「投稿者の特定・訴訟」が得意な弁護士に相談して悩みを解決!
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ネットへの投稿者が誰かを調べるには、まず投稿に利用されたIPアドレスを確認する必要があります。
IPアドレス開示請求は、身元特定をするために行う最初の手続きです。
しかし、ネットでは「IP開示なんか意味ない」という意見もたまに見受けられます。
一体なぜこのような考えを持つ人がいるのでしょうか?
この記事では、IPアドレスの開示請求に意味がないといわれる理由と、本当に無意味なのかについて解説します。
開示請求の手続きを検討されている場合は参考にしてみてください。
ネット上の誹謗中傷に悩んでいるあなたへ
誹謗中傷してきている相手を特定したいけど、IPアドレス開示をする意味があるかわからず悩んでいませんか?
結論からいうと、IPアドレスの開示請求は無意味ではありません。
IPアドレスから投稿者の契約先プロバイダが判明すれば、投稿者の特定可能性はぐっと高まります。
IPアドレス開示請求で投稿者を特定したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。
弁護士に相談・依頼すると以下のようなメリットを得ることができます。
- 投稿がどの法律に違反するか判断してもらえる
- 依頼すれば、IPアドレス開示請求を代わりにおこなってもらえる
- 依頼すれば、裁判所での複雑な手続きを任せられる
ベンナビITでは、ネット上の誹謗中傷問題を得意とする弁護士を多数掲載しています。
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IPアドレス開示請求が意味ないといわれる理由
「IPの開示が意味ない」といわれる理由として、以下の2つの主張がよく見受けられます。
- IPアドレスだけでは加害者を特定できない
- サイト側が開示に応じてくれないケースが多い
これらは確かに事実ですが、だからといって無意味と判断するのは早計です。
まずは、なぜ上記の理由で無意味と誤解をされるのかを確認していきましょう。
IPアドレスだけでは加害者を特定できない
IPアドレスから特定できる情報は、『国・地域単位でのおおまかな位置』や『投稿者が利用したプロバイダ』、『ISP・回線情報』などです。
投稿者の『名前』や『住所・連絡先』などの個人情報を特定することはできません。
投稿者の個人情報に関しては、IPアドレスから判明するプロバイダ(ネット事業者)に対して、投稿者の契約者情報について開示請求をする必要があります。※詳細は下記の『ネットの投稿者を特定するまでの流れ』に解説あり
そのため、「IPアドレス情報だけでは意味がない」というのはある意味事実です。
しかし、IPアドレス情報があればその後の開示請求先となる投稿者が利用したプロバイダを調べることができます。
サイト側が開示に応じてくれないケースが多い
IPアドレスの開示請求は、対象の投稿がされたサイト管理者に対しておこないます。
投稿内容が『名誉毀損』や『著作権侵害』などの権利侵害に該当し、サイト管理者が投稿に問題があると判断した場合には、IPアドレス情報の開示に任意で応じてくれることもあります。
しかし、サイト管理者にも個人情報の守秘義務があるため、基本的には任意で応じてもらえるケースは少ないのが実情です。
そのため、投稿者のIPアドレスを特定するには、『裁判(仮処分)』などの一定の手続きに基づく対応となることが一般的です。
サイト管理者への任意の開示請求が失敗しても、必ず投稿者の特定ができなくなるわけではありません。
【詳細】仮処分での削除申し立て|書き込み削除までの流れと費用について
なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。
改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。
これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。
また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。
IPアドレスの保存期間が過ぎたら特定できない
IPアドレスのアクセスログには保存期間があります。
この期間経過後はIPアドレス情報自体がコンテンツプロバイダやインターネットサービス・プロバイダに残っておらず、投稿者の特定が不可能となる可能性があります。
IPアドレス情報の保存期間はコンテンツプロバイダ側の対応によって異なりますが、概ね投稿3ヵ月程度は残っていると考えてよいでしょう
