5ch(5ちゃんねる)で誹謗中傷され、サイト側に通報して書き込みを削除したり、投稿者の責任を追及したりするなら、弁護士に依頼しましょう。
できれば、下記のような弁護士がベストです。
- ネットの誹謗中傷問題に詳しいこと
- 今まで5chに削除・開示請求をして認められた実績があること
5chは日本最大級の匿名掲示板で、表現の自由と掲示板内の住民自治を非常に重視する独特の文化があります。
この記事では、5chに対して書き込み削除や投稿者情報の開示請求をする具体的な手順だけでなく、5chという掲示板の特徴についても詳しく紹介します。
具体的にどのような誹謗中傷の書き込みが削除や責任追及の対象となるのかも解説しますので、参考にしてみてください。
5chで誹謗中傷被害に遭っているあなたへ
5chに誹謗中傷を書き込まれているけど、どう対処すればいいかわからず悩んでいませんか?
結論からいうと、5chの運営者に削除依頼を出して投稿を削除してもらうことが可能です。
しかし、5ch運営者が素直に削除に応じてくれないケースもあります。
もし、今すぐ投稿を削除したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。
弁護士に相談・依頼すると以下のようなメリットを得ることができます。
- 投稿が名誉棄損罪に該当するか判断してもらえる
- 依頼すれば、投稿の削除手続きを一任できる
- 依頼すれば、発信者情報開示請求で投稿者を特定してもらえる
- 依頼すれば、投稿者に損害賠償請求できる
ベンナビITでは、ネット上の誹謗中傷問題の解決を得意とする弁護士を多数掲載しています。
無料相談・電話相談など、さまざまな条件であなたのお近くの弁護士を探せるので、ぜひ利用してみてください。
削除ガイドラインを確認する
5chには独自のガイドラインが用意されています。
削除申請をするには、まずガイドラインをしっかり確認し、把握することが重要です。
ガイドラインによると、削除依頼を申請できるのは個人のみです。
5chの掲示板内部は、住民(5ちゃんねらー)自治により管理・運営されているという独特な仕組みがあります。
申請のあった書き込みを削除するか否かは、「削除人」と呼ばれるボランティアが、削除ガイドラインにそってそれぞれ判断して決めます。
書き込まれた誹謗中傷の内容がたとえどれだけ悪質なものであっても、彼らのルールを無視したり、投稿と無関係である削除人に対して高圧的な態度で削除を指示したりすれば、対応してもらうことはできないでしょう。
削除を依頼するには、削除ガイドラインを確認し、彼らのルールに則って申請しましょう。
5chの書き込みやスレッドの削除依頼を要請する方法と注意点
任意で5chの書き込みやスレッドの削除依頼を要請する方法には、主に下記の4つの方法があります。
- 公開された削除要請フォームで申請する
- 運営側に削除依頼のメールを送る
- 5chが認めた弁護士により削除してもらう
- 裁判所に削除の仮処分を申し立てる
削除要請フォームで申請をする
5chには、「書き込みの削除を申請するスレッド」があり、フォームに以下の内容を入力することで削除依頼を通知できます。
- 氏名
- メールアドレス
- 法人名、対象区分を含む個人情報
- 掲示板アドレス
- 既存依頼スレッド
- 削除対象アドレス
- 削除理由
この方法は、厳格な法的根拠や個人情報の提供などを求められることがないため、自分でも簡単に申請することができる一方、大きな問題点があります。
削除フォームから要請する問題点は、削除依頼の内容がそのまま公開スレッドになってしまうことです。
削除依頼の内容を具体的に記載しなければ、削除人側で削除するかどうかの判断ができません。
しかし、削除したい具体的な内容がスレッドで閲覧されてしまうというジレンマがあるのです。
メールで通報する
削除申請を公開されたくないなら、メールで削除依頼をする方法を選択しましょう。
メールでの申請には、書き込みによって侵害されている権利、権利侵害の法的根拠、根拠となる証拠類の添付など、形式を整えて申請することが求められます。
削除人が書き込まれた内容に権利侵害があると認めれば、早くて2〜3日で削除してもらえます。
ただし、メールでの削除依頼は、犯罪に関する情報や企業に関する情報の削除は対象外です。
その場合、裁判所に仮処分を申し立て、仮処分決定を受けることが必要です。
メールでの削除依頼は、meiyokison@5ch.net へ具体的な削除理由を記載のうえ、裏付ける資料、本人確認書類を添付して送信することによりおこないます。
具体的には、以下を参考にしてください。
宛先 meiyokison@5ch.net
