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投稿者の特定・訴訟 公開日:2020.2.25  更新日:2020.2.26 弁護士監修記事

IPアドレスの開示請求が意味ないといわれる理由とその真偽について

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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ネットへの投稿者が誰かを調べるには、まず投稿に利用されたIPアドレスを確認する必要があります。IPアドレス開示請求は、身元特定をするために行う最初の手続きです。

しかし、ネットでは「IP開示なんか意味ない」という意見もたまに見受けられます。一体なぜこのような考えを持つ人もいるのでしょうか?

この記事では、IPアドレスの開示請求が意味ないといわれる理由と、本当に無意味なのかについて解説します。開示請求の手続きを検討されている場合は、参考にしてみてください。

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IPアドレス開示請求が意味ないといわれる理由

「IPの開示が意味ない」といわれる理由として、以下の2つの主張がよく見受けられます。

  • IPアドレスだけでは加害者を特定できない
  • サイト側が開示に応じてくれないケースが多い


これらは確かに事実ですが、だからといって無意味と判断するのは早計です。まずは、なぜ上記の理由で無意味と誤解をされるのかを確認していきましょう。

IPアドレスだけでは加害者を特定できない

IPアドレスから特定できる情報は、『国・地域単位でのおおまかな位置』や『投稿者が利用したプロバイダ』、『ISP・回線情報』などです。

投稿者の『名前』や『住所・連絡先』などの個人情報を特定することはできません。

IPアドレス特定からわかる情報

投稿者の個人情報に関しては、IPアドレスから判明するプロバイダ(ネット事業者)に対して、投稿者の契約者情報について開示請求をする必要があります。※詳細は下記の『ネットの投稿者を特定するまでの流れ』に解説あり

そのため、「IPアドレス情報だけでは意味がない」というのはある意味事実です。しかし、IPアドレス情報があればその後の開示請求先となる投稿者が利用したプロバイダを調べることができます。

サイト側が開示に応じてくれないケースが多い

IPアドレスの開示請求は、対象の投稿がされたサイト管理者に対して行います。

投稿内容が『名誉毀損』や『著作権侵害』などの権利侵害に該当し、サイト管理者が投稿に問題があると判断した場合には、IPアドレス情報の開示に任意で応じてくれることもあります。

しかし、サイト管理者にも個人情報の守秘義務があるため、基本的には任意で応じてもらえるケースは少ないのが実情です。

そのため、投稿者のIPアドレスを特定するには、『裁判(仮処分)』などの一定の手続きに基づく対応となることが一般的です。サイト管理者への開示請求が失敗しても、必ず投稿者の特定ができなくなるわけではありません。

【詳細】ネットの書き込みには削除の仮処分を!仮処分が認められる要件と流れ

IPアドレスの保存期間が過ぎたら特定できない

IPアドレスのアクセスログには保存期間があり、この期間経過後はIPアドレス情報自体がコンテンツプロバイダやインターネットサービス・プロバイダに残っておらず、投稿者の特定が不可能となる可能性があります。

IPアドレス情報の保存期間はプロバイダ側の対応によって異なりますが、投稿から3〜6ヶ月がおおよその目安です。

対象の投稿(書き込み・画像・動画など)の投稿日が半年以上前のものだと、法的手続によっても投稿者を特定できる可能性はかなり低いです。

IPアドレスの開示請求から開始する場合は、手続きにかかる時間も考慮して、遅くても投稿から1ヶ月以内には着手するべきでしょう。

IPアドレスが判明しても特定が難しいケース

IPアドレス情報が開示されれば、必ず投稿者の身元を特定できるわけではありません。特に以下のような状況では、投稿者の特定は難しいと考えられます。

  • 海外のプロバイダを利用されている
  • フリースポットwifiを利用されている


このようなケースでは以下のようなデメリットから、開示請求は行っても仕方ないという考えもあります。

海外のプロバイダが利用されている

海外のサーバーを利用しても投稿だと、日本の裁判所から海外の管理者に対して国際送達の手続きが必要となりますし、準拠法の問題もあります。

もちろん、適正な手続きを履践すれば開示が実現しないこともありませんが、対応できる法律事務所は限られるでしょうし、時間も費用も国内法人に対するものとは雲泥の差となります。

したがって、海外プロバイダが利用されている場合は、開示請求を行うことがあまり現実的ではないということも多いと思われます。

フリースポットwifiを利用されている

プロバイダ(ネット事業者:携帯3キャリア、OCN、BIGLOBEなど)への開示請求で開示されるのは、プロバイダの契約者の個人情報です。

プロバイダの契約者が投稿者本人またはその家族などであれば、開示された情報から連絡を取ることで、投稿者の身元の特定につながります。

しかし、自身が契約していないインターネットサービス(例えば誰でも利用ができるネットカフェのPCからの投稿や使い捨てモバイル端末からの投稿等)を利用しての投稿の場合。

