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名誉毀損の対処法 投稿者の特定・訴訟 弁護士監修記事 公開日:2020.8.5  更新日:2023.1.26

掲示板の書き込みを特定できる開示請求|発信者特定までの流れや手続き

東京みらい法律事務所
甲斐 伸明 弁護士
監修記事
Paper

5ちゃんねる(2ちゃんねる)や爆サイなどのように、自由にコメントを投稿できるネット掲示板は、誹謗中傷などの拡散性が高く危険な存在にもなり得ます。

ひとたび話題を集めてしまえば集中的にコメントが寄せられてしまい、別の掲示板サイトやSNSなどで情報が拡散されてしまうので、被害の深刻化は免れません。

ネット掲示板における誹謗中傷や個人情報などの晒し行為については、素早く対応して被害をくい止める必要があります。

本コラムでは、ネット掲示板における投稿者個人を特定する『発信者情報開示請求』の方法や、発信者の特定までに必要な手続き・流れを解説します。

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掲示板の書き込みを特定する発信者情報開示請求とは

インターネットには、ユーザー登録が不要で誰が投稿したのかを特定できない『匿名掲示板』が数多く存在します。

国内最大級の掲示板サイトである『5ちゃんねる(2ちゃんねる)』がその代表で、コメントだけでは誰が投稿者なのかわからない仕様になっています。

ただしこれはユーザー側からみた場合の話で、ネット掲示板のサイト管理者側には投稿者につながる情報が保管されているため、その情報を開示してもらうことで投稿者が誰なのかを特定可能です。

この手続きを『発信者情報開示請求』といいます。発信者情報開示請求は、サイト管理者とプロバイダのそれぞれに開示を求める二段階の請求が必要です。

1)サイト管理者へ投稿者のIPアドレス等を開示請求する

ネット掲示板のサイト管理者に対して、投稿のIPアドレスやタイムスタンプといった情報の開示を請求します。

・サイトごとに開示請求の方法は異なる

ネット掲示板への開示請求は、サイトごとに手続きが異なります。

事前に専用フォームから開示請求の申し込みが必要であったり、問い合わせ用のメールアドレスから申し込みのメールを送信する必要があったりするので、利用規約やヘルプページをよく確認しましょう。

主要なネット掲示板に対する開示請求の方法は、それぞれのサイトについて詳しく方法を解説している記事があるのでご覧ください。

5ちゃん(旧2ch)

爆サイ

ホストラブ

雑談たぬき

発信者情報開示請求はほぼ裁判(仮処分)での対応になる

ネット掲示板のサイト管理者に対して「IPアドレスなどの情報を開示してほしい」と依頼しても、サイト管理者の判断で開示してくれることはほとんどありません。

サイト管理者には情報を適切に保管・管理する義務があるので、たとえサイト管理者において被害が確認できても、むやみに開示できないのです。

サイト管理者に情報を開示してもらうには、多くの場合は裁判所の仮処分命令を得ることになるでしょう。

個人情報を厳重に保管しているサイトでも、裁判所から「開示せよ」という命令が下ればこれには逆らえません。またサイト管理者としても「裁判所の命令で仕方なく開示した」という理由付けが可能です。

