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私的情報・画像流出 弁護士監修記事 更新日:

ストリートビューに写り込んだらどうする?削除依頼の仕方と法的な対処法

さいたまシティ法律事務所
荒生 祐樹
監修記事
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Googleのストリートビューは、GoogleマップやGoogle Earthを使って地図上のある地点の景色を360度のパノラマ写真で閲覧できるWebサービスです。

ストリートビューを利用すれば、地図上のある地点の景色を360度パノラマ写真で見ることができます。

たとえば、なかなか足を運ぶことが難しい遠い外国でも、ストリートビューで当該地点にカーソルを合わせることで現実の景色を閲覧できます。

その一方で、誰でもどこでも閲覧できるということは、裏を返せば、他人にみられたくないものまで写りこむ可能性があるということです。

「知人や会社の同僚に自宅を勝手に検索されたくないからGoogleに削除請求したい」というように、Googleのストリートビューに自宅やご自身の様子が掲載されていることに不満を抱いている方は少なくないでしょう。

そこで本記事では、Googleのストリートビューに登録された情報について削除依頼を検討している方のために、以下の事項について分かりやすく解説します。

  • Googleのストリートビューに掲載された画像に対する削除依頼の可否
  • Googleのストリートビューにぼかしを入れてもらう方法
  • Googleのストリートビュー画像の削除依頼を弁護士に依頼するメリット
  • Googleのストリートビューをめぐる法的問題

特に、ストリートビューが原因でストーカー被害や個人情報の漏えいなどのリスクを抱えているときには、削除請求やぼかし対応は喫緊の課題でしょう。

弁護士への依頼によってスムーズな削除手続き・ぼかし対応を期待できます。

弁護士を探す際は、IT問題の弁護活動を得意とする全国の弁護士を掲載するポータルサイトベンナビIT」を活用ください。

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そもそもGoogleストリートビュー画像の削除依頼は可能?

Googleのストリートビューは全世界からアクセスできますが、自宅や顔写真などが勝手に公開されていることについてプライバシー保護や防犯の観点から不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

まずは、Googleに対してストリートビュー画像の削除依頼をできるかについて解説します。

削除はしてもらえないが、「ぼかし」を入れてもらえる可能性はある

Googleのストリートビュー画面ページ内の「問題の報告」をクリックすると、掲載されている画像への対応をGoogle側に対して求めることができます。

ただし、Googleへの報告によって期待できる対応は「ぼかしを入れること、モザイク処理」であり、「画像自体の削除」までは実行されません

以下のオブジェクトがGoogleストリートビューにアップロードされている場合、「ぼかしを施したいオブジェクト」として報告できます。

  • 自宅
  • 表札
  • 自分の車またはナンバープレート
  • その他プライバシー侵害等の懸念がある物

対応するかどうかはGoogle社の判断次第

Googleに対して「ぼかしを入れること、モザイク加工を施すこと」自体は誰でも請求できますが、この請求を受けてどのような対応をするかはGoogle側の判断次第です。

Google側が「請求対象の画像内には明らかにぼかし対応の必要がある」と判断したときには、即時にモザイク処理が実施される可能性があります。

これに対して、「ぼかしを施す必要性が低い」と判断されると、希望する対応をしてもらえません。

なお、ストリートビュー内に掲載中の画像の内容次第では、ぼかし処理の要否のために更に追加情報が求められる可能性があるので、Google側からの問い合わせには誠実に対応することをおすすめします。

ストリートビュー画像にぼかしを入れてもらう方法【パソコンから】

Googleのストリートビュー画像にぼかし処理を施してもらう方法について解説します。

まずは、パソコンからの依頼方法についてです。

次の流れでGoogle側に問い合わせをおこないましょう。

  1. Googleマップで該当住所を探す
  2. ストリートビューを開いて「問題の報告」をクリックする
  3. 報告対象箇所が画面中央に表示されるようにビューを調整する
  4. 報告理由のチェック、必要事項の入力をしてリクエストを送信する

