「投稿者の特定・訴訟」が得意な弁護士に相談して悩みを解決!
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インターネットの掲示板やSNSなどで誹謗中傷を受けた場合、発信者情報開示請求をすることで発信者の氏名や住所などの情報を特定することができます。
相手を特定できれば、損害賠償請求など法的責任を問うことが可能です。
しかし、どのような流れで手続きを進めればよいのか、自分でできるものなのかわからない方は多いのではないでしょうか?
本記事では、発信者情報開示請求の概要や要件、手続きの流れなどを解説します。
新しく導入された発信者情報開示命令との違いも解説するので、ネット上の誹謗中傷で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ネット上で誹謗中傷被害に遭っているあなたへ
ネット上で誹謗中傷を受けているけど、相手を特定する方法がわからず悩んでいませんか?
結論からいうと、発信者情報開示請求を通して投稿者を特定することができます。
しかし、発信者情報開示請求は法的知識を持ち合わせない個人で申請することは難易度が高いといえます。
もし、今すぐ投稿者を特定して責任追及したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。
弁護士に相談・依頼すると以下のようなメリットを得ることができます。
- 投稿が誹謗中傷に当たるか判断してもらえる
- 依頼すれば、発信者情報開示請求をしてもらえる
- 依頼すれば、投稿者に損害賠償請求できる
ベンナビITでは、ネット上の誹謗中傷問題の解決を得意とする弁護士を多数掲載しています。
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発信者情報開示請求とは|発信者を特定するための手続き
発信者情報開示請求とは、インターネット上の匿名の投稿によって権利を侵害された場合に、投稿者(発信者)の情報を開示するようプロバイダに請求することです。
インターネット上で誹謗中傷されたりプライバシーを侵害されたりした場合、発信者に対して損害賠償金を請求できる可能性があります。
投稿の内容によっては名誉毀損罪や業務妨害罪が成立することから、発信者を刑事告訴することも可能です。
しかし、発信者が誰か特定できなければ、損害賠償請求や刑事告訴ができません。
そこで発信者情報開示請求をおこない、発信者の氏名・住所などの個人情報を取得するのです。
2022年10月1日から導入された「発信者情報開示命令」との違い
発信者情報開示請求は、仮処分命令を申し立てることでおこなうのが従来の方法でしたが、これと同様の成果が期待できる手続きとして、「発信者情報開示命令の申立て」があります。
発信者情報開示命令の申立ては、2022年10月1日に導入された手続きです。
従来の仮処分命令の申立ての手続きでは、発信者を特定するために以下の裁判手続きを別々におこなう必要がありました。
- サイト管理者に対して発信者のIPアドレスを開示するよう求める仮処分命令申立ての手続きと、情報を保存するよう求める仮処分命令申立ての手続き
- 開示された発信者のIPアドレスなどの情報をもとに、通信プロバイダに対し発信者の氏名や住所などの開示を求める手続き
新しい発信者情報開示命令申立ての手続きでは、これらを1度の裁判手続きでおこなえるようになったのです。
さらに発信者情報開示命令では、一般的な訴訟事件でなく「非訟事件」という手続きによってすすめられます。
非訟事件では、訴訟事件のように必ずしも口頭弁論を開く必要もなく、より簡易的でスピーディに進行される傾向です。
以上のことから、発信者情報開示請求に比べ発信者情報開示命令はより迅速かつ少ない負担で発信者を特定できると期待されます。
ただし、対象のサイトやSNSの運営者によっては、仮処分命令を申し立てたうえで、間接強制をおこなわないと迅速に開示をしてもらえない場合があるなど、発信者情報開示命令と従来の発信者情報開示請求のどちらをおこなうべきかは、ケースにより異なります。
どちらを選ぶべきか判断がつかない場合は、IT問題を得意とする弁護士にアドバイスを求めるとよいでしょう。
発信者情報開示命令・発信者情報開示請求の具体的な手続き方法については、後述しておりますので参照ください。
