X(旧Twitter)で誹謗中傷を受けてしまった場合「名誉毀損事件として警察に対応してもらえないのか?」と考える方も多いでしょう。
インターネット上の誹謗中傷トラブルが犯罪に該当するのであれば、警察に任せておけば解決できそうな気がするという気持ちは理解できます。
しかし、お察しのとおり警察は必ずしもインターネット上の誹謗中傷に積極的に取り組んでくれるわけではありません。
本記事ではインターネット上の誹謗中傷について警察対応が見込めるケース、見込めないケース等について解説いたします。
X(旧Twitter)アカウントの情報開示を警察に相談するか悩んでいるあなたへ
X(旧Twitter)上の身元特定に関して警察に相談するか悩んでいませんか?
結論からいうと、X(旧Twitter)の誹謗中傷に対して警察が対応してくれるかはケースバイケースです。今すぐに犯人を特定して、投稿の削除や慰謝料を請求したい場合は弁護士に相談するのをおすすめします。
弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。
- 投稿者を特定する方法を知ることができる
- 名誉棄損や侮辱罪で訴えられるか判断できる
- 依頼すれば、開示請求によって加害者の身元特定し、慰謝料の請求まで任せられる
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警察の対応が見込めるケース
警察がインターネット上に積極的に対応するのは、以下のような条件が整うケースであると考えられます。
- 誹謗中傷が名誉毀損などの犯罪にあたることが明白であること
- 実害が生じている又は生じる現実的危険がある場合
誹謗中傷が名誉毀損などの犯罪にあたることが明白であること
警察は犯罪を取り締まる国家機関ですので、インターネット上の投稿について対応するのは当然、これが犯罪行為に該当する場合です。
例えば、インターネット上の誹謗中傷に成立することが想定される犯罪には、以下のような犯罪があります。
実害が生じている又は生じる現実的危険がある場合
インターネット上の投稿が犯罪行為に該当しても、それのみで警察が動くとは限りません。
警察が積極的に対応するのは、既に被害(実害)が発生していたり、これが発生する現実的危険性があったりなど、事件として緊急性が認められる場合と言われています。
そのため、インターネット上の誹謗中傷であなたが不愉快な思いをしているというだけで、特に日常生活に支障が生じていないような状況の場合は、マスコミが大きく取り上げて社会問題となっているなどの特別な事情がない限り、警察が捜査に乗り出す可能性は低いと言えます。
警察へ相談しても対応が難しいケース
インターネット上の投稿について警察が対応してくれるケースは上記のとおりです。
ということは、上記に該当しないようなケースでは警察による対応はあまり期待できません。
例えば、次のようなケースでは警察による対応は難しいと考えられます。
HNに対する嫌がらせ
X(旧Twitter)ではアカウント名を自由に設定できるので、本名ではなくハンドルネーム(HN)を使用している方も多いでしょう。
このようなHNを名指しして名誉を害するような投稿を行っても、基本的には名誉毀損罪は成立しません。
HNに対してこのような投稿をしても、直ちにHNの背後にいる本人の社会的名誉が害されることはないからです。
HNと本人との結びつきが公知となっており、HNへの誹謗中傷が本人への誹謗中傷と同視できるような特別な場合を除き、HNに誹謗中傷を受けたと主張しても、警察は対応してくれることはありません。
DMでの誹謗中傷
相手の名誉を害するようなやり取りが、ダイレクトメッセージ(DM)を通じてなされた場合も基本的には名誉毀損罪は成立しません。
これは、名誉毀損罪の成立要件である公然性を満たさないためです。
しかし、インターネット上の脅迫行為や業務妨害行為については、名誉毀損のような公然性は要求されませんので、DMでされた場合でも犯罪となる余地があります。

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警察がX(旧Twitter)投稿者の身元を特定する流れ
警察が犯罪捜査を進める上でインターネット上の投稿者の情報を取得する場合、コンテンツ管理者に任意提出を求めて情報を押さえる方法が一般的です。
しかし、X(旧Twitter)社はたとえ警察による要請であっても、裁判所の捜査令状などの法的強制力のある文書に基づくものでない限り、非公開情報を開示しないというポリシーを定めています。
そのため、警察がX(旧Twitter)社から投稿者の情報開示を求める場合、犯罪捜査のために必要であることを示して裁判所に捜査令状を発布してもらう必要があります。
その後、これをX(旧Twitter)社に提示して投稿者に関するIPアドレス等の情報を入手するという重たい手続が主な流れとなるでしょう。
- 警察が裁判所に捜査令状の発布を要求
- 警察がX(旧Twitter)社へIPアドレスの開示を要求
- 加害者のIPアドレスを特定
- IPアドレスから加害者が利用したプロバイダを調査
- 警察がプロバイダ会社へ契約者情報の開示を要求
- 加害者の身元特定
X(旧Twitter)社から投稿者のIPアドレスを取得できれば、あとは当該IPアドレスを管理するプロバイダに対して投稿者の契約者情報を任意で開示するよう求め、開示があればそこで身元特定が完了します。
任意で開示されなければ、警察は上記と同様、裁判所の令状を取得して、これをもって強制的に開示を求め身元を特定することになるでしょう。
なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。
改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。
これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。
また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。
※IPアドレスには保存期間がある
X(旧Twitter)社がIPアドレスの情報を保管している期間は、実際にポスト(旧ツイート)が投稿された時点からおおむね3か月程度だといわれています。
また、プロバイダが保有しているIPアドレスからのアクセスログの保存期間も、3か月程度が一般的です。
警察が裁判所から令状の発付を受けたとしても、肝心のX(旧Twitter)社やプロバイダ各社が-情報を消去してしまったあとでは加害者を特定できません。
警察での身元特定が難しい場合は弁護士へ
警察が対応してくれるのは、上記のような限定的な場合です。
そのため、多くの場合には警察による対応は期待できません。
このように警察による対応が期待できない場合には、弁護士に相談することを検討しましょう。
弁護士を通じて民事的な手続きを踏むことで、投稿者の身元が判明することも多いです。
弁護士への依頼費用の相場
弁護士に依頼して誹謗中傷の加害者を特定すると、おおよそ60~80万円程度の弁護士費用がかかります。
IPアドレス開示請求(仮処分)
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着手金:約20万円
報酬金:約15万円
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契約者情報開示請求(裁判)
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着手金:約20〜30万円
報酬金:約15〜20万円
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ただ、X(旧Twitter)社の場合は海外の法人とのやり取りが必要となりますので、より多額の費用が発生することも十分予想されます。
したがって、実際どの程度の費用がかかるかは依頼前に依頼先の弁護士に十分確認しましょう。
まとめ
X(旧Twitter)で誹謗中傷について警察対応がされるケース・されないケース等について簡単に解説しました。
X(旧Twitter)は情報開示にかなり厳格な姿勢を取っています。
相手が外国法人となることもあり、投稿者の身元特定のハードルは相対的に高いです。
そのため、警察が対応するハードルも高いと言えます。
警察が対応しない場合に投稿者の情報を手に入れようと思うのであれば、弁護士への相談をご検討ください。

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