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肖像権侵害で慰謝料請求したい!主な対処法と権利侵害の判断基準

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自分の写真や動画がSNSやインターネット掲示板などに勝手に掲載されている場合は、肖像権侵害に該当するかもしれません。

肖像権侵害に対する主な対処法には「投稿者や運営会社に対して削除要請を出す」「加害者に対して慰謝料を請求する」などがあります。

本記事では、肖像権の基礎知識をはじめ、肖像権侵害の判断基準や具体的な対処法、慰謝料を請求する場合の相場について解説します。

肖像権を侵害されたと悩んでいる方は、ぜひ問題解決の糸口にしてください。

肖像権侵害に対してできるだけ多くの慰謝料を請求したいと考えている方へ

肖像権侵害に対して慰謝料を請求しようと考えている場合は、まず弁護士に相談することをおすすめします。なぜなら、弁護士に相談・依頼することで慰謝料を多く請求できる可能性が上がるからです。

 

弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 投稿内容が肖像権侵害に該当するのかがわかる
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肖像権とは?肖像権を構成する2つの権利

肖像権とは、無断で自分の写真を撮影・使用・公開されないための権利のことです。

明文化はされていませんが、1969年に最高裁が初めて「何人も承諾がない状態でみだりに容貌や姿態を撮影されない自由を有する」と肖像権について言及しました。

この肖像権にはプライバシー権(人格権)とパブリシティ権(財産権)という2つの性質があります。

ここでは、まず肖像権などの権利の種類や内容などについて紹介します。

【肖像権・プライバシー権・パブリシティ権と主な事件】

権利の種類

権利の内容

代表的な事件

肖像権

無断で自分の写真を撮影・使用・公開されない権利

  • 京都府学連事件
  • 毒物混入カレー事件の被告人法廷写真事件

プライバシー権

自分の私生活や私事をみだりに公開されない権利

  • 宴のあと事件
  • 石に泳ぐ魚事件

パブリシティ権

経済的価値を持つ有名人の氏名や肖像を使用されない権利

  • マーク・レスター事件
  • ブブカスペシャル事件
  • ピンク・レディー事件

プライバシー権|一般人が持っている権利

プライバシー権とは、みだりに自分の個人情報や姿などを公表されない権利のことです。

プライバシー権は肖像権の一部であり、プライベートの写真をX(旧Twitter)などのSNSや週刊誌などに無断で掲載された場合はプライバシー権を侵害されたことにもなります。

プライバシー権を侵害された被害者は、加害者に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

プライバシー権について詳しく知りたい方は以下の記事も確認してみましょう。

パブリシティ権|有名人などの経済的価値がある人が持っている権利

パブリシティ権とは、経済的価値を持つ芸能人や著名人の名前や肖像を、ライセンス料を支払った第三者に専属的に帰属させる権利のことです。

そのため、無断で有名人の名前や肖像を商用利用した場合は、パブリシティ権の侵害に該当します。

なお、加害者に対して財産的損害は請求できますが、原則として慰謝料を請求することはできません

肖像権侵害の判断基準とは?具体例を用いて解説

写真や動画を撮られたり、自己の容姿などをインターネット上に公開されたりしたからといって、必ずしも肖像権侵害に該当するわけではありません

以下では、どのような写真や動画であれば肖像権侵害の対象になるのか、その判断基準や具体例などを確認しましょう。

肖像権侵害の基準

肖像権は法律上明文化されていないため、明確な基準は設けられていません

しかし、個人を特定できるか・拡散性が高い場所に公開されているか・本人に撮影や公開の許可を取ったか・どこで撮影されているか・社会通念上相当かどうかなどの観点から、総合的に違法性を判断することが一般的です。

以下では、それぞれの肖像権侵害の判断基準について詳しく確認しましょう。

個人の特定が可能か

その写真や動画から個人を特定できる場合は、肖像権侵害が認められる可能性が高いでしょう。

肖像権は撮影された人のプライバシーを保護することを目的とした権利であるため、そもそも個人を特定できない写真や動画などは肖像権を侵害したことにはなりません。

撮影された人の大きさや向き、モザイク加工の有無などによって判断されることになります。

拡散性が高い場所で公開されているか

その写真や動画が拡散性の高い場所に公開されている場合は、肖像権侵害が認められる可能性が高くなります。

拡散性が高い場所とはSNS・インターネット掲示板・YouTube・動画配信サービスといった、不特定多数の人が閲覧できる場所のことです。

このような拡散性の高い場所の場合、みだりに個人情報や姿を公開されている状態といえるでしょう。

本人による撮影・公開許諾の有無

本人から撮影・公開の許可を得ていない場合は、肖像権侵害が認められる可能性が高いです。

日本の肖像権の考え方では、撮影と公開の許可はそれぞれ取る必要があるとされています。

撮影は許可されているものの、公開に関しての許可を得ずに写真や動画をWeb上にアップロードしてしまった場合、肖像権侵害になってしまう可能性があります。

撮影場所が私的か公的か

撮影した場所が私的領域の場合は、肖像権侵害が認められる可能性が高くなります。

たとえば、道路や公園などは不特定多数の人が自由に出入りできますが、自宅内やホテルの個室などは限られた人しか出入りできません。

そのような私的空間で撮影された場合、偶然写り込んだとは考えにくいため肖像権侵害になる可能性が高いといえます。

肖像権侵害になる可能性が高いケース

肖像権侵害として認められる可能性が高いケースには以下のようなものがあります。

  • 電車で泥酔している様子を無断でSNSに公開された
  • 幼い我が子の写真を勝手にSNSに公開している
  • 露出度が高い恰好の写真を無断で撮影され、インターネット掲示板に公開された
  • 街で見かけた有名人を動画で撮影して配信サイトにアップロードした

