誹謗中傷の被害を受けたとき、一人で抱え込む必要はありません。削除依頼・法的手続き・心のケアまで、目的に応じたさまざまな相談窓口が用意されています。

違法・有害情報相談センター

違法・有害情報相談センターは、インターネット上の誹謗中傷・プライバシー侵害などのトラブルに対して、専門の相談員がアドバイスをおこなう窓口です。

以下のような悩みに対して、適切な対処方法や関連情報を提供してくれます。

  • 書き込みを削除したい
  • 投稿した相手を特定したい
  • 無断で個人情報を公開された 

サイト上ではチャットボットによる相談も可能です。

法務省のインターネット人権相談受付窓口

法務省のインターネット人権相談受付窓口は、法務省の人権擁護機関が運営するオンライン相談サービスです。

SNSでの誹謗中傷をはじめ、人権に関するあらゆる悩み相談をWebフォームから申込可能です。送信後、最寄りの法務局からメール・電話・面談のいずれかで回答が届きます。

内容によっては、法務局がプロバイダやSNS事業者に対して削除要請をおこなう場合もあります。

一般社団法人セーファーインターネット協会

一般社団法人セーファーインターネット協会は、誹謗中傷ホットラインを運営しています。ネット上の誹謗中傷に対して、掲載サイトへ利用規約に基づく削除対応を促す通知を無料でおこなう窓口です。

相談は原則として被害者本人が対象です。本人が児童の場合は、保護者や学校関係者からも受け付けています。国内外のサイトに幅広く対応しています。

投稿者の特定や法的手続きは対象外です。投稿の削除を希望する方の最初の相談先として有効な窓口です。スクリーンショットやURLを保存したうえでの相談が推奨されています。

厚生労働省「まもろうよこころ」

厚生労働省の「まもろうよこころ」は、誹謗中傷などで傷つけられた心のケアを目的とした相談窓口です。

電話・SNS・チャットなど複数の相談方法から自分に合った窓口を選べます。24時間対応の「#いのちSOS」や「よりそいホットライン」のほか、LINEやWebチャットによる相談も可能です。

子ども向けの「チャイルドライン」や「こどもの人権110番」などの窓口も設置されており、年齢や状況を問わず幅広く活用できます。

弁護士・法律事務所

法的措置を検討している場合は、弁護士への相談が有効です。

 

弁護士に依頼すれば、投稿削除を求める仮処分から投稿者の特定、損害賠償請求・刑事告訴まで、一貫したサポートを受けられます。

無料相談を設けている事務所も多いため、まずは相談だけでも早めに動くことが重要です。相談時はスクリーンショットや投稿URLなど証拠を事前に保存しておくとスムーズです。

SNSでの誹謗中傷にお悩みなら「ベンナビIT」

SNSでの誹謗中傷に関する悩みは、「ベンナビIT」を活用して弁護士に相談してください。

SNSでの誹謗中傷は、証拠保全・削除依頼・発信者情報開示・損害賠償請求など複数の手続きを並行して進める必要があります。インターネットトラブルやITに精通した弁護士なら、安心して任せられるでしょう。

「ベンナビIT」では、SNSでの誹謗中傷トラブルの解決実績が豊富な弁護士を、地域・相談内容から絞り込んで検索できます。初回相談無料の事務所も多いため、費用面の不安がある方でも気軽に相談できるのが特徴です。

費用はどのくらいかかるのか、自分のケースで対処できるのかも含め、弁護士に相談するのが解決への第一歩です。

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SNSでの誹謗中傷トラブルを解決した事例

本章では、「ベンナビIT」を通じて依頼した弁護士のサポートにより、SNSでの誹謗中傷トラブルを解決したケースを紹介します。

民事訴訟によりInstagramの投稿者を特定したケース

Instagramで事実と異なる誹謗中傷コメントを繰り返されたケースです。

投稿者は、問題となるコメントの投稿後すぐにアカウントに鍵をかけましたが、中傷コメントはすでに拡散され、被害が拡大していました。弁護士はInstagramを管理するメタ・プラットフォームズに訴訟を提起し、メールアドレス・電話番号の開示を求めました。

弁護士は開示された電話番号をもとに弁護士会照会をおこない、アカウント保有者の特定に成功。最終的には、アカウント保有者との間で、金銭の支払いと今後一切同様の投稿をしない旨の誓約を条件に和解が成立しました。

