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投稿者の特定・訴訟 弁護士監修記事 公開日:2019.3.25  更新日:2022.10.27

ネット誹謗中傷の特定方法|書き込み犯人を調べる費用の相場は?

阪神総合法律事務所
曾波 重之
監修記事
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ネット上に悪質な書き込みをされてショックを受けている、書き込みのせいで周囲に悪い人だと誤解されてしまった、などネットの誹謗中傷被害に苦しんでいるなら犯人を特定し、責任を追及することが可能です。

ネット上の書き込みは匿名性があり、すぐに書き込んだ本人を特定できないため被害がエスカレートすることは少なくありません。実際罪に問われた犯人は「バレないだろうと思った」と答えることも多く、安易な気持ちでおこなっている可能性が伺えます。

悪質な投稿に悩んでいるなら、法的処置での対応も有効な選択肢の1つです。

この記事では、ネット誹謗中傷の犯人特定の流れや、必要になる期間や裁判費用、また弁護士に依頼した場合の費用の目安などをご紹介します。犯人を特定し、賠償金請求を検討している場合は参考にしてみてください。

ネットの投稿者の特定には
時間制限がある!

誹謗中傷の犯人を特定できるのは、書き込みから3ヶ月以内といわれています。

 

ネット接続業者による投稿者情報の保存期間がおおよそ3ヶ月だからです。

 

ただ、特定手続きにかかる時間も考慮すると、1ヶ月半がタイムリミットといえるでしょう。

 

犯人を特定できないと…

  • 損害賠償(慰謝料)を請求できない
  • 誹謗中傷が繰り返される恐れがある


弁護士であれば、素早くスムーズに手続きが進められます。

 

犯人の特定を検討している場合は、お近くの法律事務所へお悩みをご相談ください。

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誹謗中傷の犯人を特定するまでの流れ

誹謗中傷犯人の特定から賠償金請求までの手続きの流れは、以下の通りです。

IPアドレス開示請求の流れ

『IPアドレスの開示請求』→『個人情報の開示請求』→『賠償金請求』が基本の流れとなります。まずは、それぞれの手続きの詳細を確認していきましょう。

IPアドレスの開示請求

まずは、誹謗中傷が書き込まれたサイト(掲示板やSNSなど)の運営者に対して、投稿者のIPアドレスの開示請求を行います。

IPアドレスとは、PCやスマホなどのネットワーク機器に振り分けられた番号です。この情報を特定すれば、IPアドレスの発行元に投稿者の個人情報を請求できます。

しかし、サイト運営者にも個人情報を管理する義務があるため、必ずしも開示請求に応じてくれるとは限りません。そのため、仮処分(裁判)を通じてサイト運営者へ裁判所からの命令を出してもらい、開示請求に応じてもらうようになります。

【詳細記事】IPアドレスを特定する方法|住所など個人情報を知るための手続き

個人情報の開示請求

犯人が投稿に用いたIPアドレスを特定したら、そのIPアドレスを管理するネット事業者(プロバイダ)に対して、個人情報(氏名、住所、電話番号など)の開示請求をおこないます。

ネット事業者が犯人へ情報を開示してよいか確認した後、犯人がそれを許可すれば個人情報が開示されます。しかし、犯人が素直に応じるケースは稀なので、ほとんどの場合裁判が必要になります。

裁判で個人情報の開示が妥当だと判決を受けた後、ネット事業者(プロバイダ)へ犯人の個人情報の開示請求をおこない、犯人を特定します。

【詳細記事】プロバイダ開示請求の費用や期間を徹底ガイド!成功率を上げる条件とは?

