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育成者権とは | 権利のおよぶ範囲や発生時期と侵害された際の対策まとめ
著作権・商標権侵害 公開日:2017.12.4  更新日:2019.10.4 弁護士監修記事

育成者権とは | 権利のおよぶ範囲や発生時期と侵害された際の対策まとめ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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育成者権(いくせいしゃけん)とは、花や野菜など植物の新品種の創作を保護するもので、商標権や著作権などと同じ知的財産権のひとつです。

育成者権の基盤となっているのが種苗法(しゅびょうほう)という法律となっており、この法律には育成者権の付与や保護対象、対象にならないものなどが規定されています。

この記事では、

  • 育成者権の付与タイミングと存続期間
  • 育成者権の効力
  • 育成者権の品種登録手続き
  • 育成者権を侵害された場合の対策 など

をご紹介いたします。

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育成者権の付与タイミングと存続期間

はじめに育成者権が付与されるタイミングと存続期間について見ていきましょう。

育成者権が付与されるタイミング

育成者権は新たな品種を出願し、品種登録されることによって付与されます(種苗法第19条)。

新しい品種を作ったからと言って、自然に育成者権が発生するわけではありません。

この品種登録に関しては「育成者権の品種登録手続き」で後述します。

育成者権の存続期間

育成者権には存続期間という権利の期限があり、権利を永久に保持することはできません。

では存続期間がいつまでかという点ですが、以下の通り、品種登録された時点によって異なります。(種苗法第19条)

品種登録された時期によって異なる存続期間の例

登録された時期

存続期間

1978年12月28年~1998年12月23日

15年(永年性植物は18年)

1998年12月24日~2005年6月16日

20年(永年性植物は25年)

2005年6月17日以降

25年(永年性植物は30年)

品種登録された時期によって存続期間が異なる理由は、法律が改正された為です。

なお、改正される前に登録されたものについては当時の存続期間のままです。例えば同じ「米」でも、品種によって登録された時期が異なっていれば、存続期間が15年や20年、25年だったりもします。

権利を存続させる為には毎年、登録料の支払いが必要となります(複数年分を一括で支払うことも可能です)。存続期間中であっても、毎年の登録料を納付期限日までに支払わなかった場合、品種登録は抹消となります。

登録料の具体的な金額については、後述の「育成者権の品種登録手続き」をご参照下さい。

育成者権の効力|保護対象となる【品種と利用】について

育成者権が付与された場合、登録品種を含めて、以下の品種を事業目的に利用する権利が得られます。 

                               

  • 登録品種
  • 登録品種と明確に区別できない品種
  • 登録品種に由来する品種
  • 繁殖時に登録品種を交雑しなければいけない品種

 

なお、育成権者は自身で登録品種を利用する他に、第三者に登録品種を利用する権利を付与することもできます。こちらは後述の「育成者権は第三者にも利用させることが出来る」をご参照下さい。

育成者権の効力が及ぶケース

前述の登録品種等について、以下のような利用をするとき、育成者権の効力がおよびます。

種苗、収穫物、一定の加工品※の生産・譲渡・輸入・輸出

※ここでいう加工品とは種苗法施行令第二条が定めているものであり、以下になります。

一  小豆:豆を水煮したもの(砂糖を加えたものを含む。)及びあん

二  いぐさ:ござ

三  稲:米飯

四  茶:葉又は茎を製茶したもの

引用:種苗法施行令

育成者権の効力が及ばないケース

育成権者であっても、登録品種の利用を必ずしも独占できるわけではなく、以下のケースでは他の人が許諾無しで利用することが許可されています。

  1. 新品種の育成・試験また研究のために品種を利用すること
  2. 登録品種の育成方法に特許がある場合に、特許権者などがその方法を用いて種苗の生産などをすること
  3. 特許消滅後にその特許の方法を用いて種苗の生産などをすることや目的をもって保管をすること
  4. 2の種苗から作れる収穫物の生産・譲渡などをすること
  5. 4の収穫物を用いた加工品の生産・譲渡などをすること
  6. 農業者の自家増殖 | 農業者が【育成者権・専用利用者権・通常利用者権】から譲渡された最初の種苗を用いて収穫物を得たときに、農業経営目的でその収穫物を再度、種苗として利用すること、またその再度、種苗として用いた場合の収穫物とその加工品に対して効力はおよばない(ただし、契約によって利用を定めていた場合や、栄養繁殖をする植物※の場合は育成者権の効力がおよぶ)

