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肖像権侵害を受けた場合、加害者に対して損害賠償(慰謝料)を請求できます。
損害賠償の対象となるのは、肖像権侵害と相当因果関係がある損害の全額です。
数十万円程度にとどまるケースが多いですが、具体的な事情によっては高額の慰謝料を得られる可能性もあります。
信頼できる弁護士に依頼して、適正額の損害賠償の獲得を目指しましょう。
今回は、肖像権侵害の慰謝料請求について、判断基準・金額の目安・請求手続きなどを解説します。
肖像権には、「人格権」と「パブリシティ権」という2つの権利が含まれています。
肖像権の一つである「人格権」は、自己の容ぼうなどを無承諾でみだりに撮影されず、または自己の容ぼうなどの写真をみだりに公表されない権利です(最高裁昭和44年12月24日判決、最高裁平成17年11月10日判決)。
すべての写真撮影や写真の公表が人格権侵害に当たるわけではなく、悪質な態様でおこなわれるものに限って人格権侵害に該当します。
もう一つの肖像権である「パブリシティ権」は、氏名や肖像などが持つ顧客誘引力を商業的に利用する権利です(最高裁平成24年2月2日判決)。
たとえば有名なスポーツ選手や芸能人などは、その人の写真を使うだけで雑誌の売上が増えたり、イベントに多くの人が集まったりすることがあります。
これは、有名人の氏名や肖像が持つ顧客誘引力の効果と考えられます。
パブリシティ権は、有名人の知名度を勝手に利用して集客を図る行為などを禁止するものです。
雑誌・ビラ・パンフレット・グッズなど、商業的に制作される物へ有名人の写真を勝手に掲載する行為は、パブリシティ権侵害に当たります。
肖像権侵害の判断基準は、人格権・パブリシティ権のそれぞれについて、最高裁判例によって示されています。
人格権侵害の判断基準は、カレーに毒物を混入した疑いで起訴された刑事被告人につき、写真週刊誌の記者が法廷での姿を無断で撮影・公開した事件の判決において示されています(最高裁平成17年11月10日判決)。
最高裁は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないことについての人格的利益を肯定しつつ、人の容ぼう等の撮影が正当な取材行為等として許されるべき場合もあることを指摘しました。
そのうえで、承諾のない容ぼう等の撮影が不法行為に当たるかどうかは、撮影による人格的利益の侵害が社会通念上受任の限度を超えるものといえるかどうかによって判断すべきとしました。
「社会通念上受任の限度を超える」かどうかを判断する際の考慮要素につき、最高裁は以下の各点を挙げています。
パブリシティ権侵害の判断基準は、有名女性歌手の写真を写真週刊誌が無断掲載した事案の判決によって示されています(最高裁平成24年2月2日判決)。
最高裁は、専ら肖像等の有する雇用吸引力の利用を目的とする場合に、肖像等を無断で使用する行為がパブリシティ権侵害として不法行為に当たるとしました。
「専ら肖像等の有する雇用吸引力の利用を目的とする場合」の例として、最高裁は以下の3つを挙げています。
たとえば以下のような行為は、肖像権侵害に当たる可能性が高いと考えられます。
<人格権侵害の例>
<パブリシティ権侵害の例>
肖像権侵害は不法行為に当たるため、撮影者や写真を公表した者などに対して損害賠償(慰謝料など)を請求できます。
損害賠償請求に当たっては、肖像権侵害によって実際にどのような損害が生じたのかを適切に主張することが大切です。
損害を拡大する事情がある場合には、それを効果的に主張することで損害賠償の増額が期待できます。
なお、肖像権侵害に当たる写真の公表などについては、差し止めを請求することも可能です。
損害賠償請求と併せて、弁護士にご相談ください。
肖像権侵害(人格権侵害・パブリシティ権侵害)につき、加害者に請求できる損害賠償(慰謝料)の目安を紹介します。
人格権侵害による損害が、プライバシーの侵害による精神的損害のみである場合、慰謝料は10万円から50万円程度が標準的です。
ただし、ポルノ画像が流出させられたなどの特殊な事情がある場合には、数百万円以上の高額の慰謝料が認められることもあります。
また精神的損害のほか、無断撮影・公表と因果関係のある損害については損害賠償の対象です。
たとえば写真を公表されたことによって、店舗・施設・芸能人などの評判が低下した場合には、それに伴って生じた損害の賠償を請求できます。
パブリシティ権は財産権としての側面が強いため、原則として慰謝料の損害賠償は認められません。
ただしブランドイメージの著しい低下によって活動ができなくなるなど、本人の精神的損害を無視すべきでない場合には、例外的に慰謝料の請求が認められる可能性があります。
財産的損害については、パブリシティ権侵害に当たる行為と因果関係のある範囲で損害賠償の対象となります。
たとえばブランドイメージの低下による収入の減少や、顧客を奪われたことによるグッズ売上の減少などは、いずれも損害賠償の対象です。
