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ネット上の誹謗中傷における犯人特定の流れ|気になる弁護士費用は?
誹謗中傷 2018.10.30 弁護士監修記事

ネット上の誹謗中傷における犯人特定の流れ|気になる弁護士費用は?

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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インターネットを利用していると、匿名の書き込みから誹謗中傷を受けるリスクが伴います。

誹謗中傷の書き込みはその人の印象に大きく左右しますし、場合によっては職場や学校など私生活でのトラブルに発展するケースもあります。

サイト管理者やプロバイダに情報開示請求などを行うことで、書き込みの削除や犯人の特定が可能となります。

ここでは、誹謗中傷の書き込みをされた場合の書き込み削除と犯人特定の流れについて解説していきます
 

プロバイダ責任制限法とは?

誹謗中傷の書き込みを見つけた際に、該当の書き込みを削除して犯人を特定するためには「プロバイダ責任制限法」という法律を参照する必要があります。
この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
 
プロバイダ責任制限法は正式には、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」といい、インターネットプロバイダやサイト管理者の責任をある一定に制限するための法律です。

プロバイダ責任制限法の定める「発信者情報開示請求」の手続きを行うことによって、誹謗中傷の書き込みをした犯人の特定を行えます

発信者情報開示請求が認められる条件は、以下のように定められています。
一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
 

ネット上での誹謗中傷を受けた場合の犯人特定の全手順とは

ここでは、ネット上で誹謗中傷の被害を受けた場合の犯人特定の流れを解説します。当該書き込みの削除や犯人特定の手順を確認したうえで、ネット上のトラブルに詳しい弁護士に相談しましょう。
 

サイト管理者に発信者情報開示の連絡をする

ネット上に書き込まれた誹謗中傷について行為者を特定するには、サイト管理者から書き込みをした犯人の発信者情報を開示してもらう必要があります。

サイト管理者に連絡をする手段としては、「当該サイトの削除依頼フォームから連絡する」、「運営会社に直接電話する」、「発信者情報開示請求書を送付する」という大きく分けて3つの方法があります。

このうち、「発信者情報開示請求書」をサイト管理者に対して提出する方法が一般的です。この書類は、発信者に関する情報の開示を請求するもので、以下の内容が対象となっています。
 
  • 発信者氏名
  • 発信者住所
  • 発信者メールアドレス
  • 発信者IPアドレス
  • IPアドレスと組み合わされたポート番号
  • 侵害情報に関与している携帯電話等の端末からのインターネット接続サービス利用者識別符号
  • 侵害情報に関与するSIMカード識別番号
  • 侵害情報の送信日時や時刻(タイムスタンプ) 
発信者情報開示請求書には、①誹謗中傷が記載された内容と当該サイトのURL、②侵害された権利、③権利侵害が明らかとなる理由、④権利侵害に関する根拠の4点について、記載する必要があります

不安な方は弁護士への相談をおすすめします。
 

仮処分の申し立てを行う

サイト管理者へ発信者情報開示請求を行っても、応じてもらえない場合があります。サイト管理者にも投稿者の「表現の自由」を守る権利があるからです。

このように裁判外での交渉にサイト管理者が応じてくれない場合には、『仮処分』という裁判手続きによって、発信者情報の開示を行う必要が生じます

この仮処分の申し立てのことを「発信者情報開示仮処分命令申立」といいます。裁判所が申し立てを認めた場合には、サイト管理者に対して、発信情報開示命令が出されます。

なお、プロバイダの通信ログ保存期間は3ヶ月と短いので、発信者情報開示仮処分命令申立ではなく訴訟を提起した場合には、当該書き込みを削除されてしまう場合もあります。

発信者情報開示仮処分命令申立を行った場合も、申し立てから仮処分までは約1ヶ月かかるため、いずれにしても迅速な対応が必要といえます

通信ログを削除されないためにも、まずは迅速な仮処分の申し立てを行いましょう。

なお、裁判所へ発信者情報開示仮処分命令申立を行う際は、ネット犯罪に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
 

サイト管理者に誹謗中傷記事削除・発信者情報開示命令

裁判所によって発信者情報開示仮処分が認められると、裁判所からサイト管理者に対して発信者情報開示命令が出されるため、管理者から誹謗中傷記事犯人を特定するための「IPアドレス」が開示されます。

IPアドレスが明らかになると、犯人が利用しているプロバイダを特定できます
 

開示情報をもとにプロバイダの特定

開示情報をもとに、プロバイダを特定します。IPアドレスが判明しておりますので、プロバイダの特定はスムーズに行えます。ネット犯罪に詳しい弁護士へ依頼することで、直ちに手続きに移行するでしょう。
 

プロバイダに犯人特定の情報開示を請求する

プロバイダを特定できたら、そのプロバイダに対して犯人特定のための氏名や住所、メールアドレス等の情報開示を請求します。この情報開示も、プロバイダ責任制限法に基づき行われます。

