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名誉毀損はどこから?成立する3つの要件と慰謝料・相談先を解説

SNSや口コミへの心ない書き込みを見て、「これは名誉毀損にあたるのでは」「どこからが誹謗中傷になるのだろう」と不安になっている方は多いです。

ネット上の投稿は、公然と具体的な事実を指摘し、他人の社会的評価を低下させる内容であれば、名誉毀損にあたる可能性があります。

境界線がわかりにくく、被害に遭った方はもちろん、自分の投稿が問題にならないか気になっている方も少なくありません。

この記事では、名誉毀損が成立する要件や、加害者に問える刑事・民事の責任、実際に訴える際の手続きの流れをわかりやすく解説します。

慰謝料の相場や時効、相談先まで、順番に確認していきましょう。

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目次

名誉棄損とは?

名誉毀損とは、公然と具体的な事実を摘示し、他人の社会的評価を低下させる行為です。

刑法230条では名誉毀損罪として、民法709条では不法行為として、それぞれ規定されています。

社会的評価とは、その人の人格に対する客観的な評価を指します。

ポイントは、指摘した内容が真実でも嘘でも、原則として名誉毀損が成立するという点です。

たとえばAさんは不倫しているという投稿は、それが事実であっても、Aさんの社会的評価を下げる以上、名誉毀損にあたる可能性があります。

似た概念として侮辱罪がありますが、こちらは事実を示さずに人を侮辱する行為を処罰する点が名誉毀損とは異なります。

バカや死ねといった、事実の摘示を伴わない抽象的な悪口は、名誉毀損ではなく侮辱罪の対象になるのが一般的です。

名誉毀損はどこから?該当する3つの要件

名誉毀損が成立するかどうかは、3つの要件が全て満たされているかどうかで判断します。

どれかひとつでも欠けていれば、名誉毀損は成立しません。

次の項目から、それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。

1.公然性があること

公然性とは、不特定または多数の人が内容を知り得る状態を指します。

たとえば、X(旧Twitter)やInstagramなど誰でも閲覧できるSNSへの投稿は、フォロワー数にかかわらず公然性ありと判断されるのが一般的です。

一方で、1対1のDMやメールでのやり取りは、原則として公然性がないと判断されます。

ただし、少人数のLINEグループであっても、そこから情報が広まる可能性が高い場合は、公然性が認められるケースもあるので注意しましょう。

実際の裁判例でも、特定少数への発言であっても、伝播する可能性があれば公然性を満たすとされた例があります。

投稿の公開範囲だけでなく、情報が広がる可能性まで含めて判断される点を押さえておくことが重要です。

2.事実を摘示していること

事実の摘示とは、具体的な事柄を示すことを指します。

摘示する内容は、必ずしも真実である必要はありません。

虚偽であっても、具体的な事柄を示していれば要件を満たします。

たとえば「〇〇会社の社長は横領をしている」「〇〇店は食材を使い回している」といった投稿は、具体的な事実を摘示していると判断されやすいでしょう。

判断のポイントは、その表現が証拠によって真偽を確かめられる内容かどうかです。

抽象的な評価だけを述べている場合は、この要件を満たさない可能性があります。

抽象的な悪口は「侮辱」とみなされる

「バカ」「無能」「気持ち悪い」といった、具体的な事実を伴わない抽象的な悪口は、名誉毀損ではなく侮辱にあたる可能性が高いです。

事実の摘示がなく、単に相手の感情を傷つける表現にとどまるためです。

たとえば「〇〇はブラック企業だ」という投稿は抽象的な評価にとどまりますが、「〇〇は残業代を一切支払っていない」となると、具体的な事実の摘示にあたります。

2022年の刑法改正により、侮辱罪の法定刑も引き上げられました。

名誉毀損に該当しないケースでも、侮辱罪として責任を問える可能性がある点は覚えておきましょう。

自分の投稿がどちらに近いか迷う場合は、弁護士に相談して確認しておくと安心です。

3.その人の社会的評価をおとしめる内容であること

最後の要件は、示された事実が、その人の社会的評価を低下させる内容であることです。

社会的評価とは、その人の人格に対する社会全体からの客観的な評価を指します。

本人がどれだけ傷ついたかという主観的な感情は、この要件には含まれません。

たとえば「〇〇さんは前科がある」「〇〇店は無許可で営業している」といった内容は、社会的評価を下げる情報にあたるでしょう。

一方で、「〇〇さんは背が高い」のように、社会的評価に影響しない事実の摘示は、この要件を満たさないのが一般的です。

判断に迷うケースも多いため、口コミやSNSの投稿でトラブルになっている場合は、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。

