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投稿者の特定・訴訟 弁護士監修記事 公開日:2018.10.22  更新日:2022.11.8

プロバイダ開示請求の費用や期間を徹底ガイド!成功率を上げる条件とは?

法律事務所アルシエン
清水陽平 弁護士
監修記事
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プロバイダへ開示請求(発信者情報開示請求)をすることで、自社やあなた自身に対する侮辱的・差別的な投稿や、社会的評価を落とす書き込みを行った発信者の個人情報を手に入れることができます。

その情報を元に、発信者を特定すれば、法的な責任を追及したり、慰謝料を請求したりできるかもしれません。

しかし、被害を主張しても、個人情報保護などの観点から、簡単に開示してもらえるわけではありません。

開示されるための条件を満たすことや、正式な手続きを踏むことが重要です。この記事では、プロバイダに発信者情報をスムーズに開示してもらうための、ポイントや流れを丁寧に解説します。

ネットの投稿者の特定には
時間制限がある!

誹謗中傷の犯人を特定できるのは、書き込みから3ヶ月以内といわれています。

ネット接続業者による投稿者情報の保存期間がおおよそ3ヶ月だからです。

ただ、特定手続きにかかる時間も考慮すると、1ヶ月半がタイムリミットといえるでしょう。

犯人を特定できないと…

  • 損害賠償(慰謝料)を請求できない
  • 誹謗中傷が繰り返される恐れがある


弁護士であれば、素早くスムーズに手続きが進められます。

犯人の特定を検討している場合は、お近くの法律事務所へお悩みをご相談ください。

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目次

プロバイダへの開示請求でわかる7つの『発信者情報』とは

開示請求で得ることのできる情報は、以下の7つと総務省令で定められています。

  1. 氏名又は、名称
  2. 住所
  3. メールアドレス
  4. IPアドレス
  5. ポート番号
  6. SIMカード識別番号
  7. 不法な投稿や情報が発信された年月日及び時刻

 

サイトやプロバイダによっては、すべての情報を保持していないこともあります。開示された情報を頼りに犯人を特定していくことになります。

 

プロバイダへ開示請求する人が知っておくべき4つのこと

発信者情報は、誰にでも開示されるわけではありません。ここでは、開示請求をする前に知っておいてほしい4つのことについてご紹介します。

①発信者情報が開示される2つの条件

発信者情報が開示されるのは、以下の2つの条件を申請者が満たしている場合のみです。

  1. 開示を受けるべき正当な理由がある
  2. 権利侵害が明白である

 

被害が、どのような権利侵害に該当しているのかについては、弁護士にご確認ください

②開示請求できる被害の程度とは

開示請求できる被害の程度の基準として、『権利侵害が明白かどうか』が重要になります。

例えば、名誉毀損を成立させるには、以下の3つを満たしていることが必要です。

  1. 公然の場(不特定多数の目に触れる場所)であること
  2. 誰のことか分かる内容であること
  3. 社会的評価を下げる内容であること

 

ネット上で『○○社は、従業員への給料をわざと減らしているのに、税金とごまかしている』などと書き込んだ場合は、名誉毀損に該当します

しかし、『権利侵害の明白』というためには、名誉毀損の成立が妨げられる事情がないことや、投稿内容が虚偽であることまでサイトやプロバイダに説明しなくてはなりません。

③プロバイダは個人の請求に応じない?

よくある質問の中に、「プロバイダへの開示請求は個人でできないの?」というものがありますが、個人での請求が絶対に認められないわけではありません

ただし、発信情報は、個人情報にあたるので、サイトやプロバイダ側も簡単に開示することができません。そのため、裁判手続で開示が認められない限り、拒否されるケースがほとんどなのが実際です。

④何年も前の書き込みに対して開示請求はできない

詳細は『開示請求から発信者情報を取得するまでの流れ』で紹介しますが、発信者情報を開示してもらうには、発信者が利用したプロバイダの特定が必要です。

特定するための情報は、投稿から取得するのですが、一般的にこの記録は、3ヶ月程度で削除されてしまいます。ですので、3ヶ月以上前の投稿に対し開示請求を行うのは難しいでしょう。

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なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