なお、当サイト内に掲載中の画像はオリジナルサンプルを使用しておりますので、第三者の肖像権やプライバシー権を侵害するものではありません。

また、Google社はストリートビュー画像に関するトラブルの電話対応窓口を設置していない点にもご注意ください。

1. Googleマップで該当住所を探す

まずは、Googleマップで、「ぼかしを入れたい情報が掲載されている場所の住所や名称」を入力して検索してください。

広範囲を示す航空写真や地図で「赤い印」が記載されたところが該当箇所です。

2.ストリートビューを開き、問題の報告をクリック

次に、マウスを操作するなどして縮尺を大きくすると、ストリートビューが開いて該当箇所の写真を閲覧できます。

ぼかし加工を希望する場合には、メニューバー(「︙」)から「問題の報告」を選択してください。

(上記画像では、「都道406号」と書かれた右側にメニューバー(「︙」)があるのがわかります。「︙」をクリックすると「問題の報告」が表示されます。)

3.報告対象が中心に表示されるよう調整する

「問題の報告」をクリックすると、不適切なストリートビューを報告するための画面が開きます。

まずは、「画像のプレビュー」の箇所をマウスポインタで移動してください。

そして、ぼかし加工の希望箇所をGoogleに適切に報告するために、人の顔写真や表札などの報告の対象部分が赤枠の中心に表示されるようにビューを調整します。

Googleマップチームは赤枠内で指摘された箇所についてポリシー違反があるかをチェックするので、ぼかし加工の希望箇所が赤枠から外れていたり中央部分にカーソルが合っていなかったりすると、適切な対応を期待できないので注意が必要です。

4.報告理由を選び、必要事項を入力

まずは、以下の「ぼかしのリクエスト」から1つだけ報告対象のオブジェクトを選択し、1,500文字以内で「識別に役立つ情報」を記述します。

赤枠内に表示された画像内の情報が多い場合、識別情報を丁寧に記載しなければ希望する箇所にぼかし加工が施されない危険性があります。

  • 自宅
  • 表札
  • 自分の車またはナンバープレート
  • 別のオブジェクト(ヌードや暴力的なシーン、路上で息絶えている動物など、Googleのガイドラインに違反する不適切な内容が写っている画像)

また、Google側から画像情報の特定などに関して追加質問が来ることがあるので、メールアドレスも正確にご入力ください。

最後に、reCAPTCHAによる確認タブにチェックを入れて送信すると、ぼかし加工の申請手続きは終了です。

記入したメールアドレス宛に、「ストリートビューについてご報告いただき、ありがとうございます。お知らせいただいた画像を確認し、リクエストが解決し次第メールにてご連絡いたします。」という文面の連絡が来ているかを確認してください。

メールが届いていない場合、入力したアドレスに間違いがある可能性が高いです。

後日、ストリートビュー画像の変更状況について、登録したメールアドレス宛に報告が届きます。

ぼかし対応の希望申請が通ったときには、「ご報告いただいたストリートビューを更新しましたので、24時間以内に変更が反映される予定です。」という旨の連絡が届くでしょう。

これに対して、Google側から希望却下の連絡が届いてもなおぼかし処理等を希望するのなら、弁護士にぼかし処理対応などについて相談することを強くおすすめします。

ストリートビュー画像にぼかしを入れてもらう方法【スマートフォンから】

次は、スマートフォンからGoogleのストリートビュー画像にぼかし処理を施してもらう方法について解説します。

スマートフォンからのぼかし加工依頼の流れは以下のとおりです。

  1. Googleマップの専用アプリから該当場所を検索する
  2. 画面左下に表示された「望遠鏡マーク」をタップする
  3. メニューから「問題を報告」を選択する
  4. 「プライバシーに関する懸念」をタップする
  5. 希望する対処方法を選択する

1. Googleマップアプリで該当場所を検索

まずは、Googleマップのアプリを開いて、ぼかし処理を希望する画像が掲載されている場所の住所・名称を検索します。

スマートフォンのブラウザからはストリートビューのぼかし処理希望申請ができないのでご注意ください。

2.画面左下の望遠鏡マークをタップ

該当地点を含むマップが表示されたら、検索結果画面の左下の「望遠鏡マーク」をタップしてください。

アプリ内の表示画面がストリートビューに切り替わります。

3.「問題を報告」を選ぶ

メニューバー(「︙」)をタップすると、画面下部にタブが表示されます。

「問題を報告」を選択して、ぼかし処理の希望申請手続きに移行してください。

4.「プライバシーに関する懸念」をタップ

「問題を報告」をタップすると、以下5つのフィードバックが表示されます。

  • 写真の画質が良くない
  • 店舗のラベルが間違っている
  • 番地/道路名またはその他のラベルが間違っている
  • プライバシーに関する懸念
  • その他の修正が必要