プロバイダ契約者が特定できても、プロバイダ側に投稿者の情報が存在しないため、誰が投稿したのかの特定は基本的に困難でしょう。

開示請求が原因で炎上が過激化するリスクもある

不祥事により炎上を起こした人が、誹謗中傷に対して開示請求を行ったことで、炎上が更に過激化してしまったという事例も存在します。

「自分が問題を起こしたのに弁護士を使って揉み消そうとしている」。そのように捉えられる状況では、開示請求での対応が逆効果になってしまうリスクも否定できません。

状況にもよりけりですが、炎上への対処はすぐ開示請求に着手するよりも、ネット問題に精通した専門家に相談をして対応を慎重に検討したほうが良いでしょう。

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IPアドレスの開示請求は無意味ではない

上記の通り、IPアドレスの開示請求を行っても投稿者の情報が直ちに判明するわけではありません。

しかし、IPアドレスから投稿者の契約先プロバイダが判明すれば、投稿者の特定可能性はぐっと高まります。この意味で、IPアドレスの開示請求には一定の意味があるといえそうです。

これらを踏まえた上で開示請求への着手を検討される場合は、以下で手続きの流れをご参照ください。

ネットの投稿者を特定するまでの流れ

ネット投稿者の身元を特定する手続きの流れは、以下の通りです。

  1. サイトの管理者へ投稿者のIPアドレス開示請求
  2. 仮処分(※開示に応じてもらえなかった場合)
  3. IPアドレスからプロバイダの特定
  4. プロバイダへ投稿者の個人情報開示請求
  5. 裁判(※開示に応じてもらえなかった場合)
  6. 投稿者の特定

『サイト管理者への開示請求でIPアドレスを特定』→『IPアドレスからプロバイダを調べる』→『プロバイダへ契約者情報の開示請求』が投稿者特定までの一般的な流れになります。

ただ、サイト管理者とプロバイダには個人情報の守秘義務があるため、投稿者を特定するまでには一定の手続が必要になるケースがほとんどでしょう。

【詳細】ネット誹謗中傷問題を解決する弁護士費用の相場

開示請求は弁護士への依頼がおすすめ

開示請求と裁判の手続きには、法律とITの専門知識が必要になります。

また、投稿者を特定した後も、損害賠償(慰謝料)請求や刑事告訴など複雑な手続きをすることになるので、それらの対応は弁護士へ依頼するケースが一般的です。

十分な知識・経験がないままやみくもに開示請求を行っても失敗するリスクが相当にあります。なにか特別な事情がない限りは、弁護士への依頼をご検討ください。

弁護士への依頼費用の相場

開示請求をするサイトや手続きを依頼する法律事務所など、弁護士への依頼費用は依頼内容や依頼先によって変わります。

そのため、一概に「開示請求の依頼費用はいくら」とは紹介できませんが、おおよその目安では60〜80万円が相場であるといわれています。

IPアドレス開示請求(仮処分)

着手金:約20万円
報酬金:約15万円

契約者情報開示請求(裁判)

着手金:約20〜30万円
報酬金:約15〜20万円

なお、開示請求にかかった弁護士費用は、損害賠償請求の一部として投稿者への請求が可能です。※必ずしも全額請求が認められるとは限りません

開示請求にかかる期間の目安

サイト管理者とプロバイダへの開示請求の両方で裁判が必要になったと仮定する場合、投稿者の特定までにかかる期間の目安は、以下の通りです。

投稿者特定にかかる期間の目安

IPアドレス開示請求(仮処分)

1〜2ヶ月

個人情報開示請求(裁判)

3〜4ヶ月

※開示請求をするサイトやプロバイダによって、情報が開示されるまでの期間は変わります

まとめ

IPアドレスの開示請求だけでは、投稿者の身元特定はできません。また、以下のようなデメリットやリスクから、「開示請求はやらなくてもいい」という意見が見受けられます。

  • 任意で情報が開示されるケースは少ない
  • プロバイダによっては身元特定が難しい
  • 炎上を過激化させるリスクもある


確かにこれらは事実ですが、権利侵害(名誉毀損や著作権侵害など)の被害が明らかであれば、開示請求によってトラブルを解決できるケースも多いです。

もし自分の状況では開示請求をするべきかお悩みの場合は、弁護士の法律相談サービスをお気軽にご活用ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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