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名誉毀損の対処法 弁護士監修記事 公開日:2020.4.9  更新日:2022.11.8

会社の悪口で名誉毀損になるケース|具体例と対処法を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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SNSの普及により誰でも、いつでも、どこでもインターネット上で発信することが容易な現代社会では、企業に対する誹謗中傷がインターネット上でされることは珍しいことではありません。

インターネット上で投稿された内容は、不特定多数の人の目にさらされることになり、場合によっては売上の減少などの影響が出るかもしれません。また、投稿内容が炎上した場合、会社の存続にも少なからず影響することもあるかもしれません。

本記事では、このようなインターネット上の投稿により被害を受けた場合の対処方法について、簡単にお伝えしてまいります。

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会社への悪口も名誉毀損となる可能性がある

刑法に定められている名誉毀損罪(第230条)は以下のとおりです。

第一項:公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

【引用】刑法第二百三十条

この条文から、名誉毀損罪の構成要件を抽出すると、以下のようになります。

  • 不特定又は多数の人間に対する行為であること
  • 社会的な評価を下げる可能性のある具体的事実が挙げられること

また、刑法上、名誉毀損の対象は自然人に限定されていませんので、法人であっても被害の対象となります。

もっとも、法人の不祥事は、公共性・公益性のある情報として名誉毀損行為としての違法性が否定される可能性があることは、知っておいて損はないでしょう。

【詳細】法人に対しても名誉毀損は成立する|ネットでの誹謗中傷の事例と対処法

名誉毀損の可能性がある会社への悪口の例

名誉毀損に該当する可能性がある投稿例

  • ○○会社の○○は暴力団とかかわりがある
  • ○○会社の社長はカルト集団に入っている
  • ○○会社はサービス残業やパワハラが横行している
  • ○○店の商品はまがい物ばかりで役に立たない、客をだまして稼いでいる

このような投稿は、相手の社会的評価を低下させるおそれがあるといえるので、インターネット上で行われれば、上記の名誉毀損の構成要件に該当する余地があります。

名誉毀損にならないケース

上記で公共性・公益性がある場合には名誉毀損としての違法性が否定されることがあると書きましたが、具体的には以下の要件が全て満たされる場合、名誉毀損にはなりません。

  • 事実に公共性がある
  • 投稿が公益目的で行われている  
  • 投稿内容が真実であるか、真実と信じるに足りる相当な理由がある

例えば、ある食品会社が産地偽装をして商品を販売しているという事実を投稿した場合、このような事実は社会全般の重大な関心事であるため公共的事実と言えます。

また、このような公共性のある事実を広く発信することは、通常は公益目的であるといえるでしょう。

そのため、この内容が真実であるか、又は真実であると信じるに足りる根拠をもって行われている場合には、違法な名誉毀損行為とはならない可能性が高いと言えます。

ネットに投稿された悪口を削除する方法

ネットの書き込みを削除する方法は、その書き込みが投稿されたサイトによって変わります。

例えば、ツイッターでの投稿であれば、ツイッターの利用規約に従ってツイッター社に削除依頼をすることになります。。

なお、当サイトでも削除方法を解説する記事が複数ございますので、該当するサイトがある場合は参考にしてみてください。

2ちゃんねる

5ちゃんねる

爆サイ

ホスラブ

雑談たぬき

したらば掲示板

teacup

インスタグラム

ツイッター

Facebook

アメブロ

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投稿者を特定するには

投稿者を特定するまでの手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 投稿されたサイトに対してIPアドレスの開示請求
  2. IPアドレスから投稿者が利用したプロバイダを特定
  3. プロバイダに対して投稿者の契約者情報の開示請求

開示請求の手続きには基本的に裁判が必要になりますので、ほとんどの場合は弁護士へ依頼して対応することになるでしょう。

サイトやプロバイダによって変わりますが、開示請求から投稿者を特定できる期間は、4〜6ヶ月がおおよその目安です。

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

弁護士への依頼費用の相場

投稿者の特定手続きに必要になる弁護士費用の相場は、以下の通りです。ケースや事務所に応じて変動しますので、あくまで目安とお考え下さい。

IPアドレス開示請求(仮処分)

着手金:約20万円
報酬金:約15万円

契約者情報開示請求(裁判)

着手金:約20〜30万円
報酬金:約15〜20万円

※IPアドレスには保存期間がある

IPアドレスは、サイト管理者が管理していますが、永続的に保管されるものではありません。

管理者によって保存期間は異なると思われますが、おおよそ3ヶ月が目安であるといわれています。

この期間を過ぎるとIPアドレスからの追跡ができなくなり、加害者の特定は難しくなるのでご注意ください。

ネットに就労先の誹謗中傷を行った社員の解雇は可能?