顔写真や表札、自動車のナンバーが表示されてしまっているようなケースでは、「プライバシーに関する懸念」を選択するとスムーズな対応を期待できます。

5.希望の対処を選ぶ

「プライバシーに関する懸念」をタップすると、「個人情報を隠す」「自宅の画像をぼやけさせる」のどちらかを選択するように求められます。

以下のように、それぞれ必要事項を入力する必要があるので、Google側の指示通りに記載してぼかし処理対応などを希望してください。

  • 個人情報を隠す:「ぼやかす必要がある人の顔、ナンバープレート、その他の個人を特定できる情報についての詳細」を記入してぼかし処理をリクエストする
  • 自宅の画像をぼやけさせる:住所や連絡先情報を入力して送信したうえで、送信されてきたメールの指示にしたがってその後の手続きを履践する

問題を報告しても対応してくれない場合は弁護士に相談を

ストリートビューに掲載されている画像についてぼかし処理を希望しても、Google側が応じてくれるとは限りません。

つまり、場合によっては、掲載を希望しない画像などがぼかし処理を施されないままWeb上に掲載され続けるリスクがあるということです。

「Google側にはぼかし処理を否定されたが、それでもアップロード中の画像は即刻削除して欲しい」「ぼかし加工では足りず画像自体を削除したい」とご希望なら、IT系のトラブル対応を得意とする弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士への依頼によって希望できる法的措置は以下2つです。

  1. Google社に対する削除請求
  2. Google社に対する損害賠償請求

Google社に対する法的手続きをサポートしてもらえる

弁護士に依頼すれば、法的手続きに基づいた削除請求のサポートをしてもらえます。

Google社に対する民事訴訟では、ストリートビューへの画像掲載の違法性や権利侵害などが争点になる可能性が高く、当事者本人だけで手続きを進めるのは簡単ではありません。

そのため、弁護士にサポートを依頼することが推奨されるわけです。

全国の弁護士を検索できるポータルサイト「ベンナビIT」には削除申請手続きなどのインターネット紛争を得意とする法律事務所が多数掲載されています。

無料相談の可否などで法律事務所を絞り込んで弁護士を探すこともできますのでぜひ活用ください。

必要に応じて損害賠償請求のサポートをしてもらえる

ストリートビューに画像が掲載されたことがきっかけで、ストーカー被害や情報漏えいによるさまざまな損害が生じた場合や精神的な苦痛を受けた場合には、Google社相手に不法行為に基づく損害賠償請求をする選択肢もあります。

画像の公開停止や削除請求のケースと同じように、損害賠償請求訴訟では権利侵害・損害・因果関係・故意または過失などの法的要件について丁寧に主張立証しなければいけません。

したがって、損害賠償請求訴訟を可能な限り有利に進めるためにも、特にIT系の紛争に力を入れている弁護士のサポートが不可欠だと考えられます。

ベンナビIT掲載中の法律事務所は全てネット紛争を得意とする弁護士ばかりなので、アクセスしやすい法律事務所の弁護士までお問い合わせください。

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ストリートビューに法的な問題や違法性はないか

「許可もなく勝手に自分の顔や自宅の様子が世界中に公開されているのは気持ち悪い」と感じるのは当然です。

また、「ストリートビューがきっかけで空き巣被害が生じたら誰が責任をとってくれるの?」「ストリートビューで自宅情報が筒抜けになってセールスや営業の対象になると面倒だ」などというように、実生活へのトラブルを懸念する声も少なくありません。

