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発信者情報開示請求とは|請求訴訟を行う具体的な流れ
掲示板・SNS削除 IT・ネット法務 2018.10.12 弁護士監修記事

発信者情報開示請求とは|請求訴訟を行う具体的な流れ

法律事務所アルシエン
清水陽平 弁護士
監修記事
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発信者情報開示請求(はっしんしゃじょうほうかいじせいきゅう)とは、『プロバイダ責任制限法第4条1項』によって規定されている情報開示請求のことを指します。

これはインターネット上で他者に対して誹謗中傷等を行った発信者の、住所や氏名、電話番号等の開示をプロバイダに請求できる制度です。

この記事では、発信者情報開示請求の基礎知識から、発信者情報開示請求を申請する場合の要件、発信者情報開示請求の具体的な流れをご紹介します。

 

発信者情報開示請求の基礎知識

ここでは、発信者情報開示請求に関する基礎知識についてご紹介します。インターネット上での違法な書き込みによる事件やトラブルに対し、どのように対処すればよいのか、基礎知識から把握していきましょう。

発信者情報開示請求で判明することは?

発信者情報開示請求とは、インターネット上で違法な書き込みや投稿を行った人の情報を、掲示板・ブログなどの運営者やプロバイダに開示を求める制度のことです。

なお、開示請求の対象となる情報は以下の通りです。

  • 発信者氏名
  • 発信者住所
  • 発信者メールアドレス
  • 発信者IPアドレス
  • IPアドレスと組み合わされたポート番号
  • 侵害情報に関与する携帯電話等の端末からのインターネット接続サービス利用者識別符号
  • 侵害情報に関与するSIMカード識別番号
  • 侵害情報の送信日時、時刻(タイムスタンプ)

これらの発信者情報が対象になります。

参考元:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律

段階の手続きが原則として必要

発信者情報開示請求の手続きをする場合、

  • 書込みがされたサイトの運営会社に対するIPアドレス等の開示請求
  • IPアドレスから判明するインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対する氏名、住所等の開示請求

といった、2段階の手続きが必要になります。

請求を受けた側は、基本的には裁判所が開示を命じなければ開示に応じないため、いずれの請求についても裁判が必要と考えてもらった方がよいです。

  1. IPアドレス等の開示請求については、発信者情報開示請求の仮処分
  2. 氏名・住所等の開示請求については、発信者情報開示請求の本案(通常の裁判)

 

を、それぞれ行うことが必要になります。

通信ログの保存期間は短いので早急な対応が必要

基本的に発信者情報開示請求の手続きを開始する際は、違法な書き込みや投稿による被害を受けてから2ヶ月以内には行う必要があります。

その理由としては、以下の2点が考えられます。

  • 発信者情報開示請求の仮処分による決定には約1ヶ月の期間を要する
  • ISPが通信ログを保存する期間は概ね3ヶ月間である

つまり、被害を受けてから2ヶ月以内に、IPアドレス等の情報を得なければISPの通信ログの保存期間が過ぎてしまい、発信者情報を特定できません。

これらの理由から、被害を受けたら速やかに対応をしていく必要があります。

 

発信者情報開示請求の申請に必要な2つの要件

ここからは、発信者情報開示請求を申請する具体的な要件についてご紹介します。発信者情報開示請求については、それに該当する正当な理由がなければ、請求が認められることはありません。

該当する要件については、プロバイダ責任制限法により次のように明記されています。

<プロバイダ責任制限法4条1項>
1.侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
2.当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかである

プロバイダ責任制限法によると、発信者情報開示請求に関する要件として、『当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき』とあります。

侵害される権利は何でもよいとされていますが、誹謗中傷だと名誉権や名誉感情、プライバシーなどが対象になることが多いと思われます。

例えば、誹謗中傷記事や投稿の内容が真実であると判断されれば、名誉権侵害にはあたらないという判断となり、発信者情報開示請求を認めない可能性が高いです。

発信者情報の開示請求を受けるべき正当な理由がある

続いての発信者情報開示請求の要件としては、「開示請求を受ける正当な理由がある」です。正当な理由とは、嫌がらせのためにするのではないということであり、損害賠償請求などを行う必要があるということです。

発信者情報開示請求におけるこれら2つの要件を満たすためには、誹謗中傷記事や投稿が、真実と異なることを示す証拠を事前に準備することが肝心です。

発信者情報開示請求を行う場合には、ネットでのトラブルに詳しい弁護士に事前相談を行うと、スムーズな開示請求につながるでしょう。

 

発信者情報開示請求の具体的な流れ

ここでは、発信者情報開示請求の具体的な流れについてご紹介します。

開示請求の要件に該当するか事前検討

誹謗中傷記事や投稿の発信者を特定するために、まずは先ほど紹介した開示請求の要件に該当するか、事前検討する必要があります。検討にあたっては、発信者情報開示請求の経験がある弁護士などに相談する方法が、もっとも効率的でしょう。