特に知名度の高いタレント・スポーツ選手などの場合、パブリシティ権侵害による損害賠償はきわめて高額となる可能性があります。
肖像権侵害の損害賠償を請求する場合の、主な手続きは以下のとおりです。
いずれの手続きについても、弁護士に依頼すれば全面的にサポートを受けられます。
「示談交渉」は、肖像権侵害を犯した者と直接話し合い、損害賠償(慰謝料)の支払いについて合意を目指す手続きです。
示談交渉が妥結すれば、法的な手続きを利用する場合に比べて、肖像権侵害のトラブルを早期に解決できます。
「支払督促」は、裁判所に対して申立てをおこない、損害賠償(慰謝料)の支払いを督促してもらう手続きです。
支払督促を受け取った加害者が2週間以内に異議を申し立てない場合、被害者は「仮執行宣言付支払督促」を申し立てることができます。
仮執行宣言付支払督促は、強制執行の債務名義として用いることが可能です(民事執行法22条4号)。
ただし、仮執行宣言付き支払督促についても、受け取ってから2週間以内に限り異議申立てが認められています。
支払督促・仮執行宣言付支払督促に異議が申し立てられた場合は、自動的に訴訟手続きへ移行します。
「訴訟」は、裁判所に対して損害賠償(慰謝料)の支払いを命ずる判決を求める手続きで、公開法廷においておこなわれます。
訴訟で損害賠償を命ずる判決を得るためには、訴訟を提起した原告が、損害賠償請求権の存在を立証しなければなりません。
そのためには、肖像権侵害を裏付ける具体的事実を、適切な証拠に基づいて主張・立証する必要があります。
肖像権侵害の損害賠償請求は、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼することの主なメリットは、以下のとおりです。
肖像権侵害についてはリーディングケースとなる最高裁判例があり、損害賠償請求をおこなう際には、最高裁の判示に沿った主張・立証をおこなうことが求められます。
弁護士は判例の内容に精通するとともに、判示に沿った主張・立証活動についても要領を熟知しているため、事案に応じた適切な主張・立証活動が期待できます。
その結果として、肖像権侵害について適正額の損害賠償を得られる可能性が高まります。
肖像権侵害の加害者に対して、示談交渉・支払督促・訴訟などを通じて損害賠償を請求することは、それ自体が被害者にとって負担の重い作業です。
特に裁判手続きを利用する場合は、裁判所に提出する必要書類を準備しなければならず、適切に書類を揃えることは非常に大変です。
弁護士に依頼すれば、損害賠償請求に必要な手続きを一任できます。
被害者本人が対応すべき事柄がほとんどなくなるため、損害賠償請求の負担が大幅に軽減されます。
肖像権侵害の損害賠償請求(慰謝料請求)を弁護士に依頼する場合には、以下の弁護士費用がかかります。
各弁護士費用の金額目安(実費については具体例)は、以下のとおりです。
※「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考にしています。
30分5,500円程度
※弁護士によっては、無料相談を受け付けている場合があります。
経済的利益の額が300万円以下の場合 |
経済的利益の額の8.8% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 |
経済的利益の額の5.5%+9万9,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 |
経済的利益の額の3.3%+75万円9,000円 |
3億円を超える場合 |
経済的利益の額の2.2%+405万9,000円 |
※請求額を経済的利益として計算
経済的利益の額が300万円以下の場合 |
経済的利益の額の17.6% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 |
経済的利益の額の11%+19万8,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 |
経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円 |
3億円を超える場合 |
経済的利益の額の4.4%+811万8,000円 |
※獲得額を経済的利益として計算
半日(往復2時間超4時間以内) |
3万3,000円以上5万5,000円以下 |
一日(往復4時間超) |
5万5,000円以上11万円以下 |
肖像権侵害に悩んでいる場合には、信頼できる弁護士に依頼することが解決への近道です。
しかし、依頼できる弁護士に心当たりがない方もいらっしゃるかと思います。
肖像権侵害について相談する弁護士を探す際には、「ベンナビIT」をご活用ください。
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