請求から発信者情報を開示してもらうまでの流れ|その①

発信者情報を取得するため、まずは『サイト管理者』に開示請求を行い、発信者が経由したプロバイダの情報について開示してもらいます。

『サイト管理者』による開示が行われたら、次は経由した『プロバイダ』に対し開示請求を行うことになります。そのため、発信者情報を得るまでに最低でも2回は、開示請求を行わなくてはなりません

また、請求方法には下図のような『任意開示請求』と『裁判手続』の2つがあります。

参考元:上村哲史・山内洋嗣・上田雅大『インターネット訴訟』(中央経済社、2017年)

両方とも行う場合は、まず任意開示請求を行い、サイト管理者の意思で開示してもらえないか交渉します。交渉が成立しない場合は、仮処分命令申立を行い、裁判所に判断してもらいましょう。

ここでは『サイト管理者に対する発信者情報開示請求』における、それぞれの内容について詳しく解説します。

サイト管理者に対する任意開示請求(裁判外請求)

任意開示請求とは、裁判外請求もしくは裁判外紛争解決手続(ADR)と呼ばれる、紛争解決方法です。弁護士会や国民生活センターが運営する紛争解決センターなどで行われ、当事者が専門家(弁護士など)を仲介役として、問題解決に向けて話し合います。

判決による勝ち・負けではなく、双方の合意で問題解決に至りますので、裁判より円満な解決方法であるといえます。

最終的には『和解』、もしくは、双方合意の上で仲介人に判断してもらう『仲裁判断』によって、解決に至ります。もちろん、どうしても話がまとまらない場合や、相手が呼び出しに応じない場合は、請求の取下げもしくは打ち切りとなり、訴訟を行うことになります。

任意開示請求では、交渉や手続きの代理を弁護士に依頼することが可能です。

ただし、通常は開示に応じてくれない上、ADRでは時間がかかることも少なくないため、現実的方法とはいえません。

仮処分命令申立

任意開示請求をしなくても、仮処分命令申立をすることができます。これが認められると、IPアドレスなどの情報を開示してもらうことができ、IPアドレスを調べればプロバイダを調査することが可能です。

申立て先は、債務者の住所地を管轄する裁判所になります。

債権者面接

申立てた当日または数日後に、申立て者は裁判所に呼び出され、面談を行います。面談内容は、申立書の内容に対する質問や、書類の不備や説明不足箇所に対する修正・補足などです。

権利侵害性の記載に不足があると、口頭での説明を求められますので、しっかり説明できるように準備しておくか、弁護士へ代理を依頼しましょう。

双方審尋

双方審尋では、債権者(あなた)と債務者(サイトの管理者)が裁判所へ出廷し、お互いに意見陳述や主張を行った後、仮処分決定または和解によって仮処分命令申立が終了します。

前述した通り、ここまでは開示請求の第一段落なので、まだ発信者を特定できるわけではありません。次は、『プロバイダ』に発信者情報開示請求を行いましょう。

 

開示請求から発信者情報を取得するまでの流れ|その②

プロバイダへの開示請求も、概要は変わりません。下図のように進みます。

参考元:上村哲史・山内洋嗣・上田雅大『インターネット訴訟』(中央経済社、2017年)

ここからは、『プロバイダに対する発信者情報開示請求』について詳しく解説します。

プロバイダに対する任意開示請求(裁判外請求)

プロバイダに対する任意開示請求は、こちらの『プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン』を参考に進みます。

あくまで参考ですので、申立ての際に進み方を確認しておくことをおすすめします。

発信者情報開示請求訴訟

発信者情報開示請求訴訟は、プロバイダの本店所在地を管轄する裁判所に申立てます。

審理

開示請求を認めてもらうには『①発信者情報が開示される2つの条件』で紹介した2つの条件を満たし、被告のプロバイダを経由して情報が発信されていることを証明しなければなりません。

これを証明するには、 サイト管理者から開示されるIPアドレスをWHOISにより調べることが必要になります。

 

判決

審理の結果、開示するのが正当だと判断された場合、判決として開示命令が下されます。情報が開示され、発信者を特定できれば慰謝料請求することが可能です

慰謝料の相場は、被害者が一般人の場合は10~100万円企業や個人事業主の場合は、30~100万円程度になることが多いです。

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

 