発信者情報開示請求をおこなうための6つの要件
発信者情報開示請求をおこなうには、以下の6つの要件を満たす必要があります。
1.特定電気通信による情報の流通であること
「特定電気通信(不特定の人間によって受信されることを目的とした電気通信)による情報の流通」とは、Webサイトやインターネット掲示板、SNSなどに、投稿する行為を指します。
インターネット上に投稿された情報を不特定多数の人が見ることによって、情報の流通がなされたことになり、要件が満たされます。
2.自己の権利を侵害されたとする者であること
「インターネット上の投稿で、自分の権利が侵害された個人や法人」でなければ、発信者情報開示請求はできません。
つまり、「この投稿は〇〇さんの権利を侵害している!」と考えた被害者以外の第三者からは、発信者情報開示請求はできないことになります。
3.権利侵害が明らかであること
インターネット上の投稿によって被害者の権利が侵害されたと、一般的に考えて明白でない限りは開示請求ができません。
たとえば、掲示板サイトで本人の許可なく本名を記載したうえで、通常公開されたくないと考えられる情報を書き込んだ場合は、「プライバシー権の侵害」が明白となります。
また、権利侵害が明らかであるというためには、権利侵害された事実があるだけでは不十分で、違法性阻却事由(違法性を否定する事情)がないことも重要です。
違法性阻却事由というのは、形式的には名誉毀損に該当する内容であっても、内容が真実であり、投稿自体に公共性や公益性が認められる場合などに、権利侵害性が否定される事由のことをいいます。
たとえばAさんが、SNSで企業の不正を告発するような投稿をおこなったとしましょう。
それが事実と反するのであれば、名誉毀損が成立する可能性が高いです。
しかし、真実である場合には、以下の要件を満たすとして、違法性阻却事由が認められ、権利侵害性が否定されることとなります。
- 公共の利害に関わる事実を示していること
- 公益を図る目的があると認められること
- 示された事実が真実であること
(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
引用元:刑法 | e-Gov法令検索
4.発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があること
発信者情報開示請求によって開示される情報は、情報発信者側の氏名、住所などの重大な個人情報です。
そのため、慰謝料や損害賠償といった民事責任を問う場合や、刑事告訴をする場合など、正当な理由がなければ開示請求はできません。
したがって、たとえば犯人を特定して、ネット上に晒すなどして、私的な制裁を加えてやりたいなどといった理由では開示請求は認められないことになります。
5.開示請求の相手が「開示関係役務提供者」に該当すること
開示請求は、発信者側の開示対象情報(氏名、住所、IPアドレス)を把握している相手に対しておこなう必要があります。
たとえば、ドコモのスマートフォンを使いX(旧Twitter)上で誹謗中傷された場合は、「株式会社NTTドコモ」と、X(旧Twitter)の運営会社である「X(旧Twitter), Inc.」が、開示関係役務提供者に該当します。
6.「発信者情報」に該当すること
発信者情報とは、総務省令で定める発信者の特定に必要な情報のことを指します。
総務省令では、以下の情報が発信者情報開示請求の対象とされています。
- 発信者その他侵害情報の送信または、侵害関連通信にかかる者の氏名または名称
- 発信者その他侵害情報の送信または、侵害関連通信にかかる者の住所
- 発信者その他侵害情報の送信または、侵害関連通信に係る者の電話番号
- 発信者その他侵害情報の送信または、侵害関連通信に係る者の電子メールアドレス
- 侵害情報の送信に係るアイ・ピー・アドレス及び当該アイ・ピー・アドレスと組み合わされたポート番号
- 侵害情報に係る移動端末設備からのインターネット接続サービス利用者識別符号
- 侵害情報の送信に係るSIM識別番号
- ⑤⑥または⑦から侵害情報が送信された年月日及び時刻
- 専ら侵害関連通信に係るアイ・ピー・アドレス及び当該アイ・ピー・アドレスと組み合わされたポート番号
