ニュースや事件で会社が取り上げられたり、お店の口コミサービスを利用していたりなど、ネットで注目を集めた会社が誹謗中傷を受けるケースは近年よく見受けられます。
しかし、法人相手なら何をいっても許されるという認識は間違いです。社会的地位を陥れるような書き込みをされている場合は、法人の立場でも名誉毀損が認められる可能性が高いでしょう。
この記事では、法人に対して名誉毀損が成立する事例や、誹謗中傷被害に遭った際の対処法をご紹介します。ネットでのトラブルにお悩みの場合は、参考にしてみてください。
ネットの誹謗中傷を
放置するのは危険です!
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ネットの誹謗中傷を削除せず放置すると、以下のようなリスクが生じます。
- 新規顧客の獲得が困難になる
- イメージ低下による業績の悪化
- 既存社員の離職率の増加
- 求人・採用活動への悪影響
- 取引先や顧客の信頼を損なう
また、SNSや他サイトで拡散され続ければ、完全な削除は難しくなってしまいます。
誹謗中傷の対応は時間との勝負です。
IT弁護士ナビでは、『相談料が無料』の事務所も多数ございます。
少しでも早く誹謗中傷トラブルを解決したい場合は、お近くの法律事務所へご相談ください。
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法人でも名誉毀損が成立する条件
刑法では、以下の3つを満たした場合に名誉毀損が成立すると定められています。
名誉毀損が成立する条件
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- 社会的評価を下げる言動
- 言動の真偽を確かめることができる内容
- 公然の場(ネットも該当)であること
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上記の要件には、名誉毀損の対象が個人か法人化の定めはありません。つまり、法人への誹謗中傷も個人が対象のものと同様に、名誉毀損として扱われることになります。
【詳細記事】名誉毀損罪は真実にもかかわらず成立する理由と訴えるための事前知識
名誉毀損が成立しない例外ケース
上記で紹介した条件を満たしていても、以下の要件に該当している場合には、名誉毀損として扱われません。
- 公的に利害が絡んでいる(公共性)
- 利害を目的としている(公益性)
- 真実である(真実性)
例えば、会社が不祥事を起こしてそれが報道されてしまったという状況は、その真実の公表が公共の公共性を満たしていると判断されるため、名誉毀損には該当しないでしょう。
また、過去に起こした不祥事について言及されている場合も、事件から時間が経過していない状況だと、公共性が認められやすい傾向にあります。
法人の構成員に対する名誉毀損の扱い
誹謗中傷の対象が法人に所属する特定の構成員だけの場合には、法人に対しての名誉毀損は認められません。このようなケースは、個人に対しての名誉毀損事件として扱われるでしょう。
ただ、名誉毀損の対象になった構成員が、法人の絶対的存在として世間に認知されており、この構成員への名誉毀損が法人への名誉毀損と同義と捉えられるようであれば、法人に対しての名誉毀損の成立もあり得ます。
法人に対する名誉毀損の例
次に、どのような誹謗中傷が名誉毀損に該当するかイメージしやすいよう、以下の2つの具体例をご紹介します。
名誉毀損の具体例
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- 名誉毀損が成立しやすい例
- 名誉毀損が成立しにくい例
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名誉毀損が成立しやすい例
あの会社は安月給で人を雇って残業させまくっている。人を人として扱えない最悪のブラック企業だ。
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役に立たない商品を広告の力だけでゴリ押しして、お客を騙して稼いでいる悪徳企業。
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店員の態度が最悪。敬語もまともに喋れないとか社会人として失格でしょ。
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名誉毀損が成立しにくい例
体育会系ノリの社員が多く、大手企業から転職した自分は、騒がしい職場という印象を受けました。
※あくまで個人の感想であり、社会的価値を下げる投稿ではない
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昨年に不祥事を起こしたばかりだから、車を買うなら今は別のメーカーにしたほうがいいよ
※不祥事が事実の場合は、公益性のある情報だと判断されるため
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ネットで名誉毀損を受けた場合の対処法
ネットで名誉毀損を受けた場合の対処法は、以下の通りです。
名誉毀損への対処法
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- サイトへ削除依頼を出す
- 法的措置(犯人特定→賠償金請求)をとる
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スマホ普及率の増加に伴い、ネットの影響力は年々と高まっています。特に誹謗中傷の情報はすぐに拡散されやすいため、早急の対応をご検討ください。
サイトへ削除依頼を出す
名誉毀損が書き込まれているサイトへ、その投稿を削除する依頼を出しましょう。まずは、名誉毀損がこれ以上の多くの人の目に触れないようにすることが先決です。
削除依頼の方法やルールは、サイトによって異なります。利用規約を確認の上、お問い合わせフォームから削除依頼を申請してください。
法的措置(犯人特定→賠償金請求)をとる
以下のような状況にお悩みの場合は、法的措置を検討したほうがよいかもしれません。
- サイトへ削除依頼を出しても対応してもらえない
- 削除しても何度も名誉毀損が繰り返される
- 名誉毀損の投稿により大きな損害が生じている
名誉毀損の犯人を特定して警告や賠償金請求をすることで、これ以上の誹謗中傷を抑止できます。
ただし、犯人の特定や損害賠償請求の手続きには、裁判が必要になる可能性が高いです。法的措置での対応を検討する場合は、弁護士の意見を参考にしつつ慎重に判断しましょう。
【詳細記事】ネット誹謗中傷の犯人特定方法|必要な期間と費用の目安を確認
弁護士に対処を依頼する際の注意点
最後に、弁護士に名誉毀損の対処を依頼する際の注意点を2つご紹介します。
弁護士に依頼する際の注意点
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- 犯人の特定には時間制限がある
- 弁護士には得意分野がある
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犯人の特定には時間制限がある
犯人の特定にはIPアドレス情報が必要になりますが、名誉毀損の投稿からIPアドレスが保存されている期間は、3ヶ月がおおよその目安であるといわれています。
IPアドレスの情報が消えてしまうと、犯人特定ができなくなるので注意してください。手続きの期間も考慮するのであれば、遅くても名誉毀損の投稿から1ヶ月半以内の手続き着手が望ましいでしょう。
弁護士には得意分野がある
医師に内科や外科などの専門があるように、弁護士にも交通事故や離婚などの得意分野があります。ネットの名誉毀損トラブルの対処は、IT分野を得意とする弁護士から依頼先を検討しましょう。
ご自身の抱えているトラブルと似た案件の解決実績がある事務所への依頼が最も確実です。弁護士の選び方に悩んだ場合は、以下の記事を参考にしてみてください。
【詳細記事】ネットに強い弁護士とは|IT分野に実績ある弁護士の探し方
まとめ
法人に対する誹謗中傷でも、以下の3つの要件に該当する場合は、名誉毀損として扱われます。
- 社会的評価を下げる言動
- 言動の真偽を確かめることができる内容
- 公然の場(ネットも該当)であること
ネットでの誹謗中傷トラブルは、時間が経過するにつれ被害が拡大しやすいのが特徴です。現実で名誉毀損による実害を被る前に、早急に対処されることを強くおすすめします。