 

参考:種苗法第21条

育成者権の品種登録手続き

育成者権の付与を受けるためには、農林水産省が定める品種登録制度の下、国に当該品種の登録を行う必要があります。

品種登録制度の目的

品種登録制度の目的は、新品種を開発するという行動を奨励するためです。新しい品種を作るには知識や技術、お金がかかり、また1つの品種を作るには10年単位で時間がかかるとも言われています。

大変な労力が掛かるにもかかわらず、そうして作られた新品種を保護しなければ、開発した人以外でも簡単に利用することができてしまいます。

将来に渡ってよりよい品種を作ってもらうためにも、つくり手である人の権利を保護しようというのが品種登録制度なのです。

参考:農林水産省|品種登録制度の目的

品種登録にかかる費用

品種登録には出願料登録料として費用がかかり、出願料は品種1つにつき47,200です。また登録料については登録年数により異なりますので以下の表をご覧ください。

登録年数が多くなるほど納める登録料は高額になります。

品種登録にかかる登録料について

登録年数

1~3年目

4~6年目

7~9年目

10~30年目

登録料(年間)

6,000円

9,000円

18,000円

36,000円

参考:農林水産省|出願・審査に関するご案内 / 出願料・登録料・手数料一覧

育成者権は第三者にも利用させることが出来る

育成者権をもっている人は、第三者に対して登録品種を業として利用する権利を与えることができます。

地域、数量、期間などの範囲を決めた上で、独占的に利用させる権利を与える契約のことを「専用利用権」といい、非独占的に利用させる権利を与える契約のことを「通常利用権」といいます。

専用利用権を誰かに与えた場合、契約で定められた範囲においては専用利用権者が排他的に利用する権利を持っていますので、重複する範囲で他の人がその登録品種を業として利用しようとする場合、専用利用権者からの許諾が必要になります。

この利用権設定にあたっては農林水産省に登録を行う必要があります。登録にあたっては以下リンクの書式をご活用ください。

参考:農林水産省 品種登録ホームページ 手続き書類の様式一覧

育成者権の侵害に対する罰則と対策としてできること

許諾を得ずに登録品種を利用した場合は育成者権の侵害になり、民事や刑事、そして税関に輸出入禁止の申立てを行うことができます。

育成者権を侵害されたときにできる法的措置

民事(種苗法第33条・第34条)

差止請求

損害賠償請求

信用回復の措置の請求

刑事(種苗法第六十七条)

個人⇒10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金
または併科(両方)

法人⇒3億円以下の罰金

 

また育成者権侵害をはじめとした知的財産権侵害物品の輸出入を行った者については、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金または両方とも科されることになります。(関税法第 69 条の 2・第 69 条の11 ・第108 条の 4・第109 条)参考:関税法

育成者権の侵害があった場合の対策については、こちらの記事をご覧ください。

関連:育成者権を侵害された時の対抗措置と知っておくべき育成者権の適用範囲

まとめ

いかがでしたでしょうか。

私達が普段なにげなく食べている野菜やお米なども、食味の良さや病気・天災への強さを追求した人たちがいるからこそ購入することができるのです。

多くの労力を権利として保護されなければ、農業の発展も危ぶまれます。この記事が、育成者権の周知や遵守にあたっての一助になれば幸いです。

なお、育成者権は25年-30年経過すれば失われてしまう権利の為、商標権もあわせて取得することで、半永久的にその品種の商標(ブランド力)を維持することが可能になることもあわせて覚えておいていただければと思います。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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