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好き嫌い.comは、今話題の芸能人や有名人、アニメの架空の人物を取り上げて「好き」か「嫌い」かのどちらかに投票できるサイトです。
投票とともにコメントを入力できる仕様になっているため、このコメント欄では誹謗中傷や名誉毀損、侮辱に該当するような表現が散見されます。
ピックアップされる芸能人や話題になる方々は、「イメージ」を売りにしていることも少なくありません。
そのため、好き嫌い.comで書き込まれたコメントが世間のイメージにもつながり、仕事にも影響を及ぼすこともあるでしょう。
中には、ひどいコメントの投稿主を開示請求をして、損害賠償請求したいという人もいるはずです。
そこで本記事では、好き嫌い.comで誹謗中傷された際の開示請求の方法を紹介します。
そもそも開示請求ができるのかどうかや、投稿者に問える責任なども解説するので、対策を考えている方はぜひ参考にしてください。
結論から伝えると、好き嫌い.comへ開示請求ができるかどうかは内容次第で異なります。
以下では、開示請求ができる場合と開示請求ができない場合について説明します。
好き嫌い.comへの開示請求は、書き込まれた誹謗中傷によって権利が侵害されたことが明白である場合にのみ可能です。
具体的には、名誉毀損やプライバシーの侵害などが発生しており、それを証明できるときに開示請求が認められます。
たとえば、タレント本人の許可なく、本名や住所など本人が知られたくないであろう情報を書き込まれた場合は、プライバシー権を侵害していることが明白です。
また、損害賠償請求をおこなうために、投稿者を特定する必要がある場合にも、開示が認められることがあります。
書き込みの内容が名誉毀損かどうかを判断する際は、その違法性を免除する理由があるかどうかが重要な争点となります。
たとえ社会的評価を低下させる表現があった場合でも、以下の3つの要件を満たせば違法性は認められません。
過去には、美容クリニックがSNS上の投稿に対して名誉毀損されたとして開示請求をおこなったものの、裁判所がその請求を棄却したという事例があります。
その投稿内容は、クリニックや医師に対して注意喚起を促すもので、公共の利害に関わるものでした。
また、投稿で指摘されたクリニックのトラブルや医師会からの注意処分が事実であるため、名誉毀損の違法性が阻却されたのです。
結果として裁判所は、「投稿には公益目的があり、主要な部分で真実だったので、違法性阻却事由が存在する」として、クリニック側の開示請求を認めませんでした。
公共性・公益性などがある投稿とみなされる場合は、権利侵害が否定されてしまうことを念頭におかなければなりません。
好き嫌い.comでいう「好き」と「嫌い」は、個人の感想として扱われ、開示請求できない可能性が高いです。
これらは飲食店でいう「美味しくなかった」「量が少なかった」「接客態度が悪かった」という個人の感想も同様です。
ただし、感想といえどもその具体的な内容によって社会的評価が低下する場合や、不当に強い表現が使用されている場合は、開示請求できる可能性もゼロではありません。
SNS上には、その投稿に対する「いいね」という賛同や共感を示すリアクションボタンが設けられており、好き嫌い.comにも「いいね」のボタンがあります。
誹謗中傷の投稿に対し、「いいね」と賛同を示しただけの人も開示請求ができるのか気になる方もいるでしょう。
結論から伝えると、「いいね」をしただけの相手には開示請求ができない可能性が高いです。
ただし、過去に東京高等裁判所が当時のTwitter(現:X)の「いいね」に対して損害賠償を認めた事例があります。
これは原告を誹謗中傷する投稿に対し、被告が「いいね」を押したというものでした。
被告の「いいね」によって、原告の名誉感情が侵害されたことが争点となり、高等裁判所にてその申し立てが認められたのです。
この判決には、下記3つのポイントがあります。
この事例を踏まえると、誹謗中傷の投稿への「いいね」は開示請求される可能性もあるといえるでしょう。
「いいね」は他人の投稿に対して、軽い気持ちで賛同した程度の表現のため、それだけで開示請求が認められる可能性は低いです。
しかし、今回の事例のように最終的には個別の事情によって判断されることを覚えておきましょう。
以下のようなインターネット上での書き込みは、侮辱罪や名誉毀損にあたり、開示請求が認められる可能性が高いでしょう。
誹謗中傷は、有名人が被害にあうケースも多いです。
以下では、有名人の誹謗中傷が原因で、刑事責任や・民事責任が問われたケースを紹介します。
はるかぜちゃんの愛称で知られる春名風花さんも、誹謗中傷の被害を受けた人物です。
彼女は9歳でTwitterを始め、社会問題に対して積極的に発言をおこなっていました。