ただし、要件に該当するかどうかの重要ポイントにご注意ください。

  • 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき
  • 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき

これらに該当するだけでなく、誹謗中傷記事や投稿の被害から日数が経過していないことも確認しておきましょう。

発信者情報開示仮処分命令申立による決定には約1ヶ月の期間が必要となりますし、プロバイダが通信ログを保存する期間は概ね3ヶ月間かかります。そのため、被害から日数が経過し過ぎていると、開示請求できない可能性が高いです。

被害があった場合は、早急に弁護士に事前相談しましょう。

サイト運営者に対する開示請求

弁護士による事前相談を通して、発信者情報開示請求の2要件を満たしていると判断された場合、次はサイト運営者に対して開示請求を行います。

運営者に対しては、IPアドレスとタイムスタンプの開示を求める『発信者情報開示請求仮処分』の申立てを行います。

この手続きを行うことで、裁判所は誹謗中傷記事や投稿の運営者に対して、開示させるかを判断します。当然のこととして、この時点で裁判所が発信者情報開示請求の要件に該当していない場合には、仮処分の決定は出されません。

弁護士と相談の上、発信者情報開示請求の条件に合致するか、また有力な証拠はあるかなど、事前準備が必要でしょう。

なお、開示を認める決定が発令されれば、運営者はそれ以上争うことは基本的にせず、IPアドレスとタイムスタンプを開示してくれることが多いです。

発信者プロバイダの特定

次に裁判所から開示されたIPアドレスをもとに、投稿者のインターネットサービスプロバイダ(ISP)を特定します。プロバイダとは、インターネットに接続するサービスを行う事業者のことで、IPアドレスによって割り出すことが可能です。

情報開示請求訴訟

ISPが分かれば、ISPに対してログの保存(消去禁止)を求める書面を適宜の書式で送るとともに、裁判を起こし、発信者の氏名・住所を開示させる手続きに移行します。

この手続きを『発信者情報開示請求訴訟』と言います。こちらの訴訟は、プロバイダの本社所在地を管轄する裁判所で行います。プロバイダの対応によっても異なりますが、裁判にかかる日数は半年が目安になります。

発信者の特定

前章の発信者情報開示請求訴訟が決定された場合には、プロバイダは、発信者の契約者の氏名・住所を開示する必要があります。これを受けて、発信者の特定がされるということになります。

 

発信者情報開示請求を拒否された場合の対処法

裁判を使わずに発信者情報開示請求を行うことも可能ですが、一般的には開示は拒否されることになります。

ただ、その場合でも、要件に該当し、かつ具体的な証拠があるのであれば、発信者情報開示請求仮処分を申し立てることはでき、これにより開示をしてもらえる余地があります。

もっとも、裁判を使わずに開示請求をすると、結果としてそれだけ時間を無駄にすることになり、ログがなくなってしまう可能性が高まるため、スムーズな発信者情報開示請求を実現するためには、事前に弁護士に相談したほうがよいでしょう。

 

弁護士に開示請求を依頼するメリット

まず、発信者情報開示請求に関する要件に合致しているのかを判断することは、困難でしょう。

さらに、発信者情報開示請求書を作成する場合にも、該当する項目の中に『権利が明らかに侵害された理由』や『権利侵害に関する証拠』を明記する箇所があります。こちらも法律に知見のある弁護士でなければ、具体的な作成は困難です。

確かに、裁判を使わずに発信者情報開示請求をするのであれば、弁護士に依頼せずとも請求自体は可能です。しかし、請求を拒否される可能性が高く、その後、発信者情報開示仮処分命令申立手続き等に移行することを考慮すれば、弁護士に依頼することは必須でしょう。

ぜひ、弁護士への相談を検討してみてください。

 

誹謗中傷に関する発信者情報開示請求の弁護士費用は?

発信者情報開示請求を弁護士に依頼する場合の費用ですが、これは弁護士事務所等の料金設定に依存する場合が多く、一概には言えません。あくまで目安として、以下を参照してください。

内容
相談料金
着手金
報酬額
誹謗中傷削除請求
無料〜1万円/時
10〜40万円
5〜30万円
発信者情報開示請求
無料〜1万円/時
20~40万円
10〜30万円
損害賠償請求
無料〜1万円/時
20万円前後
経済的利益の10〜20%

 

まとめ

発信者情報開示請求においては、被害を受けた日時より早急に事前検討を進める必要があります。また、手続きに関しても多くの法的知見が必要です。何よりもスムーズな発信者情報開示請求を行うためには、誹謗中傷やネット犯罪に詳しい弁護士に依頼するべきでしょう。

本記事を参考に、手続きの検討をしてみてください。

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この記事の監修者
法律事務所アルシエン
清水陽平 弁護士 (東京弁護士会)
インターネット上の法律問題について途を切り拓いてきた弁護士。​日本初の案件を多数取り扱っており、誹謗中傷の削除、発信者情報開示請求、損害賠償請求など、相談者のお悩みに沿った解決策を提案。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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