対象の投稿(書き込み・画像・動画など)の投稿日が半年以上前のものだと、法的手続によっても投稿者を特定できる可能性はかなり低いです。
IPアドレスの開示請求から開始する場合は手続きにかかる時間も考慮して、遅くても投稿から1ヶ月以内には着手するべきでしょう。
IPアドレスが判明しても特定が難しいケース
IPアドレス情報が開示されれば、必ず投稿者の身元を特定できるわけではありません。
特に以下のような状況では、投稿者の特定は難しいと考えられます。
- 海外のプロバイダを利用されている
- フリースポットwifiを利用されている
このようなケースでは以下のようなデメリットから、開示請求は行っても仕方ないという考えもあります。
海外のプロバイダが利用されている
海外のサーバーを利用しての投稿だと、日本の裁判所から海外の管理者に対して国際送達の手続きが必要となりますし、準拠法の問題もあります。
もちろん、適正な手続きを履践すれば開示が実現しないこともありませんが、対応できる法律事務所は限られるでしょうし、時間も費用も国内法人に対するものとは雲泥の差となります。
したがって、海外プロバイダが利用されている場合は、開示請求を行うことがあまり現実的ではないということも多いと思われます。
フリースポットwifiを利用されている
プロバイダ(ネット事業者:携帯3大キャリア、OCN、BIGLOBEなど)への開示請求で開示されるのは、プロバイダの契約者の個人情報です。
プロバイダの契約者が投稿者本人またはその家族などであれば、開示された情報から連絡を取ることで投稿者の身元の特定につながります。
しかし、自身が契約していないインターネットサービス(例えば誰でも利用ができるカフェのWi-Fiからの投稿等)を利用しての投稿の場合。
プロバイダ契約者が特定できてもプロバイダ側に投稿者の情報が存在しないため、誰が投稿したのかの特定は基本的に困難でしょう。
インターネット設備付きの集合住宅で投稿されている
ネットカフェのPCと同様、インターネット設備の備わった集合住宅からの投稿も特定することは難しくなります。
インターネット設備の備わった集合住宅にIPアドレスの情報開示請求をしても、マンションの管理会社や委託会社が開示されるだけです
さらに、マンション管理会社や委託会社に弁護士照会などをすれば、どこのマンションかまでは特定できますが、どの部屋の人が投稿したかまでは特定できないケースがほとんどです。
開示請求が原因で炎上が過激化するリスクもある
不祥事により炎上を起こした人が誹謗中傷に対して開示請求を行ったことで、炎上がさらに過激化してしまったという事例も存在します。
「自分が問題を起こしたのに弁護士を使って揉み消そうとしている」というように捉えられる状況では、開示請求での対応が逆効果になってしまうリスクも否定できません。
状況にもよりけりですが、炎上への対処はすぐ開示請求に着手するよりも、ネット問題に精通した専門家に相談をして対応を慎重に検討したほうが良いでしょう。
IPアドレスの開示請求は無意味ではない
上記の通り、IPアドレスの開示請求を行っても投稿者の情報が直ちに判明するわけではありません。
しかし、IPアドレスから投稿者の契約先プロバイダが判明すれば、投稿者の特定可能性はぐっと高まります。
この意味で、IPアドレスの開示請求には一定の意味があるといえそうです。
これらを踏まえた上で開示請求への着手を検討される場合は、以下で手続きの流れをご参照ください。
ネットの投稿者を特定するまでの流れ
ネット投稿者の身元を特定する手続きの流れは、以下の通りです。
- サイトの管理者へ投稿者のIPアドレス開示請求
- 仮処分(※開示に応じてもらえなかった場合)
- IPアドレスからプロバイダの特定
- プロバイダへ投稿者の個人情報開示請求
- 裁判(※開示に応じてもらえなかった場合)
- 投稿者の特定
『サイト管理者への開示請求でIPアドレスを特定』→『IPアドレスからプロバイダを調べる』→『プロバイダへ契約者情報の開示請求』が投稿者特定までの一般的な流れになります。
ただ、サイト管理者とプロバイダには個人情報の守秘義務があるため、投稿者を特定するまでには一定の手続が必要になるケースがほとんどでしょう。
IPアドレスの情報開示請求は警察でも対応できるのか
IPアドレスの情報開示請求を警察に相談しようと考えている方も多いでしょう。
ネットやSNSの誹謗中傷は、場合によって「名誉毀損罪」や「侮辱罪」などの犯罪に問われる可能性もあります。
しかし、弁護士とは違い警察はIPアドレスの情報開示請求に対し、対応できるケースとできないケースがあるので注意が必要です。
事件性がなければ動いてくれない
IPアドレスの情報開示請求について警察に相談できますが、必ず捜査に動いてくれるわけではありません。