なお、プロバイダに対する情報開示請求には、決められた書式などはありませんが、やはりネット犯罪に詳しい弁護士と相談の上、行うのが適切でしょう。

注意したいのが、情報開示請求をしても、プロバイダが情報開示請求に必ず応じてくれるわけではないという点です。

プロバイダ側からすれば書き込みをした人物は顧客であり、個人情報保護の観点からもプロバイダが任意の情報開示請求に応じてくれるケースは多くないといえます。
 

プロバイダに対して発信者情報消去禁止仮処分命令申立

プロバイダが発信者情報開示請求に応じてくれない場合には、訴訟を提起することになります。訴訟の前には必ず、プロバイダが保有する当該誹謗中傷記事投稿者のログの消去を防ぐ「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」を、裁判所に行っておきましょう

一般に、訴訟を提起すると、判決まで3ヶ月〜6ヶ月ほどかかります。プロバイダによる通信ログの保存期間は3ヶ月であるため、犯人特定前にログが消去されてしまう可能性があります。そのため、ログの消去を防ぐ仮処分が必要となるのです。

発信者情報消去禁止仮処分命令申立が裁判所によって認められると、発信者の特定に必要なログの記録は、発信者情報開示請求の手続きが終わるまでの間、消去できない状態となります。
 

プロバイダに対して発信者情報開示請求の訴訟

プロバイダによる通信ログの消去を防止したら、「発信者情報開示請求の訴訟」を提起します

原告側の請求が認容されれば、プロバイダは判決内容に従って、誹謗中傷記事の書き込みをした人物の氏名、住所、メールアドレス等開示対象となっている情報を開示しなければなりません。
 

犯人特定

プロバイダから開示された情報で犯人を特定できます。犯人が特定された後は、刑事告訴や損害賠償請求などの必要な手続きへと移行することとなります。

なお、誹謗中傷記事に極めて高い悪質性がある場合には、警察に被害届を提出して刑事告訴を行うことで、犯人逮捕に至るケースもあります。対応については弁護士との相談の上、決定しましょう。
 

発信者情報開示請求は弁護士に依頼すべき?

誹謗中傷の書き込みがあった場合には、「プロバイダ責任制限法」に従って、本事案が権利侵害に該当するかを判断する必要があります。個人的な判断ではなく、ネット犯罪に詳しい弁護士に相談しましょう。

サイト管理者に対して、任意の発信者情報開示請求のみを行うのであれば、個人が行うことも事実上は可能です。

しかし、発信者情報開示請求に関しても「侵害された権利」「権利侵害が明らかとなる理由」「権利侵害に関する根拠」を不備なく記載するためには、法律に関する知見が必要です

さらに、サイト管理者が任意の発信者情報開示請求に応じる可能性は低いため、その後は高確率で仮処分を行うことになります。その際は弁護士の介入が必須となるため、はじめから弁護士に依頼しておいた方がよいといえるでしょう

ネット上の誹謗中傷では、通信ログの保存期間が3ヶ月と短いため、該当記事が発覚した段階で迅速な対応が必要となります。お早めに弁護士に相談することをおすすめします。

発信者情報開示請求における弁護士費用

ここでは、発信者情報開示請求に関する弁護士費用についてご紹介します。
 

法律相談料

ネット犯罪に詳しい弁護士への法律相談料金は、一般的には1時間あたり5,000〜10,000円が相場です。

ただし、これはあくまで目安であり、初回は相談無料としている弁護士事務所もありますので、詳しくは弁護士事務所へお問い合わせください。
 

着手金

誹謗中傷記事の削除請求に関する着手金は10〜20万円前後、発信者情報開示請求に関する着手金は20万円前後が、それぞれ相場となっています。これはあくまでも目安ですので、詳しくはネット犯罪に詳しい弁護士に相談しましょう。
 

成功報酬

成功報酬額は、誹謗中傷記事の削除請求では5〜20万円、発信者情報開示請求では10〜20万円が相場となっています。

損害賠償請求費用について

発信者情報開示請求を行い犯人が特定できた場合、必要に応じて損害賠償請求に移行します。以下ではこの損害賠償請求にかかる弁護士費用をご紹介します。
 

着手金

損害賠償請求を行う場合の着手金は、20万円前後となります。このほか、裁判1回につき3万円の費用が必要となります。
 

成功報酬

損害賠償請求では、賠償請求を行った犯人からの回収額に応じて、報酬金が設定されています。一般には経済的利益の10〜20%となりますが、あくまで目安ですので詳しくは、ネット犯罪に詳しい弁護士事務所にご相談ください。

まとめ

ネット上の誹謗中傷に関する犯人特定は、プロバイダ責任制限法に基づき、権利侵害の条件に合致するかどうかを判断するところから始まります。

サイト管理者に対して、発信者情報開示請求を行うことは個人でも可能ですが、発信者情報開示請求書の作成などは法律に関して知見がないと事実上難しいといえます。通信ログの保存期間なども限られることから、スムーズな手続きを行うには、早期での弁護士への相談をおすすめします

ネット犯罪に詳しい弁護士事務所へ相談しましょう。
この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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