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ネット誹謗中傷 弁護士監修記事 公開日:2019.7.10  更新日:2023.1.26

ネットで侮辱罪になる発言とは|誹謗中傷による権利侵害について

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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パソコンやネットの普及により、誰でも気軽にネット掲示板やSNSサービスを利用できるようになりました。しかし、その反面でネット上の誹謗中傷トラブルも増加し続けています。

インターネットの誹謗中傷事件

【参考】法務省の人権擁護期間の取組

ネット上であっても他人を誹謗中傷する行為は犯罪となり得ます。

この記事では、ネット誹謗中傷はどこから侮辱罪として扱われるのかをご紹介します。誹謗中傷被害にお悩みの場合は、参考にしてみてください。

ネットの誹謗中傷を
放置するのは危険です!

ネットの誹謗中傷を削除せず放置すると、以下のようなリスクが生じます。

  • 身元を特定されて嫌がらせをされる
  • 仕事や職場での評価の悪影響
  • 家族や周囲の人まで誹謗中傷される
  • 周囲からの孤立やいじめの誘発
  • 取引先や顧客の信頼を損なう


また、SNSや他サイトで拡散され続ければ、完全な削除は難しくなってしまいます。

誹謗中傷の対応は時間との勝負です。

ベンナビIT(旧:IT弁護士ナビ)では『相談料が無料』の事務所も多数ございます。

少しでも早く誹謗中傷トラブルを解決したい場合は、お近くの法律事務所へご相談ください。

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侮辱罪が成立する要件

刑法では、侮辱罪の成立要件は、以下のように定められています。

第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

(親告罪)

【引用】刑法二百三十一条

ネット上の発言は、ネット環境がある人なら誰でも見ることができるため、公然の場として扱われます。そのため、ネット上での侮辱的な書き込みについては、侮辱罪が成立する余地があります。

では、『侮辱』とは具体的にはどのような意味なのでしょうか。まずは、ネット誹謗中傷が「侮辱」に当たる場合について解説をしていきます。

『侮辱』とはどのような発言か

侮辱とは、具体的な事実を上げないで他人の外部的評価を害するような行為のことです。

例えば、「頭が悪い」「気持ちが悪い」のような個人の主観による誹謗中傷は、具体的事実を挙げるものではありませんが、相手の評価を貶める可能性があるとして侮辱と評価する余地があります。

名誉毀損罪と侮辱罪では、名誉毀損罪のほうが罪は重いです。名誉毀損についての詳細は、以下の記事をご参照ください。

【詳細記事】名誉毀損とは|成立する要件と訴える方法をわかりやすく解説

侮辱罪になるネット発言の例

侮辱罪となり得るネット発言の例をご紹介します。

○○は根暗で友達もいないし早く○んだ方がいい

ブスのくせに顔出ししてるのウケるw

女子にだけ異常に馴れ馴れしくてキモい

ハンドルネームでも侮辱罪は成立するのか

誹謗中傷の対象がハンドルネームに対するものである場合、侮辱罪が成立する可能性は低いです。ハンドルネームを侮辱しただけでは、その背後にある本人の外部的評価には通常影響しないからです。

ハンドルネームと本人の同一性が広く知れ渡っているような特別な場合であればともかく、そうでない場合は侮辱の被害を主張するのは難しいでしょう…。

ただ、侮辱罪の要件には該当していなくても、侮辱的な発言なら削除依頼に応じてくれるサイトも存在します。誹謗中傷の削除を検討する場合は、サイトの管理者へお問い合わせください。

【詳細記事】ネット誹謗中傷の削除方法|3つの相談先と費用の目安について

侮辱罪を犯した人が問われる責任

侮辱行為の加害者には民事上と刑事上の責任が生じます。ここでは、その責任の概要について説明します。

侮辱罪の罰則

  • 罰金または懲役刑|刑事
  • 損害賠償の支払い|民事

刑事上の責任

侮辱罪が刑事事件として立件され、起訴されて刑事裁判で有罪が確定した場合、加害者には『拘留』または『科料』の罰則が科されます。

拘留

1日以上30日未満の期間、刑事施設への拘置

科料

1,000円以上1万円以下の罰金

このように、侮辱罪は非常に軽微な犯罪であり、あまり犯罪として立件されていないのが実情です。

しかし、2019年の1月にネット誹謗中傷が侮辱罪として略式命令が出た事例もあるようですので、全く事件にならないというものでもないようです。

【詳細】『中学生を匿名ブログで中傷 66歳男性に侮辱罪で略式命令

民事上の責任

侮辱行為の加害者は被害者に対して損害賠償義務を負担することもあります。損害額はケース・バイ・ケースですが、概ね1万~10万程度の範囲に留まる場合が多いと思われます。