名誉毀損罪に問えない3つの条件

名誉毀損にあたる投稿でも、一定の条件を満たせば罪に問われない場合があります。

3つの条件を全て満たすと、違法性がなくなると定めているためです。

たとえば、企業の不正を告発する報道などは、名誉毀損罪に問えない条件に該当するケースが多いでしょう。

それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。

1. 公共の利害にかかわる内容である

大前提となる条件は、指摘した内容が公共の利害にかかわるものであることです。

社会一般の利益に関係する事柄かどうかが、判断基準になります。

たとえば、政治家の汚職や企業の食品偽装といった内容は、公共の利害にかかわると判断されやすいでしょう。

一方で、個人の恋愛関係や家庭内のプライベートな出来事は、公共性が認められにくい傾向にあります。

ただし、私人であっても、社会的な影響力が大きい人物の場合は、公共性が認められるケースもあるので注意が必要です。

たとえば、著名人や公務員の職務に関する内容であれば、単なる個人の話であっても公共性を満たす可能性があります。

2.公益を図ることが目的である

続いての条件は、投稿の目的が公益を図ることにある点です。

社会に有益な情報を提供する意図があるかどうかが、ポイントになります。

たとえば、消費者に注意を促す目的で企業の不正を告発する投稿は、公益目的があると判断されやすいでしょう。

一方で、個人的な恨みや憂さ晴らしを動機とした投稿は、公益目的が認められません。

実際には、投稿者の主観だけでなく、投稿内容や表現方法から客観的に判断される点に注意が必要です。

事実の指摘に加えて過度な誹謗中傷が含まれている場合は、公益目的が否定される可能性が高くなるでしょう。

3.その内容が真実であるか、真実と信じるに足る相当の理由がある

最後の条件は、指摘した内容が真実であること、または真実だと信じるだけの相当な理由があることです。

証拠がないまま噂を信じて投稿しただけでは、この条件を満たしません。

たとえば、報道機関の記事や公的な発表など、信頼できる情報源をもとに投稿した場合は、相当な理由があると認められやすいでしょう。

一方で、SNS上の未確認情報だけを根拠にした投稿は、相当性が認められにくい傾向にあります。

3つの条件を全て満たすかどうかの判断には、専門的な知識が必要になる場面も少なくありません。

投稿がこれらの条件に該当するか不安な場合は、弁護士に相談して確認しておくと安心です。

こんな場面は名誉毀損で訴えられる?よくある事例

名誉毀損は、SNSへの投稿だけでなく、身近な会話の中でも成立する可能性があります。

「そんなつもりはなかった」という発言が、法的なトラブルに発展するケースも少なくありません。

ここからは、名誉毀損にあたるかどうか判断に迷いやすい、4つの事例を紹介します。

自分の言動と照らし合わせながら確認してみてください。

1. 身内の不倫を周囲に相談された

「配偶者が不倫している」という内容を、友人や家族に相談しただけでも、名誉毀損にあたる可能性があります。

相談相手が少人数であっても、そこから話が広まる可能性があれば、公然性が認められるためです。

たとえば、ママ友グループのLINEで不倫相手の名前を挙げて相談した場合、伝播する可能性が高いと判断されやすいでしょう。

一方で、弁護士やカウンセラーなど、守秘義務のある専門家への相談は、公然性が認められにくい傾向にあります。

誰かに話を聞いてほしいときは、相談する相手や場を慎重に選ぶことが大切です。

2. 個人間トラブルをネットに書き込まれた

友人や元交際相手とのトラブルを、SNSや掲示板に書き込まれるケースも少なくありません。

「お金を返してくれない」「浮気された」といった個人的な事情でも、具体的な事実を示していれば名誉毀損の対象になり得ます。

実際に、元交際相手との金銭トラブルを実名付きでSNSに投稿し、名誉毀損として責任を問われるケースも報告されています。

投稿する側からすると事実を伝えているだけという感覚でも、社会的評価を下げる内容であれば法的責任を問われる可能性が高いです。