警察は事件性がないと動いてくれないということを頭に入れておきましょう。
名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪にあたる投稿は別ですが、「ネットやSNSで口論になった」「ちょっとした悪口を書かれた」というぐらいでは事件性がないと判断され、警察は動いてくれません。
IPアドレスの情報開示請求を警察が対応できるケース
お伝えしたとおり、当事者間での口論など民事事件の場合、警察は動いてくれないことがほとんどです。
しかし、犯罪性がある場合は、警察に相談することで関係サイトに情報開示請求をしてくれる可能性があります。
では、「犯罪性のある場合」とは具体的にどのような状況を指すのかをお伝えします。
- 名誉毀損罪・侮辱罪
- 脅迫罪
- 偽計業務妨害罪
- 威力業務妨害罪
それでは、1つずつ見ていきましょう。
名誉毀損罪・侮辱罪
SNSやネット上の誹謗中傷で多いのが「名誉毀損罪」と「侮辱罪」です。
しかし、名前は聞いたことあっても具体的な内容を知らないという方も多いでしょう。
名誉毀損罪とは、簡単に「他人の名誉を傷つける行為」のことを指します。
刑法第230条では、次のように記されています。
【 刑法第230条 】
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
つまり、名誉毀損罪が成立する条件は「公然」「事実を摘示」「人の名誉を毀損」の3つになります。
誰もの目に触れるネット上などにおいて、「部下に酷いパワハラをしている」「不倫をしている」など、事実をもって相手の名誉を著しく傷つける行為が、名誉毀損罪に該当します。
次に「侮辱罪」です。
刑法第231条では次のように記されています。
【 刑法第231条 】
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
名誉毀損罪と似ていますが、侮辱罪は「事実の摘示」がなくても、公然と人を侮辱した場合は成立するということです。
具体的には「バカ」「デブ」「お前は使えない」などの誹謗中傷が該当します。
名誉毀損罪や侮辱罪にあたる誹謗中傷があった場合は、警察に相談することで捜査に動いてもらえる可能性があります。
脅迫罪
脅迫罪は、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加えると脅迫された際に成立するものです。
刑法第222条では次のように記されています。
【 刑法第222条 】
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
脅迫罪の対象は「人」です。
そのため、企業などの法人は脅迫罪にはなりません。
また、「お前の子どもを殺す」など、人の親族を脅迫した場合も脅迫罪が成立します。
偽計業務妨害罪
偽計とは、人を欺罔し、または人の不知、錯誤を利用することであり、単純に嘘をつく、虚偽の情報を流すなどの行為が該当します。
具体的には、「駅前で人が倒れています。」と虚偽の通報をする行為などが挙げられます。
こうした行為により、人の業務を妨害することが偽計業務妨害罪にあたります。
刑法第233条では、次のように記されています。
【 刑法第233条 】
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
威力業務妨害罪
偽計業務妨害罪と同じく、業務妨害罪の1つで「威力業務妨害罪」という犯罪があります。
威力業務妨害罪とは、威力を用いて他人の業務を妨害する犯罪のことです。
例えば、「購入した商品に不備があった」「訪れた店の店員の態度が悪かった」などの理由で、長時間クレームを入れる、SNSやネットに相手を脅かす内容の投稿をすると、威力業務妨害罪に問われる可能性があります。
殺人予告や爆破予告なども威力業務妨害罪にあたり、実際に2020年には、自宅のパソコンから役所や高校に対し「ドローンで爆発物とガソリンを投下する」といった電子メールを送った17歳の少年が逮捕されています。
刑法234条では次のように記されています。
【 刑法第234条 】
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
警察ではなく弁護士に依頼するメリット
ネットやSNSで誹謗中傷があった際、IPアドレスの情報開示請求を警察に相談することも可能ですが、先述したように警察は事件性がなければ捜査に動いてはくれません。
そのため、IT問題に精通した弁護士への相談を考える方も多いでしょう。
そこで、警察ではなく弁護士に相談するメリットについて解説していきたいと思います。
複雑な手続きを代行してもらえる
IPアドレスの情報開示請求は、裁判所で行う手続きになります。
