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私的情報・画像流出 弁護士監修記事 公開日:2020.6.11  更新日:2022.11.8

電話番号の晒しが犯罪になるケースと悪質な嫌がらせへの対処法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Unannounced

インターネット上に相手の個人情報を公開するいわゆる『晒し』行為は、晒された側からすれば非常に不安でしょうし、これを第三者が悪用することで二次的な被害が生じる可能性もあります。

例えば、インターネットで相手の電話番号を晒した場合、その電話に迷惑電話がなされたり、電話番号をいたずらに利用されたりして相手の日常生活に支障をきたすケースもあるでしょう。

このコラムでは「電話番号の晒し行為」の問題について解説します。

【関連記事】ネットへの実名晒しは違法行為|罪と被害への対処法を解説

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電話番号はプライバシー情報といえない可能性もある

『プライバシー情報』とは、特定個人の私生活上の事実または事実と受け取られるおそれのある内容で、公開されていない、または通常は公開を欲しない情報を意味します。

電話番号は個人のプライバシーであると考える人も多いかもしれませんが、上記観点からすれば「電話番号そのもの」はプライバシー情報とはなりません。電話番号だけでは個人の特定がされないため、「特定個人の」情報であるとはいえないからです。

そのため電話番号のみが晒されたとしても、直ちに個人に対するプライバシー侵害とは判断できない場合があります。

しかし本人の特定が可能な状態で、公開されていない電話番号を晒すような場合には、個人の私生活上の事柄を公表する行為としてプライバシー侵害となる可能性があるでしょう。

このような場合には晒し行為が違法となる可能性があります。

プライバシー侵害の被害では警察は動いてくれない

インターネット上でプライバシーが侵害されたとしても、警察は被害者の力になってはくれません。

警察は犯罪行為を取り締まる機関ですが、日本の法律ではプライバシー権の侵害は違法ではあっても、罰則のある犯罪行為とはされていないためです。

そのためプライバシー侵害の被害者は、加害者に対して権利侵害を理由とする損害賠償請求をするなど、民事的な手段で対抗するのが基本です。

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嫌がらせで電話番号を晒されたときの対処法

インターネット上で自身の電話番号が晒されてしまっている場合の対処法を、3つご紹介します。

  1. 非通知番号からの電話は拒否する
  2. SNSの情報は非公開にする
  3. ネットの書き込みを削除する

非通知番号からの電話は拒否する

電話番号が晒されることで、迷惑電話やいたずら電話の被害が予想されるでしょう。迷惑電話・いたずら電話が頻繁にかかってくるようになると、当然、相当な精神的ストレスがかかります。

しかし迷惑電話やいたずら電話の多くは、匿名で行われることがあるため、非通知設定であることが多いです。

最も簡単な対応としては、非通知番号や電話帳登録のない番号からの着信を拒否するということが考えられます。

SNSの情報は非公開にする

SNSで電話番号と併せてその他の個人情報を掲載していれば、電話番号から芋づる式に情報が晒されてしまう可能性があります。

氏名・住所・勤務先などの情報が晒されれば、被害が更に拡大してしまうリスクも否定できません

対応としては、アカウントを非公開としたり、個人情報の公開を取りやめることが考えられます。

ネットの書き込みを削除する

電話番号が晒されている場合、晒し行為の投稿がされているインターネット掲示板やSNSの管理者に通報して、投稿の削除を求めることが可能です。

各サイト・SNSの規約やガイドラインに従って削除を要請する必要がありますので、詳細については以下の記事をご参照ください。

詳細記事 ネット書き込みを削除する方法|状況別の3つの手続きを徹底解説

投稿者の特定は可能か

投稿者による投稿が違法な権利侵害行為であれば、『発信者情報開示請求』を通じて投稿者を特定できる可能性があります。

詳細記事 ネット誹謗中傷の特定方法|書き込み犯人を調べる費用の相場は?

この場合は、法律や手続きについての専門知識が必要ですので、まずはIT分野に詳しい弁護士に相談して意見を参考にされることをおすすめします。

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

 

特定手続は迅速に着手する必要がある

投稿者の特定には、まず投稿に利用されたIPアドレスを特定する必要があります。

しかしIPアドレス情報の保管期間は、3か月が目安といわれています。この期間を過ぎてしまうと、加害者の特定は難しくなるのでご注意ください。

IPアドレスの開示請求だけでも約1か月の時間がかかるので、可能な限り早めに手続きへ着手されることをおすすめします。

費用倒れになるリスクが高い

投稿者の特定するためには80万円~100万円前後の弁護士費用がかかります。

しかし仮に投稿者を特定できても、投稿者の慰謝料支払義務は基本的には低額ですし、特定費用の全額を請求できるわけでもありません。そのため、多くの場合は赤字になります。

したがって、投稿者を特定するかどうかは赤字覚悟で行う必要があります。

弁護士への法律相談をおすすめする状況

上記の通り、投稿者の特定は赤字を覚悟する必要があります。そのため、嫌がらせを抜本的に解決したいという確固たる思いがない場合には、弁護士への依頼等はおすすめできません。