トラブルの解決を急ぐあまりネットに書き込みたくなっても、まずは弁護士に相談しましょう。

3. 伏字やイニシャルで誹謗中傷をされた

「A社の〇〇部長」「都内在住のTさん」といった伏字やイニシャルを使った投稿でも、名誉毀損が成立する場合があります。

判断のポイントは、周囲の人がその投稿から個人を特定できるかどうかです。

たとえば、勤務先や役職、住んでいる地域など、複数の情報を組み合わせれば本人だとわかる場合は、氏名を伏せていても名誉毀損の対象になり得ます。

一方で、誰のことかまったく特定できない内容であれば、名誉毀損は成立しにくいでしょう。

イニシャルだから大丈夫と思い込むのは危険なので、投稿する前に一度立ち止まって考えることが重要です。

4. ネット上で経済的に困窮していることを暴露された

「借金を抱えている」「税金を滞納している」といった経済状況の暴露も、名誉毀損にあたる可能性があります。

経済的な信用は社会的評価の一部であり、評価を下げる情報の公開は権利侵害にあたるためです。

たとえば、元同僚があの人はギャンブルで借金だらけとSNSに投稿した場合、内容が事実であっても名誉毀損が成立するケースがあります。

似たケースとして、支払い能力に関する虚偽の情報を流された場合は、信用毀損罪にあたる可能性もあるので注意しましょう。

経済状況を暴露する投稿を見つけた場合は、証拠を保存したうえで、早めに弁護士へ相談してください。

5. 芸能人や著名人に対する誹謗中傷を書き込んだ

有名人だから何を書いても許されるという考えは、大きな誤解です。

著名人であっても、社会的評価を下げる事実を摘示すれば、一般の人と同様に名誉毀損が成立します。

たとえば、「あの俳優は不倫している」「あのアイドルは薬物をやっている」といった根拠のない投稿は、名誉毀損にあたる可能性が高いでしょう。

実際に、著名人への誹謗中傷投稿をめぐって、発信者情報開示請求や損害賠償請求に発展したケースも報告されています。

芸能人や著名人は一般人より公共性が認められやすい面もありますが、根拠のない誹謗中傷まで許されるわけではありません。

バレないだろうという軽い気持ちの投稿が、高額な賠償請求につながる可能性もあるため、注意が必要です。

6. 口コミサイトに偽の酷評レビューを書き込んだ

飲食店や美容室などの口コミサイトに、事実と異なる酷評を書き込む行為も、名誉毀損の対象になります。

利用したことがないのに書いた、嫌がらせ目的で星1をつけたといったケースでは、事業者の社会的評価を下げたとして責任を問われる可能性が高いです。

たとえば、「この店は食材の産地を偽装している」といった虚偽の投稿は、具体的な事実の摘示にあたります。

飲食店が口コミサイトの悪質なレビュー投稿者に対し、開示請求や損害賠償請求をおこなった事例もあります。

単なる感想や低評価そのものは問題になりにくいものの、事実に反する内容を書き込むのは避けましょう。

7. 近所や職場などで悪口を言いふらされた

ネット上だけでなく、近所付き合いや職場での悪口や噂話も、名誉毀損になり得ます。

「あそこの奥さんは万引きで捕まったらしい」「〇〇さんは社内で横領している」といった発言を言いふらす行為が該当するケースです。

ポイントは、1対1のヒソヒソ話であっても、聞いた相手がほかの人に話す可能性があれば公然性が認められること。

ママ友同士の会話や、社内での立ち話であっても、話が広まりやすい状況であれば要件を満たしてしまいます。

ネットのような投稿記録がなくても、目撃者や同僚の証言が集まれば、証拠として法的措置につながる場合もあります。

8. SNSのDMなど1対1のやり取りで罵倒された

InstagramやXのDM、LINEなど、1対1の閉じた環境での罵倒は、原則として名誉毀損は成立しません。

第三者に内容が伝わる状況にないため、名誉毀損の要件である公然性を満たさないのが理由です。

ただし、そのやり取りがグループチャットなどで第三者に公開される可能性がある場合は、例外的に伝播性が問題になることもあります。