ネット上の誹謗中傷を訴えるには

上記のような責任を追及するためには、当然ですが、加害者を特定する必要があります。具体的な手続きの流れは、以下の通りです。

犯人を訴えるまでの流れ

  1. サイトへ投稿者のIPアドレス開示請求
  2. 仮処分(※開示に応じてもらえなかった場合)
  3. IPアドレスからプロバイダの特定
  4. プロバイダへ投稿者の個人情報開示請求
  5. 裁判(※開示に応じてもらえなかった場合)
  6. 犯人特定
  7. 民事訴訟


【詳細】ネット誹謗中傷の特定方法|書き込み犯人を調べる費用の相場は?

開示請求の手続きには裁判が必要になるケースがほとんどです。犯人特定から訴訟まで合計3回の裁判が必要になることもあります。

法律の専門知識がないと対応は難しいので、まずは弁護士への相談をご検討ください。

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訴訟にかかる費用の相場

ネット誹謗中傷の訴訟にかかる費用の相場は、以下の通りです。※弁護士費用(着手金・報酬金)は法律事務所によって異なります

 

着手金

報酬金

裁判費用

削除依頼

裁判外

5万円~10万円

5万円~10万円

×

裁判

約20万円

約15万円

3万円

発信者の身元特定

裁判外

約5万円~10万円

約15万円

×

裁判

約20万円~30万円

約15万円~20万円

6万円

損害賠償請求

裁判外

約10万円

慰謝料の16%

×

裁判

約20万円

慰謝料の16%

3万円

侮辱罪に必要な訴訟費用は加害者へ請求できる慰謝料を上回るケースも多いです。弁護士への依頼はその点を踏まえつつ、慎重にご検討ください。

裁判にかかる期間の目安

開示請求から犯人特定にかかる期間の目安は、6ヶ月〜1年間です。

犯人特定にかかる期間の目安

IPアドレス開示請求(仮処分)

1〜2ヶ月

個人情報開示請求(裁判)

3〜6ヶ月

犯人特定後の民事訴訟にかかる期間は、事件の内容によって大きく異なります。ただ、少なくとも1年前後を目安と見積もっておいたほうが良いかもしれません。

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

弁護士へ相談する際の注意事項

最後に、侮辱罪の被害を弁護士に相談する際の注意事項を2つご紹介します。

弁護士に相談する注意事項

  • 弁護士にはそれぞれ得意分野がある
  • 犯人を特定できる期間には期限がある

弁護士にはそれぞれ得意分野がある

弁護士はすべての法律を熟知していても、すべての法律分野の依頼を受け付けているわけではありません。一般的には、『交通事故』や『離婚』など自身の得意分野に注力している弁護士が多いです。

そのため、弁護士へ相談する際には、弁護士が解決を得意としている法律分野や、過去の解決実績を吟味する必要があるでしょう。

侮辱罪の相談をする際には、IT分野を得意とする弁護士から依頼先をご検討ください。

【詳細記事】IT・ネットに強い弁護士を探す|全国から相談できる法律事務所を検索

犯人を特定できる期間には期限がある

犯人を特定するために必要な情報である『IPアドレス』の保存期間は、サイトへの書き込みまたはログインなどから3ヶ月が目安といわれています。

この期間を過ぎると、サイトからIPアドレスの情報が消えてしまうため、弁護士に依頼をしても犯人の特定ができません。つまり、犯人を訴えることが不可能になってしまうのです。

裁判にかかる期間を考慮するのであれば、誹謗中傷の書き込みから1ヶ月以内には弁護士に手続きを依頼しておく必要があるでしょう。

まとめ

侮辱とは、ネット上の誹謗中傷のうち名誉毀損に至らないようなものを広く含む概念です。

このような侮辱を受けた場合、加害者を特定して一定の責任を追及することはあり得る対応です。

ただ、個人ではどのような書き込みが侮辱に該当するのかの判断が難しいかもしれません。ご自身での対応が難しいと感じる場合は、弁護士への法律相談だけでも検討されてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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