開示請求にかかる期間と費用

開示請求を最低でも2回することになると、費用や期間がどのくらいかかるのか、気になるかと思います。

費用や期間は、申立て先やそれぞれの事情により、多少のズレが発生してしまいます。ここで紹介するのは、一般的な費用や期間ですので、参考としてご覧ください。

仮処分命令申立する場合の期間と費用

仮処分決定までにかかる期間

仮処分命令申立てから決定するまでの期間は、一般的には1~1.5ヶ月程度です。

 

必要になる費用

仮処分命令申立では、申立てごとに手数料として、2,000円の収入印紙と、相手方への送達用の切手1,082円分が必要です。

また、申立てが容認された場合、命令発令に必要な担保金を裁判所が決定します。東京の地方裁判所では、一般的な相場は開示であれば10万円です。

供託所(法務局)に担保金を預けたら、裁判所に証明書を提出し、仮処分命令を発令してもらいます。相手方にその通知が送達されたら、担保金の返還を求めることができますのでご安心ください。

 

発信者情報開示請求訴訟する場合

判決までにかかる期間

訴訟において一番時間を要するのは、審理ですが、『権利侵害が明白であるかどうか』という問題以外に特に争点がない場合、2~3回の審理で判決が下されることがほとんどです。

とはいえ、裁判所はほかの事件も抱えていますので、毎月審理を行えるわけではありません。半年~1年を目安として考えた方がよいでしょう。

 

必要になる費用

発信者情報開示請求は通常訴訟として、提起することになり、手数料は請求額が確定できない事件は160万円とみなされるため、プロバイダ1社であれば1万3000円です

参考元:手数料|裁判所

 

弁護士に依頼した場合の弁護士費用

できるだけ速やかに問題を解決するためにも、申立書類の作成や手続き、相手方との交渉は弁護士に一任してしまうことをおすすめします。

弁護士費用は基本的に、『相談料』『着手金』『成功報酬』『実費・日当』から成り立っており、そのうちの着手金や成功報酬の金額が、最終的な弁護士費用に大きく関わってきます。

それぞれの依頼に対する着手金と成功報酬は、一般的には下表のようなイメージです。

依頼内容

着手金

成功報酬

任意開示請求

5~10万円

10~20万円

仮処分命令申立

20~40万円

10~20万円

発信者情報開示請求訴訟

20~30万円

10~20万円

弁護士費用は、一律ではなく弁護士ごとに変わってきます。また、着手金は取らない、細かく分けずセット料金で○○万円など、設定も事務所によってさまざまです。

できるだけ費用を安くしたいと考えるのが人情ですが、高い弁護士にはそれだけの実績があることも少なくないため、どのような実績があるのかもきちんと調べてみるとよいでしょう。

プロバイダ責任制限法の改正による情報開示請求の変更点

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行され、手続き等に変更がありました。主な違いは次の3点です。
 
➀新たな非訴手続きの創設
②開示情報の範囲の見直し
③発信者が開示を拒否した場合の理由照会の義務化
 
ここでは、これら変更点について簡単にお伝えします。

1回の手続きで情報開示請求できる新たな非訴手続きの創設

これまでは発信者情報を特定するために、「コンテンツプロバイダへの発信者情報開示仮処分」と「アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求」の2つの裁判手続きが必要でした。
 
その分、発信者の特定まで時間と費用がかかるうえに、2回の裁判の途中でログ保存期間が経過し、発信者の特定が困難になるなどのデメリットがあったのです。
 
改正後は、新たな非訟手続として「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が創設され、1回の手続で発信者情報の開示請求が可能になりました。非訟手続は訴訟以外の裁判手続のことで、訴訟に比べて手続きが簡易で柔軟な対応ができるのが特徴です。
 
新設された「発信者情報開示命令に関する裁判手続」では、「①裁判所に対する開示命令」「②コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する提供命令」「③アクセスプロバイダに対する消去禁止命令」を同時に申立てます。
 
このように、1つの裁判手続きで済むことと、消去禁止命令があることから、発信者の特定まで時間が短縮され、ログが消えて発信者情報の開示が困難になるのを防ぎ、より円滑に被害者の損害が回復されることが見込まれます。