名誉毀損が不成立でも、内容によっては脅迫罪やストーカー規制法違反にあたるケースがあり、侮辱的な行為として慰謝料請求できる可能性も残されています。

DMでのやり取りがエスカレートして不安を感じる場合は、スクリーンショットを保存したうえで、早めに弁護士へ相談してください。

名誉毀損罪・侮辱罪・誹謗中傷の違い

事実の指摘があれば名誉毀損罪、事実の指摘がなければ侮辱罪にあたります。

これらを含む言葉の攻撃全般をまとめて誹謗中傷と呼ぶのが一般的です。

項目 名誉毀損罪 侮辱罪
事実の摘示 あり なし
具体例 〇〇は不倫している バカ、気持ち悪い
法定刑 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 1年以下の拘禁刑もしくは拘留、または30万円以下の罰金もしくは科料

事実を伴わない抽象的な悪口でも、侮辱罪に問える点がポイントです。

誹謗中傷自体は法律上の用語ではなく、ネットや社会全般で使われる総称にすぎません。

実際に法的責任を問う場合は、名誉毀損罪・侮辱罪のどちらに該当するかを整理して主張する必要があります。

なお、2022年の刑法改正により、侮辱罪の法定刑は引き上げられました。

事実を示していないから安全とは言い切れない状況になっているため、注意が必要です。

名誉毀損の慰謝料請求に関する事例3つ

名誉毀損が認められた場合、実際にどのくらいの慰謝料が支払われるのか気になる方も多いでしょう。

ここでは、SNS・転職サイト・Googleマップという、身近な3つの場面で賠償が認められた裁判例を紹介します。

自分のケースと近い状況がないか、確認しながら読み進めてみてください。

1. SNS上での誹謗中傷に賠償が認められた事例

X(旧Twitter)上で繰り返される誹謗中傷に悩み、弁護士に相談した事例があります。

投稿者の特定や投稿の削除、再発防止を求めて依頼したケースです。

弁護士がXに対して発信者情報開示請求をおこない、相手方の氏名や住所を特定したうえで、直接の示談交渉に臨みました。

交渉の結果、二度と同様の行為をおこなわないという誓約とともに、弁護士費用を上回る解決金を獲得しています。

開示請求をおこなった段階で、問題の投稿自体も削除されました。

投稿者の特定から示談交渉まで、専門的な知識が求められる手続きです。

早めに弁護士へ相談することで、円満な解決につながります。

2. 転職サイトへの書き込みに賠償が認められた事例

匿名掲示板への投稿がきっかけで、損害賠償請求に至った事例もあります。

会社役員である依頼者が、自社の役員や従業員とその家族の個人情報を拡散されたうえ、会社の悪評まで投稿された事例です。

弁護士が爆サイに削除請求と発信者情報開示請求を行い、投稿削除と通信会社の特定を実現しました。

そのうえで通信会社にも開示請求を行い、投稿者本人の特定に成功しています。

投稿者に対して損害賠償請求をおこなった結果、慰謝料に加え、調査にかかった弁護士費用まで回収することができました。

3. Googleマップの口コミに賠償が認められた事例

企業のGoogle口コミに、事実無根の批判を書き込まれた事例もあります。

労働環境が劣悪、不正な会計といった虚偽の投稿が複数のSNSで拡散され、新規取引が激減する被害を受けたケースです。

弁護士がGoogleへの情報開示請求からプロバイダの特定へと手続きを進めたところ、発信者は競合他社であることが判明しました。

不正競争防止法や名誉毀損などを理由に提訴した結果、約1,500万円の損害賠償金を支払う条件で和解が成立しています。

同業者による誹謗中傷は実害が大きくなりやすいため、早期の証拠保全と特定手続が欠かせません。

刑事上の責任と民事上の責任

名誉毀損の加害者には、刑事上の責任と民事上の責任という、2つの異なるペナルティが科される可能性があります。

項目 刑事上の責任 民事上の責任
根拠法 刑法230条1項 民法709条・710条
内容 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 慰謝料など金銭の賠償義務
請求主体 国家(検察) 被害者本人
目的 秩序維持のための処罰 被害者への損害回復