犯人への賠償金請求

犯人の身元を特定したら、示談交渉または裁判を通じて犯人へ賠償金請求をおこないます。誹謗中傷で請求できる慰謝料の相場額は、以下の通りです。

誹謗中傷の内容

慰謝料の相場

名誉毀損(一般人)

10〜50万円

名誉毀損(事業主)

50〜100万円

侮辱

10〜50万円

プライバシー侵害

10〜50万円

プライバシー侵害(ヌード写真の公開)

100万円以上

犯人が素直に賠償金請求へ応じれば示談での解決、犯人が請求に応じなかったり、金額で揉めたりした場合は裁判を通じて請求することになります。

誹謗中傷の特定手続きにかかる期間

IPアドレス開示請求と個人情報開示請求で裁判が必要になると仮定した場合、誹謗中傷犯人の特定にかかる期間の目安は、以下の通りです。

犯人特定にかかる期間の目安

IPアドレス開示請求(仮処分)

1~2ヶ月

個人情報開示請求(裁判)

3~4ヶ月

誹謗中傷の特定にかかる費用

誹謗中傷の犯人特定にかかる主な費用は、以下の2つです。

  • 裁判費用
  • 弁護士費用

ここでは、特定にかかる費用の相場や特定費用の請求先について確認していきましょう。

裁判費用と弁護士費用の目安

誹謗中傷の犯人特定にかかる裁判費用と弁護士費用の相場は、以下の通りです。

 

着手金

報酬金

裁判費用

削除依頼

裁判外

5万円~10万円

5万円~10万円

×

裁判

約20万円

約15万円

3万円

発信者の身元特定

裁判外

約5万円~10万円

約15万円

×

裁判

約20万円~30万円

約15万円~20万円

6万円

損害賠償請求

裁判外

約10万円

慰謝料の16%

×

裁判

約20万円

慰謝料の16%

3万円

なお、弁護士費用は、事務所によって金額や料金体系が異なります。弁護士の法律相談を利用する際は、費用についても詳しく確認しておきましょう。

特定費用は犯人への請求も可能

犯人の特定にかかった費用は、賠償金請求時に犯人へ請求できる権利が認められています。

ただ、特定費用の請求範囲は裁判官の判断に委ねられますし、犯人に支払い能力がないと請求しても回収できない場合もあるので、必ずしも費用を負担しなくて済むとは限りません

特定費用をどこまで請求できるかは、事件の状況によって異なります。

費用を用意できない場合の対処法

特定費用を犯人へ請求できるとしても、損害賠償請求をするまでは被害者の自己負担になります。特定にかかる費用は安価ではないので、それがネックで依頼を躊躇する人も少なくありません。

「費用は用意できないけどどうしても犯人を特定したい…」そのような場合は、法テラスの民事法律扶助制度の利用を検討してみましょう。

民事法律扶助制度を利用すれば、月10,000円もしくは5,000円の分割返済で弁護士に依頼できます。ただし、利用条件がいくつか定められていますので、詳細に関しては法テラスの公式ページをご参照ください。

【詳細】無料の法律相談を受けたい|法テラス

誹謗中傷の犯人を特定できる条件

誹謗中傷犯人の個人情報を公表してもらうには、『プロバイダ責任制限法』という法律で定められた以下の条件を満たしている必要があります。

一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
 

【引用】プロバイダ責任制限法第4条1項

権利の侵害とは何か

プロパイダ責任制限法に記載されている『権利の侵害』に該当するかどうかは、書き込みの内容が以下の罪に該当するかで判断できます。

侵害行為

詳細

名誉毀損

公然の場で事実を摘示して第三者の評判を落とす誹謗中傷

侮辱

公然の場で事実を摘示しないで第三者の評判を落とす誹謗中傷

プライバシー侵害

公共の場で公開を望んでいない個人情報や私生活の情報の暴露

権利侵害の誹謗中傷例

<名誉毀損の例>


  • 常に女遊びをして不倫を繰り返す最低男
  • あいつは前科持ちの元犯罪者
  • 過去に自己破産をしている貧乏人

<侮辱の例>


  • あいつはバカだ
  • 仕事も勉強もできない落ちこぼれ
  • あの歳でヒモとか生きてる価値ない

<プライバシー侵害の例>


  • 個人情報(名前,住所,電話番号など)の晒し行為
  • 病気や病名に関する情報の公開
  • 手紙やメール、電話内容の公開

誹謗中傷の犯人を特定できない4つのケース

お伝えしてきたように、手順を踏むことで誹謗中傷をした犯人を特定することは可能です。しかし、以下のような場合には特定ができない、または特定が難航する可能性があります。