- 専ら侵害関連通信に係る移動端末設備からのインターネット接続サービス利用者識別符号
- 専ら侵害関連通信に係るSIM識別番号
- 専ら侵害関連通信に係るSMS電話番号
- ⑨⑩⑪または⑫から侵害関連通信がおこなわれた年月日及び時刻
- 発信者その他侵害情報の送信または侵害関連通信に係る者についての利用管理符号
仮に、開示関係役務提供者が上記以外の情報を把握していたとしても、上記以外の情報の開示を求めることはできません。
発信者情報開示請求をおこなう際の請求先は2つ
発信者情報開示請求をおこなう対象は、サイト管理者とインターネットサービスプロバイダ(以下、プロバイダと略します)です。
以下、それぞれの概要をみていきましょう。
1.サイト管理者|発信者のIPアドレスと発信時間(タイムスタンプ)を取得
まずは掲示板やSNSなどを運用する管理者(=サイト管理者)に対して開示請求をおこないます。
サイト管理者には、発信者のIPアドレスと発信時間(タイムスタンプ)などの情報開示を求めることが可能です。
サイト管理者が発信者の氏名や住所などの情報を保有している場合は、サイト管理者への開示請求のみで十分です。
また、電話番号を保有している場合も、弁護士会照会といった制度を利用して発信者の特定を試みることが可能です。
しかし、サイト管理者がこれらの情報を保有していない場合は、プロバイダに対しても開示請求をおこなうことになります。
2.プロバイダ|発信者の氏名・住所などを取得
プロバイダは、インターネット接続サービスを提供する事業者です。
これら事業者は、発信者の氏名・住所・メールアドレスなどの個人情報を保有しています。
プロバイダから情報を開示してもらうことで、発信者を訴えるのに必要な情報を一通り揃えることができます。
従来の発信者情報開示請求で発信者を特定するまでの流れ|5ステップ
発信者情報開示請求で発信者を特定するまでの流れを、5ステップに分けて解説します。
1. ネット上の投稿を記録し証拠として残す
投稿内容をスクリーンショットや写真などで記録し、証拠として残しておきましょう。
証拠を残しておかないと、発信者が投稿を削除してしまった場合に相手を訴えることが難しくなります。
写真を撮る際は、必ず投稿自体のURLが映るようにしましょう。
URLが表示されていないサイト管理者のほうで投稿に割り当てられたIPアドレスを特定できないといった理由で、特定に失敗する可能性があります。
2. サイト管理者に対して任意の開示請求をおこなう
次に、サイト管理者に任意の開示請求をします。
「発信者情報開示請求書」を作成してサイト管理者に送付すれば、情報を開示してもらえることがあります。
ただし、情報を開示するかはあくまで任意であり、応じてくれる可能性は低いのが現実です。
これは、サイト管理者が独自でその書き込みが違法であるか判断するのが困難であることが原因と考えられます。
違法性のない投稿に関し、任意での開示に応じてしまうと、サイト管理者が通信の秘密を侵害した、あるいは個人情報保護法に違反したなどの理由で発信者から訴えられてしまうリスクがあるのです。
発信者情報開示請求書の書き方
発信者情報開示請求書は、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会がひな形を配布していますので、それを使用するとよいでしょう。
記入欄 |
概要 |
権利を侵害されたと主張する者 |
開示請求書を作成する本人の住所・氏名・電話番号などの個人情報を記載します。 |
[貴社・貴殿]が管理する特定電気通信設備等 |
サイト管理者へ開示請求をする場合は、問題の投稿があったページのURLや、掲示板のレス番号などを記載します。 プロバイダへの開示請求をする段階では、ここに発信者のIPアドレスやタイムスタンプを書きます。 |
掲載された情報 |
たとえば「電車内で暴力行為をした情報」など、投稿された内容の概要です。 |
侵害された権利 |
自分がどんな権利を侵害されたのかを書きます。 たとえば電車内で暴力行為をしたという嘘の情報を広められ名誉が毀損されたという場合には、名誉権などと記載します。 |
権利が明らかに侵害されたという理由 |
