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ネット誹謗中傷 投稿者の特定・訴訟 弁護士監修記事 更新日:

発信者情報開示請求は拒否しても大丈夫?その後の流れやリスクを解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

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あなたの手元に「発信者情報開示請求にかかる意見照会書」が届いたのであれば、第三者があなたの契約するプロバイダに対して、あなたの情報を開示するよう請求したということを意味します。

この記事では、発信者情報開示請求にかかる意見照会書の意味や、情報開示を拒否した場合のリスクや流れなどについて解説します。

発信者情報開示請求が届いてお困りのあなたへ

発信者情報開示請求を拒否できるだろうかと悩んでいませんか?

 

結論からいうと、発信者情報開示請求は拒否できる場合があります。しかし、拒否できるかどうかを判断するには専門的な知識が必要となるため弁護士に相談するのをおすすめします

弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • 発信者情報開示請求を拒否できるか判断できる
  • 発信者情報開示請求に対する回答の助言を得られる
  • 発信者情報開示請求を拒否した場合の問題がわかる
  • 依頼すれば、弁護士に示談を一任できる
  • 依頼すれば、個人情報の開示を避けられる可能性がある

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発信者情報開示請求を拒否したらどうなるか

発信者情報開示請求がおこなわれると、対象者に向けて「意見照会書」が送付されます。

これは、あなたが契約するプロバイダに対して、第三者からあなたの契約者情報を開示するよう請求があったことを通知し、情報開示に同意するか否かを確認する通知書です。

意見照会書は、あくまでも契約者の意向を確認するものであり、同意を強制されるものではありません

そのため、自身の情報を開示してほしくないのであれば、「同意しない」と回答すれば足ります。

なお、意見照会書に対して期限内(14日間)の返信を怠った場合には、情報開示に応じる意思はないものとして処理されるケースが多いようです。

意見照会書に不同意の回答をした場合のその後の流れ

意見照会書に対して同意しない旨を表明した場合、その後はどのような事態に発展するのでしょうか?

ここでは、想定される流れを紹介します。

請求者がプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を起こす

意見照会書に対して同意しない旨を回答すると、プロバイダは同意を得られなかったことを理由に、契約者情報の任意開示を拒否することが通常です。

この段階で請求者が諦めれば事態は収拾しますが、ほとんどの請求者は不同意前提で準備しているため、プロバイダに対して発信者情報開示を請求する裁判を起こすはずです。

裁判の結果、プロバイダ側に開示義務があると裁判所が認めれば、プロバイダに対して「開示せよ」と命じる判決が下され、プロバイダはこれに従って情報を開示します。

このように、たとえ意見照会書に対して不同意を表明したとしても、最終的に裁判手続きを通じてあなたの情報がプロバイダから開示されるリスクは相応にあります

なお、2022年10月には改正プロバイダ責任制限法が施行されました。

改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続きが必要だった発信者情報開示請求が、1回の非訟手続きで済むようになりました。

これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられます。

また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになりました。

相手から損害賠償を求められる

第三者があなたの情報の開示を求める目的は、あなたが誰であるか特定し、あなたに対して民事責任を追及するためである場合がほとんどです。

発信者情報開示請求訴訟を通じてあなたの情報が開示された場合、インターネット上の投稿について損害賠償請求をされることは、ほぼ確実といえます。

話し合いで解決もしくは民事裁判による判決

あなたと相手で損害賠償金について合意ができれば話し合いだけで手続きは終了しますが、合意ができない場合には、相手があなたに対して損害賠償請求訴訟を起こす可能性があります

民事訴訟を起こされると、裁判所から「訴訟を起こされました」という通知書が送付され、裁判所の指示に従って答弁書を提出したり、期日に出頭したりする必要があります。

裁判所からの支払い命令を拒否することはできない

民事訴訟手続きを通じて、裁判所から一定の金銭を支払うよう命じる判決が出た場合、あなたは判決内容に従って支払わなければなりません。

もし支払いをしなかった場合には、判決に従い強制執行の申し立てを受け、財産・給与が差し押さえられる恐れがあります

相手から刑事責任を追及される

上記は、相手があなたの民事責任を追及する場合を想定していますが、相手があなたの刑事責任を追及したいと考える場合もあります。

この場合、相手はあなたのインターネット上の投稿が名誉毀損などの犯罪行為であるとして、警察に対して告訴状を提出することが想定されます。

警察が告訴状を受理すれば、刑事事件として捜査が開始します。

場合によっては警察から呼び出され、事情を聞かれることもありますし、悪質な場合は逮捕・勾留される可能性もあります。

捜査の結果、検察が起訴した場合、あなたは刑事裁判にかけられ、有罪となれば所定の刑事罰が科されます

誹謗中傷で請求される損害賠償の相場

インターネット上での誹謗中傷について損害賠償請求を受けた場合、どの程度の賠償額になるのでしょうか?