  1. ログが消えてしまっている
  2. 海外のプロキシサーバーを経由している
  3. 公共のフリーWi-Fiを利用している
  4. インターネット設備備え付けの集合住宅から投稿している

それでは、1つずつ見ていきましょう。

➀ログが消えてしまっている

1つ目は、ログが消えてしまっているケースです。ログにはIPアドレスや接続日などが記録されています。

ログの保存期間は法律で定められているわけではありません。言わば、サイト運営者やISP(インターネットサービスプロバイダ)でいつでも消去できる状態です。ログが消去されている場合、IPアドレスの情報開示請求をしても犯人を特定することはできません。

とはいえ、TwitterやFacebookなどのSNS、2ちゃんねるなどの掲示板サイトでは、基本的に一定期間ログを保存しています。ISPについては、au、docomo、SoftBankなどの大手キャリアが約3ヶ月間(利用条件にもよる)、固定ネット回線のISPは6ヶ月間程度ログを保存しています。

ただ、既にご紹介したように特定には時間がかかるため、誹謗中傷の被害に遭ったらなるべく早めに行動するようにしましょう。

➁海外のプロキシサーバーを経由している

2つ目は、海外のプロキシサーバーを経由しているケースです。

プロキシサーバーは、インターネットとユーザーとの間で中継を担っているサーバーのことで、セキュリティ対策や回線の性能向上などの理由で設置されています。プロキシサーバーを経由している場合、開示請求先はプロキシサーバーの管理者になります。

海外プロキシサーバーを経由していた場合、そのまま日本の法律を適用できるかどうかは準拠法にもよるため、対応が難しくなります。海外対応も可能な弁護士に依頼すれば、情報開示請求できる可能性もありますが、開示まで長期間を要するだけでなく費用もかさみます。

海外のプロキシサーバーを経由している場合、犯人を特定するのは困難といえます。ただ、SNSや掲示板サイトでは、はじめから海外プロキシサーバーを経由したアクセスを遮断しているところも多くなっています。

③公共のフリーWi-Fiを利用している

3つ目は、公共のフリーWi-Fiを利用しているケースです。フリーWi-Fiは、飲食店や空港、交通機関やコンビニなどさまざまな場所で利用できます。

このようなフリーWi-Fiを利用して投稿した場合、情報開示請求をしても特定できるのはフリーWi-Fiを管理している機関や会社のIPアドレスまでで、犯人を特定することは難しいといえます。

④インターネット設備備え付けの集合住宅から投稿している

4つ目は、インターネット設備備え付けの集合住宅から投稿しているケースです。

この場合も、IPアドレスの情報開示請求をして特定されるのはマンション管理会社のIPアドレスです。「何号室の人」などの情報を得ることはできないので、犯人を特定するのは難しいでしょう。

ただし、インターネット設備が備え付けの集合住宅であっても、個人でプロバイダを契約している場合は犯人を特定できる可能性が十分にあります。また、集合住宅と同様に、ネットカフェなども犯人の特定が難しいので注意が必要です。

誹謗中傷の犯人を特定するためにやるべきこと

誹謗中傷の被害に遭い、警察や弁護士へ相談しても「誹謗中傷に遭った」と単純にいうだけでは情報開示請求に至るのは難しいでしょう。犯人を特定したいと考えるなら、被害を相談する前にしっかりと準備しておく必要があります。