刑事上の責任は、国家が加害者を有罪として処罰する仕組みです。

罰金刑であっても、一生消えない前科が付く重みがあります。

一方、民事上の責任は、被害者本人が裁判所を通じて、加害者に金銭の支払いを求める仕組みです。

支払いに応じない場合は、財産を差し押さえられるリスクもあります。

刑事と民事は別々の手続きのため、両方を同時に進めることも可能です。

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名誉毀損で加害者に追及できる2つの解決策

名誉毀損の被害に遭った場合、加害者に責任を追及する方法は、大きく2つあります。

加害者を処罰してもらう刑事告訴と、金銭的な賠償を求める損害賠償請求です。

それぞれ手続きの目的や流れが異なるため、順番に確認していきましょう。

刑事告訴|加害者の処罰や前科を求める

刑事告訴により名誉毀損罪が確定すると、加害者には拘禁刑や罰金刑が科されます。

刑法230条1項では、法定刑を3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定めているためです。

証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合、加害者が実名で逮捕されるケースもあります。

有罪が確定すれば、加害者には一生消えない前科が付く点も見逃せません。

注意したいのは、名誉毀損罪が親告罪であること。

犯人を知った日から6ヵ月以内に告訴しないと処罰を求められなくなるため、早めの行動が重要です。

損害賠償請求|加害者へ金銭の賠償を求める

損害賠償請求とは、民法709条・710条に基づき、加害者へ金銭の支払いを求める手続きです。

精神的苦痛に対する慰謝料のほか、投稿者を特定するための調査費用も請求対象になります。

手続きの流れとしては、まず加害者との示談交渉をおこない、まとまらない場合は損害賠償請求訴訟に進むのが一般的です。

慰謝料に加えて、発信者情報開示請求にかかった調査費用や、弁護士費用の一部を相手方に請求できる場合もあります。

示談が成立するか判決が確定すれば、相手が支払いに応じない場合でも、給与や財産を差し押さえる強制執行が可能です。

ネット上で名誉毀損の相手を訴える3つの手順

ネット上の投稿者を訴えるまでには、大きく3つのステップがあります。

自己判断で進めると証拠が消えてしまうこともあるため、正しい手順を確認しておきましょう。

1. 証拠を確保する

最初のステップは、誹謗中傷の投稿をスクリーンショットなどで保存することです。

投稿は削除される可能性があり、証拠がなければ、その後の手続きを一切進められません。

保存する際は、下記の内容も含めて記録しましょう。

  • 投稿内容
  • 投稿日時
  • URL
  • アカウント名

たとえば、スマホの画面全体を撮影する、URLをコピーするといった対応をしておくと安心です。

投稿者本人による削除だけでなく、SNS側の規約違反による強制削除もあるため、被害に気づいたらすぐに保存してください。

2. 情報開示請求をして相手を特定する

証拠を確保したら、次は投稿者を特定するための発信者情報開示請求をおこないます。

匿名の投稿であっても、SNS運営会社やプロバイダを経由すれば、投稿者の氏名や住所を特定できる仕組みです。

手続きの流れとしては、まずSNS運営会社にIPアドレスの開示を求め、そこからプロバイダに契約者情報の開示を求めます。

2022年の法改正により、裁判所の開示命令制度を利用すれば、一連の手続きを比較的スムーズに進められるようになりました。

個人での対応も不可能ではありませんが、裁判所への申立てなど専門的な知識が必要になります。

スムーズに進めたい場合は、発信者情報開示請求の実績がある弁護士に依頼するのがおすすめです。

