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ネット誹謗中傷 弁護士監修記事 公開日:2018.5.14  更新日:2022.10.28

誹謗中傷に関与する法律まとめ|犯罪への罰則や問われる罪を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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「あいつには不倫相手が3人いる」
「ブスすぎて顔を見るだけで吐き気がする」

このような発言またはネットへの書き込みは、被害内容や誹謗中傷をした状況しだいでは、犯罪となる可能性があります。

この記事では、誹謗中傷はどこから罪になるのかを判断しやすいよう、誹謗中傷トラブルでよく見受けられる法律違反を解説いたします。

加害者を訴えることは可能なのか、被害への対処法などを確認したい場合は、参考にしてみてください。

【関連記事】【事例つき】「誹謗中傷」と「批判」の違いを弁護士がわかりやすく解説

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この記事に記載の情報は2022年10月28日時点のものです

誹謗中傷でよく見られる法律違反

誹謗中傷トラブルについては以下のような犯罪が成立する場合があります。

  • 名誉毀損罪
  • 侮辱罪
  • 信用毀損及び業務妨害罪
  • 脅迫罪

まずは、どのような誹謗中傷がこれらの犯罪に該当するのかについて確認していきましょう。

名誉毀損罪

名誉毀損罪とは、多くの人に伝わる可能性がある場所で、他者の社会的評価を落とすおそれのある具体的事実を指摘する犯罪です。

例えば、以下のような誹謗中傷をSNSに書き込んだ場合には、名誉毀損罪に該当する可能性が高いでしょう。

  • 〇〇はクスリをやっている
  • 〇〇は△△と不倫をしている
  • 〇〇は会社の金を横領して豪遊している 

なお、名誉毀損における『具体的事実』とは、「ばか」のような個人の評価ではなく、事実の真偽について確認対象となる事実という意味です。

詳細記事 名誉毀損とは|成立する要件と訴える方法をわかりやすく解説

侮辱罪

侮辱罪とは、多くの人に伝わる可能性がある場所で、具体的な事実をあげずに他者の社会的評価を落とす可能性のある言動を行う犯罪です。

「ばか」「ブス」「きもい」「デブ」「はげ」のような、個人の主観や評価による誹謗中傷を受けた場合に成立する可能性があります。

一見すると、侮辱罪は名誉毀損罪よりも成立のハードルは低いです。しかし、実際に侮辱罪として立件されるのは、インターネット上でひどい誹謗中傷を繰り返すような特別に悪質といえるケースにとどまるのが実情です。

詳細記事 ネットで侮辱罪になる発言とは|誹謗中傷による権利侵害について

信用毀損及び業務妨害罪

信用毀損罪は、事業者の評判を貶めるような虚偽の情報を流す行為について成立する可能性があります。

業務妨害罪は、虚偽の情報を流したり、相手に脅威を与えることでその業務を妨害する行為について成立する可能性があります。

例えば、「〇〇ってお店は賞味期限切れの食材を使っている」などの発言をした場合は信用毀損罪、「明日○○の商品に毒を入れる」などの投稿を行う場合は業務妨害罪になる可能性があります。

詳細記事 信用毀損罪をわかりやすく解説|事例(判例)と対処法をチェック

脅迫罪

脅迫罪とは、相手または相手の親族の『生命』『身体』『自由』『名誉』『財産』に対して、危害を加えることを告知する犯罪です。

例えば、誹謗中傷と共に以下のような脅しを受けた場合には、脅迫罪に該当する可能性が高いでしょう。

  • 「明日までに金を用意しなかったら殴る」
  • 「お前これから夜道に気を付けろよ」
  • 「よりを戻さないと写真をネットにさらすぞ」

上記で解説した犯罪と異なり、脅迫罪は公の場ではなくても被害が成立します。(例:2人の部屋、LINEメッセージ、SNSへのDMなど)

会話の音声データやメール画面のスクショなど、脅迫を証明できる証拠がある場合は、被害が生じる前にすぐ警察へ被害届を出してください。

詳細記事 ネットの脅迫で警察が動く状況とは|脅迫罪の成立要件と対処法

プロバイダ責任制限法(加害者特定に関わる法律)

プロバイダ責任制限法の下では、サイト(掲示板・ブログ・SNSなど)に上記で紹介したような権利侵害の投稿がある場合、サイトの管理者やプロバイダは、その投稿の削除や投稿者の情報を開示しても法的責任を負うことはありません

