インターネット上の誹謗中傷の投稿者は匿名である場合がほとんどです。
投稿者を特定する手続きの煩雑さや経済的な問題から、「誹謗中傷で訴えるのは難しい」と諦める方も少なくありません。
しかし、泣き寝入りする必要はありません。
弁護士のサポートを受ければ、投稿者の特定や訴えの提起などの煩雑な手続きを一任できます。
弁護士への相談により、自分では気づかなかった選択肢や解決への具体的な道が見えてくるかもしれません。
本記事では、誹謗中傷の投稿者を訴えるのが難しい理由と訴訟提起に備えた初動対応を解説します。
匿名投稿者を特定する方法や費用倒れを防ぐコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
インターネット上で誹謗中傷を受けたら、削除される前に当該投稿をURL・投稿時間とともに保存してください。
投稿者を訴えるためには、客観的な証拠が必要です。
被害拡大を防ぐために、サイト管理者に投稿の削除を依頼しましょう。
プロバイダが保存するアクセスログは3~6ヵ月で消去される可能性があるため、忘れずにログ保存も要請してください。
誹謗中傷投稿を発見したら、本文・URL・投稿日時・アカウント名の4点を確認できる状態で記録しましょう。
投稿者を訴えるためには、誹謗中傷の事実を示す客観的な証拠が必要です。
誹謗中傷投稿は、投稿者が自ら投稿を削除したり、第三者からの通報により削除されたりする場合があります。
投稿が削除される前に、以下のいずれかの方法で証拠化しましょう。
| 保存方法 | 手順 |
|---|---|
| 画像として保存する | ブラウザまたはアプリに表示された画面をスクリーンショットして保存する |
| 印刷物として保存する | ブラウザまたはアプリで表示された画面をプリントアウトし、印刷物を証拠とする |
| 動画で保存する | 「ブラウザにURLを入力して検索すると当該ページが表示された」といった、証拠となるウェブページ・投稿を表示する一連の行動をビデオ撮影して動画で保存する |
すでに削除されてしまった場合は、ウェブアーカイブを用いて証拠化できる可能性があります。
ウェブアーカイブとは、過去に記録・保存されたインターネット上のサイトの情報を閲覧できるサービスです。
世界中で広く使われているWebアーカイブは、アメリカの非営利団体インターネットアーカイブが提供するWayback Machineです。
全てのページが保存されているわけではありませんが、記録が残っていれば削除済みのページを証拠化できます。
証拠を確保したら、サイト管理者・SNS事業者などに対して、投稿の削除とIPアドレスの開示を請求しましょう。
投稿を削除しなくても投稿者の特定・訴えの提起は可能ですが、放置したままでは拡散・炎上など被害拡大のおそれがあります。
また、投稿者(発信者)の氏名・住所などの開示請求をするためには、投稿に使用されたプロバイダの特定が必要です。
削除依頼と併せて、IPアドレスなどのアクセスログの開示も請求しましょう。
削除請求・IPアドレスなどのアクセスログの開示請求には、以下の3つの方法があります。
| フォームなどからの削除依頼 | テレサ書式による削除依頼 | 削除の仮処分の申立て | |
|---|---|---|---|
| 概要 | サイト・SNSの専用フォームから依頼する方法 | 情報流通プラットフォーム対処法ガイドラインに則った書式(テレサ書式)による請求 | 裁判所に申し立てて、投稿の削除を命じてもらう手続き |
| 適しているケース | 任意での削除依頼に応じる可能性が高い場合 | 名誉毀損などの権利侵害が明らかな場合 | 権利侵害が明らかで、確実に削除したい場合 |
| 削除の見込み | サイト管理者・SNS事業者による | 削除依頼は対応してもらえるケースが多いが、IPアドレスなどの開示には慎重な場合がある | 裁判所の決定を得れば、速やかに削除・開示される |
| 削除までの期間 | 対応してもらえる場合は、数日〜2週間程度 | 数週間~1ヵ月程度 | 裁判所の決定が出るまでに2週間程度(裁判所による) |
| コスト・手間 | 低 | 中 | 高 |
なお、2025年4月1日、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダ責任制限法)が施行されました。
以下をはじめとした大規模事業者の合計9社には、削除申出から原則7日以内の結果通知義務が課されています。
| 大規模特定電気通信役務提供者 | サービス名 |
|---|---|
| Google LLC | YouTube |
| LINEヤフー株式会社 | Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス、 LINEオープンチャット、LINE VOOM |
| Meta Platforms, Inc. | Facebook、Instagram、Threads |
| TikTok Pte. Ltd. | TikTok、TikTok Lite |
| X Corp. | X(旧・Twitter) |