一方で、Googleが提供するストリートビューサービスは全世界に普及しているのが実情です。

そこで最後に、ストリートビューの違法性や法律上の懸念について解説します。

肖像権やプライバシー権の侵害とみなされる可能性は低い

全ての人には肖像権・プライバシー権が認められています。

  • 肖像権:自分の容姿・容貌をみだりに撮影されたり写真や動画などを公表されたりしない権利
  • プライバシー権:私生活上の情報(氏名・住所・電話番号・職業・年収・人の外見など)を公開されない権利

無許可で人の情報を撮影してWeb上に公開するストリートビューは、「肖像権・プライバシー権を侵害している可能性がある」といわれることもあります。

ただし、必ずしもGoogleのストリートビューが肖像権やプライバシー権を侵害しているとはいえません

無許可での撮影であったとしても、個人情報を特定できるまでのものが写っていなかったり、誰にでも見えるような公道上の様子を写真に収めただけだったりする場合、「被写体側の受忍限度を超えず権利侵害には該当しない」と判断される可能性が高いからです。

そのため、肖像権侵害やプライバシー侵害を根拠に法的措置を検討するときには、個別具体的な事情を積み上げて侵害の程度が深刻であることを主張立証する必要があるでしょう。

ストリートビューは個人情報保護法規制の対象外?

日本では、Googleのストリートビューは「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」にも違反するものではないと考えられています。

なぜなら、ストリートビューのような道路周辺映像サービスには、特定の個人情報を使って住所や画像を検索するシステムが備わっていないからです。

たとえば、自分がどのストリートビューに掲載されているかを検索することはできませんし、画像を見つけたとしても、少なくともストリートビューサービス自体を使うだけではその他の個人情報に行き着くこともできません。

このような考えから、Googleのストリートビューサービスは個人情報保護法との関係でも違法性の問題はないと考えられているのです。

撮影方法や写り込み方によっては違法となる

ストリートビューは公道上から撮影した画像を掲載しているだけなので、原則として肖像権やプライバシー権との関係で問題は生じません。

ただし、たまたま窓が開いていて室内の様子が克明に撮影されたり、人物の顔や裸体などが鮮明に分かりやすく公開されてしまっていたりするなど、撮影方法や写り込み方次第では、受忍限度を超えた肖像権侵害・プライバシー権侵害が存在すると評価される可能性があります。

Google側にかけあっても削除やぼかしなどの誠実な対応をしてもらえないときには、弁護士に相談をして、ストリートビューへの掲載状況に問題があるかを判断してもらいましょう。

ストリートビューに関する日本の裁判例

日本でも、ストリートビューに下着を含む洗濯物が写り込んでいたことを理由に、損害賠償請求訴訟が提起された実例が存在します(福岡高判平成24年7月13日)。

本件では、自宅のベランダ画像がストリートビューに写っていることを知った被害女性が精神的苦痛を感じ、通院や引越しを余儀なくされました。

しかし、「ストリートビュー画面に占める洗濯物の割合が極めて少なく、何が干してあるかを視認できないこと」「人物の容姿などの個人を特定する事情は一切掲載されていないこと」などの事情から、Google側の賠償責任は認められませんでした。

なお、本件を根拠に「ストリートビューの写り込みが全て適法と認定される」と考えることはできません。

写り込みの状況が個別具体的に考慮された結果、ストリートビューが権利侵害に至っていると判断されるほどのものであれば、損害賠償請求が認められる余地は残されています。

さいごに

ストリートビューにプライバシーを侵害するものなどが写っていた場合は、Googleにぼかし加工を依頼することはできます。画像の削除までは依頼できません。

Google側がぼかし加工の希望に対処してくれないときには、不本意な写り込みがWeb上に公開されたままになってしまいます。

ストリートビューの写り込みに関するGoogle側の対応に不満がある方や、ストリートビューへの掲載が原因で損害が生じて困っている方は、ベンナビITに掲載中の弁護士まで相談ください。

写り込みの態様から法的措置や画像削除などの方法を検討してくれるでしょう。

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この記事の監修者
さいたまシティ法律事務所
荒生 祐樹
埼玉弁護士会所属。新聞、テレビ番組などメディアへの出演経験を複数もち、インターネット問題(ネットいじめ)、反社会的勢力対応等の数々の著書の執筆にも携わる。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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