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ネット誹謗中傷 弁護士監修記事 更新日:

侮辱罪にあたる言葉は何がある?悪口の被害者・加害者の法的手段も解説

一歩法律事務所
南 陽輔
監修記事

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インターネットの匿名掲示板やSNSなどでの悪質な誹謗中傷というのは後を絶ちません。

芸能人・有名人が多数の人から誹謗中傷されて命を絶ってしまうなどの事件も起こっています。

悪質な誹謗中傷への対処法の一つとして侮辱罪による処罰が挙げられます。

本記事では、侮辱罪にあたる言葉や刑罰、侮辱罪で加害者に法的措置を取る場合のポイントや、被害者から訴えられた場合の対処法などを解説します。

ネット上の誹謗中傷に悩んでいるあなたへ

ネット上で誹謗中傷を受けているけど、それが侮辱罪に当たるかわからず困っていませんか?

 

結論からいうと、侮辱罪は事実を摘示せずとも公然と他人を侮辱した際に成立します。

もし、ネット上の誹謗中傷を解決したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。

 

弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • 投稿が侮辱罪に該当するか判断してもらえる
  • 削除依頼の出し方を教えてもらえる
  • 依頼すれば、投稿を削除してもらえる
  • 依頼すれば、投稿者を特定して責任追及できる

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侮辱罪とは?成立要件や刑罰について

まずは、侮辱罪の成立要件や刑罰などについて解説します。

侮辱罪の成立要件

侮辱罪とは、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した」ときに成立する犯罪を指します(刑法231条)。

「事実を摘示しなくても」とされているのは、事実を摘示した場合には名誉毀損罪(刑法230条)が成立するからです。

ほかの要件を省いて事実摘示の要件だけを見ると、事実を摘示した場合には名誉毀損罪が成立し、事実を摘示しなくても侮辱した場合には侮辱罪が成立するという関係にあります。

「公然と」とは、不特定または多数の人が認識できる状態を指します。

実際に不特定・多数の人が認識したかどうかではなく、視聴に達せしめる状態にして認識しうる状態にすることで「公然と」の要件は満たされます。

たとえば、インターネット上での情報発信においては、実際の閲覧者が少なかったとしても、誰でもアクセスできる状態にすること自体で「公然と」の要件は満たされることになります。

「侮辱」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することを指します。

端的には「バカ」「あほ」などの侮蔑する表現が「侮辱」にあたります。

侮辱罪の慰謝料相場

侮辱により精神的苦痛が生じた場合は、加害者に対して慰謝料請求が可能です。

慰謝料相場は「被害者が個人か法人か」によって以下のように異なります。

  • 被害者が個人の場合:10万円~50万円程度
  • 被害者が法人の場合:50万円~100万円程度

ただし、書き込み内容の悪質性や被害の程度などによっては上記の範囲内に収まらない場合もあります。

できるだけ具体的な金額を知りたい場合は、一度弁護士との法律相談を利用してみることをおすすめします。

侮辱罪の刑罰

侮辱罪が成立した場合の法定刑は「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」と定められています(刑法231条)。

「拘留」とは、1日以上30日未満の刑事施設への拘置を指します(刑法16条)。

「科料」とは、1,000円以上1万円以下の罰金を指します(刑法17条)。

侮辱罪は2022年に厳罰化された

これまで侮辱罪には懲役刑・罰金刑がなく「拘留または科料」のみであり、法定刑が軽すぎるのではないかといわれてきました。

芸能人や有名人などがインターネット・SNSで誹謗中傷されることが社会問題となり、誹謗中傷が原因で亡くなってしまった方もいることなどが契機となり、国会でも侮辱罪の法定刑の軽さについて改めて議論がおこなわれました。