既存の2段階の手続きも認められている

改正プロバイダ責任制限法では、既存の「発信者情報開示請求権にかかる手続き」による2段階の手続きも認められています。つまり、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」と「発信者情報開示請求権にかかる手続き」のどちらの方法でも発信者情報の開示請求が可能です。
 
もっとも、新設の手続きではアクセスプロバイダとコンテンツプロバイダの間で必要な情報を相互に提供し合う必要があり、円滑に発信者情報の特定に至るか難しいケースも考えられます。
 
例えば、IPアドレスやタイムスタンプなどで発信者が特定可能な平易なケースであれば、新設の手続きを利用するのが理想でしょう。
 
一方、ポート番号など他の情報が必要なケースや、事前にプロバイダが強く情報開示を拒否すると予想されるケースなどは、既存の手続きを必要とする可能性が高く、ケースバイケースでどちらの手続きを選択すべきか判断することになります。

ログイン時情報を開示請求可能に

近年のSNSはログイン型サービスが主流になりました。同サービスではログインした状態で様々な投稿をおこないます。もっとも、そのようなログイン型サービスは、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスを保有していないケースも少なくありません。
 
そして、ログイン時のIPアドレスは既存のプロバイダ責任制限法において「発信者情報」に該当するか明確になっておらず、開示されるかどうかは裁判所により個別に判断されていました。また、ログイン時の通信を媒介したプロバイダに関しては、開示請求の対象とはしていませんでした。
 
つまり、権利侵害を受けたにも関わらず発信者が特定できないケースもあったのです。
 
そこで改正プロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスについて「特定発信者情報」と明文化し、ログイン時のIPアドレスについても開示請求権を認めました。さらに、ログイン時の通信を媒介したプロバイダも開示請求の対象と認めています。
 
これにより、ログイン型サービスにおいて、投稿時のIPアドレスが保存されていないケースであっても、ログイン時IPアドレスを特定発信者情報とし情報開示請求が可能になりました。
 
もっとも、ログイン時のIPアドレスの開示が認められるには「請求対象のプロバイダが特定発信者情報のみしか保有していない」など条件が設けられています。つまり、ログイン時の情報が開示されるのはログイン型サービスのみに限定される点に注意が必要です。

意見照会で発信者が情報開示に応じないときの理由の照会

既存のプロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求があった場合、プロバイダは発信者に対して意見照会をしなければならないと定められています。意見照会は簡単にいえば「発信者に対して情報を開示してもよいか確認すること」と表現できます。
 
改正プロバイダ責任制限法でも意見照会自体について定めがあるものの、新たに、「発信者が開示に請求に応じない場合にはその理由を照会する」旨の規定が定められました。
 
つまり、発信者が情報開示請求に応じない場合、プロバイダはその理由について聞き取りをしなければなりません。
 
これにより、発信者が情報開示に応じない理由を把握したうえで、プロバイダが適切な対応がとれるようになります。

プロバイダ責任制限法の改正による情報開示請求の変更点

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行され、手続き等に変更がありました。主な違いは次の3点です。
 
➀新たな非訴手続きの創設
②開示情報の範囲の見直し
③発信者が開示を拒否した場合の理由照会の義務化
 
ここでは、これら変更点について簡単にお伝えします。

1回の手続きで情報開示請求できる新たな非訴手続きの創設

これまでは発信者情報を特定するために、「コンテンツプロバイダへの発信者情報開示仮処分」と「アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求」の2つの裁判手続きが必要でした。
 
その分、発信者の特定まで時間と費用がかかるうえに、2回の裁判の途中でログ保存期間が経過し、発信者の特定が困難になるなどのデメリットがあったのです。
 
改正後は、新たな非訟手続として「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が創設され、1回の手続で発信者情報の開示請求が可能になりました。非訟手続は訴訟以外の裁判手続のことで、訴訟に比べて手続きが簡易で柔軟な対応ができるのが特徴です。
 
新設された「発信者情報開示命令に関する裁判手続」では、「①裁判所に対する開示命令」「②コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する提供命令」「③アクセスプロバイダに対する消去禁止命令」を同時に申立てます。
 
