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名誉毀損の対処法 弁護士監修記事 更新日:

匿名掲示板の悪口が名誉毀損になるケースと被害への対処

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

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インターネットにおける悪意のある投稿や誹謗中傷の被害はあとを絶ちません。

とくに『匿名掲示板』ではその被害が多発する傾向があります。

なんとかして対策を講じたいところですが、匿名掲示板では加害者がわからないため手詰まりになってしまうケースも多いのが実情です。

匿名掲示板における悪口を名誉毀損として責任を追及することはできないのでしょうか?

また名誉毀損の被害を解消する対処法はあるのでしょうか?

本コラムでは、匿名掲示板における悪口が名誉毀損にあたるケースと被害への対処法を解説します。

匿名掲示板上の名誉棄損で悩んでいるあなたへ

匿名掲示板上の書き込みが名誉棄損にあたるのか判断できず、どう対処したらいいかわからないと悩んでいませんか?

 

結論からいうと、匿名掲示板上の名誉棄損に関する問題をすぐにでも解決したい場合は弁護士に相談するのをおすすめします

弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • 問題の書き込みが名誉棄損にあたるか判断できる
  • 問題の書き込みに対する解決方法がわかる
  • 依頼すれば、発信者情報開示請求による身元特定から賠償金の請求まで任せられる

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匿名掲示板の悪口で名誉毀損が成立する状況

掲示板の書き込みが手厳しい批判といった範囲にとどまらず、誹謗中傷に等しいものである場合、その投稿は違法な『名誉毀損』にあたるかもしれません。

名誉毀損とは、公然の場(匿名掲示板も該当)で他者の社会的評価を落とすおそれのある事実を指摘する行為です。

以下3つに当てはまる内容であれば、違法性を問われる可能性があります。

  • 社会的評価を下げる可能性がある
  • 具体的な事実を挙げている
  • 公然の場である

まずは、匿名刑事版の悪口はどんな状況で名誉毀損となり得るのか、以下で確認していきましょう。

社会的評価が下がる事実を公表されている

名誉毀損における『社会的評価が下がる事実』とは、「ばか」や「きもい」などの個人の主観によるものでなく、「詐欺師」や「不倫」など事実の確認の対象となり得る具体的事柄を意味します。

例えば、「目つきがいやらしくてキモイ」という投稿は、あくまで個人の主観に基づくものであるため、具体的事実を挙げるものではなく、名誉毀損とされることはありません。

対して、「〇〇に無理やり性行為をされた」という投稿は、性行為を無理やりしたかどうかが事実確認の対象となり得るので、具体的事実を挙げるものとして名誉毀損が成立する余地があるでしょう。

名誉毀損の判断をするに当たり、具体的事実の内容が本当か嘘かは判断に直接影響しません。

そのため、真実であろうとなかろうと、対象の社会的評価が下がるおそれのある内容であれば一応名誉毀損になり得ます。

どんな投稿が具体的な事実に該当するかの詳細を確認したい場合は、以下のコラムをご参照ください。

詳細記事 事実の内容で名誉毀損が認められる理由とは?成立しない3つの条件

第三者から見て悪口の対象が特定できる

名誉毀損は、対象となる相手が特定されない場合は成立しません。

これは「社会的評価が下がる」という点にも関係しています。

誰のことを指しているのかわからない悪口では、対象者の社会的評価も下がりようがありません。

そのため、誹謗中傷の対象がハンドルネームのような本人との結びつきがないものだと、名誉毀損は成立しないと判断されやすいです。

名誉毀損が成立しない例外のケース

基本的には、名誉毀損はその内容が事実でも成立しますが、以下の3つの要件を満たす場合に限り、例外として名誉毀損の成立が否定されます。

  • 挙げた事実に公共性がある
  • 公益目的での行為である
  • 情報の内容が真実である、または真実と信じるに足りる相当な理由がある

たとえば、政治家や公的機関の不祥事をメディアが報じる行為は、公共性・公益性がともに認められるため、情報が正確であれば名誉毀損には該当しません。

また真実とは異なる内容であっても、報じた側が「真実だ」と信じておこなうに十分な理由があれば、故意がないため名誉毀損は成立しないケースもあります。

匿名掲示板の被害で警察は動いてくれるのか

匿名掲示板で名誉毀損の被害を受けた場合、まず相談先として警察を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

しかし、法律に照らせば名誉毀損罪が成立する内容でも、被害程度が軽く緊急性も認められない事案では、積極的な対応を期待できないのが実情です。

「身に危険が及ぶような脅迫をされている」、「すでに現実で大きな損害を被っている」といった事件性・緊急性がある被害でないと、警察が動く可能性は低いのでご注意ください。