そのような経緯があり、2022年7月7日からは刑罰が変更され、厳罰化されました。

なお、侮辱罪の公訴時効についても、これまでは「1年」でしたが「3年」に変更されています。

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侮辱罪に当たる言葉の具体例

侮辱罪の「侮辱」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することを指します。

端的には「バカ」「あほ」などが挙げられます。

また、身体的欠陥を指摘して嘲笑することも、具体的な事実摘示を伴わない場合には名誉毀損ではなく侮辱罪となります。

たとえば「ブス」とか「ブサイク」などは侮辱にあたります。

実際に、侮辱罪に該当するとして科料の制裁を科された事例をいくつか紹介します。

以下の事例は、いずれも実際に科料9,000円の刑として処分を受けたものです。

  • SNSで「この○○(被害者名)を有名ブスオナペにしたいので、皆さん拡散をお願いします」「#オナペ」「#肉便器」などと掲載した事例
  • SNSの配信動画で、「何処ですか、ブタさん何処ですか」「ブスぅ、死ね」「お金はない、体形はブタ、顔はブス、体は臭そうってやばいなお前」などと放言した事例
  • インターネット上の掲示板に「○○(被害者名)って、金もないし、女もいないし、友達もいない童貞だろ?裏で悪口言われまくりなの知らないのは本人だけ。ワキガと口臭どうにかして接客しような」などと掲載した事例
  • 駅の柱等に「ご注意、○○(被害者名)は悪質リフォーム工事業者です」などと記載した紙片5枚を貼付した事例
  • 路上において、被害者に対し、「くそばばあが。死ね」などと言った事例
  • 商業施設で、ほかの買い物客が多数いる前で、視覚障碍者である被害者に対し、「おまえ、周りが見えんのやったら、うろうろするな」などと大声で言った事例

誹謗中傷に関する罪と具体例

他人に対する暴言や威圧的言動などについて、侮辱罪と混同されやすい犯罪として以下のものがあります。

概していえば、いずれも侮辱罪よりも悪質な場合に成立する犯罪といえます。

名誉毀損罪

名誉毀損罪は、公然と事実を摘示して他人の名誉を毀損することで成立する犯罪です(刑法230条)。

なお、「名誉棄損」と表示される場合もありますが、法律的には「名誉毀損」が正確です。

名誉毀損罪と侮辱罪の違いは、具体的な事実の摘示があるかどうかです。

たとえば、「あいつは会社のお金を使い込んで横領している」ということは、具体的な事実を摘示しているので、名誉毀損罪の対象となります。

他方で、「あいつは仕事ができない、無能だ」というのは具体的な事実がないので、侮辱罪の対象となります。

実際の判断はケースバイケースになりますが、目安としては具体的な事実の摘示があるかどうかにより異なります。

また、名誉毀損罪では、その内容が公共の利害に関するもので、公益目的を以っておこなわれたもので、かつ、その内容が真実であったとき、ないしは真実と信じるに足りるだけの相当な理由があったときには、名誉毀損罪で処罰を受けることはありません(刑法230条の2)。

他方、侮辱罪にはこのような規定がありません。

脅迫罪

脅迫罪は、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」場合に成立する犯罪です(刑法222条)。

脅迫罪は、人を畏怖させる程度の加害の告知により成立する犯罪です。

たとえば、「殴るぞ」とか「殺すぞ」などが脅迫罪にあたる言動といえます。

侮辱罪との違いとしては、一つは「加害の告知があるかどうか」です。

侮辱罪では「バカ」などの侮辱的な表現が対象となりますが、脅迫罪では「殴るぞ」などのように被害者に危害を加える表現が対象となります。

また、侮辱罪との違いとして、「公然と」があるかどうかも挙げられます。

脅迫罪については「公然」は必要ではなく、被害者との関係だけで成立します。

他方、侮辱罪では「公然」が必要であり、被害者と二人きりの場で言っただけでは侮辱罪は成立しません。

信用毀損及び業務妨害罪

信用毀損及び業務妨害罪とは、「虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した」場合に成立します(刑法233条)。

虚偽の風説の流布とは、客観的事実に反する内容・うわさを不特定多数の人に伝播させることです。

不特定多数の人に伝播させる可能性があるという点で、侮辱罪と混同されやすいところがあります。

ただし、信用毀損罪では「信用を毀損する」、すなわち人の経済面における社会の信頼を低下させることが必要とされています。

侮辱罪と対照すると、信用毀損罪は発言・発信の内容が客観的事実に反するものであり、また現実に被害者の社会の信頼を低下させたといえる状態にさせることが必要となり、侮辱罪よりも成立する範囲が狭いといえます。

侮辱罪で加害者を訴えるためのポイント

侮辱罪の被害に遭ってしまった場合の対処方法としては、損害賠償などの民事上の責任追及と、侮辱罪による処罰を受けさせるという刑事上の責任追及の2つが挙げられます。

これらの責任追及をおこなうために準備すべきことは、以下のとおりです。

誹謗中傷に詳しい弁護士を探す

まずは誹謗中傷の問題に詳しい弁護士を探し、相談するところから始めましょう。

「侮辱罪に問えるのか」「損害賠償を請求できるのか」「請求できるとすればいくらくらいなのか」などについては、法律的な判断が必要となります。

また、インターネット上の匿名掲示板やSNSで誹謗中傷された場合などでは、加害者(犯人)を特定するための発信者情報開示請求などの法律上の手続きが必要になる場合もあります。