2)IPアドレス等を基にプロバイダに発信者情報を開示請求する

ネット掲示板サイトからIPアドレスなどの情報開示を受けたら、次はネット事業者といったプロバイダに対して情報の開示を求めます。

プロバイダにはIPアドレスと結びついた契約者情報が保管されているので、この作業によって匿名だった投稿者がどこの誰なのかが明らかになります。

・プロバイダが開示請求を拒否すれば裁判での対応になる

プロバイダに保管されているのは、自社と契約している顧客の情報です。いくら権利侵害が確認されているといっても、むやみに顧客の情報を開示するわけにはいきません。

任意で契約者情報の開示を求めても発信者の同意がない限りは開示が拒否されるため、プロバイダへの開示請求でも裁判所の手続きを利用した開示命令を得ることになります。

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

発信者情報を開示請求できる掲示板の書き込みとは

発信者情報開示請求が可能となるのは、一定の権利侵害がある場合に限られます。

開示請求をすれば、どんな書き込みでも個人を特定できるというわけではありません。

法律的に説明できる権利侵害がある書き込み

発信者情報開示請求の対象となるのは、法律によって説明ができる具体的な権利侵害がある場合です。

発信者情報開示請求が可能となる書き込みについて、一部の例を見てみましょう。

守られるべき権利

概要

名誉権

「◯◯さんは会社でセクハラをしている」などのように社会的な信用をおとしめる書き込み

プライバシー権

個人の住所や勤務先、日常の秘密などを無断で公開する書き込み

肖像権

無許可で人の顔や容姿などを撮影して画像・動画などを投稿する

著作権

音楽や映像など他人の創作物を無断で投稿する

開示請求が難しい掲示板書き込みの例

次のような書き込みでは発信者情報開示請求が認められないことがあります。

・公共性・公益性がある

名誉権で保護される内容であっても、事実の公共性や目的の公益性がある場合、開示請求が認められない場合があります。

議員の汚職やスキャンダル、タレント・アスリートなど著名人の不祥事が代表例です。

・誰が対象なのかわからない書き込み

「A社」や「Bさん」のように、伏せ字やイニシャルなどで個人が特定されない状態の書き込みでは開示請求が認められないことが多いです。

ただし、そのほかの情報によって容易に特定が可能な場合や、あだ名・芸名・源氏名など本名ではなくて、個人が特定可能であれば、開示請求が認められる可能性もあります。

掲示板での開示請求で知っておきたいこと

ネット掲示板における権利侵害を受けてしまい、これから発信者情報開示請求によって投稿者を特定したいと考えている方は、次の2点を確認しておく必要があります。

  1. 発信者情報開示請求には費用がかかる
  2. 投稿者の特定にはタイムリミットがある

発信者情報の開示請求にかかる費用の相場

発信者情報開示請求では、 ネット掲示板のサイト管理者とプロバイダに対する二段階の手続によって情報開示を受けることになります。

管理者・プロバイダの両者が開示に応じてくれない場合には、2回裁判を行うことになります。それぞれの弁護士費用の相場は次のとおりです。

IPアドレス開示請求(仮処分)

着手金:約20万円
報酬金:約15万円

契約者情報開示請求(裁判)

着手金:約20〜30万円
報酬金:約15〜20万円

ただしこれはあくまでも相場であり、依頼した弁護士事務所によって着手金や報酬金に、差があるものと心得ておきましょう。

発信者情報開示請求の一連を同じ弁護士に任せると、着手金が1回のみになる事務所があります。

できるだけ費用負担が少なくなるように工夫してみてください。

・特定費用を損害賠償として請求することも可能

投稿者を特定するためには70~85万円程度の弁護士費用がかかりますが、具体的な権利侵害が発生している場合は、特定にかかった弁護士費用を損害賠償請求に上乗せして請求できます。

慰謝料の相場は下記のとおりですが、弁護士費用の一部または全額を上乗せした金額が、実際の請求額になるでしょう。

誹謗中傷の内容

慰謝料の相場

名誉毀損(一般人)

10〜50万円

名誉毀損(事業主)

50〜100万円

・費用倒れ(赤字)になるリスクもある

特定にかかる弁護士費用を含めて損害賠償請求を起こし、裁判で勝ったとしても、投稿者に資力がなく賠償能力がなければ費用倒れになってしまうおそれがあります。

赤字覚悟で特定に踏み切るほど権利侵害の度合いが強いのかどうか、「本当に投稿者を特定する必要があるのか」を慎重に検討するべきでしょう。

【注意】書き込みから時間が経ちすぎると特定は難しい

投稿者の特定には、タイムリミットが存在します。

プロバイダが保管しているIPアドレスなどの情報の保存期間は、おおむね投稿から3か月です。

訴訟の準備などにも時間がかかることを考慮すると、弁護士への相談は「できるだけ早く」が鉄則だといえます。

掲示板での開示請求を弁護士に相談すべき状況

ネット掲示板への書き込み・投稿について弁護士に相談をするか、それともガマンしてやり過ごそうかと迷っている方も多いでしょう。

掲示板への書き込みなどによって現実の生活に支障をきたしている、または加害者に対してどうしても罰を下したいという方には、弁護士への相談を強くおすすめします。

現実での生活に支障がある

名誉毀損にあたる書き込みによって社会的な地位に影響がでている、住所や電話番号などの情報がさらされてイタズラが絶えないなど、現実の生活に支障をきたしている場合は、投稿者の特定をおすすめします。

精神的苦痛に対する慰謝料や実際に発生した損害に対する賠償金を請求するためにも、投稿者の特定は必須の作業です。

加害者をどうしても罰してもらいたい

書き込みや投稿が、名誉毀損罪・信用毀損罪・業務妨害罪・著作権法違反などの犯罪にあたる場合は警察への届出も考えられます。

ところが、警察はネット掲示板におけるこれらの犯罪について必ずしもスピーディーに対処してくれるとは限らず、ITトラブルに詳しい捜査員がいなければ事件が放置されてIPアドレスなどの重要な証拠が消えてしまうおそれがあります。

処罰の可能性を高めるには、警察への届出に先立って投稿者を特定したうえで、弁護士に依頼して告訴状を作成してもらい刑事告訴する方法をおすすめします。

まとめ

個人で利用している分には誰が投稿者なのかもわからないネット掲示板への書き込みも、サイト管理者とプロバイダに対して裁判を起こして情報開示を受ければ投稿者の特定は可能です。

名誉毀損やプライバシー権侵害など、具体的な権利侵害を受けている方は、弁護士に依頼して投稿者を特定し慰謝料・損害賠償の請求を検討しましょう。

発信者情報開示請求は、ネット掲示板サイトごとに手続きの方法などが異なるため、実際に開示請求の経験・実績がある弁護士に依頼するのがベストです。

ITトラブルの解決実績が高い弁護士を探してサポートを受けることをおすすめします。

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この記事の監修者
東京みらい法律事務所
甲斐 伸明 弁護士 (東京弁護士会)
2005年弁護士登録。インターネットの普及に伴うさまざまなトラブルに対し、培ってきた様々な知識・経験を活かし、被害者に寄り添う。テレビなどメディアでの掲載実績も多数有。

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相護士ナビ編集部

本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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