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ネット誹謗中傷 弁護士監修記事 更新日:

ネット誹謗中傷の判例まとめ|名誉毀損で損害賠償が請求できるケース

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

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ネットによる誹謗中傷は、訴訟をして名誉毀損などの権利侵害を立証できれば、加害者に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

名誉毀損の慰謝料の相場

名誉毀損(一般人)

10〜50万円

名誉毀損(事業主)

50〜100万円

この記事では、ネットによる誹謗中傷事件の判例(過去の裁判事例)をご紹介します。

どのような誹謗中傷トラブルが裁判沙汰になっているのか、確認したい場合は参考にしてみてください。

「自分のケースは名誉毀損に当てはまるの?」とお悩みの方へ

ネットで誹謗中傷されたものの、名誉毀損で損害賠償請求できるのかな...と悩んでいませんか?

 

結論からいうと、ネットの誹謗中傷についてお悩みの方は弁護士への無料相談をおすすめします。弁護士なら、あなたの事例が名誉毀損に当てはまるかを判断したうえで、訴える方法も教えてくれるでしょう。

 

弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 名誉毀損に当てはまるかわかる
  • 賠償金請求が可能かわかる
  • 訴訟にかかる費用がわかる
  • 問題解決かかる期間が相談できる

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ネット誹謗中傷で名誉毀損が成立した判例

まず、ネット誹謗中傷の被害で名誉毀損が成立し、慰謝料請求が認められた裁判事例を4つご紹介します。

<判例内で登場する用語確認>

原告

誹謗中書をされて訴えた側

被告

誹謗中傷をして訴えられた側

ネット掲示板でのなりすましによる名誉毀損

自身の名前と顔写真を使用したなりすましアカウントで、ネット掲示板で第三者を罵倒するような投稿を繰り返され、名誉権や肖像権などの権利侵害として損害賠償を行った裁判事例です。

判例(過去の裁判)の概要

原告が、被告が原告になりすましてインターネット上の掲示板に第三者を罵倒するような投稿等を行ったことにより、原告の名誉権,プライバシー権,肖像権及びアイデンティティ権を侵害されたとして、被告に対して不法行為に基づき損害賠償請求を行った裁判。

【詳細】平成29(ワ)1649  損害賠償請求事件 

判決

  • 慰謝料60万円の支払い
  • 弁護士費用(特定手続き)58万6,000円の支払い
  • 弁護士費用(本訴訟)12万円の支払い

被告はなりすまし行為をしたことはないと主張しましたが、投稿者特定による通知書に投稿を行った回答をしており、それに対する反証活動もなかったため、名誉毀損と肖像権侵害が認められました。

<なりすましによる掲示板への投稿>

「みなさん,わたしの顔どうですか?w」

「妄想おばあちゃん全開ですよ~好きにゆってくださいよ~ちなみに,そのカスアバにあってますね~~カスにはカスアバお似合いです~アバコン?ガンコンですよ ~*\(^o^)/*ヒャッハーーー」

「みんなキチガイなんだから仲良くしましょうよ~*\(^o^)/*ヒャッヒャッヒャッ ヒャッハー*\(^o^)/**\(^o^)/*」

HPでの根拠のない告発による名誉毀損

大学の教授が学生に過去の研究の不正疑惑を抱かれ、学生が作成したホームページ上でその旨を公開されたことに対し、名誉毀損として損害賠償請求を行った裁判事例です。

判例(過去の裁判)の概要

金属材料科学分野の研究者であって、国立大学法人E大学の総長であった原告が、被告Aを代表者とする「原告の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)」のホームページ上において、原告が過去に発表した金属材料科学分野に関する論文にねつ造ないしは改ざんがあるとして、E大学に対し原告を告発する旨の被告ら作成の文書が掲載された結果、名誉毀損をされたとして被告に損害賠償請求を行った裁判。

【詳細】平成22(ワ)1314  損害賠償等請求事件等 

判決

  • 慰謝料100万円の支払い
  • 弁護士費用10万円の支払い

学生がHPで取り上げた内容は、教授の個人的な事情ではなく学術論文自体の問題を指摘するもので公益性があり、内容が真実であれば名誉毀損は成立しませんでした。

しかし、学生側に教授の研究の不正を裏付けるに足りる十分な証拠がなかったため、名誉毀損が認められました。

無断投稿による著作権侵害とX(旧Twitter)での名誉毀損

漫画家が自身の描いた似顔絵の無断投稿に対して削除依頼を出したところ、X(旧Twitter)で殺害予告を受けたかのようなポスト(旧ツイート)をされて、名誉毀損として損害賠償請求を行った裁判事例です。