問題の投稿によって権利侵害が生じたことと、違法性阻却事由がないことを説明します。 たとえば「問題の投稿は電車内で暴力行為をしたとしているが、そのような事実はない」「投稿で示されていた日時にはレストランで食事をしており明らかに事実に反する」などの具体的事実を記載し、「投稿が事実に反し、違法性阻却事由がなく、名誉毀損に当てはまる行為」だということを明示します。 |
発信者情報開示を受けるべき正当理由 |
たとえば損害賠償請求を目的としている場合には、「1.損害賠償請求権の行使のために必要であるため」に〇をつけます。 該当するものが複数であってもかまいません。 |
開示を請求する発信者情報 |
サイト運営者へ開示請求をするときは記入例の項目に丸を、プロバイダに開示請求をするときは1.2.3.4.の項目に丸を付けましょう。 ただし、サイト運営者が個人情報を保有しているケースもあるので、どういった情報を保有しているか調査することも重要です。 |
証拠 |
問題の投稿をキャプチャした資料や、投稿が嘘であることを示す資料を添付します。 たとえばレストランのレシートを添付することで、「電車内で暴力行為をしたとされる日時には、レストランで食事をしていたので、問題の投稿が嘘である」ことを示せます。 |
発信者に示したくない私の情報 |
意見照会(サイト運営者やプロバイダが発信者に情報を開示して良いかを書面で確認するとき)で、発信者側に知ってほしくない情報に丸を付けます。 発信者に送付される意見照会書には、開示請求者の氏名などが記載されてしまうので、項目に丸を付けることでそれらを発信者に知られないようにできます。 |
3.開示を拒否された場合は発信者情報開示仮処分命令を申し立てる
任意の開示請求を拒否された場合は、裁判所に対して発信者情報開示仮処分命令を申し立てましょう(後述の発信者情報開示命令の申し立てによることも可能です。)。
仮処分命令の申し立ては、サイト管理者や会社の所在地を管轄する裁判所や東京地方裁判所、大阪地方裁判所に対しておこないます。
申し立てには、申立書・誹謗中傷を受けたことがわかる証拠などが必要です。
申し立てが受理されると、裁判官がサイト管理者と被害者双方の話を聞き、情報開示に応じるべきかを判断する「審尋(しんじん)」がおこなわれます。
審尋の結果、裁判所が情報を開示すべきと判断した場合、発信者情報開示命令が出され、サイト管理者からIPアドレスなどの情報が開示されます。
4.開示されたIPアドレスをもとにプロバイダを特定する
サイト管理者から開示されたIPアドレスを使って、発信者が使用したプロバイダを特定します。
プロバイダは、「ドメイン/IPアドレス サーチ【whois情報検索】」で特定が可能です。
以下の手順で特定することができます。
- 「グローバルIPアドレス または ドメイン」欄にIPアドレスを入力する
- 注意事項・制約事項を確認して同意する
- 「管理情報照会実行」を押す
- 「netname:」や「ネットワーク名」という項目に記載されているプロバイダ名を確認する(IPアドレスの種類によって表記がかわります。)
5.プロバイダを相手方とする発信者情報開示請求訴訟を提起する
プロバイダを特定したら、サイト管理者に発信者情報開示命令の申し立てをしたときと同様の手続きをおこないます。
裁判所が情報を開示すべきと判断すれば、プロバイダから情報の開示を受けることが可能です。
プロバイダから発信者の氏名・住所などの個人情報が開示され、ようやく発信者を特定できます。
新設の発信者情報開示命令申立て手続きで発信者を特定するまでの流れ|4ステップ
新しく導入された発信者情報開示命令申立て手続きで発信者を特定する流れは、以下のとおりです。
1. ネット上の投稿を証拠として残す
仮処分命令申立てと同様、投稿の内容とURLを証拠として残しておきましょう。
画面をスクリーンショットで撮影するなどして、誹謗中傷を受けた事実をあとで証明できるようにしておくことが大切です。
2.サイト管理者を相手方とする発信者情報開示命令の申し立てをする
サイト管理者に対して発信者情報開示命令の申し立てをおこないます。
申し立てが受理されれば、サイト管理者からプロバイダの氏名または名称・住所を開示してもらうことが可能です。
なお、発信者情報開示命令とあわせて「提供命令」を申し立てることもできます。
提供命令とは、審理中にプロバイダ側のアクセスログ(だれが対象のIPアドレスを使用したかという情報)が消去され発信者の特定ができなくなることを防ぐための手続きです。