3. 相手に責任を問う

投稿者を特定できたら、最後のステップとして、相手に法的責任を追及します。

追及の方法は、刑事告訴による処罰と、損害賠償請求による金銭賠償の2つです。

まずは内容証明郵便を送付し、示談交渉から始めるケースが多く見られます。

示談で解決しない場合は、刑事告訴や民事訴訟に進む流れです。

ここまでの手続きを一人で進めるのは負担が大きいため、証拠の保存段階から弁護士に相談しておくと、その後の対応もスムーズに進みます。

名誉毀損で法的措置をとる場合の時効

名誉毀損で法的措置をとるには、期限が定められている点に注意が必要です。

知らない間に時効が完成してしまわないためにも、被害に気づいたら、できるだけ早く動き出すことが重要です。

刑事告訴の期間と公訴時効

刑事告訴には、犯人を知ってから6ヵ月以内という期限があります。

名誉毀損罪は親告罪にあたるため、刑事訴訟法235条により、投稿者が誰かわかった日から6ヵ月以内に告訴状を提出しなければなりません。

この期限を過ぎてしまうと、刑事処罰を求める権利そのものが消滅してしまいます。

投稿者が誰かわからない段階では告訴期間はスタートしないため、まずは特定を急ぐことが重要です。

また、公訴時効(検察官が起訴できる期限)は、行為があった時から3年と定められています。

民事の損害賠償請求権における消滅時効

民事上の損害賠償請求権にも、消滅時効があります。

損害及び加害者を知った時から3年間、または不法行為がおこなわれた時から20年間のいずれかが経過すると、請求できなくなる仕組みです。

つまり、投稿者を特定した日から数えて3年以内に、損害賠償請求訴訟を起こす必要があります。

投稿者を特定できないまま放置していた場合でも、投稿があった時から20年が経過すると、時効により請求権が消滅してしまいます。

発信者情報開示請求などの特定手続自体に時間がかかるため、特定後はできるだけ早く訴訟へ移行するのがおすすめです。

名誉毀損における慰謝料の金額相場

名誉毀損の慰謝料は、被害者の立場によって金額の目安が大きく変わります。

一般の個人か、著名人や個人事業主か、企業や法人かによって、社会的評価の低下がもたらす損害の大きさが異なるためです。

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

個人が被害を受けた場合

一般の個人が名誉毀損の被害を受けた場合、慰謝料の相場はおおむね10万円~50万円程度です。

会社員や学生など、一般的な立場の被害者に対する裁判例の判決金額をもとにした水準になります。

一方で、被害者が著名人やタレント、個人事業主など、名前が仕事に直結している場合は、50万円~100万円以上に増額されやすい傾向もあります。

信用や評判が収入に直結する立場であるほど、社会的評価の低下による損害が大きいと判断されるためです。

投稿者の特定にかかる費用が慰謝料を上回り、いわゆる費用倒れになるケースもある点に注意が必要です。

事前に弁護士へ相談し、費用と見込まれる賠償額のバランスを確認しておきましょう。

企業や法人が被害を受けた場合

企業や法人が名誉毀損の被害を受けた場合、慰謝料の相場は50万円~100万円以上です。

法人は精神的苦痛を感じる主体ではないものの、営業上の信用を毀損されたとして賠償が認められます。

たとえば、異物混入があった、不祥事を隠蔽しているといったデマが広まり、売上が急減した場合は、実害額が数千万円規模の訴訟に発展する場合もあります。

ただし、売上減少と書き込みとの因果関係を、会計データなどで具体的に証明しなければならない難しさもあります。

被害額を正確に立証するためにも、企業の名誉毀損トラブルは早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。