自社の従業員が、ネットに会社の誹謗中傷を行った場合、許し難いと思うかもしれません。しかし、それのみで直ちに当該従業員を解雇できるかといえば、そういうわけでもありません。

従業員の解雇ができるかどうかは、投稿の内容や投稿により生じた影響を踏まえて慎重に検討する必要があります。

このような場合は、弁護士に相談しながら対応を検討するべきでしょう。

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名誉毀損以外にも成立する可能性がある犯罪

ネットに誹謗中傷の投稿をすることは、名誉毀損だけでなく、偽計業務妨害などの犯罪が成立する可能性があります。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は三年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する

【引用】刑法233条

例えば、インターネット上に、ある企業の商品について品質劣悪で人体に有害であるなどの虚偽投稿をされたケース。

企業側で火消しのために正常な業務が妨げられたという場合、当該投稿について偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

プロバイダ責任制限法の改正による情報開示請求の変更点

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行され、手続き等に変更がありました。主な違いは次の3点です。
 
➀新たな非訴手続きの創設
②開示情報の範囲の見直し
③発信者が開示を拒否した場合の理由照会の義務化
 
ここでは、これら変更点について簡単にお伝えします。

1回の手続きで情報開示請求できる新たな非訴手続きの創設

これまでは発信者情報を特定するために、「コンテンツプロバイダへの発信者情報開示仮処分」と「アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求」の2つの裁判手続きが必要でした。
 
その分、発信者の特定まで時間と費用がかかるうえに、2回の裁判の途中でログ保存期間が経過し、発信者の特定が困難になるなどのデメリットがあったのです。
 
改正後は、新たな非訟手続として「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が創設され、1回の手続で発信者情報の開示請求が可能になりました。非訟手続は訴訟以外の裁判手続のことで、訴訟に比べて手続きが簡易で柔軟な対応ができるのが特徴です。
 
新設された「発信者情報開示命令に関する裁判手続」では、「①裁判所に対する開示命令」「②コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する提供命令」「③アクセスプロバイダに対する消去禁止命令」を同時に申立てます。
 
このように、1つの裁判手続きで済むことと、消去禁止命令があることから、発信者の特定まで時間が短縮され、ログが消えて発信者情報の開示が困難になるのを防ぎ、より円滑に被害者の損害が回復されることが見込まれます。

既存の2段階の手続きも認められている

改正プロバイダ責任制限法では、既存の「発信者情報開示請求権にかかる手続き」による2段階の手続きも認められています。つまり、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」と「発信者情報開示請求権にかかる手続き」のどちらの方法でも発信者情報の開示請求が可能です。
 
もっとも、新設の手続きではアクセスプロバイダとコンテンツプロバイダの間で必要な情報を相互に提供し合う必要があり、円滑に発信者情報の特定に至るか難しいケースも考えられます。
 
例えば、IPアドレスやタイムスタンプなどで発信者が特定可能な平易なケースであれば、新設の手続きを利用するのが理想でしょう。
 
一方、ポート番号など他の情報が必要なケースや、事前にプロバイダが強く情報開示を拒否すると予想されるケースなどは、既存の手続きを必要とする可能性が高く、ケースバイケースでどちらの手続きを選択すべきか判断することになります。

ログイン時情報を開示請求可能に 

近年のSNSはログイン型サービスが主流になりました。同サービスではログインした状態で様々な投稿をおこないます。もっとも、そのようなログイン型サービスは、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスを保有していないケースも少なくありません。
 
そして、ログイン時のIPアドレスは既存のプロバイダ責任制限法において「発信者情報」に該当するか明確になっておらず、開示されるかどうかは裁判所により個別に判断されていました。また、ログイン時の通信を媒介したプロバイダに関しては、開示請求の対象とはしていませんでした。
 
つまり、権利侵害を受けたにも関わらず発信者が特定できないケースもあったのです。
 
そこで改正プロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスについて「特定発信者情報」と明文化し、ログイン時のIPアドレスについても開示請求権を認めました。さらに、ログイン時の通信を媒介したプロバイダも開示請求の対象と認めています。
 
これにより、ログイン型サービスにおいて、投稿時のIPアドレスが保存されていないケースであっても、ログイン時IPアドレスを特定発信者情報とし情報開示請求が可能になりました。
 
もっとも、ログイン時のIPアドレスの開示が認められるには「請求対象のプロバイダが特定発信者情報のみしか保有していない」など条件が設けられています。つまり、ログイン時の情報が開示されるのはログイン型サービスのみに限定される点に注意が必要です。 

意見照会で発信者が情報開示に応じないときの理由の照会

既存のプロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求があった場合、プロバイダは発信者に対して意見照会をしなければならないと定められています。意見照会は簡単にいえば「発信者に対して情報を開示してもよいか確認すること」と表現できます。
 
改正プロバイダ責任制限法でも意見照会自体について定めがあるものの、新たに、「発信者が開示に請求に応じない場合にはその理由を照会する」旨の規定が定められました。
 
つまり、発信者が情報開示請求に応じない場合、プロバイダはその理由について聞き取りをしなければなりません。
 
これにより、発信者が情報開示に応じない理由を把握したうえで、プロバイダが適切な対応がとれるようになります。

まとめ

ネットに会社の悪口を書き込まれた場合、その内容しだいでは名誉毀損の被害が成立する可能性があります。

本記事で紹介したような被害にお悩みの場合は、会社の評判に悪影響が生じる前に、早急に対策に取り掛かっていただければ幸いです。

もし会社だけの問題の解決が難しい場合は、弁護士への法律相談をご検討ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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