本人が手続きを行うことも可能ですが、発信者情報開示請求は法律の知識とIT関連の知識も必要になります。
そのため、法的な知識がない方が1人で行うのはなかなか難しいといえるでしょう。
そもそも、IPアドレスの情報開示請求は、損害賠償請求や示談交渉の準備に過ぎません。
また、弁護士知識を持っていない方がプロバイダやサイト運営者に情報開示請求をしても相手にされない可能性もあります。
やり取りや手続きをスムーズに進めるためにも、弁護士に相談するのが賢明といえるでしょう。
警察が対応できない範囲も対応できる
警察が動くのはあくまで事件性があるときのみです。
そのため、誹謗中傷に関する相談や情報開示請求などは弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士は、民事的な処理から情報開示後の損害賠償請求や示談交渉まで対応してくれます。
誹謗中傷を受けた際の最終目的は、名誉毀損に対する損害賠償や名誉回復処分になるはずです。
民事的なことなど、警察では対応できないケースも多いでしょう。
弁護士は、民事的な処理から情報開示後の対応まで代行してもらえるのが大きなメリットといえます。
開示請求は弁護士への依頼がおすすめ
開示請求と裁判の手続きには、法律とITの専門知識が必要になります。
また、投稿者を特定した後も損害賠償(慰謝料)請求や刑事告訴など複雑な手続きをすることになるので、それらの対応は弁護士へ依頼するケースが一般的です。
十分な知識・経験がないままやみくもに開示請求を行っても失敗するリスクが相当にあります。
なにか特別な事情がない限りは、弁護士への依頼をご検討ください。
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弁護士への依頼費用の相場
開示請求をするサイトや手続きを依頼する法律事務所など、弁護士への依頼費用は依頼内容や依頼先によって変わります。
そのため、一概に「開示請求の依頼費用はいくら」とは紹介できませんが、おおよその目安では60〜80万円が相場であるといわれています。
IPアドレス開示請求(仮処分)
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着手金:約20万円
報酬金:約15万円
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契約者情報開示請求(裁判)
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着手金:約20〜30万円
報酬金:約15〜20万円
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なお、開示請求にかかった弁護士費用は損害賠償請求の一部として投稿者への請求が可能です。
※必ずしも全額請求が認められるとは限りません
開示請求にかかる期間の目安
サイト管理者とプロバイダへの開示請求の両方で裁判が必要になったと仮定する場合、投稿者の特定までにかかる期間の目安は以下の通りです。
投稿者特定にかかる期間の目安
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IPアドレス開示請求(仮処分)
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1〜2ヶ月
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個人情報開示請求(裁判)
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3〜4ヶ月
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※開示請求をするサイトやプロバイダによって、情報が開示されるまでの期間は変わります
まとめ
IPアドレスの開示請求だけでは、投稿者の身元特定はできません。
また、以下のようなデメリットやリスクから「開示請求はやらなくてもいい」という意見が見受けられます。
- 任意で情報が開示されるケースは少ない
- プロバイダによっては身元特定が難しい
- 炎上を過激化させるリスクもある
確かにこれらは事実ですが、権利侵害(名誉毀損や著作権侵害など)の被害が明らかであれば、開示請求によってトラブルを解決できるケースも多いです。
もし自分の状況では開示請求をするべきかお悩みの場合は、弁護士の法律相談サービスをお気軽にご活用ください。
参考:IPアドレスとは?調べ方・種類・なぜIPアドレスは変わるの? | 「分かる、選ぶ、満足。」料金比較のSelectra(セレクトラ)