通常であれば、個人情報の守秘義務からサイトへの投稿者の情報をみだりに公開することは許されません。

しかし、侵害情報と思われる情報が掲載されたままでは、逆に被害者からコンテンツ管理者として法的責任を問われる可能性があります。

プロバイダ責任制限法

そのため、以下の2つの条件を満たしている場合は、プロバイダ側は被害者の要求で投稿の削除や投稿者の情報開示に応じてもよいことが認められています。

  1. 開示を受けるべき正当な理由がある
  2. 権利侵害が明白である

基本的には、上記で紹介したような犯罪の被害に遭っている立場であれば、サイト管理者やプロバイダへ開示請求をすることで、加害者の情報を開示してもらえる可能性はあると考えられます。

ネット誹謗中傷の加害者を訴えるには、まず相手がどこの誰なのかを特定しなくてはいけません。特定手続きには裁判での対応が必要になるケースがほとんどですので、まずは弁護士への相談をご検討ください。

詳細記事 プロバイダ責任制限法とは|プロバイダのメリットと被害者ができること

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

誹謗中傷の被害に対する法的措置

誹謗中傷に対する法的措置での対応としては、加害者に対する刑事罰(罰金刑や懲役刑など)を訴追する刑事告訴、精神的苦痛に対する慰謝料を請求する損害賠償請求が挙げられます。

  • 刑事告訴|刑事
  • 損害賠償請求|民事

誹謗中傷の被害が発覚した場合は、その証拠(WEB魚拓、URLの記録、音声の録音など)を確保し、警察または弁護士へ被害をご相談ください。

特にネット誹謗中傷被害を相談する際には、問題の投稿があるページのURLを必ず控えておきましょう。

詳細記事 名誉毀損の証拠には何が必要?訴訟を起こすために用意すべきものとは

刑事告訴|刑事

警察に告訴状が受理され、捜査により加害者の起訴(刑事裁判を起こすこと)が確定し、刑事裁判で有罪判決が出た場合には、加害者へ以下の刑事罰が科されることになります。

名誉毀損罪

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

侮辱罪

拘留または科料(1,000円以上1万円以下の罰金)

脅迫罪

2年以下の懲役または30万円以下の罰金

信用毀損及び営業妨害

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

まずは、最寄りの警察署または『サイバー犯罪相談窓口』へ問い合わせて、告訴を検討している旨を伝えて、手続きに必要なものを確認してください。

ただ、警察はネット誹謗中傷事件の捜査には、あまり積極的ではないのが実情です。もし警察に動いてもらうのが難しそうであれば、弁護士へ対応を相談されることをおすすめします。

損害賠償請求|民事

誹謗中傷で請求できる慰謝料の金額は被害内容によりけりですが、おおよその相場は以下の通りです。

名誉毀損(一般人)

10〜50万円

名誉毀損(事業主)

50〜100万円

侮辱

1〜10万円

プライバシー侵害

10〜50万円

なお、加害者の特定にかかった費用も損害賠償の一部として請求が可能です。※必ずしも全額請求が認められるとは限りません

加害者に対して内容証明を送り、相手が支払いに応じるまたはお互いが納得する和解案が見つかれば示談成立、相手が支払いに応じない場合は民事訴訟での対応になるでしょう。

誹謗中傷による法律トラブルを相談先

インターネット上の誹謗中傷に困っているという場合、警察や弁護士に相談できることはよく知られていますが、実は法務省にも相談窓口があります。

【相談窓口】法務省:人権相談

電話相談、窓口相談、インターネット相談と三種類の相談方法がありますので、ご自身にあった方法で相談サービスをご活用ください。

すでに加害者の訴訟を検討している場合は、IT分野に強い弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に相談して本当に訴訟をするべき案件かアドバイスを受けて、それでも加害者を訴えたいと思う場合は、弁護士へ手続きを依頼されることをおすすめします。

弁護士費用は依頼先や被害内容によって変わりますので、費用の詳細については、依頼前の法律相談で確認しておきましょう。

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プロバイダ責任制限法の改正による情報開示請求の変更点

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行され、手続き等に変更がありました。主な違いは次の3点です。
 
➀新たな非訴手続きの創設
②開示情報の範囲の見直し
③発信者が開示を拒否した場合の理由照会の義務化
 
ここでは、これら変更点について簡単にお伝えします。

1回の手続きで情報開示請求できる新たな非訴手続きの創設

これまでは発信者情報を特定するために、「コンテンツプロバイダへの発信者情報開示仮処分」と「アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求」の2つの裁判手続きが必要でした。
 