サイト管理者は提供命令を受けると、以下2つの対応をおこなうことが必要となります。
- 発信元となったプロバイダの名称と住所を特定して申立人に提供する
- 発信元となったプロバイダに対して、保有する発信者情報を提供する
提供命令が発令されれば、開示命令を待たずに、プロバイダに開示命令の申し立てができるため、よりスピーディーに開示の手続きを進めることが可能となります。
3.プロバイダなどを相手方とする発信者情報開示命令の申し立てをする
提供命令が発令されたら、特定したプロバイダに対して発信者情報開示命令を申し立てることができます。
申し立て後は、サイト管理者に対し「プロバイダに開示命令の申し立てをした」旨の通知を忘れずに送りましょう。
通知後、サイト管理者からプロバイダに対して、発信者のIPアドレスをはじめとした情報が提供されます。
4.(2)と(3)が併合されて、一体的な審理がおこなわれるようになる
裁判所は、サイト管理者、プロバイダへの開示命令申し立てを併合し、審理を一体的におこないます。
審理の結果、開示が必要と認められれば、プロバイダから発信者の個人情報が開示され、発信者を特定することが可能です。
発信者情報開示請求の手続きを弁護士に相談・依頼する4つのメリット
発信者情報開示請求を自分でおこなうことも可能ですが、手続きをスムーズに進めたいなら弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
ここからは、発信者情報開示請求を弁護士に相談・依頼するメリットを4つ紹介します。
1.素早く正確に手続きをしてもらえる
発信者情報開示請求の手続きでは、スピードがとても重要です。
ログの保存期間は事業者ごとに異なりますが、プロバイダのアクセスログはそのほとんどが3ヵ月程度という短い期間で削除されてしまいます。
ログが削除されてしまうと、誹謗中傷を受けた証拠がなくなり、発信者を訴えられずに終わってしまうおそれもあるので、1日でも早く開示請求をおこなうことが大切です。
弁護士は法律の知識や手続きの経験が豊富なので、自分でやるよりも早く正確に開示請求できます。
2.最適な方法を提案してもらえる
意向にあった最適な解決策を提案してもらえるのも、弁護士に依頼するメリットのひとつです。
「発信者情報開示仮処分命令申立てと発信者情報開示命令申立てのどちらがいいのかわからない」「任意開示を請求するか、裁判手続きをとるべきか迷っている」などの場合、弁護士に相談すればよりよい方法を教えてもらえるでしょう。
希望や状況に合った適切な対応がわかるので、トラブルをスムーズに解決できます。
3.複雑な書類作成を任せられる
弁護士に依頼すれば、開示請求に必要な書類を代わりに作成してもらえます。
書類の作成には専門的な知識が必要なので、一般の人が自力で仕上げるのは決して簡単ではありません。
また、不備があると一から作成し直さなければならないため、時間と労力がかなりかかってしまいます。
弁護士に書類作成を任せれば、手続きにかかる時間と手間を大幅に削減できるでしょう。
4.損害賠償請求も任せられる
弁護士なら、発信者情報開示請求が終わった後の損害賠償請求手続きにも対応できます。
損害賠償を請求するには、加害者と直接交渉しなければなりません。
しかし、一般の人が自分で交渉しようとしても、うまくいかないおそれがあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、加害者との交渉を代わりにおこなってもらえるので、より有利な条件で損害賠償を請求できる可能性が高くなります。
発信者情報開示請求の手続きを依頼した場合の弁護士費用の目安
発信者情報開示請求を弁護士に依頼した場合にかかる費用は以下のとおりです。
ケースによって大きく異なるので、あくまで目安として参考にしてください。
相談料 |
5,000円/30分〜1万円/30分(無料の事務所もあります) |
着手金 |
約20万円〜50万円 |
成功報酬 |
約0〜30万円 |
誹謗中傷を受けた投稿・サイトが複数ある場合は、その分費用がかかります。
発信者情報開示請求に関するよくある質問
ここからは、発信者情報開示請求に関するよくある質問をまとめています。
発信者情報開示請求について疑問や不安がある方はぜひ参考にしてください。
1.発信者情報開示請求は自分でもできますか?
