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著作権・商標権侵害 弁護士監修記事 更新日:

結婚式で訴えられた!?著作権にかかわる音楽利用の注意点を解説

さいたまシティ法律事務所
荒生 祐樹
監修記事

「結婚式のプロフィールムービーなどで、CDの音楽を流すと著作権侵害になるのか」

「結婚式で音楽を使うと、著作権侵害で訴えられることがあるのか」

結婚式で音楽を使うにあたり、このような不安を感じる方もいるでしょう。

幸せな結婚式で、著作権侵害の心配などしたくないものです。

著作権で保護された音楽を、結婚式で許諾なしに使うと著作権侵害となる可能性があり注意しなくてはなりません。

本記事では、結婚式で市販の音楽を使い著作権侵害で訴えられたケース、結婚式で音楽を使用する際に気を付けるべき著作権の概要、著作権侵害にならずに音楽を使う方法について解説します。

ルールを守れば、音楽を使っても著作権の侵害とはなりません。

本記事を参考にすれば、著作権を気にせず安心して結婚式で音楽を使えるようになります。

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結婚式で音楽を無断で使い著作権侵害で訴えられたってほんと?

著作権侵害による訴訟は、日常生活の身近なところで発生しています。

過去には著作権が管理された楽曲を無断で結婚式用の映像に使ったとして、映像制作会社が著作権侵害で訴えられ注目を集めました。

同業他社の大半は、きちんと著作権料を支払っているとのことです。

結婚式で流す音楽も著作権で守られている

著作権とは音楽や小説などの著作物の作者が持っている権利です。

著作権を持っている方は、自らの著作物を他人が使う際に使用料を請求することができます。

結婚式で流す音楽が著作権で守られている場合、使用する際には必ず著作権者の許可が必要なのです。

著作権を侵害すると刑事罰や損害賠償請求を受ける可能性がある

著作権を侵害すると、刑事上・民事上のペナルティが科せられる可能性があります。

まず著作権侵害は犯罪なので、被害者である権利者から告訴され発覚した場合は以下の刑罰を受ける可能性があるのです。

  • 個人の場合:10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金、あるいは併科
  • 法人の場合:3億円以下の罰金

なお、海賊版DVDを販売し代金を受け取るなど一定の要件を満たす場合、権利者の告訴がなくても著作権侵害で処罰されることがあります。

また著作権侵害を受けた権利者は、権利の侵害者に対し損害賠償請求をはじめとした民事上の請求が可能です。

結婚式で音楽を使うときに気を付けるべき主な著作権の種類

結婚式で音楽を利用する際には、演奏権と複製権という2つの著作権について十分に理解しておく必要があります。

以下、各著作権が、結婚式で音楽を使う際にどのようにかかわるかみていきましょう。

演奏権 | 会場のBGMとしてCDの音楽を流す場合など

演奏権とは、音楽作品を公衆の前で演奏したり公衆に聞かせたりする権利のことです。

結婚式でゲストが聞くかたちで音楽を流す場合、「公衆の前で演奏する」行為とみなされ、演奏権の範疇に入ります。

したがって、結婚式で市販のCDをBGMとして使用する場合や、ライブバンドによる演奏をおこなう場合でも、演奏される楽曲の著作権者から演奏権に関する許諾を得ることが必要です。