肖像権侵害にならない可能性が高いケース

一方、 以下のようなケースは肖像権侵害として認められない可能性があります。

  • 公益を図るため政治家や犯人などの写真をニュースサイトに掲載した
  • スポーツ大会や記者会見などの場所で黙示的な承諾のもと撮影した
  • モデルが許可を出しているフリー画像を利用規約どおりに使用した

肖像権侵害されたときの対処法

もし肖像権を侵害されてしまったら、投稿者やサイト管理者に削除を依頼したり、裁判所を通じて差し止め請求をしたりするなどの対処法があります。

以下では、それぞれの対処法のポイントについて確認しましょう。

投稿者本人とサイト管理者に削除を依頼する

SNSやインターネット掲示板などに公開された写真や動画を削除したいなら、投稿者本人とサイト管理者に書き込みの削除を主張してみましょう。

投稿者に依頼する場合は、ダイレクトメッセージ機能やコメント機能などを使ったり、電話番号などの連絡先がわかる場合は直接連絡したりする方法があります。

また、サイト管理者に依頼する場合は、そのサイトに設けられている専用フォームから削除依頼を出すとよいでしょう。

裁判所に対して差し止め請求を申し立てる

投稿者本人やサイト管理者が削除依頼に応じてくれない場合は、裁判所に対して差止請求・削除請求の仮処分申し立てをおこないます。

仮処分申し立てをするメリットは、通常の民事訴訟よりも短期間で削除命令を出してもらえるという点です。

申し立て後に裁判所で審尋を受け、担保金を供託に預け入れることで、仮処分命令を出してもらえます。

弁護士に依頼する

肖像権侵害の被害に遭っている場合は、弁護士に相談して今後の対応を検討することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、投稿者やサイト管理者に対して任意での削除要請をしてくれたり、削除に応じてくれなかった場合には発信者情報開示請求や削除請求といった法的手続きを適切に進めたりしてくれます。

慰謝料を請求する場合は、さまざまな事情を考慮したうえで金額を決定することになりますが、弁護士であれば法律知識を用いて的確に対応してくれて、自身で対応するよりも慰謝料を増額できる可能性があります。

肖像権侵害では、その後の被害拡大を防ぐためにも、早急に対応することが重要です。

「ベンナビIT(旧:IT弁護士ナビ)」を使用して、肖像権侵害の対策が得意な弁護士を探してみましょう。

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肖像権侵害による慰謝料・損害賠償請求でもらえる慰謝料相場と請求の流れ

肖像権侵害を受けた被害者は、加害者に対して不法行為に基づいて民事上の損害賠償を請求できる可能性があります。

慰謝料・損害賠償の金額は被害状況によって異なりますが、一般的には10万円~50万円程度が慰謝料の相場となっています。

ただし、悪質で精神的苦痛が大きい事案などでは、以下のように肖像権侵害による慰謝料金額が100万円以上と高額になった裁判例もあります。

肖像権侵害の事例ごとの損害賠償金額

肖像権侵害の事例

損害賠償金額

バラバラ殺人現場の近くのごみ収集を担当している運転手を、テレビ局が無承諾で生放送の取材・撮影をしたことで肖像権とプライバシー権が侵害された事例

120万円

写真と名前を無断で使用したなりすまし犯が、他人への誹謗中傷を繰り返したことで、被害者の肖像権と名誉権が侵害された事例

130万円

参考記事
朝ズバッ!生放送で無承諾撮影は違法 TBSに賠償命令.朝日新聞.2009年4月14日,朝日新聞DIGITAL(2022年8月19日 閲覧)
SNSでなりすまし、他人を罵倒 名誉権侵害で賠償命令.朝日新聞.2017年8月30日,朝日新聞DIGITAL(2022年8月19日 閲覧)

肖像権侵害による慰謝料請求の流れ

慰謝料請求の流れ

手続きの概要

1.サイト管理者に開示請求をする

  • サイト管理者に対して投稿者のIPアドレスを開示するように請求する

2.プロバイダに開示請求をする

  • プロバイダに対して投稿者の名前や住所を開示するように請求する

3.慰謝料を算定する

  • 肖像権侵害や名誉毀損などの被害状況に適した慰謝料を算出する

4.加害者に慰謝料請求をおこなう

  • 加害者に対して示談交渉・調停・裁判などで慰謝料請求をおこなう

発信者情報開示請求の手続きや流れについては以下の記事を確認してください。

さいごに|肖像権侵害に悩まされているなら弁護士に相談を!

肖像権は一般の方にも認められている権利であり、正当な理由なく自分や家族の顔写真などを撮影・使用・公開された場合には肖像権侵害として民事上の慰謝料・損害賠償を請求できる可能性があります。

肖像権侵害の慰謝料相場は10万円~50万円程度ですが、事件内容や被害状況によっては100万円以上の慰謝料が認められるかもしれません。

肖像権の侵害で困っていたら、自分ひとりで悩まずに肖像権侵害やネットトラブルの対策を得意としている弁護士にまずは相談してみましょう。

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この記事の監修者
阪神総合法律事務所
曾波 重之 (大阪弁護士会)
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ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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