このように、1つの裁判手続きで済むことと、消去禁止命令があることから、発信者の特定まで時間が短縮され、ログが消えて発信者情報の開示が困難になるのを防ぎ、より円滑に被害者の損害が回復されることが見込まれます。
 

既存の2段階の手続きも認められている

改正プロバイダ責任制限法では、既存の「発信者情報開示請求権にかかる手続き」による2段階の手続きも認められています。つまり、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」と「発信者情報開示請求権にかかる手続き」のどちらの方法でも発信者情報の開示請求が可能です。
 
もっとも、新設の手続きではアクセスプロバイダとコンテンツプロバイダの間で必要な情報を相互に提供し合う必要があり、円滑に発信者情報の特定に至るか難しいケースも考えられます。
 
例えば、IPアドレスやタイムスタンプなどで発信者が特定可能な平易なケースであれば、新設の手続きを利用するのが理想でしょう。
 
一方、ポート番号など他の情報が必要なケースや、事前にプロバイダが強く情報開示を拒否すると予想されるケースなどは、既存の手続きを必要とする可能性が高く、ケースバイケースでどちらの手続きを選択すべきか判断することになります。

ログイン時情報を開示請求可能に

近年のSNSはログイン型サービスが主流になりました。同サービスではログインした状態で様々な投稿をおこないます。もっとも、そのようなログイン型サービスは、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスを保有していないケースも少なくありません。
 
そして、ログイン時のIPアドレスは既存のプロバイダ責任制限法において「発信者情報」に該当するか明確になっておらず、開示されるかどうかは裁判所により個別に判断されていました。また、ログイン時の通信を媒介したプロバイダに関しては、開示請求の対象とはしていませんでした。
 
つまり、権利侵害を受けたにも関わらず発信者が特定できないケースもあったのです。
 
そこで改正プロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスについて「特定発信者情報」と明文化し、ログイン時のIPアドレスについても開示請求権を認めました。さらに、ログイン時の通信を媒介したプロバイダも開示請求の対象と認めています。
 
これにより、ログイン型サービスにおいて、投稿時のIPアドレスが保存されていないケースであっても、ログイン時IPアドレスを特定発信者情報とし情報開示請求が可能になりました。
 
もっとも、ログイン時のIPアドレスの開示が認められるには「請求対象のプロバイダが特定発信者情報のみしか保有していない」など条件が設けられています。つまり、ログイン時の情報が開示されるのはログイン型サービスのみに限定される点に注意が必要です。

意見照会で発信者が情報開示に応じないときの理由の照会

既存のプロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求があった場合、プロバイダは発信者に対して意見照会をしなければならないと定められています。意見照会は簡単にいえば「発信者に対して情報を開示してもよいか確認すること」と表現できます。
 
改正プロバイダ責任制限法でも意見照会自体について定めがあるものの、新たに、「発信者が開示に請求に応じない場合にはその理由を照会する」旨の規定が定められました。
 
つまり、発信者が情報開示請求に応じない場合、プロバイダはその理由について聞き取りをしなければなりません。
 
これにより、発信者が情報開示に応じない理由を把握したうえで、プロバイダが適切な対応がとれるようになります。

まとめ|開示請求はお早めに!

ネットに投稿された、侮辱や名誉毀損にあたる投稿に対しては、迅速な対応が求められます。しかし、仕事やその他の事情で時間がなかったり、手間がかけられなかったりする人もいるでしょう。

そのような人は、手続き・申立て・代理交渉などすべてを弁護士に一任してしまいましょう。被害状況やどういった解決方法を望むのかを、あらかじめよく話し合っておけば、開示請求についてあなたが実務的に関わることはほとんどありません。

ネット問題の解決が得意な弁護士があなたの負担を減らしてくれます。そのため、できるだけストレスなく請求や裁判を行うことが期待できます。

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この記事の監修者
法律事務所アルシエン
清水陽平 弁護士 (東京弁護士会)
インターネット上の法律問題について途を切り拓いてきた弁護士。​日本初の案件を多数取り扱っており、誹謗中傷の削除、発信者情報開示請求、損害賠償請求など、相談者のお悩みに沿った解決策を提案。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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