名誉毀損で訴える場合の注意点

名誉毀損の被害に対して法的措置をとる際は、押さえておきたい注意点があります。

対応の早さが、その後の結果を大きく左右するためです。

ここでは、特に意識しておきたい2つのポイントを紹介します。

可能な限り速やかに対応を開始する

名誉毀損の対応で最も重要なのは、できるだけ早く動き出すことです。

投稿はいつ削除されるかわからず、証拠が消えてしまえば、その後の手続きが一切進められなくなります。

たとえば、SNSの投稿者本人が気づいて削除するケースだけでなく、SNS運営会社側の判断で削除される場合もあります。

さらに、発信者情報開示請求で重要になるIPアドレスなどのログにも、保存期間の制限があるのが実情です。

まだ大丈夫と様子を見ているうちに、証拠もろとも解決の手段が失われてしまうケースも少なくありません。

早めに弁護士へ相談する

もうひとつの注意点は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することです。

証拠保存や発信者情報開示請求には専門知識が必要で、対応を誤ると手続きが認められない可能性があります。

たとえば、法律の知識がないまま個人で開示請求をおこない、書類の不備で却下されてしまうケースも見られます。

弁護士に早い段階で相談しておけば、証拠保存の方法から手続きの進め方まで、まとめてサポートしてくれます。

これくらいで相談していいのかと迷う場合でも、無料相談を利用して気軽に話してみるのがおすすめです。

名誉毀損の解決を弁護士に依頼するメリット

名誉毀損の解決を弁護士に依頼すると、精神的な負担を減らしながら、手続きを有利に進められます。

自分一人では難しい交渉や証拠収集も、専門知識を持つ弁護士なら安心して任せられるのが特徴です。

具体的にどのようなメリットがあるのか、2つの観点から見ていきましょう。

相手方との直接交渉による精神的負担を軽減できること

弁護士に依頼する最大のメリットは、加害者との連絡を一切遮断できることです。

全ての連絡窓口を弁護士が担うため、怒りや恐怖といった強いストレスから解放されます。

加害者の連絡先を知りたくない、話すだけで動悸がするという方でも、直接顔を合わせずに解決を目指せるのが心強いポイントです。

弁護士が間に入れば、相手が感情的になって被害者を再び脅したり、開き直ったりするトラブルも防げます。

示談が成立した際は、二度と中傷しない、接触しないといった条項を盛り込んだ示談書も、弁護士が漏れなく作成してくれます。

確実な証拠収集と手続きにより特定確率が上がること

弁護士に依頼するもうひとつのメリットは、投稿者の特定確率が上がることです。

開示請求が裁判所やサイト側に却下されないよう、的確な法的書面を作成できます。

個人で開示請求をおこなう場合、権利侵害の立証が不十分だとして、却下されてしまうケースも少なくありません。

弁護士であれば、ログの消失を防ぐための消去禁止の仮処分も、専門知識をもとに迅速に対応できます。

特定手続にはさまざまな法律上のハードルがあるため、成功の可能性を高めたい方は、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。

名誉毀損で弁護士に相談・依頼する注意点

弁護士に依頼する前には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

知らないまま依頼すると、後悔につながることも。

契約前に確認しておきたいのは、次の3つです。

  • 費用倒れのリスクの有無
  • 弁護士の得意分野
  • 契約内容の確認

最大の注意点は、費用倒れのリスクです。

裁判で勝訴しても、相手に資力(貯金や収入)がなければ賠償金を回収できず、弁護士費用の方が高くつく結果になりかねません。

また、弁護士にも得意分野があるため、ネット誹謗中傷の特定手続に精通した弁護士を選ぶことが、スムーズな解決につながります。

契約時には見積書を確認し、追加費用が発生する条件が契約書に明文化されているかチェックしておきましょう。

名誉棄損を訴える際の弁護士費用の目安

名誉毀損の解決にかかる弁護士費用は、依頼する手続きの内容によって相場が異なります。

法律相談料は30分5,000円程度が一般的ですが、初回無料で対応している事務所も多く見られます。

依頼内容 着手金 報酬金 その他費用
サイト管理者への開示請求 20万~30万円程度 10万~15万円程度 10万~30万円程度
プロバイダへの開示請求 20万~30万円程度 15万~20万円程度 2万円程度
加害者への慰謝料請求 10万~30万円程度 獲得金額の15~20%程度 数千円~数万円程度