しかし、その結果、一部のユーザーから爆破予告や殺害予告などの脅迫を受けるようになったのです。
2020年、神戸市の男性が「彼女の両親は失敗作だ」との投稿をSNS上でおこないました。
この投稿に対し春名風花さんは横浜地方裁判所に提訴し、最終的に男性が315万4000円を支払う形で示談が成立しました。
俳優の西田敏行さんも、ネット上で誹謗中傷の被害を受けました。
2017年5月、中部地方に住む男女3人が、偽計業務妨害の疑いで書類送検されました。
彼らは「西田さんが違法薬物を使用している」という虚偽の情報をブログに投稿し、拡散していたのです。
この虚偽記事によって、加害者たちは月に50万円〜60万円の収益を得ていました。
好き嫌い.comでも投稿に対して開示請求が認められた事例が存在します。
たとえば、ゲーム配信者である関優太さんは自身に関する投稿で、開示請求に成功しています。
好き嫌い.comに投稿された、本人及びその家族に対する殺害予告の投稿に対して、関優太さんが所属するゲームチーム「ZETA DIVISION」は法的措置をとり、開示請求をおこなっていました。
さらには掲示板「5ちゃんねる」で、関優太さんの容貌を含む画像と共に「知的障害者みたいw」と投稿されたものについて、発信者情報の開示請求をおこない、損害賠償請求を実施しています。
裁判では「ZETA DIVISION」側の主張が認められ、損害賠償をおこなう旨の判決が下ったことが報告されました。
好き嫌い.comで開示請求をした相手には、刑事上の責任と民事上の責任を問える可能性があります。
それぞれで問える責任について、以下で詳しく見ていきましょう。
刑事上の責任とは、罰金刑や懲役刑、禁固刑など刑罰を伴うものです。
主に警察と加害者との間での手続きとなり、処罰に関しては被害者の加害者に対する処罰感情も重視されます。
好き嫌い.comへの書き込みに関する刑事上の責任としては、下記5つを問える可能性があります。
刑法第230条に基づく「名誉毀損罪」は、公然と事実を摘示し、人の名誉を傷つけ、その社会的評価を低下させる行為に対して適用される犯罪です。
他者の名誉を著しく傷つけた場合には名誉毀損罪が成立し、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
名誉毀損における「事実」には、虚偽の事実も含まれます。
ただし、政治家の汚職を公表するようなケースなど公益を目的とした場合には、名誉毀損罪が成立しない点に注意しましょう。
刑法231条に基づく「侮辱罪」は、他者を公然と侮辱する行為に対して適用される犯罪です。
侮辱罪は名誉毀損罪と異なり、事実を示さずに相手を蔑む言葉を使った場合に成立します。
たとえば、SNSや公共の場で相手を「バカ」「アホ」といった侮辱的な言葉で非難することは、侮辱罪に該当する可能性があります。
過去の侮辱罪の法定刑では拘留や科料が中心でしたが、令和4年には誹謗中傷対策が強化され、法改正がおこなわれました。
この改正により、侮辱罪に対して新たに「1年以下の懲役または禁錮」、および「30万円以下の罰金」が追加され、処罰が厳格化されています。
刑法第222条に基づく「脅迫罪」は、他人に対して恐怖を与える内容の言動に対して適用される犯罪です。
相手の生命や身体、自由や名誉、財産に危害を加えると脅す行為が脅迫罪にあたります。
たとえば、「お前を殺してやる」や「殴りつけるぞ」といった直接的な脅しだけでなく、SNSで他人に危害を加える意図をほのめかす発言も脅迫罪に該当する可能性があるでしょう。
法定刑としては、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が規定されており、重大な刑事責任を問われる可能性もゼロではありません。
脅迫の手段には制限がなく、口頭やメール、電話などの個別のメッセージ以外に、公然と発信された場合にも成立する可能性があります。
刑法第233条に基づく「偽計業務妨害罪」は、事実と異なる情報を広めたり、他人の業務に支障を与えるためにだますような手段を使ったりする行為に適用される犯罪です。
たとえば、虚偽の情報を流して企業や店舗の業務運営を妨害する行為が典型的な例といえるでしょう。
偽計業務妨害罪に問われた場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
刑法第234条に基づく「威力業務妨害罪」は、他人の業務を威力によって妨害する行為に適用される犯罪です。
執拗なクレームやSNSでの過度な悪評の書き込みが挙げられ、これにより業務が正常におこなえなくなる場合、威力業務妨害罪として処罰される可能性があります。
また、犯罪予告のような威嚇的な行為も威力業務妨害罪に含まれます。
