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肖像権侵害に当たる行為と侵害された時の対処法
著作権・商標権侵害 2018.1.15 弁護士監修記事

肖像権侵害に当たる行為と侵害された時の対処法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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肖像権(しょうぞうけん)とは、自身の肖像(容姿や姿態)をみだりに利用・公表されない権利のことで、法律上では明文化されていませんが、憲法第13条幸福追求権から解釈上認められる権利です。

この記事では、以下のことについてご紹介いたします。

  1. 肖像権とはどのようなものか
  2. 肖像権侵害に当たる行為
  3. 肖像権侵害されたときにできることとはなにか

 

肖像権は人格権と財産権という2つの要素から成り立っている

肖像権には人格権と財産権の2つの要素があり、肖像権において人格権に関するものはプライバシー権、財産権に関するものはパブリシティ権と言います。

プライバシー権

プライバシー権とは自己の情報をコントロールする権利であり、私的な情報をみだりに知られないようにする権利もこれに含まれます。後述のパブリシティ権とは異なり、自然人(普通に生活をしている人)である以上は皆プライバシー権を持っています。

 パブリシティ権

芸能人やスポーツ選手などの著名人には経済的な利益を産むだけの力があります。これを顧客吸引力といいますが、彼らのような顧客吸引力を持つ人物の肖像や氏名を独占的に利用できる権利のことをパブリシティ権と呼んでいます。

これといって著名な活動をしていない人には顧客吸引力はないので、パブリシティ権はなく人格権のみになります。

 パブリシティ権侵害が認められるときに満たさなければならない3つの要件

  1. 肖像や氏名を独立して鑑賞の対象となる商品とすること
  2. 商品の差別化を図る目的で肖像等を商品とすること
  3. 肖像や氏名を商品の広告として使用するなど,肖像・氏名が持つ顧客 吸引力の利用を目的とする

 

【ピンク・レディー無断写真掲載事件にて判決:平成24年 2月 2日】

〔裁判要旨〕

人の氏名、肖像等を無断で使用する行為は、(1)氏名、肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、(2)商品等の差別化を図る目的で氏名、肖像等を商品等に付し、(3)氏名、肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら氏名、肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、当該顧客吸引力を排他的に利用する権利(いわゆるパブリシティ権)を侵害するものとして、不法行為法上違法となる

裁判所名 最高裁第一小法廷 裁判区分 判決

事件番号 平21(受)2056号

事件名 損害賠償請求事件 〔ピンク・レディー無断写真掲載事件・上告審〕

裁判結果 上告棄却

引用:文献番号 2012WLJPCA02029001

肖像権の侵害になるケースとならないケース

明確に法で規定されている訳ではないこともあってか、どこからが肖像権を侵害したのか、という点においては不明瞭ですが、肖像権の侵害は以下のようなところが留意点です。

  1. 対象人物をはっきりと特定できるか?
  2. 背景がメインであることが、「対象人物は偶然写り込んでしまった」という理由にはならない
  3. SNSなどの拡散性の高いところへの公開

肖像権の侵害になるケース

肖像権はみだりに容貌を撮影されたり、公開されないようにするための権利ですが、当然ながら撮影・公開すべてが侵害にあたるわけではありません。どのような状況であれば、肖像権の侵害に当たるといえるのでしょうか。

被写体の容貌がはっきりと確認できる

被写体が誰であるかわかるぐらいに鮮明であり、かつ同被写体がどのような人物化を特定可能な場合は肖像権の侵害となる可能性があります。逆に被写体の写真が不鮮明であったり、人物が特定できないモノについては肖像権を侵害しているとは言いづらいでしょう。

 本人から許可を得ていない画像・動画

被写体本人から撮影および(または)撮影した画像・動画の公開の許可を得ていない場合も肖像権侵害になる可能性があります。侵害にならない場合は、被写体である人物から撮影および(または)撮影した画像・動画の公開の許諾を得ている場合です。