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件名 削除申し立て
添付ファイル
・運転免許証の写し(表・裏)
・権利侵害を裏付ける資料(ある場合のみ)
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本文
5ちゃんねる削除担当者さま
お世話になります。
下記の記事の削除依頼をさせていただきます。
お手数をおかけしますが、ご対応のほどよろしくお願いいたします。
<削除を希望する投稿>
https://********5ch.net/test/read.cgi/”板の名前”/”スレッド番号”/
レス番号:3
<削除理由>
・個人情報を書き込まれた場合
スレッド○○には、私の住所、氏名、勤務先が記載されています。
私は純粋な一般人であり、個人情報の公開はプライバシー権の侵害に当たると思料します。
つきましては、大変お手数ですが、書き込みの削除をお願いいたします。
・名誉を毀損された場合
スレッド○○で、会社名と私の名前を指摘し、私が不倫しているとの誹謗中傷を受けております。この誹謗中傷により、私の社会的評価は大きく低下しました。
これは名誉毀損にあたる行為です。
お手数ですが、書き込みの削除をお願いいたします。
|
削除理由を記載するときには、以下の点を踏まえ、明確に、かつ丁寧に記載しましょう。
- 権利を侵害している事実
- どのような権利を侵害しているか
また、メールには本人確認書類を添付する必要があります。
運転免許証などの表と裏を写真撮影し、メールに添付しましょう。
<本人確認書類として認められているものの例>
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 住民票の写し
- パスポート
- 学生証
※印鑑証明書は、規定により本人確認資料とは認められません。
削除理由は、5chが権利侵害の判断基準を設けています。
5ちゃんねる【削除判断基準】
1.名誉
個人ないし法人の社会的評価を定価させる事実を摘示するもの。
2.プライバシー
人の名前(イニシャル等であっても、個人の特定)、住所、家族の名前、電話番号等の組み合わせで、個人のプライバシーを侵害していると判断できるもの。
3.平穏に生活する利益
他人に危害を加えることを予告するもの。
悪質な殺害予告については、掲示板上で公開することがある。
4.社会に害悪が生じる現実的危険性がある情報
例えば、爆弾を製造する方法、薬物の売買をうかがわせる情報
引用元:5ちゃんねる削除体制
メールでの削除依頼は、認められれば遅くとも1週間以内に対応してもらえます。
掲示板からの削除依頼のように、依頼内容が公開されることもありません。
なお、犯罪に関する情報や法人に関する情報は、原則として裁判手続きによることとされています。
5chが認めた弁護士による削除
5chには独自のルールがあり、そのルールを理解した者からの正当な削除申請であれば、柔軟な対応を見せます。
5chは、「削除体制」の中で、以下のように明記しています。
”5ちゃんねるが、過去に受けた請求から、表現の自由を配慮したリーガルマインドを持った弁護士と認めた者からの請求については、正当な理由があるものについて、原則として対応するものとする。”
引用元:5ちゃんねる削除体制
つまり、5chが「表現の自由を配慮したリーガルマインドを持った弁護士」と認めた弁護士からの削除申請であれば、柔軟に対応してもらえるのです。
しかし、「5chが認めた弁護士」は具体的に列挙されていません。
過去に5chに削除請求を認められた実績のある弁護士に依頼することで、削除の成功率は格段に高くなると考えられます。
裁判所に削除の仮処分を申し立てる
5chに対して誹謗中傷の削除申請をしても書き込みが削除されない場合や、最初から任意の削除申請対象外のケースでは、裁判所に削除の仮処分を申し立てることが有効です。
仮処分の相手方は、現在5chの運営をしている「Loki Technology Inc.」というフィリピン法人です。
裁判所が申し立て内容をほぼ間違いないと判断した場合、一定額の担保金を供託することを条件に、通常の訴訟よりも迅速な削除の仮処分命令を出してもらえます。
申立書には、以下の事項を記載します。
- 権利の発生:人格権や著作権などに基づく削除請求権が発生していること
- 権利の侵害の根拠:どの書き込みが自分の権利を侵害しているのか
- 保全の必要性:すぐに削除しなければ権利の回復が難しいこと
- 違法性阻却事由がないこと:その書き込みをすることに正当な理由がないこと
【削除の仮処分の流れ】
- 申立書の作成・提出
- 審尋(裁判所が双方から話を聞くこと)
- 申立人側が担保金を積む(管轄法務局へ提出)
- 仮処分決定