複製権(著作隣接権) | プロフィールムービーに市販の楽曲を使う場合など

複製権とは、著作物を複製(コピー)する権利のことです。

複製とは作品を録画・録音したり印刷・模写したりすることを指します。

たとえば結婚式でプロフィールムービーを作成し、そこに市販のCDから抽出した楽曲をBGMとして使用する場合、その行為は楽曲の複製にあたり、複製権の許諾が必要です。

結婚式で音楽を使う場合に必要な著作権上の主な手続き

結婚式で音楽を使用する際、著作権上の問題を避けるためには、上記の演奏権と複製権に関する手続きが必要です。

以下、それぞれ具体的にどのような手続きが必要かみていきましょう。

演奏権(著作隣接権) に関わる手続き | 会場が事前に契約している場合がほとんど

結婚式場で音楽を流すためには、演奏権に関わる許諾手続きが必要です。

ただし多くの結婚式場では、音楽の著作権管理事業者「JASRAC(ジャスラック)」と包括契約を結んでいます。

この契約に基づいて、その式場でJASRACが管理する楽曲を結婚式のBGMなどとして流すことは構いません。

追加の手続きをすることなく、余興などでその楽曲を生演奏することもできます。

そのため、結婚式の際に音楽を流す際は、その式場がJASRACとの包括契約を結んでいるか確認しましょう。

CD-Rにダビングした曲を流すと複製権の侵害に

市販のCDから好きな楽曲をピックアップしてCD-Rにダビングし、結婚式で流したいと考える方もいるでしょう。

残念ながら、これは複製権の侵害となる可能性が高いです。

個人的に自宅などで楽しむ範囲であれば、「私的使用のための複製」として許可されています。

しかし、楽曲をダビングしたCD-Rを、結婚式場など公衆の前で再生することまでは許可されていないのです。

結婚式場で許可を得ず楽曲をダビングしたCD-Rを再生した場合は、複製権の侵害(著作権侵害)となります。

なお、次項で説明する手続きをおこなえば、結婚式で楽曲をダビングしたCDを使うことも可能です。

複製権にかかわる手続き | 式場や業者からISUMへ許諾の手続きをしてもらう

ISUM(アイサム)は、ブライダルコンテンツとして音楽を利用する場合に限り、著作権・著作隣接権の利用申請を代行してくれる団体です。

以下のように音楽を使う場合、結婚式場などのブライダル事業者を通じてISUMへ楽曲の利用申請を依頼できます。

  • プロフィールムービーのBGMとして楽曲を使用する
  • 好きな楽曲を集めてCD-Rにダビングし、BGMとして流す
  • (会場に音楽が流れている状態で)結婚式の様子をビデオ撮影する※新郎新婦の家族が撮影し家庭内で楽しむだけであれば、私的利用となり申請は不要

ISUMへ利用申請する場合、流す楽曲を全てリストアップする必要があります。

なお利用申請ができるのは、以下ISUMの楽曲データベースに登録されている曲のみ、となるので注意してください。

ISUMに登録されていない楽曲は諦めてほかの楽曲を使った方がよい

前項で解説したとおり、ISUMに利用申請ができるのは、ISUMの楽曲データベースに登録されている楽曲に限られます。

未登録の楽曲を複製利用したい場合は、自分で著作権者と著作権隣接者へそれぞれ使用許諾の手続きをすることが必要です。

しかし、この場合の手続きは時間や手間を要します。

また1曲につき、数万円程度(もしくはそれ以上)の高額な使用料がかかる可能性がある点も注意しなくてはなりません。

これらの点から、ISUMのデータベースに登録されていない楽曲を結婚式で複製利用するのは難しいでしょう。

その曲は諦めて、ISUMのデータベースに登録されている別の楽曲を選ぶほうが現実的です。

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結婚式で著作権を気にせず音楽を使う方法

結婚式で音楽を使用する際、著作権問題を回避する方法はいくつか存在します。

これにより、法律に触れることなく、結婚式という特別な日を思い通りの音楽で彩ることができます。

以下、実際にどのような方法があるかみていきましょう。

ブライダル事業者が制作した音楽を利用する

ブライダル事業者が自社で作詞作曲した楽曲を、自社従業員が演奏するなどする分には特別手続きはいりません。

著作権を気にせず、利用できます。

著作権フリー素材を利用する

著作権フリーの音楽素材であれば、著作権を気にせずに利用できます。

著作権フリーとは、著作権者の許諾を得ずに使える著作物のことです。

著作権フリーには、以下3つのパターンがあります。

著作権者が著作権を放棄若しくは利用料を請求しないもの

著作権者が著作権の全部もしくは一部を放棄しているパターンです。

著作物によっては著作権の放棄まではせず、利用料を請求しないという意味で著作権フリーといっている場合も少なくありません。

インターネット上で公開されている著作権フリーの素材サイトの多くは、このパターンにあてはまります。

このような素材サイトでは、サイト上の利用規約に従う用法にて、その素材を利用することが必要です。

著作権の保護期間が満了したもの

著作権が保護される期間は、原則として著作権者の死後70年までです。

この期間を過ぎると著作権の保護期間が満了したことになり著作権者が著作権を行使することはできません。

著作権の対象とはならないもの

以下にあてはまる著作物は、著作権の対象とはなりません。

  • 憲法やその他の法令
  • 国や地方公共団体などが発する告示・訓令・通達
  • 上記の翻訳物・編集物であり、国・地方公共団体などによって作成されたもの

たとえば著作権フリーの音楽素材サイトにある楽曲であれば、結婚式のプロフィールムービーなどで使える可能性があります。

その場合も、前述のとおりサイト上で示された利用規約に従いましょう。

さいごに|結婚式での音楽利用は著作権侵害に要注意

許諾手続きをおこなわずに結婚式で楽曲を使うと、著作権侵害になってしまう可能性があり注意が必要です。

一方で結婚式場がJASRACと包括契約を結んでいて、希望する楽曲がJASRCが管理する楽曲であれば、BGMとして流すことに問題ありません。

結婚式で音楽を使う際は、本記事で解説したルールに従って、著作権侵害とならないようにしましょう。

不明な点があれば、結婚式会場のスタッフなどに確認するとよいです。

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この記事の監修者
さいたまシティ法律事務所
荒生 祐樹
埼玉弁護士会所属。新聞、テレビ番組などメディアへの出演経験を複数もち、インターネット問題(ネットいじめ)、反社会的勢力対応等の数々の著書の執筆にも携わる。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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