費用を少しでも抑えたい場合は、初回無料相談を活用するのがおすすめです。

また、自身が加入している保険に弁護士費用特約が付いていないか、確認しておくのも有効な手段です。

適用できれば、自己負担なく弁護士に依頼できる可能性があります。

名誉毀損で訴えるなら「ベンナビIT」で弁護士に相談

ネット上の誹謗中傷や名誉毀損の被害に悩んでいる方、自分の投稿が問題にならないか不安な方、どちらにもおすすめのサービスです。

「ベンナビIT」は、インターネットトラブルに強い弁護士を、地域や相談内容、費用の目安から検索できる法律相談ポータルサイト。

発信者情報開示請求やSNS上の投稿削除、慰謝料請求など、ネット特有のトラブルに対応した実績のある事務所が多数掲載されています。

「どこに相談すればいいかわからない」という段階でも、地域や被害の内容を選ぶだけで、対応可能な事務所が一覧で見つかるのが特徴です。

初回相談が無料の事務所も多く、まずは話だけ聞いてほしいという段階でも、費用を気にせず気軽に利用できます。

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名誉毀損に関するよくある質問

ここまで、名誉毀損の基準や対処法を解説してきました。

ここでは、読者から寄せられることの多い3つの疑問に、Q&A形式でお答えします。

気になる項目があれば、ぜひ参考にしてください。

Q1. 内容が本当のこと(真実)でも名誉毀損になりますか?

内容が100%事実であっても、社会的評価を低下させるものであれば、名誉毀損は成立します。

名誉毀損罪は事実を摘示したと規定されているだけで、その事実が真実か虚偽かは問われません。

本当のことだから晒しても問題ないという考えは、法的には誤りです。

プライバシーの暴露や不倫の暴露は、たとえ真実であっても違法と判断されます。

ただし、例外もあります。

公共の利害、公益目的、真実性または相当性という3条件を全て証明できた場合に限り、違法性がなくなる仕組みです。

自分の投稿がこの例外にあたるか判断に迷う場合は、弁護士に確認しておくと安心です。

Q2. 相手が投稿を削除したあとでも特定して訴えることはできますか?

投稿が削除されたあとでも、削除前に保存した証拠(URLやスクリーンショット)があれば、特定と提訴は可能です。

投稿自体が消えても、サイト運営元のサーバー内には、一定期間、投稿時のログ(IPアドレスや投稿時間)が残されています。

ただし、サーバー内のログも時間の経過で自動的に削除されるため、相手が投稿を消したあとは、さらに迅速な手続きが求められます。

削除されたからもう追及できないと諦める必要はありません。

証拠さえ残っていれば対応できる可能性があるため、気づいた時点ですぐに弁護士へ相談してください。

Q3. 被害について警察が動いてくれない場合はどう対処すべきですか?

警察が事件として動いてくれない場合は、民事による賠償請求・特定を軸に切り替えるか、弁護士同伴で告訴状を再提出する方法があります。

個人で警察署に相談をしても、民事不介入や証拠不十分を理由に、相談だけで終わってしまうケースも少なくありません。

一方で、弁護士が法的な要件を満たした告訴状を作成し、同伴して警察に提出すれば、受理される確率は格段に上がります。

現実的な選択肢として、警察対応にこだわらず、発信者特定と慰謝料請求という民事の手続きに注力する方が、実質的な補償につながるケースも多いです。

状況に応じて最適な進め方を判断してもらうためにも、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。

さいごに|名誉毀損で相手を訴えるなら速やかに弁護士へ相談

名誉毀損がどこから成立するかは、公然性・事実の摘示・社会的評価の低下という3つの要件がそろうかどうかで判断されます。

判断が難しいケースも多く、自己判断で放置すると、証拠や手続きの機会を逃してしまう可能性があります。

刑事告訴には6ヵ月という期限もあるため、被害に気づいたらまず証拠を保存し、早めに弁護士へ相談することが大切です。

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この記事の監修者
弁護士法人若井綜合法律事務所 新橋オフィス
澤田 剛司 (東京弁護士会)
【盗撮・風俗店トラブル・痴漢・暴行・傷害・窃盗・援助交際など】幅広い刑事事件に対応してきた経験豊富な弁護士がスピーディーに対応。「どこよりも素早い対応で、どこよりも安心して任せられる」を心がけている。
ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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