担保金は裁判所ではなく法務局に納めます。
納めた担保は、正式な手続きが終了すれば還付を受けることができます。
仮処分は任意の削除申請をしなくても申請できますし、5chは裁判所の決定があれば、基本的に削除に応じる姿勢をとっています。
相手が5chの場合、任意の削除申請を飛び越して最初から仮処分申請をすることも手段として有効です。
注意点|削除代行業者は代理申請できない
削除代行や発信者開示請求の代理業務は弁護士の専業です。
弁護士資格を持たない削除代行業者が代理して申請することはできませんので注意しましょう。
書き込みの削除は投稿者の表現の自由や個人情報を侵害することにもなるため、明らかにそれを上回る権利の侵害を受けているとわかる請求でなければ認められるべきではありません。
依頼者の権利を守る一方で、相手の権利の侵害になりかねないからです。
複雑な法的判断が絡む問題なので、弁護士以外の業者が報酬をもらって削除依頼をすることは認められていません。
発信者情報開示請求で犯人を特定する方法と注意点
5chは会員登録不要、誰でも匿名で書き込みできる掲示板です。
誰でも簡単に匿名で書き込みできるという性質上、誹謗中傷も生まれやすくなる傾向があります。
書き込まれた内容で権利を侵害されたとき、書き込みの削除だけでなく、投稿者を特定して責任を追及するための方法について解説します。
発信者情報開示請求とは
発信者情報開示請求とは、ネットの書き込みにより権利を侵害された方が、民事・刑事の責任追及をするために書き込んだ相手を特定するための制度です。
サイトの運営者に対して所定の「発信者情報開示請求書」を提出することで、書き込んだ相手の個人情報の開示を求めます。
【発信者情報開示請求の流れ】
- 権利を侵害された被害者がコンテンツプロバイダ(この場合5ch)に対して「発信者開示請求書」を提出
- コンテンツプロバイダが発信者に対して2週間以内に開示に同意するか否かの聞き取り
- 発信者が同開示に同意すれば、コンテンツプロバイダがIPアドレスとタイムスタンプを開示
- 入手したIPアドレスとタイムスタンプをもとに、相手の契約しているプロバイダを特定
- 契約プロバイダに対して相手の個人情報開示を請求
ただし、発信者情報開示請求は任意の請求であり、強制力はありません。
開示請求に強制力をもたせるためには、裁判所を関与させて開示請求の仮処分をおこなうことが必要です。
投稿者に対する責任追及の仕方
開示請求によって投稿者本人の住所、氏名などの個人情報が特定されれば、その相手に対して責任追及をしていくことができます。
書き込みに違法性がある場合は刑事責任を、不法行為による慰謝料などを請求する場合は民事責任を、また両方を問うこともできます。
刑事事件に該当する可能性がある書き込みの具体例
5chで刑事事件に該当する可能性がある書き込みの具体例を見ていきましょう。
- 〇〇は窃盗の前科がある
- 〇〇は犯罪者だ
- 〇〇は不倫している
- 〇〇は犯罪者の子供だからまともじゃない など
誰もが見ることができる5chという公然の場所で、事実を摘示して人の名誉を毀損する書き込みをすると、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
摘示する内容は事実かどうかを問いません。
- バカ、ブス、ハゲ、アホなどの、事実を摘示しない暴言
- デブのくせにおしゃれをするな
- ブスのくせにアイドルやってる
5chで、事実を摘示せずに人を侮辱する書き込みをすると、侮辱罪に問われる可能性があります。
- お前の家に火を付けてやる
- 殺すぞ
- お前の秘密をバラしてやる
- お前の子供を殺してやる
相手の生命、身体、自由、名誉、または財産に対して危害を加える内容を告知する書き込みをすると、脅迫罪に問われる可能性があります。
なお、本人に対する害悪だけでなく、親族や大事にしているペットなどに危害を加える内容でも脅迫罪とみなされることがあります。
民事事件に該当する可能性がある書き込みの具体例
刑事事件で名誉毀損罪となる書き込みに対して、民事でも損害賠償(慰謝料)を請求することができます。
- あの美容外科はヤブ医者で二重まぶたの手術もできないから行かない方がいい
- あのレストランは客に腐った肉を出すことで有名
- あそこの会社のドッグフードを食べさせたら犬が病気になった
- あの人は貧乏な母子家庭で育ったから、頭が悪い
5chで他人の名誉や人格、社会的評価を低下させる行為を書き込むと、民法上の不法行為となり、損害賠償請求の対象になる可能性があります。
また、刑法の侮辱罪にあたる内容の書き込みも、慰謝料や損害賠償請求の対象です。
注意点|IPアドレスの保存期間を把握しておくこと