一般的な目安は下表のとおりですが、あくまで目安であり、実際はケースバイケースです。

これより低額になることもありますし、高額になることもあります。

誹謗中傷の内容

慰謝料の相場

名誉毀損(一般の個人)

10万円~50万円程度

名誉毀損(法人や団体)

50万円~100万円程度

侮辱

1万円~10万円程度

プライバシー侵害

10万円~50万円程度

プロバイダへの訴訟が終わる期間の目安

第三者がプロバイダに対して発信者情報開示を求める裁判を起こした場合、特に請求内容に問題がなければ4ヵ月~5ヵ月程度で判決が出て、プロバイダから情報が開示されます

あなたに意見照会書が送付されてから情報が開示されるまでは一定期間空くため、意見照会書で「同意しない」と回答して音沙汰がないからといっても安心はできません。

もし、不同意を表明して1年~2年経っても音沙汰がないようであれば、第三者に情報開示がされなかったか、第三者が請求を諦めた可能性が高いといえそうです。

発信者情報開示請求を拒否することで生じるリスク

プロバイダからの意見照会書に対して不同意を表明しても、ただちに何らかの不利益があるわけではありません。

しかし、不同意を表明した場合、以下のようなリスクがあります。

訴えられたときの損害賠償額が大きくなる可能性がある

情報開示に同意しない場合、相手は裁判手続きにて情報開示を求めるのが通常です。

その場合、手続きのために新たに弁護士費用などがかかる可能性があり、損害賠償請求の際に金額を上乗せされて請求されるリスクがあります。

裁判所が費用の全部または一部を支払うよう命じれば、そのぶん賠償額は増えてしまいます。

追加の支払いを命じられるリスクがある弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

IPアドレス開示請求

着手金:20万円程度

報酬金:15万円程度

契約者情報開示請求

着手金:20万円~30万円程度

報酬金:15万円~20万円程度

被害者との示談が難しくなる

情報開示を拒否するのは自由ですが、拒否したことで請求者からの印象が悪くなる恐れがあります。

請求者があなたを絶対に許さないと考えた場合、話し合いでの解決などが困難になる可能性があります。

また、本来であれば民事責任の追及だけでよいと考えていたところ、刑事責任の追及を検討されることもあるかもしれません。

相手の被害感情が強い場合、あなたが情報開示を拒否したことで怒りに火が付き、徹底的な責任追及を受ける可能性があることは心得ておくべきでしょう。

心当たりがある場合は話し合いでの解決がおすすめ

あなたが投稿した誹謗中傷などの内容について反省しているのであれば、意見照会書が送付されてきた際に拒否をせずに同意し、被害者と話し合いでの解決を模索することも賢い解決策といえるかもしれません。

明らかな誹謗中傷であれば、たとえ情報開示を拒否しても相手は訴訟手続きを通じてあなたの情報を手に入れることができ、身元が判明するのは時間の問題です。

このような場合、相手と話し合いでの解決が難しくなるというリスクがあります。

少しでも穏便・迅速にトラブルを解決したいのであれば、意見照会書には同意しつつ、弁護士からサポートを受けることも検討しながら、被害者との和解を目指すのがベストかもしれません。

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まとめ

インターネット上のサイトや掲示板、SNSなどでの誹謗中傷は、たとえ匿名での投稿・書き込みでも発信者情報開示請求によって特定されてしまいます。

プロバイダからは意見照会書というかたちで意向の確認がおこなわれますが、たとえ情報開示に同意しなくても、相手が裁判所の手続きを利用すれば情報は開示されるでしょう。

もし、発信者情報開示請求を受けるような心当たりがある場合は、弁護士に依頼して被害者との和解を目指すことをおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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