しかし「どうしても投稿者を許せない」、「赤字になってもいいので泣き寝入りは嫌だ」という考える場合には、弁護士への依頼を強く推奨します。

プロバイダ責任制限法の改正による情報開示請求の変更点

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行され、手続き等に変更がありました。主な違いは次の3点です。
 
➀新たな非訴手続きの創設
②開示情報の範囲の見直し
③発信者が開示を拒否した場合の理由照会の義務化
 
ここでは、これら変更点について簡単にお伝えします。

1回の手続きで情報開示請求できる新たな非訴手続きの創設

これまでは発信者情報を特定するために、「コンテンツプロバイダへの発信者情報開示仮処分」と「アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求」の2つの裁判手続きが必要でした。
 
その分、発信者の特定まで時間と費用がかかるうえに、2回の裁判の途中でログ保存期間が経過し、発信者の特定が困難になるなどのデメリットがあったのです。
 
改正後は、新たな非訟手続として「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が創設され、1回の手続で発信者情報の開示請求が可能になりました。非訟手続は訴訟以外の裁判手続のことで、訴訟に比べて手続きが簡易で柔軟な対応ができるのが特徴です。
 
新設された「発信者情報開示命令に関する裁判手続」では、「①裁判所に対する開示命令」「②コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する提供命令」「③アクセスプロバイダに対する消去禁止命令」を同時に申立てます。
 
このように、1つの裁判手続きで済むことと、消去禁止命令があることから、発信者の特定まで時間が短縮され、ログが消えて発信者情報の開示が困難になるのを防ぎ、より円滑に被害者の損害が回復されることが見込まれます。

既存の2段階の手続きも認められている

改正プロバイダ責任制限法では、既存の「発信者情報開示請求権にかかる手続き」による2段階の手続きも認められています。つまり、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」と「発信者情報開示請求権にかかる手続き」のどちらの方法でも発信者情報の開示請求が可能です。
 
もっとも、新設の手続きではアクセスプロバイダとコンテンツプロバイダの間で必要な情報を相互に提供し合う必要があり、円滑に発信者情報の特定に至るか難しいケースも考えられます。
 
例えば、IPアドレスやタイムスタンプなどで発信者が特定可能な平易なケースであれば、新設の手続きを利用するのが理想でしょう。
 
一方、ポート番号など他の情報が必要なケースや、事前にプロバイダが強く情報開示を拒否すると予想されるケースなどは、既存の手続きを必要とする可能性が高く、ケースバイケースでどちらの手続きを選択すべきか判断することになります。

ログイン時情報を開示請求可能に

近年のSNSはログイン型サービスが主流になりました。同サービスではログインした状態で様々な投稿をおこないます。もっとも、そのようなログイン型サービスは、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスを保有していないケースも少なくありません。
 
そして、ログイン時のIPアドレスは既存のプロバイダ責任制限法において「発信者情報」に該当するか明確になっておらず、開示されるかどうかは裁判所により個別に判断されていました。また、ログイン時の通信を媒介したプロバイダに関しては、開示請求の対象とはしていませんでした。
 
つまり、権利侵害を受けたにも関わらず発信者が特定できないケースもあったのです。
 
そこで改正プロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスについて「特定発信者情報」と明文化し、ログイン時のIPアドレスについても開示請求権を認めました。さらに、ログイン時の通信を媒介したプロバイダも開示請求の対象と認めています。
 
これにより、ログイン型サービスにおいて、投稿時のIPアドレスが保存されていないケースであっても、ログイン時IPアドレスを特定発信者情報とし情報開示請求が可能になりました。
 
もっとも、ログイン時のIPアドレスの開示が認められるには「請求対象のプロバイダが特定発信者情報のみしか保有していない」など条件が設けられています。つまり、ログイン時の情報が開示されるのはログイン型サービスのみに限定される点に注意が必要です。

意見照会で発信者が情報開示に応じないときの理由の照会

既存のプロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求があった場合、プロバイダは発信者に対して意見照会をしなければならないと定められています。意見照会は簡単にいえば「発信者に対して情報を開示してもよいか確認すること」と表現できます。
 
改正プロバイダ責任制限法でも意見照会自体について定めがあるものの、新たに、「発信者が開示に請求に応じない場合にはその理由を照会する」旨の規定が定められました。
 
つまり、発信者が情報開示請求に応じない場合、プロバイダはその理由について聞き取りをしなければなりません。
 
これにより、発信者が情報開示に応じない理由を把握したうえで、プロバイダが適切な対応がとれるようになります。

 

まとめ

電話番号を晒す行為は、電話番号が個人を特定できる情報と共に公開されている場合は、プライバシー侵害に該当する可能性があり、この場合は投稿者を特定することまで検討する余地があります。

ただ、この場合は赤字を覚悟する必要がありますので、メリット・デメリットを慎重に検討したうえで、どうするべきかを判断してください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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