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投稿者の特定・訴訟 弁護士監修記事 公開日:2020.8.17  更新日:2023.1.26

開示請求は急げ!|プロバイダのログ保存期間は短い

小笠原六川国際総合法律事務所
神田知宏
監修記事
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SNSでの誹謗中傷で心身ともに傷つくこともありますよね。匿名の投稿者に謝罪してもらいたい・賠償金を請求したい。そう思っても当然のことですし、「発信者情報開示請求」として実際に行動を起こすことも可能です。

ただし、思い立ったらなるべく早く行動を起こす必要があります。

ネットへの投稿(ログ)は、プロバイダを通じて保存されていますが、保存期間は3~6ヵ月と非常に短い場合がほとんどです。

発信者情報開示請求を成功させるためには、この期間内にサイト運営者に対してIPアドレスの開示請求を始める必要があるのです。開示請求には期限があることを知っておきましょう。

当コラムでは、プロバイダのログ保存期間を踏まえつつ、発信者情報開示請求が間に合うタイミングについて解説していきます。

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ネット投稿のログの請求先は2つある

発信者情報開示請求でネット投稿者を調べるには、『問題の投稿がされたサイト』と『投稿者が利用したプロバイダ』の両方に対して手続きを行うことになるケースが一般的です。

ネット投稿者を特定するまでの流れ

  1. 投稿があるサイトへIPアドレスの開示請求
  2. ①で得たIPアドレス情報からネット事業者を特定
  3. プロバイダへ投稿者の住所氏名の開示請求


※実名登録が必要なサイトの場合は、サイトに対して投稿者の氏名・住所の開示請求をするだけで特定できる

そのため、発信者情報開示請求では、2つのログ保存期間が関係してきます。

  • サイト(掲示板やSNS等)のログ
  • プロバイダ(ネット事業者)のログ

一般的には、プロバイダのログ保存期間が発信者情報開示請求のタイムリミットとして挙げられます(当コラムの冒頭も同様)。

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

サイトよりプロバイダのログ保存期間が重要

ネット投稿者の特定は、『サイトへの開示請求』→『プロバイダへの開示請求』という流れが基本です。

つまり、発信者情報開示請求を成功させるには、プロバイダのログが消える前に、サイトへの開示請求を済ませプロバイダへ開示請求できる状態にしておく必要があります。

(匿名サイトの場合)サイトのログ保存期間内であっても、プロバイダのログが消えていたら投稿者の個人情報は得られません。そのため、プロバイダのログ保存期間の方が重要視されています。

発信者情報開示請求の申し立て期間

なお、サイトのログ保存期間は、プロバイダのログ保存期間よりも長い状況です。

※サイトによっては投稿・アカウントの削除でログが消えるケースもあるため、開示請求をする際は削除依頼をする前に、弁護士への相談をご検討ください。

発信者情報開示請求の申立はいつまで間に合うか

サイトによって情報の開示に応じてもらえるまでの期間は変わりますし、プロバイダによってログ保存期間は異なるので、一概に何日までなら間に合うと明言はできません。

ただ、ログ保存期間を3ヶ月、投稿サイトが海外企業の運営と仮定すれば、遅くても投稿日から2週間以内にはサイトへの開示請求に着手している状態が望ましいでしょう。

サイトへのIPアドレス開示請求(仮処分)にかかる期間は、以下がおおよその目安です。

国内企業のサイト

10日~1か月半程度

海外企業のサイト

2ヶ月前後

プロバイダのログ保存期間が3ヶ月だとすると、投稿日からあまり猶予がないことがお分かりいただけるかと思います。

問題の投稿から1ヶ月が経過していると、投稿者を特定できる可能性は、かなり下がってしまうのが実情です。

プロバイダのログ保存期間はIPアドレス情報が開示されるまでは不明ですので、期間は3ヶ月と仮定して早期に手続きへ着手されることを強くおすすめします。

投稿日から3ヶ月が経過してしまう場合は

今からサイトへの仮処分申立てをしてもプロバイダの特定まで3ヶ月が過ぎる恐れがある。このような状況で特定手続きへ着手するのは非常にリスクが高いです。

プロバイダのログ保存期間が6ヶ月以上であれば、投稿日から1~2ヶ月が過ぎていても、投稿者を特定できる可能性はあるかもしれません。

しかし、ログ保存期間が3ヶ月だった場合には、それまでにかかった費用が無駄になる恐れがあります。

投稿サイトへの開示請求(仮処分)の弁護士費用

着手金

約20万円

報酬金

約15万円(成功報酬のない弁護士もいます)

投稿日から時間が経過していても特定手続きを依頼する場合は、上記のリスクを受け入れなくてはいけません。

ご自身での判断が難しい場合は、専門家の意見を参考にした上で、本当に依頼をするべきか慎重にご判断いただけると幸いです。

発信者情報開示請求は時間との勝負

上記の通り、発信者情報開示請求が成功する期間には限りがあります。特にツイッターやグーグルなど海外企業が運営するサイトへの手続きには時間がかかりやすいです。

少しでも特定手続き成功の可能性を高めたいのであれば、早急に弁護士への相談をご検討ください。

サイトやプロバイダへの開示請求では、裁判での対応が求められるケースがほとんどです。投稿内容の違法性を裁判所で立証しなくてはいけません。

法律の専門知識やIT分野の知識がないと個人での対応は難しいので、『IT分野が得意な弁護士』へ任せた方が良いでしょう。

法律相談では投稿者の特定手続き以外にも、あなたの状況に適した対処法をアドバイスしてもらえます。まずは相談だけでも一度検討されてみてはいかがでしょうか。

ログの保存期間に関してよくあるQ&A

ログ保存期間に関するQ&A

ドコモ(プロバイダ)のログの保存期間は?

ドコモは開示請求訴訟の答弁書では、ログ保存期間が93日だと書いています。そのほかのプロバイダはログの保存期間を公開していないので正確な期間は不明です。

ただ、携帯キャリアは3ヶ月程度、固定回線は6ヶ月程度であるケースが多いようです。

有線・無線で保存期間は変わる?

有線LANかWifi接続かでログの保存期間は変わりません。

同じプロバイダからの接続であれば、利用者のネット環境が違ったとしても、ログの保存期間は同じです。

ログ保存申請をした場合の保存期間は?

プロバイダに対しログ保存申請(プロバイダ特定後にログが消えないように送る申請)をした場合に、プロバイダが任意にログ保存に応じてくれる場合があります。

プロバイダがログ保存に応じない場合には、裁判所に対してログ保存の仮処分を申し立てることが考えられます。仮処分が認められた場合には、基本的にプロバイダへの開示請求の途中でログが消えることはありません。

まとめ

発信者情報開示請求を成功させるには、投稿日から以下の期間中にサイトへの仮処分申立てをすべきです。

国内企業が運営するサイト

1ヶ月以内

海外企業が運営するサイト

2週間以内

上記の期間を過ぎてしまうと、投稿者を特定できないリスクが高まるのでご注意ください。

当サイトではIT分野が得意な弁護士へ法律相談ができますので、特定手続きを検討している場合は、お気軽にお問合せください。

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この記事の監修者
小笠原六川国際総合法律事務所
神田知宏 (第二東京弁護士会)
【元IT企業代表取締役】IT分野を集中的に扱ってきた実績を活かしたサポート!GoogleのクチコミやTwitterなど、悪質な書き込みによって業務に支障が出る前にご相談ください。

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ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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