判例(過去の裁判)の概要

漫画家である原告が、被告に対し被告が原告の描いた似顔絵を無断で画像投稿サイトに投稿したことは、原告の著作権かつ原告の著作者人格権を侵害するものであり、また、被告がその削除を求めた原告からあたかも殺害予告を受けたかのような記事をX(旧Twitter)のサイトに投稿したことは、原告に対する名誉毀損に該当するものであると主張して、被告に損害賠償請求を行った裁判。

【詳細】平成24(ワ)24571 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 

判決

  • 著作権侵害の損害20万円の支払い
  • 慰謝料30万円の支払い
  • 訴訟費用7/8の支払い

画像の無断投稿者は、漫画家の「全力で潰します。」というポスト(旧ツイート)に恐怖心を感じたと主張しましたが、無断アップロードを阻止する趣旨での投稿であることは明らかだと判断されました。

そのため、自身への危害の告知とは認められず、「殺害予告をされた」という投稿は漫画家の名誉を毀損したと判断され、名誉毀損に対する慰謝料の支払いが命じられました。

週刊誌と週刊誌ネット記事による名誉毀損

週刊誌と週刊誌が運営するWEBサイトで誹謗中傷の記事を投稿されて、名誉毀損として損害賠償請求を行った裁判事例です。

判例(過去の裁判)の概要

茨城県守谷市の市長である原告が、被告が発行する週刊誌「FRID AY」の平成29年4月28日号に掲載された「茨 城 守谷市長の『黒すぎる市政』に地方自治法違反疑惑」と題する記事及び、被告の運営するインターネット上のウェブサイト「FRIDAYデジタル」に同月14 2 日に掲載された同旨の内容のネット記事によって、名誉を毀損された旨主張して損害賠償請求を行った裁判。

【詳細】平成29(ワ)18277  謝罪広告等請求事件 

判決

  • 慰謝料150万円の支払い
  • 弁護士費用15万円の支払い

公人の不祥事報道は世間の有益な情報として扱われるため、内容が事実なら名誉毀損は成立しません。

そのため、記事の内容が真実であるかが判決の重要なポイントになりました。※一般人への誹謗中傷は真実でも名誉毀損

被告側には記事の内容を真実と証明できる根拠がなかったため、裁判官より名誉毀損が認められました。

名誉毀損が認められなかった判例

次に、ネット誹謗中傷被害で訴訟をして、裁判で名誉毀損が成立しなかった事例を2つご紹介します。

Google検索結果に対する名誉毀損の主張

Googleで検索すると表示される検索結果が名誉毀損に該当していると主張し、日本向けグーグル検索サービスの管理者に対して、検索結果の削除を求めた裁判です。

判例(過去の裁判)の概要

原告が、被告が管理運営する日本向けグーグル検索サービスにおいて、「A」で検索すると表示される検索結果が、原告ないし原告の代表取締役が原告の事業として詐欺商材を販売し詐欺行為をしているとの事実を摘示する内容なのは名誉毀損に該当する。

被告は本件検索結果を削除する義務を負うと主張して、日本向けグーグル検索サービスにおいて本件検索結果の削除を求めた裁判。

【詳細】平成28(ワ)24747  検索結果削除請求事件 

判決

  • 原告の請求の棄却
  • 訴訟費用は原告の負担

Googleの検索結果では『原告を表すワード』+『詐欺、騙された』など、原告を詐欺師のように扱うページが多く表示されていました。

しかし、原告は実態のない情報商材を販売しており、国民生活センターへの報告を受けていたため、それらの情報は他の消費者の被害を防ぐ公益性のある情報と判断され、判決では原告の主張が棄却されました。

会社の批判記事に対する名誉毀損の主張

原告が所属するウクライナ女性と日本男性の結婚を支援する一般社団法人に、被告が何度も原告の名前を出しつつ批判行為をしたことに対して、名誉毀損として損害賠償請求を行った裁判です。

判例(過去の裁判)の概要

原告が、被告らがブログに4つの誹謗中傷記事を投稿したことと、原告のHPへのリンクを貼って誹謗中傷行為を行ったことが、原告の名誉ないし信用を毀損する共同不法行為であると共に、不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為に該当すると主張して、被告に対して損害賠償請求と謝罪文投稿の要求を行った裁判。