仮処分命令により悪質なInstagramアカウントを削除したケース

Instagramで氏名・顔写真を無断使用され、侮辱的な自己紹介文を掲載したなりすましアカウントを開設されたケースです。

弁護士は、Instagramを管理するメタ・プラットフォームズに任意削除を求めましたが、対応してもらえませんでした。そのため、アカウント削除の仮処分を裁判所に申し立てました。

投稿記事の削除とは異なる特殊性があるケースでしたが、過去の裁判例に基づいた粘り強い主張・立証によって仮処分命令を獲得。無事にアカウントを削除できました。

発信者を特定したうえで慰謝料150万円を獲得したケース

5ちゃんねるで営業妨害・誹謗中傷の被害を受けたインフルエンサーの事例です。

依頼者に対し5ちゃんねるで多数の誹謗中傷がおこなわれ、多大な損害が生じていました。弁護士に依頼し、発信者情報開示によって複数の加害者を特定。

投稿数が多いケースでしたが、弁護士が権利侵害に該当する投稿に絞って開示請求を進めた結果、早期解決を実現。うち一人から約150万円の示談金と再発防止の誓約を取り付けました。

SNSでの誹謗中傷に関するよくある質問

本章では、SNSでの誹謗中傷に関してよくある質問に、Q&A形式で回答します。

Q.実名を名指ししていない場合も誹謗中傷にあたりますか?

記述の内容や文脈から、読者が特定の人物を認識できると判断される場合は、実名がなくても名誉毀損が成立します。

前掲のnoteの誹謗中傷記事の削除が認められた事例(東京地裁令和8年1月29日判決)では、「D」という架空の人物名が使われていました。しかし、裁判所は、記事全体の文脈から読者が原告と同一人物と認識できると判断し、名誉毀損を認定しています。

したがって、仮名・匿名・架空の人物名を使っていても、周囲の状況や文脈から本人と特定できる場合は、誹謗中傷として法的責任を問われる可能性があります。

Q.発信者情報開示請求で開示できる内容はどこまでですか?

総務省令で認められている発信者情報は、以下のとおりです。

  • 発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名または名称
  • 発信者その他侵害情報の送信に係る者の住所
  • 発信者の電話番号
  • 発信者の電子メールアドレス
  • 侵害情報に係るIPアドレスおよびポート番号
  • 侵害情報に係る携帯電話端末などからのインターネット接続サービス利用者識別符号
  • 侵害情報に係るSIMカード識別番号
  • 侵害情報が送信された年月日および時刻(タイムスタンプ)

なお、実際の特定には2段階の手続きが必要です。まず投稿サイト(コンテンツプロバイダ)にIPアドレスの開示を求め、次にそのIPアドレスをもとに回線契約者情報をプロバイダ(通信会社)に開示請求します。

また、開示が認められるには①権利侵害の明白性、②開示を求める正当な理由などの条件を満たす必要があります。

Q.誹謗中傷トラブルの弁護士費用はいくらぐらいですか?

誹謗中傷トラブルの弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

手続きの種類

方法

着手金

報酬金

費用合計(目安)

削除請求

任意請求

0円〜10万円

5万円〜20万円

5万円〜30万円

仮処分申立て

20万円〜30万円

10万円〜20万円

30万円~50万円

発信者情報開示請求

任意請求

0円〜20万円

5万円〜30万円

15万円~30万円

仮処分申立て

10万円〜30万円

10万円〜30万円

20万円~60万円

訴訟提起

10万円〜30万円

10万円〜30万円

20万円~60万円

発信者情報開示命令

20万円~30万円

10万円~30万円

30万円~60万円

損害賠償請求

交渉・訴訟

10万円~30万円

回収額の10〜20%

要見積

刑事告訴

20万円~30万円

20万円~30万円

40万円~60万円

費用は事務所によって異なるため、複数の弁護士に相談して比較するのをおすすめします。

まとめ

SNSでの誹謗中傷は、名誉毀損罪・侮辱罪などの刑事責任や、民法上の損害賠償責任につながる深刻な問題です。

被害に遭ったら、まず証拠を保存したうえでSNS運営への削除依頼をおこないましょう。投稿者を特定できない場合は、発信者情報開示手続が利用できます。

ただし、誹謗中傷トラブルは手続きが複雑で、個人での対応には限界があります。削除・特定・賠償のいずれを目指す場合も、弁護士への依頼も積極的に検討してください。

「ベンナビIT」では、SNSの誹謗中傷トラブルに精通した弁護士を多数掲載しています。一人で悩まず、気軽に弁護士に不安を打ち明けてみましょう。

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蓮池 純 (東京弁護士会)
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本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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