ただし、撮影の許可を出していても、公開されることに関して許可が本人から出されていない場合は、肖像権の侵害に当てはまる可能性があります。もしもあなたが撮影・公開する側であれば、どこまで利用が可能かを本人に確認したほうがよいでしょう。

 SNSなど拡散性が高い場所へ公開する

若年層を中心に、TwitterやInstagram、Facebookなど手軽に画像をアップロードでき、近況を報告しやすいという利便性がある反面、世界中の不特定多数の人に写真や映像を見られてしまう危険性も抱えています。

もしも誰かによって自分の見られたくない様子をネットの海にバラまかれてしまうと、ケースによっては深刻な事態となります。ゆえに、SNSのような拡散性の高いところへの公開は肖像権の侵害になりやいと言えます。

一方、メールなどで個々に友達などへみせることは拡散性は低く肖像権の侵害とは認められにくいです。

肖像権の侵害になるかは程度問題でもある

対象人物のありのままの記録を公開をしても、肖像権の侵害にならないことがあります。どのような時かというと、「被写体にとって大したダメージではない場合」です。

いくら許諾がなく、被写体の人物が誰であるかを特定できるモノであったとしても、それによって精神的ダメージがない・少ない場合は、肖像権の侵害にはならない可能性が高いのです。

たとえば、

  1. 単に外を移動しているだけ→見られることで精神的ダメージが高いとはいえない
  2. 公共施設・公道にいる→元々大勢に見られている(見られている可能性が高い)故に精神的ダメージが高いとはいえない
  3. 公開場所・方法の拡散性が高いとはいえない→友達などのほんの数人の内に見せるだけなら拡散性が高いとはいえない など

肖像権の侵害にあった場合にできること

肖像権の侵害を受けたとき、ご自身で投稿者もしくはサイト運営者に削除を要求することと、民事訴訟を行うことができます。

 投稿者や運営に削除請求をする

権利を侵害されたら法的措置と考えるかもしれませんが、まずは投稿者かそのサイトの運営に削除の申立てをしましょう。

個人ブログなどであれば、メールやTwitterなど連絡先が書いてあることが多いですし、会社法人などが運営しているサイトであれば、どこかにお問い合わせフォームがあるはずなので、必要事項を記入し、削除してほしい旨を伝えましょう。

 民事訴訟について

肖像権の侵害においてできる法的措置は、画像・動画の差止請求損害賠償請求ができます。

差止請求というのは不法行為の停止を求めることで、肖像権侵害の場合だと、何者かによって公開されてしまった画像や動画を削除させるように申し出ることを指します。

また損害賠償請求をすることで、精神的に受けたダメージに対して慰謝料を求めることができます。

(不法行為による損害賠償)

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用:民法

主な判例

原告がRitmixのマスタートレーナーのパブリシティ権について独占的な利用許諾を受けるなどしているところ、被告が原告との取引終了後も上記トレーナーの画像をホームページ等に掲載したことが、上記パブリシティ権を侵害する不法行為を構成するとされた事例

主文

1 被告は,原告に対し,110万円及びこれに対する平成28年3月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 
事件番号 平27(ワ)6459号裁判年月日 平成29年 3月23日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決

事件名 損害賠償請求事件

引用:文献番号 2017WLJPCA03239010

 

肖像権の侵害は刑事ではないから警察は動かない

民事不介入の原則といって、警察は犯罪とは関係の無い民事紛争には介入しません。

ゆえに民事である肖像権の侵害は犯罪にはあたりませんので、警察に言ったところで相手を逮捕するなんてことはできないのです。

もしも肖像権の侵害にお悩みであれば、弁護士を依頼して、解決を図りましょう。

民事訴訟を弁護士に依頼する

民事訴訟をしたい場合、弁護士に依頼することをオススメします。依頼しなくても裁判はできますが、個人で戦うことはなかなか難しいでしょう。

弁護士に依頼するメリット

弁護士を雇うとどういうメリットがあるのでしょうか?以下の表をご覧ください。

証拠の収集 肖像権の侵害とみなされる証拠を集めてくれます。
適当な主張をしてくれる 被害がいつからはじまり、どのようなダメージを負ったかなどあなたが主張したいことを代わりにしてくれます。
侵害の根拠を示してくれる どこから肖像権の侵害に当たるのかという不明瞭な点も明確になる