誹謗中傷をした投稿者の責任を追及したいなら、IPアドレスの保存期間が過ぎる前に対応しなければなりません。
投稿者の個人情報を特定するには、IPアドレスを開示してもらい、そこから個人情報を取得します。
アクセスログの保存期間は3ヵ月から1年間程度といわれています。
しかし、近年では情報量の多さから、各種プロバイダのアクセスログ保存期間が短くなっている傾向にあるので注意しましょう。
書き込まれたIPアドレスからアクセスプロバイダを特定し、契約者の氏名・住所等の開示を求めても、すでにアクセスプロバイダのIPアドレス保存期間を過ぎて特定できなくなっているかもしれません。
相手を特定して責任を追及する場合には、IPアドレスが保存されているうちに開示請求をおこないましょう。
注意点|証拠をきちんと保存しておくこと
5chの投稿者に対して刑事・民事で責任を追及する場合は、誹謗中傷された書き込みの証拠を残しておかなければなりません。
証拠の保存は、以下のような方法でおこないます。
書き込まれたページのURLが最後まで見える状態で保存することがポイントです。
注意すべきなのは、5chに削除請求をしてしまうと、責任を追及するために必要なIPアドレスやタイムスタンプなどの情報を得られない可能性があることです。
削除依頼を弁護士に依頼するメリット
5chの誹謗中傷に対する削除依頼は、弁護士に依頼しましょう。
特に、5chに対する削除請求が認められた実績があり、ネットの誹謗中傷問題に詳しい弁護士に依頼することで、書き込みの削除や投稿者への責任追及の可能性は格段に高くなるでしょう。
以下では弁護士に依頼する具体的なメリットについて詳しく解説します。
削除依頼が実現する可能性が高まる
弁護士に削除を依頼するほうが、自分で申請するよりも実現する可能性が高くなります。
5chのように、匿名で誰もが自由に書き込める掲示板には、誹謗中傷を含む内容も多くなりがちです。
削除依頼も数え切れないほど届くため、個人のメールはたくさんの申請の中に埋もれてしまうかもしれません。
また、5chは特殊な運営体制をとる掲示板で、運営会社がほとんど削除にかかわることがありません。
実際に削除を判断して実行するのは、「削除人」というボランティアです。
そのため、常にルールに則った正しい判断ができるわけではないでしょう。
一方、5chの規程には、「5chが認めた弁護士からの削除請求には基本的に対応する」と記載されています。
「5chが認めた弁護士」とは誰のことかは明記されていません。
しかし、5chの削除実績が豊富な弁護士に依頼することで、削除依頼が実現する可能性は格段に高くなるでしょう。
仮処分申立て手続きを任せることができる
任意での削除ができなかったときでも、弁護士に依頼していればすぐに裁判所を関与させた仮処分手続きをとることができます。
仮処分は複雑な手続きが必要になるため、普段から法律に慣れていない方が自力で申し立てることは非常に難しいではありません。
弁護士に依頼していれば、申請が通らず仮処分申し立てをしなければならなくなっても、安心して手続きを任せることができます。
投稿者に対しての責任追及がスムーズにおこなえる
弁護士に依頼すれば、投稿者が判明したあとの対応もスムーズにおこなうことができます。
投稿者に責任を追及する場合、刑事罰に当たるのであれば告訴状の提出、民事事件のみなら損害賠償請求の訴訟提起が必要です。
侮辱罪や名誉毀損罪で刑事告訴するには、告訴状を「犯人を知ってから6ヵ月以内」という短い期間内に提出しなければなりません。
弁護士に依頼することで、スムーズに法的手続きを進めることができるでしょう。
まとめ
5chに誹謗中傷を書き込まれ、通報や削除、投稿者の責任追及をしたいときには、弁護士に依頼することが最も確実です。
5chは5ちゃんねらーと呼ばれる掲示板参加者たちの自治で成り立っている特殊なサイトです。
独自のルールもたくさん設けられていて、自分だけで目的を達成することは難しいといえます。
だからといって、弁護士なら誰でもいいわけではありません。
5chの書き込み削除を依頼するなら、以下の基準に当てはまる弁護士を選ぶことで、目的を達成できる可能性は高くなります。
- インターネットの仕組みに詳しいこと
- 5chという掲示板の事情にも詳しいこと
- 5ch書き込み削除実績があること
X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeなどSNSが全盛の時代でも、5chという匿名参加制の掲示板は未だに根強い人気があります。
彼らの独特な世界に対して「協力」を求めるには、彼らのルールを熟知した案内人となる弁護士が必要です。
5chでの誹謗中傷にお困りなら、まずはネットトラブルの解決を得意とする弁護士へ相談してみましょう。