法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金であり、業務に対する深刻な妨害行為には厳しい罰則が設けられています。
民事上の責任とは、被害者の受けた損害を賠償する責任を指します。
ネット上の誹謗中傷や名誉毀損に関する民事上の責任としては、下記2つの請求をおこなえます。
インターネット上での誹謗中傷によって権利や利益が侵害された場合、被害者は発信者に対して損害賠償や慰謝料の請求が可能です。
誹謗中傷による権利侵害にはさまざまなものがありますが、主な例として以下の権利が挙げられます。
損害賠償請求は、これらの権利が侵害されたことを示し、その結果生じた精神的・経済的損害についての賠償を求める手段です。
ただし、損害賠償請求をおこなうには、原因となった誹謗中傷や名誉毀損などの書き込みについて、不法行為であることを立証しなければなりません。
誹謗中傷による名誉の侵害が深刻で、金銭による賠償だけでは十分な救済が得られない場合、名誉回復のための措置をあわせて請求することが可能です。
名誉回復のための手段はさまざまですが、代表的なものとして、謝罪広告の掲載やホームページへの謝罪文の掲載を求めることが挙げられます。
これにより被害者の名誉を回復し、不当に損なわれた社会的評価を回復することを目的としています。
好き嫌い.comに対して発信者情報の開示請求をおこなう主な流れは以下のとおりです。
以下では、それぞれのプロセスについて、大まかに説明します。
さらに詳しい流れや手続きについて知りたい場合は、下記の記事を参考にしてください。
好き嫌い.comで誹謗中傷の投稿を発見したら、まずは証拠を保存します。
パソコンでスクリーンショットを撮影し、以下の情報を記録しましょう。
なお、スマートフォンで撮影するとURLが完全に表示されない場合があるため、PCでの撮影がおすすめです。
次に、好き嫌い.comの運営者(コンテンツプロバイダ)に発信者情報の開示を求めます。
まずは、お問い合せフォームなどから任意による開示を求めましょう
しかし、ここでの情報開示請求はあくまで任意であるため、プロバイダが応じてくれる可能性は低いです。
そのため、情報開示請求は裁判を通じて請求することが一般的といえるでしょう。
なお、コンテンツプロバイダから情報が開示されると、投稿者のIPアドレスなどを特定できるので、次のステップに進みます。
次に、好き嫌い.comの運営者(コンテンツプロバイダ)から提供されたIPアドレスより、投稿者が使用したアクセスプロバイダを特定します。
アクセスプロバイダとは、NTTドコモやソフトバンクといった各種携帯キャリアや、NTTコミュニケーションズやKDDIなどのインターネット通信回線を管理する事業者のことです。
その後、アクセスプロバイダに対して、氏名や住所など発信者情報の開示と発信者情報のデータを削除しないよう消去禁止命令の申し立てをおこないます。
ただし、こちらも任意で応じてくれるケースは少なく、裁判手続きが必要になることが多いです。
この一連の手続きには、プロバイダの対応によりますが、通常3ヵ月から9ヵ月程度かかります。
従来の開示請求では、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダへのそれぞれの開示請求手続きが必要で、発信者情報の特定までにかなりの時間を要していました。
しかし、2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法によって、短い期間で開示請求をおこなうことが可能になっています。
新しい開示請求手続きでは、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する発信者情報の開示請求を、1つの手続きの中でおこなえるようになり、開示までの期間を大幅に短縮できるようになりました。
好き嫌い.comでの誹謗中傷については、内容次第では開示請求ができ、刑事上の責任や民事上の責任を問える可能性があります。
ただし、情報開示請求は、請求すれば必ず認められるものではありません。
請求が認められるには、法令や手続きに関する法的知識が不可欠です。
また、プロバイダ上に投稿者の情報が保存される期間は定まっていて、おおよそ3ヵ月か6ヵ月経過すれば、そのデータが削除されてしまう可能性があります。
そのため、発信者情報の開示請求は迅速におこなう必要があるのです。
誹謗中傷した投稿者の情報を開示したい場合は、弁護士へ相談することも1つの手段です。
法的な知見をもとに、現状における見通しや今後の方針について、アドバイスしてくれます。
自身で情報開示することは大変な労力を伴うので、弁護士による適切なアドバイスのもと然るべきアクションをとり、迅速な解決を目指しましょう。
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