発信者情報開示請求は被害者本人が自分でおこなうこともできます。
自分でおこなう場合は、「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」を参考に手続きを進めるとよいでしょう。
ただし、発信者情報開示請求には専門的な知識・経験が必要であるうえ、ケースによって最適な方法が異なります。
また、手続きに時間がかかると発信者の情報が消えてしまうことも少なくありません。
また開示請求をするにあたって法的な要件の主張や立証が必要ですが、これらは高度な法律知識や経験が求められます。
そのため、早く確実に開示請求をするためにも、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。
2.開示請求すれば必ず発信者を特定できますか?
発信者情報開示請求をしたからといって、発信者を必ず特定できるとは限りません。
手続きに時間がかかってログが消えてしまったり、通信会社の都合で特定できなかったりすることもあります。
発信者情報開示請求の成功率を高めるには、手続きを迅速に進めること・「権利が侵害されたことが明白である」ことを明確に主張することなどが大切です。
弁護士に依頼すればスピーディかつ正確に手続きを進められるうえ、法的知識を基に権利侵害の事実をしっかりと証明できるので、開示請求を成功させたいなら弁護士の力を借りましょう。
3.開示請求前に投稿が削除されても特定できますか?
投稿が削除される前にスクリーンショットや写真を撮影していれば、発信者を特定できる可能性があります。
投稿内容を証拠として残しておく場合は、必ず投稿のURLも一緒に保存しておきましょう。
4.契約していない端末やフリーWi-Fiでも特定できますか?
発信者本人かその家族が契約していない端末やフリーWi-Fiの場合は特定できない可能性があります。
ネットカフェのパソコンや店のフリーWi-Fiを使って投稿していた場合、プロバイダから開示されるのはあくまでそのネットカフェや店の情報だけです。
残念ながら発信者の特定につながる情報は取得できません。
5.慰謝料よりも発信者を訴えるための費用が上回ることはありますか?
損害賠償請求の対象となるのは、①発信者情報開示請求に要した弁護士費用と、②慰謝料の二つです。
弁護士費用については、全額の賠償を認める裁判例と、一部しか認めない裁判例があるため、事案の性質(悪質か否か)や、裁判官の考え方によって金額が前後します。
全額を認めてもらえれば、そこに慰謝料が加算されることになるため、弁護士費用倒れになる可能性は低いといえるでしょう。
慰謝料の金額は、事案によって異なり、10万円程度のものから、数百万円に上るものまでさまざまです。
被害の状況や、悪質性、投稿の数等によって大きく異なります。
したがって、弁護士費用の請求が認めてもらえる事案かどうか、慰謝料の金額がどの程度の事案であるのか等によって、獲得できる損害賠償金の額は千差万別となります。
そのため、事案によっては、弁護士費用の方が高くついてしまうといったケースも存在します。
発信者情報開示請求をおこなう際は、弁護士に費用面や、自分の被害状況から想定される慰謝料の金額の相場等も相談したうえで慎重に検討してください。
さいごに|発信者情報開示請求を検討しているなら弁護士に相談を
発信者情報開示請求をすれば、ネット上で誹謗中傷をしてきた相手を特定できることがあります。
しかし、手続きには専門的な知識が必要なうえ、時間や労力がかかります。
発信者情報開示請求を早く確実におこなうために、ITやインターネットの問題を得意とする弁護士に依頼しましょう。
弁護士の力を借りることで、発信者を早く特定できる可能性が高くなります。
ネットで誹謗中傷を受けたら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。