証拠を残す

SNSやネット上で誹謗中傷に遭った際、まずは証拠を残すようにしましょう。万が一、投稿を削除された場合、被害に遭ったことを証明できるものがなくなってしまいます。

誹謗中傷にあたる投稿をURLとともにPDFで保存するか印刷しておきましょう。URLの記載がないスクリーンショットでは証拠として不十分と判断される場合があります。

投稿内容が犯罪かどうか確認する

投稿の内容が犯罪にあたるかどうか確認しておくことも大切です。特に警察は事件性がなければ捜査してくれません。

誹謗中傷で問われるのは、主に「名誉毀損罪」「侮辱罪」「脅迫罪」などの罪です。これらの罪に該当するかどうか、誹謗中傷の内容を確認しましょう。

ただし、法律に詳しくなければ、投稿の内容が犯罪にあたるかどうか見極めるのが難しい場合もあります。判断に迷ったときは、弁護士などに相談することをおすすめします。

誹謗中傷にあたる投稿を削除したい場合

SNSやネット上の誹謗中傷は、運営サイトに削除してもらうことも可能です。

特に、Twitterには投稿を拡散するリツイート機能が備わっているため、誹謗中傷のツイートがどんどん拡散されてしまう可能性があります。被害を最小限に抑えるためにも、なるべく早めに対応することをおすすめします。

SNSやネット上の誹謗中傷を削除する方法として「サイトのルールに従っておこなう」「弁護士に依頼する」の2つが考えられます。

サイトのルールに従っておこなう

誹謗中傷の投稿を削除したいとき、各SNSやサイトのルールに従って削除申請を出すのが一般的です。基本的に、TwitterやFacebookなどのSNSではルールが決まっており、そのルールに違反していた場合は投稿を削除してもらえる可能性があります。

SNSやサイトのヘルプセンターから問い合わせられるので、まずは削除申請できるのか確認してみましょう。

SNSでは、DM(ダイレクトメッセージ)などを通じて、直接相手に削除を依頼することもできますが、素直に応じてくれるかは疑問です。DMをネットに晒すなどされてさらにトラブルを拡大させてしまう可能性もあるので、直接削除依頼をする場合は十分注意する必要があります。

弁護士に依頼

各SNSやサイト削除申請を出しても、必ず投稿が削除されるわけではありません。あくまで、それぞれのルールに照らし合わせて違反していると判断された場合に限ります。ルールに違反していないと判断され削除されなかった場合は、「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」を利用することで削除してもらえる可能性があります。

侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書を提出すると、サイト運営者(プロバイダ)は誹謗中傷の投稿内容について「プロバイダ責任制限法」を基に審査することになります。削除が適切と判断されれば、投稿者に対して削除の意思確認をおこないます。投稿者が同意する、もしくは7日間返答がない場合は投稿を削除します。

各SNSやサイトのルールではなく、「プロバイダ責任制限法」を基準に審査してもらえる点が大きな違いです。

侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書について、作成や申請は自分でもできますが、この内容で審査してもらえるのか判断に迷う可能性があります。審査の是非にかかわることなので、弁護士に相談し、内容の確認や手続きをおこなってもらいましょう。

告訴した場合に犯人が科される罰則

ネット上で他者の権利を侵害する投稿をした場合は、以下の罰則が科される可能性があります。

侵害行為

罰則

名誉毀損

3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金

侮辱

拘留(1日以上30日未満刑事施設拘置)または科料(1,000円以上1万円未満の罰金)

プライバシー侵害

規定なし

プライバシー侵害に関して刑事罰は定められていませんが、内容によっては名誉毀損等、別の侵害行為の罰則が科されるケースもあり得ます。賠償金請求だけでなく加害者への罰則も望む場合には、弁護士にその旨を伝え、警察への告訴を検討しておきましょう。

プロバイダ責任制限法の改正による情報開示請求の変更点

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行され、手続き等に変更がありました。主な違いは次の3点です。
 
➀新たな非訴手続きの創設
②開示情報の範囲の見直し
③発信者が開示を拒否した場合の理由照会の義務化
 
ここでは、これら変更点について簡単にお伝えします。

1回の手続きで情報開示請求できる新たな非訴手続きの創設

これまでは発信者情報を特定するために、「コンテンツプロバイダへの発信者情報開示仮処分」と「アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求」の2つの裁判手続きが必要でした。
 