【詳細】平成30(ワ)233等 損害賠償請求事件,損害賠償等請求事件 不正競争 民事訴訟 

判決

  • 原告の請求の棄却
  • 訴訟費用は原告の負担

本訴訟では、被告が行った原告が助属する会社に対する批判が、原告への名誉侵害に該当しているかが判決の重要なポイントになりました。

記事内には原告の名前が登場していましたが、あくまで原告自身でなく会社を批判する内容であると判断され、判決では原告の主張が棄却されました。

名誉毀損が成立する要件とは

上記では、名誉毀損判決に関する裁判事例をご紹介しました。

ここでは、具体的にどのような状況なら名誉毀損が成立するかを簡潔に解説させていただきます。

名誉毀損は、以下の3つの要件をすべて満たす際に成立します。

  • 社会的評価を下げる可能性がある
  • 具体的な事実を挙げている
  • 公然の場である

なお、上記の要件をすべて満たしていても、政治家の不祥事の報道のような、世間の人にとって有益な情報と捉えられる情報の場合は、違法性が否定されて名誉毀損とならないこともあります。

名誉毀損の成立要件についての詳細は、以下の記事をご参照ください。

ネットの誹謗中傷を訴えるには

ネットの誹謗中傷を訴えるには、まず誹謗中傷の書き込みを投稿した犯人を特定する必要があります。

犯人特定から裁判(損害賠償請求)までのおおまかな手続きの流れは、以下の通りです。

 

まずは、誹謗中傷の書き込みがあったサイト管理者へ犯人のIPアドレス情報の開示請求。

IPアドレスから犯人が利用しているプロバイダが判明するので、次にプロバイダ会社へ犯人の個人情報の開示請求を行います。

 

サイト管理者やプロバイダから情報を開示してもらうには、裁判が必要になるケースがほとんどです。

そのため、犯人の身元がわからない場合は、損害賠償請求まで合計3回の裁判が必要になる可能性が高いでしょう。

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。

改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。

これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。

また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

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訴訟にかかる費用の目安

ネット誹謗中傷の裁判にかかる費用の相場は、以下の通りです。※法律事務所によって料金は若干異なります。

依頼する手続きの内容

弁護士費用の相場

加害者の身元特定(発信者情報開示請求)

約70万円前後
(※開示請求先のサイト・プロバイダの管理者が海外だと高額になりやすい)

民事訴訟(損害賠償請求)

着手金10~20万円+賠償金の16%
(※着手金)

刑事訴訟(刑事告訴の代行)

約30万円前後

なお、訴訟費用は加害者への請求が認められるケースもありますが、加害者へいくら請求できるかは裁判官の判断次第です。

また、裁判をしても必ず勝訴になるとは限りません。

ネット誹謗中傷を訴えるは安価ではないので、訴訟は弁護士と相談の上で慎重にご検討ください。

裁判にかかる期間の目安

ネットの誹謗中傷被害で犯人を特定するのにかかる期間の目安は、半年以上がおおよその目安です。

犯人特定にかかる期間の目安

IPアドレス開示請求(仮処分)

1~2ヶ月

個人情報開示請求(裁判)

3~6ヶ月

犯人を特定した後の損害賠償請求の裁判は、被害の内容によって必要な期間が大きく異なります。

少なくとも1年はかかる可能性を考慮しておいたほうが良いかもしれません。

誹謗中傷被害の相談は弁護士へ

法律上では、裁判には個人で臨むことも可能ですが、法律の専門知識がないと難しいのが実情です。

基本的には、弁護士のサポートを受ける必要があるでしょう。

弁護士の法律相談を利用すれば、ご自身の状況に最適な対処法を確認できます。

まだ依頼を考えていなくても、法律相談だけでも受けておくことに損はありません。

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誹謗中傷の被害にお悩みの場合は、法律相談サービスをぜひご活用ください。

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ネットで誹謗中傷されたものの、名誉毀損で損害賠償請求できるのかな...と悩んでいませんか?

 

結論からいうと、ネットの誹謗中傷についてお悩みの方は弁護士への無料相談をおすすめします。弁護士なら、あなたの事例が名誉毀損に当てはまるかを判断したうえで、訴える方法も教えてくれるでしょう。

 

弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 名誉毀損に当てはまるかわかる
  • 賠償金請求が可能かわかる
  • 訴訟にかかる費用がわかる
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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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