その分、発信者の特定まで時間と費用がかかるうえに、2回の裁判の途中でログ保存期間が経過し、発信者の特定が困難になるなどのデメリットがあったのです。
 
改正後は、新たな非訟手続として「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が創設され、1回の手続で発信者情報の開示請求が可能になりました。非訟手続は訴訟以外の裁判手続のことで、訴訟に比べて手続きが簡易で柔軟な対応ができるのが特徴です。
 
新設された「発信者情報開示命令に関する裁判手続」では、「①裁判所に対する開示命令」「②コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する提供命令」「③アクセスプロバイダに対する消去禁止命令」を同時に申立てます。
 
このように、1つの裁判手続きで済むことと、消去禁止命令があることから、発信者の特定まで時間が短縮され、ログが消えて発信者情報の開示が困難になるのを防ぎ、より円滑に被害者の損害が回復されることが見込まれます。
 

既存の2段階の手続きも認められている

改正プロバイダ責任制限法では、既存の「発信者情報開示請求権にかかる手続き」による2段階の手続きも認められています。つまり、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」と「発信者情報開示請求権にかかる手続き」のどちらの方法でも発信者情報の開示請求が可能です。
 
もっとも、新設の手続きではアクセスプロバイダとコンテンツプロバイダの間で必要な情報を相互に提供し合う必要があり、円滑に発信者情報の特定に至るか難しいケースも考えられます。
 
例えば、IPアドレスやタイムスタンプなどで発信者が特定可能な平易なケースであれば、新設の手続きを利用するのが理想でしょう。
 
一方、ポート番号など他の情報が必要なケースや、事前にプロバイダが強く情報開示を拒否すると予想されるケースなどは、既存の手続きを必要とする可能性が高く、ケースバイケースでどちらの手続きを選択すべきか判断することになります。

ログイン時情報を開示請求可能に

近年のSNSはログイン型サービスが主流になりました。同サービスではログインした状態で様々な投稿をおこないます。もっとも、そのようなログイン型サービスは、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスを保有していないケースも少なくありません。
 
そして、ログイン時のIPアドレスは既存のプロバイダ責任制限法において「発信者情報」に該当するか明確になっておらず、開示されるかどうかは裁判所により個別に判断されていました。また、ログイン時の通信を媒介したプロバイダに関しては、開示請求の対象とはしていませんでした。
 
つまり、権利侵害を受けたにも関わらず発信者が特定できないケースもあったのです。
 
そこで改正プロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスについて「特定発信者情報」と明文化し、ログイン時のIPアドレスについても開示請求権を認めました。さらに、ログイン時の通信を媒介したプロバイダも開示請求の対象と認めています。
 
これにより、ログイン型サービスにおいて、投稿時のIPアドレスが保存されていないケースであっても、ログイン時IPアドレスを特定発信者情報とし情報開示請求が可能になりました。
 
もっとも、ログイン時のIPアドレスの開示が認められるには「請求対象のプロバイダが特定発信者情報のみしか保有していない」など条件が設けられています。つまり、ログイン時の情報が開示されるのはログイン型サービスのみに限定される点に注意が必要です。

意見照会で発信者が情報開示に応じないときの理由の照会

既存のプロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求があった場合、プロバイダは発信者に対して意見照会をしなければならないと定められています。意見照会は簡単にいえば「発信者に対して情報を開示してもよいか確認すること」と表現できます。
 
改正プロバイダ責任制限法でも意見照会自体について定めがあるものの、新たに、「発信者が開示に請求に応じない場合にはその理由を照会する」旨の規定が定められました。
 
つまり、発信者が情報開示請求に応じない場合、プロバイダはその理由について聞き取りをしなければなりません。
 
これにより、発信者が情報開示に応じない理由を把握したうえで、プロバイダが適切な対応がとれるようになります。

まとめ

誹謗中傷トラブルでは、以下の法律違反が関与してくるケースが多く見受けられます。

犯罪名

定義

名誉毀損罪

公然の場で具体的な事実を挙げたうえで第三者の評判を落とす可能性のある言動をとる行為

侮辱罪

公然の場で具体的事実を挙げないで第三者の評判を落とす可能性のある言動をとる行為

信用毀損・業務妨害罪

故意に嘘の噂を流したり人を騙したりして、他者の信用の傷つける・他者の業務に支障をきたす可能性がある言動をとる行為

脅迫罪

生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して、人を脅迫する行為

単なる悪口や批判でも、度を過ぎれば犯罪として扱われます。もし法的措置での対応を検討されている場合は、警察または弁護士への相談をご検討ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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