その分、発信者の特定まで時間と費用がかかるうえに、2回の裁判の途中でログ保存期間が経過し、発信者の特定が困難になるなどのデメリットがあったのです。
 
改正後は、新たな非訟手続として「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が創設され、1回の手続で発信者情報の開示請求が可能になりました。非訟手続は訴訟以外の裁判手続のことで、訴訟に比べて手続きが簡易で柔軟な対応ができるのが特徴です。
 
新設された「発信者情報開示命令に関する裁判手続」では、「①裁判所に対する開示命令」「②コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する提供命令」「③アクセスプロバイダに対する消去禁止命令」を同時に申立てます。
 
このように、1つの裁判手続きで済むことと、消去禁止命令があることから、発信者の特定まで時間が短縮され、ログが消えて発信者情報の開示が困難になるのを防ぎ、より円滑に被害者の損害が回復されることが見込まれます。

既存の2段階の手続きも認められている

改正プロバイダ責任制限法では、既存の「発信者情報開示請求権にかかる手続き」による2段階の手続きも認められています。つまり、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」と「発信者情報開示請求権にかかる手続き」のどちらの方法でも発信者情報の開示請求が可能です。
 
もっとも、新設の手続きではアクセスプロバイダとコンテンツプロバイダの間で必要な情報を相互に提供し合う必要があり、円滑に発信者情報の特定に至るか難しいケースも考えられます。
 
例えば、IPアドレスやタイムスタンプなどで発信者が特定可能な平易なケースであれば、新設の手続きを利用するのが理想でしょう。
 
一方、ポート番号など他の情報が必要なケースや、事前にプロバイダが強く情報開示を拒否すると予想されるケースなどは、既存の手続きを必要とする可能性が高く、ケースバイケースでどちらの手続きを選択すべきか判断することになります。

ログイン時情報を開示請求可能に

近年のSNSはログイン型サービスが主流になりました。同サービスではログインした状態で様々な投稿をおこないます。もっとも、そのようなログイン型サービスは、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスを保有していないケースも少なくありません。
 
そして、ログイン時のIPアドレスは既存のプロバイダ責任制限法において「発信者情報」に該当するか明確になっておらず、開示されるかどうかは裁判所により個別に判断されていました。また、ログイン時の通信を媒介したプロバイダに関しては、開示請求の対象とはしていませんでした。
 
つまり、権利侵害を受けたにも関わらず発信者が特定できないケースもあったのです。
 
そこで改正プロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスについて「特定発信者情報」と明文化し、ログイン時のIPアドレスについても開示請求権を認めました。さらに、ログイン時の通信を媒介したプロバイダも開示請求の対象と認めています。
 
これにより、ログイン型サービスにおいて、投稿時のIPアドレスが保存されていないケースであっても、ログイン時IPアドレスを特定発信者情報とし情報開示請求が可能になりました。
 
もっとも、ログイン時のIPアドレスの開示が認められるには「請求対象のプロバイダが特定発信者情報のみしか保有していない」など条件が設けられています。つまり、ログイン時の情報が開示されるのはログイン型サービスのみに限定される点に注意が必要です。

意見照会で発信者が情報開示に応じないときの理由の照会

既存のプロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求があった場合、プロバイダは発信者に対して意見照会をしなければならないと定められています。意見照会は簡単にいえば「発信者に対して情報を開示してもよいか確認すること」と表現できます。
 
改正プロバイダ責任制限法でも意見照会自体について定めがあるものの、新たに、「発信者が開示に請求に応じない場合にはその理由を照会する」旨の規定が定められました。
 
つまり、発信者が情報開示請求に応じない場合、プロバイダはその理由について聞き取りをしなければなりません。
 
これにより、発信者が情報開示に応じない理由を把握したうえで、プロバイダが適切な対応がとれるようになります。

まとめ

誹謗中傷の犯人特定から賠償金請求までの流れは、以下の通りです。

  1. IPアドレスの開示請求
  2. 個人情報の開示請求
  3. 犯人への賠償金請求

これらの手続きにはITと法律の専門知識が欠かせません。個人での対応は難しいので、犯人の特定を検討している場合は、なるべく早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

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この記事の監修者
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曾波 重之 (大阪弁護士会)
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相護士ナビ編集部

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