YouTubeであなたの映っている動画が勝手に投稿された場合、動画の内容によっては肖像権侵害として認められる可能性があります。
インターネットが普及した現代では、YouTube上に顔を晒す行為は、大きなリスクが伴います。
もし無断で動画が投稿されてしまった場合は、早急に対処したほうがよいでしょう。
本記事では、YouTubeの動画で肖像権侵害が成立する要件や、肖像権侵害をされた際の対処法などを解説します。
YouTube上での肖像権侵害に関するトラブルでお悩みの方へ
YouTube上での肖像権侵害に関するトラブルで悩んでいる場合は、弁護士に相談することをおすすめします。なぜなら、弁護士に相談・依頼すれば、削除依頼や賠償請求がスムーズにできるからです。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。
- 投稿動画が肖像権の侵害に当たるかどうかがわかる
- 削除依頼を出す際のアドバイスがもらえる
- 依頼すれば、削除依頼や損害賠償請求などの手続きを全て一任できる
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肖像権侵害の成立要件
まず、肖像権侵害がどのような状況で成立するのか確認しておきましょう。
肖像権とは、みだりに顔や容姿などを撮影および公表されない権利のことです。
法律では明確なルールは定められていませんが、以下の4つの要件を満たす場合は肖像権侵害として認められる可能性があります。
- 本人の容姿が明確に特定できる
- 本人に撮影や動画投稿の許可を得ていない
- 拡散性の高い媒体に投稿する
- 公表されることで具体的なダメージが生じる
YouTubeは動画サイトの代名詞といえるほど有名なサイトです。
③の「拡散性の高い媒体」という要件は確実に満たしており、動画の内容によっては肖像権侵害が成立する可能性があります。
YouTubeに自分が映った動画を公開された場合
次に、肖像権侵害になりやすい動画となりにくい動画について解説します。
肖像権侵害になりやすい動画
たとえば「勝手に撮影されたうえに動画のメインとして扱われており、周囲の人達も公開された動画を見たりして社会生活に影響が出ている」というような場合は、肖像権侵害が成立する可能性があります。
肖像権侵害になりにくい動画
「駅や公園などの人が沢山いる公共の場で撮影がおこなわれ、背景の一部として少し映り込んでしまった」というような内容の動画の場合は、肖像権侵害が成立する可能性は低いでしょう。
なぜなら、人が沢山いる場所で少し映り込んだだけでは個人の特定は困難ですし、公共の場にいる様子が映っただけでは社会生活に悪影響が生じているとはいえないからです。
YouTubeで肖像権侵害をされたときの対処法
ここでは、YouTubeで肖像権侵害をされたときの対処法を2つ解説します。
肖像権侵害への対処法
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- YouTubeへ削除依頼を出す
- 動画投稿者を特定して訴える
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YouTubeへ削除依頼を出す
YouTubeでは、他人の権利を侵害するような動画の投稿を許可していません。
相談窓口で肖像権侵害を報告すれば、YouTubeの運営に動画を削除してもらえる可能性があります。
まずは、動画が多くの人の目に触れないようにすることが大切です。
YouTubeの「プライバシー侵害の申し立て手続き」から問い合わせてください。
もしYouTubeの運営が動画を削除してくれない場合には、仮処分手続きをして裁判所から削除命令を出してもらう必要があります。
手続きの詳細については、以下の記事で解説しています。
動画投稿者を特定して訴える
「動画投稿者を訴えて慰謝料を請求したい!」という場合には、動画投稿者の身元を特定する必要があります。
これまでは、以下のような流れで特定手続きをおこなう必要がありました。
動画投稿者に慰謝料請求するまでの流れ
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- YouTubeへ動画投稿者のIPアドレス開示請求をする
- 仮処分の手続きをおこなう(※開示請求に応じてもらえなかった場合)
- IPアドレスからプロパイダを特定する
- プロパイダへ動画投稿者の個人情報開示請求をする
- 裁判をおこなう(※開示請求に応じてもらえなかった場合)
- 開示された情報をもとに動画投稿者を特定する
- 動画投稿者に損害賠償請求をする
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上記の場合、投稿者を特定するまでに半年程度かかるのが一般的で、手続きの詳細については以下の記事で解説しています。
なお、2022年10月には改正プロバイダ責任制限法が施行されました。
改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続きが必要だった発信者情報開示請求について、1回の非訟手続きで済むようになりました。
また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの明文で認められるようになりました。
法的措置を検討する場合
「YouTubeが削除依頼に応じてくれず、どうしても動画を削除したい」というような場合には、基本的に裁判での対応が必要です。
ただし、裁判所とやり取りする際は最低限の法律知識が必要です。
また、YouTubeでの肖像権トラブルを解決するには、法律だけでなくインターネットの知識も必要になるため、IT問題を得意とする弁護士に相談しましょう。
弁護士費用の目安
YouTubeでの投稿者特定や慰謝料請求などを依頼する場合、弁護士費用の相場は以下のとおりです。
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着手金
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報酬金
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裁判費用
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削除依頼
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裁判外
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5万円~10万円程度
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5万円~10万円程度