弁護士は法律の専門家ですが、それぞれに得意分野があるので、できれば誹謗中傷の分野が得意な弁護士に依頼したほうが、事案の見立てを正確に示してくれて、その後の手続きもスムーズに進めていけるでしょう。

侮辱された証拠を用意する

侮辱されたことを証明するための材料を揃えておきましょう。

口頭で侮辱された場合には「相手の発言を録音しておく」または「その場に居合わせた人に証言を求める」、インターネット・SNSで侮辱された場合には「その内容を記録として残しておく」など、侮辱されたことの証拠を用意しましょう。

告訴状を警察へ提出する

侮辱罪で処罰を受けさせるためには、警察への告訴が必要です。

侮辱罪は親告罪とされていて(刑法232条)、被害者による告訴手続が必要です。

具体的には警察に告訴状を提出することが必要となります。

侮辱された内容を記した告訴状を作成し、証拠を添えて警察に提出しましょう。

告訴状が受理されたら、その後の捜査は警察がおこない、最終的には警察から事件送致を受けた検察が、侮辱罪として処罰を受けさせるかどうかを判断することになります。

侮辱罪で被害者から訴えられた場合の対処法

侮辱罪に関しては、意図せずに加害者となってしまうこともあります。

「ちょっとしたことで口論となってつい言ってしまった」ということや、「インターネット・SNSで匿名だから安易な気持ちで侮辱する内容を投稿・発信してしまった」ということも起こりかねません。

もし、そうなってしまった場合には、以下の流れで対処するようにしましょう。

1.弁護士に仲裁を依頼する

まずは弁護士に相談し、できれば弁護士に仲裁を依頼しましょう。

弁護士に相談すれば、各事案に応じて、侮辱罪で処罰されるリスクがどの程度あるのか、慰謝料などはどれくらいになるのかなどの法的な判断を示してくれます。

当事者同士では感情的になり、かえって交渉が決裂するということも起こりえますが、弁護士に仲裁に入ってもらえば、こうしたリスクも回避できます。

被害者側が不当な金額を請求してくるケースもありますが、弁護士に依頼すれば、過大な請求に対して適切な対応をしてもらえます。

2.謝罪や慰謝料を提示して示談をおこなう

被害者となる相手方へ謝罪し、慰謝料を提示するなどして示談交渉をおこないましょう。

示談が成立したら、必ず示談書・合意書などの、示談内容を明確にする書面を作成しましょう。

3.被害者と和解して告訴取り下げをしてもらう

被害者が警察に告訴手続を取っている場合には、示談して告訴の取下げをしてもらうようにしましょう。

侮辱罪は親告罪ですので、被害者が告訴を取り下げると、侮辱罪の罪に問われることはありません

示談交渉の中で、告訴の取下げについても交渉するようにしましょう。

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侮辱罪に関するよくある質問

ここでは、侮辱罪に関するよくある質問について解説します。

「気持ち悪い」「バカ」「クズ」などは侮辱罪になりますか?

侮辱罪の「侮辱」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することを指します。

「気持ち悪い」「バカ」「クズ」などは人格を蔑視する表示ですので、形式的には侮辱罪にあたるといえます。

ただし、実際に侮辱罪で処罰を受けるかどうかは、その表示がされたときの状況・経緯などにより異なります

メールやDMでの悪口も侮辱罪になりますか?

相手方(被害者)との直接のメールやDMでの悪口は、「公然と」とはいえないので、侮辱罪にはあたりません。

ただし、CC付のメールなどで多数の人に向けて発信された場合には「公然と」にあたる可能性はあります。

ネットいじめは侮辱罪で訴えることができますか?

インターネットは不特定多数の人が閲覧できるもので、「公然と」にあたりますので、ネット上で悪口を言われるなどのネットいじめに遭った場合には、侮辱罪が成立する可能性があります。

まとめ

侮辱罪は以下の要件を満たすと成立します。

  • 事実を摘示せずに他人の人格を蔑視する価値判断を表示すること
  • 上記の表示を不特定多数の人が知りうる状態でおこなうこと

侮辱罪に該当すると、「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」の制裁を受けることになります。

インターネット・SNSの発達により、今では誰もが侮辱罪の被害者・加害者になる可能性があります。

侮辱罪に問えるか・問われるかなどで悩んでいる方は、ぜひ法律の専門家である弁護士に相談してください。

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この記事の監修者
一歩法律事務所
南 陽輔 (大阪弁護士会)
大阪大学法学部卒業。法律事務所に12年勤務した後、2021年3月独立開業。いわゆる「町弁」として、労働トラブルや、離婚トラブル等の一般民事事件全般、刑事事件トラブルなどを主に取り扱っている。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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