弁護士費用について

弁護士に依頼すると当然お金がかかります。弁護士費用は相談料、着手金、報酬金というものがあり、一般の民事訴訟に関しては着手金、報酬金は旧弁護士報酬規定に沿っていることが多いです。

肖像権の侵害における慰謝料額はだいたい5万円~20万円ほどで、おおよそですが着手金・報酬金は経済的利益にそれぞれのパーセンテージをかけることで算出できます。

  • 着手金は経済的利益の8%前後
  • 報酬金は経済的利益の16%前後

経済的利益というのは着手金と報酬金によって何を指すか異なり、着手金における経済的利益は相手への請求額で、報酬金における経済的利益は実際に相手から獲得することができた額のことです。。

したがって慰謝料額が10万円であれば2万5,000円ほどが弁護士費用となります。ただし、法律事務所によっては最低基準額を設定している場合もあるので、きちんと確認しましょう。

肖像権の侵害の判例の紹介

肖像権侵害に関する判例を2つご紹介いたします。

風俗店の情報雑誌に自分の顔が掲載されたことに対する肖像権侵害の訴え

原告が、被告の発行する風俗店等の情報誌に、無断で顔写真を掲載されたことにより、肖像権を侵害されたとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、被告には、本件雑誌に本件写真を掲載するに当たって、被写体である原告の承諾の有無について確認する義務を怠った過失が認められるところ、本件広告主との間で、本件雑誌に掲載する広告内容について、被告において責任を負わない旨の契約を締結したことをもって、本件雑誌に本件写真を掲載されることにより肖像権を侵害された原告との関係で、責任を免れるものとはいいがたいなどとして、被告による不法行為の成立を認めた上で、原告が被った精神的損害を20万円と認定等して、請求を一部認容した事例

裁判年月日 平成26年11月27日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

事件番号 平25(ワ)16728号

事件名 損害賠償請求事件

裁判結果 一部認容

引用:文献番号 2014WLJPCA11278007

週刊誌の記事・写真でプライバシー権・パブリシティ権・著作権が侵害されたとした訴え

原告が、養育していた里子に対する傷害致死の容疑で逮捕された直後に被告が発行した週刊誌に掲載された記事及び写真により、原告の名誉が毀損されたほか、原告の著作権、パブリシティ権、プライバシー権等が侵害され、刑事裁判に深刻な影響をもたらし原告は有罪とされたなどと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償及び民法723条に基づく謝罪広告の掲載を求めた事案において、本件各記載の一部について原告の社会的評価を低下させるものと認めたが、いずれも公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図る目的で行われ、摘示事実ないしその主要な部分は真実であったと認められるなどとして、名誉毀損の成立を否定したほか、人格権侵害等に係る原告の主張も否定して、請求を棄却した事例

裁判年月日 平成26年 9月25日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

事件番号 平25(ワ)13121号

事件名 損害賠償請求事件

裁判結果 請求棄却

引用:文献番号 2014WLJPCA09258009

まとめ

最後にこの記事をまとめさせていただきます。

  1. 肖像権にはプライバシー権とパブリシティ権の2つがある。
  2. 肖像権の侵害において容貌がはっきりと確認できるか、同意を得ているか、拡散性が高いか、どこにいるのかという点が重要である
  3. 民事なので、警察は動いてくれない、裁判で戦うには弁護士に依頼するのがベター

お読み頂き大変ありがとうございました。

【監修】プラム綜合法律事務所 梅澤康二弁護士

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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