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×
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裁判
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20万円程度
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15万円程度
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3万円
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動画投稿者の身元特定
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裁判外
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5万円~10万円程度
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15万円程度
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×
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裁判
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20万円~30万円程度
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15万円~20万円程度
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6万円
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損害賠償請求
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裁判外
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10万円程度
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獲得金額の16%程度
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×
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裁判
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20万円程度
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獲得金額の16%程度
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3万円
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ただし、料金体系や金額は法律事務所によって異なるため、詳細については依頼前の法律相談時に確認しましょう。
なお、特定手続きでかかった費用については動画投稿者に請求できるケースもありますが、裁判官の判断次第であるためケースバイケースです。
投稿者に請求できる慰謝料の相場
肖像権侵害で請求できる慰謝料の相場は、5万円〜20万円程度です。
また、動画の内容が名誉毀損やプライバシー侵害などに該当する場合は、以下がおおよその目安となるでしょう。
権利侵害
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慰謝料の相場
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名誉毀損(一般人)
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10万円〜50万円程度
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名誉毀損(事業主)
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50万円〜100万円程度
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プライバシー侵害
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10万円〜50万円程度
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プライバシー侵害(ヌード写真の公開)
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100万円以上
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肖像権侵害についてよくあるQ&A
ここでは、肖像権侵害に関するよくある質問について解説します。
有名人でも肖像権侵害になる?
公の場で活動している有名人の場合、すでに自身の存在が大衆に認識されているため、一般人よりは肖像権侵害が成立しにくいといえます。
しかし、有名人だからといって肖像権がないというわけではありません。
むしろ有名人は肖像自体に価値がある場合が多く、商業的観点から肖像を保護する権利である「パブリシティー権」が一般人よりも強いと考えられています。
そのため、「有名人だから画像や動画を勝手に利用できる」ということはなく、無断・無許可でこれをおこなうと権利侵害に該当する可能性が十分にあります。
公務中の警察には肖像権はない?
公務中の警察にも肖像権はあります。
そのため、警察官の顔がわかるような状態でやり取りを撮影し、その動画を不当な動機・目的で公開すれば肖像権侵害になる可能性は十分にあります。
最後に
YouTubeの動画の内容が、あなたを撮影することを目的としていて社会生活に悪影響を与えるようなものだった場合などは、肖像権侵害として認められる可能性があります。
自分が映った動画を勝手にYouTubeに投稿されてしまった場合は、以下の対応が有効です。
- YouTubeへ削除依頼を出す
- 動画投稿者を特定して訴える
YouTubeでの肖像権トラブルの場合、動画が多くの人の目に触れる前に、少しでも早く解決する必要があります。
本記事の情報を参考に、早急に対応しましょう。
YouTube上での肖像権侵害に関するトラブルでお悩みの方へ
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