警察へ相談しても対応してもらうのが難しそうであれば、名誉毀損トラブルに強い弁護士や『法務省人権窓口』への法律相談を検討されることをおすすめします。

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警察へ被害を報告する手続き

名誉毀損罪は親告罪(告訴がなければ訴追されない罪)であるため、警察が刑事事件として立件するに当たっては『告訴』の手続きが必要です。

具体的には、警察に対し、犯罪事実を明確にして申告する告訴状の提出を行う方法が一般的です。

名誉棄損罪の刑事罰

加害者を刑事告訴し、捜査の結果として起訴(刑事裁判にかけられること)され、刑事裁判での有罪判決が確定した場合、加害者には以下の刑事罰が科されることになります。

もちろん執行猶予がついたり罰金で済んだりしても、有罪であれば加害者は前科を負うことになります。

3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金

匿名掲示板による名誉毀損への対処法

匿名掲示板での名誉毀損への対処法は、刑事責任の追及だけではなく、民事での対応もあり得ます。

そもそも、刑事責任を追及しても加害者に対して刑罰が科せられるだけで、肝心な悪口の投稿が消えるわけでもなければ、賠償が得られるわけでもないのです。

刑事責任を追及しているうちに、加害者が示談を申し出れば賠償金が得られることもありますが、投稿が消えるわけではありません。

匿名掲示板の書き込みについての民事的な対応としては、以下の2つの対応があり得ます。

  • 掲示板管理者へ書き込みの削除依頼
  • 加害者を特定して損害賠償(慰謝料)請求

掲示板管理者へ書き込みの削除依頼

匿名掲示板のサイト管理者・運営者に対して「規約違反だ」と報告することで、名誉毀損にあたる書き込みの削除を要請できます。

最終的な判断はサイト管理者に委ねられますが、名誉毀損が存在することを客観的に説明できれば、削除に応じてもらえる可能性は高いです。

削除依頼の手続き方法は掲示板によって変わりますので、掲示板の利用規約を確認の上、サイト運営社へ問い合わせてみましょう。

主要な匿名掲示板の削除方法については、以下記事も参考にしてみてください。

詳細記事 掲示板によって異なる削除依頼の方法を解説

加害者を特定して損害賠償(慰謝料)請求

名誉毀損による権利侵害が明らかな状況であれば、発信者情報開示請求によって加害者の身元を特定できる可能性があります。

加害者特定手続きの流れについては、以下のとおりです。

  1. 匿名掲示板へIPアドレス開示請求
  2. IPアドレスからプロバイダを特定
  3. プロバイダへ契約者情報の開示請求
  4. 加害者の特定

発信者情報開示請求は、裁判での対応が必要になるケースがほとんどのため、弁護士へ依頼して対応するケースが一般的です。

具体的な手続きの詳細については、以下の記事をご参照ください。

詳細記事 掲示板でIPアドレスを特定する方法|書き込んだ人の調べ方を解説

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。

改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。

これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。

また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

加害者へ請求できる損害賠償(慰謝料)の目安

名誉毀損の慰謝料相場は、個人の被害であれば10~50万円、事業主や法人の被害では50~100万円だといわれていますが、あくまでケース・バイ・ケースです。

被害の内容により個人が被害者であろうと、法人が被害者であろうと少額になれば高額になる場合もあるでしょう。

詳細記事 名誉毀損の慰謝料はいくら?請求事例と弁護士に依頼して訴える費用

弁護士への依頼費用の相場

ネット誹謗中傷問題の解決に必要になる弁護士費用の相場は、以下の通りです。

 

書き込みの削除手続き

削除代行 10万円前後
裁判(仮処分) 30〜40万円

加害者の特定手続

80万円前後

損害賠償請求

着手金 10〜20万円
報酬金 賠償額の約16%

 

ここで挙げた相場は、それぞれの手続きを個別に依頼した場合を想定しています。

法律事務所によって金額や料金形態は異なりますので、費用については法律相談の際に詳しく確認しておきましょう。

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匿名掲示板での悪口に関するQ&A

 

伏字や源氏名でも名誉毀損は成立する?

伏字や源氏名・ハンドルネームといった実名ではない名前への誹謗中傷は、個人の特定につながる可能性がない限り、名誉毀損として扱われません。

名誉毀損は他者の社会的評価を下げる犯罪ですので、基本的には伏字や源氏名を挙げた投稿だけでは、名誉毀損は成立しないと判断されます。

ただ、伏字でもその他の情報から現実の誰のことであるか特定が容易な場合には、実名でなくても名誉毀損が成立する余地はあるでしょう。

たとえば「クラブ◯◯のナンバーワンキャストは…」などと書いて誹謗中傷した場合、実名ではなくても特定が可能であり、名誉毀損になり得るかもしれません。

加害者の見当がついていても開示請求は必要?

加害者の見当がついていても、相手がそれを否認する場合は、これを証明する手段がありません。

そして、これが証明されない限り、相手に対する法的責任の追及は困難です。

そのため、証明手段の一つとして開示請求の手続きが必要になります。

なりすましを訴えることは可能か?

なりすまし行為そのものは犯罪ではありませんが、本人になりすまして社会的評価を下げるような言動をする行為は、名誉毀損に該当する可能性があります。

なりすましによる名誉毀損の被害を立証できる状況であれば、加害者を訴えることは可能です。

まとめ

匿名掲示板では、特定の個人を指した誹謗中傷による名誉毀損トラブルが頻発しています。

内容次第では、実生活にまで悪影響が及ぶ恐れもありますので、早急に削除依頼や法的措置での対策を講じるべきでしょう。

当サイトでは、ネット誹謗中傷問題の解決が得意な弁護士が検索できます。

ご自身だけでのトラブル解決が難しい場合は、法律相談サービスをぜひご活用ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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