サイト管理者・SNS事業者からIPアドレスの開示を受けたら、投稿に使用されたプロバイダ(アクセスプロバイダ)を特定しましょう。
投稿者の氏名・住所の開示請求をおこなうためには、プロバイダの特定が必要です。
投稿に使用されたプロバイダ(アクセスプロバイダ)を特定する際は、 whois検索を使用します。
whois検索とは、ドメイン名やIPアドレスなどの情報を確認できるネット上のサービスです。
検索エンジンで「whois」と入力して検索すると、複数のサイトが表示されるので、使いやすいものを選んでください。
whois検索でIPアドレスを検索すると、以下のような結果が表示されます。
| 【whois検索結果の例(一部抜粋)】 Network Information:[ネットワーク情報] a.[IPネットワークアドレス] ***.**.*.*/** b.[ネットワーク名] **** p.[ネームサーバー] ****.***.**.jp f.[組織名] 〇〇〇〇株式会社 [割当年月日] ****/**/** [返却年月日] [最終更新] ****/**/** **:**:**(JST) 上位情報 -------- △△△△株式会社 [割り振り]***.**.*.*/** 下位情報 -------- 該当するデータがありません。 |
上記結果の場合、△△△△株式会社がIPアドレスを管理し、同社をアクセスプロバイダとして情報が発信されたことが確認できます。
検索結果の見方は、whois検索ができるウェブサイトでも公開されていますので、検索時に併せて確認しましょう。
アクセスプロバイダを特定できたら、発信者情報の開示とログ保存を要請しましょう。
アクセスプロバイダが保有しているアクセスログは、通常3~6ヵ月程度しか保存されません。
アクセスログが消去されると、発信者の特定ができなくなるおそれがあるため、アクセスプロバイダが判明した時点で、一刻も早くアクセスログを保存するよう要請しましょう。
アクセスログの保存要請には、以下の3つの方法があります。
| 任意の書面による要請 | テレサ書式によるログ保存要請 | 発信者情報消去禁止仮処分の申立て | |
|---|---|---|---|
| 概要 | アクセスログの保存を要請する書面を作成して送付する方法 | 情報流通プラットフォーム対処法ガイドラインに則った書式(テレサ書式)による要請 | 裁判所に申し立てて、発信者情報の消去を禁じる命令を出してもらう手続き |
| ログ保存の見込み | 多くの場合、アクセスプロバイダから保存に協力する旨の回答を得られる。 | 対応してもらえる可能性が高い | 裁判所の決定を得れば、速やかに対応される |
| 適しているケース | ・ログ保存のみ依頼したい場合 ・プロバイダから投稿者本人に意見照会をしてほしくない場合 |
・ログ保存要請と開示請求を同時におこないたい場合 ・投稿者本人に開示請求の事実を認識させたい場合 |
アクセスプロバイダが任意の要請・テレサ書式による要請に応じない可能性がある場合 |
| コスト・手間 | 低 | 中 | 高 |
通常は、テレサ書式を用いた開示請求によって、アクセスログも保存してくれるため、仮処分を申し立てる必要はありません。
発信者情報の開示には応じてもらえないケースが多いですが、ログの消去を防ぐためには、テレサ書式を用いて開示請求をおこなうのが有効です。
発信者情報の開示に応じてもらえない場合の手続きは、「誹謗中傷の加害者特定は難しい?発信者情報開示請求(命令)のポイント」で後述します。
インターネット上で誹謗中傷を受けたら、投稿者に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求できます。
ただし、誹謗中傷の投稿者を訴えるのは難しく、損害賠償を獲得するまでには多くのハードルを越えなければなりません。
以下では、誹謗中傷で投稿者を訴えるのが難しいといわれる理由を解説します。
誹謗中傷で訴えるのが難しい理由は、正当な批判や意見の表明と、社会的に許容されない違法な中傷との境界線が曖昧だからです。
投稿者に損害賠償を請求するには、自分の権利(名誉権・プライバシー権など)が違法に侵害されたといえなければなりません。
違法性の判断基準は、権利侵害の類型ごとに異なります。
各権利侵害の判断基準となる要素は判例で示されているものの、具体的にどのような場合に権利侵害が認められるかは、容易に判断できません。
誹謗中傷で投稿者を訴えるのが難しいと言われる理由のひとつには、加害者(投稿者)の特定に時間とコストがかかる点が挙げられます。
インターネット上における誹謗中傷の投稿は、匿名でおこなわれるケースが多いです。
損害賠償を請求するためには、投稿者を特定する必要があります。
しかし、アクセスプロバイダが任意の開示請求に応じるケースは少なく、裁判所の手続きを経なければいけない場合が多いです。
発信者情報開示請求手続や発信者情報開示命令手続には、時間と費用がかかります。
| 手続きの種類 | 所要期間 | 費用(目安) | 費用合計(目安) | |
|---|---|---|---|---|
| 既設 | ①サイト管理者・SNS事業者に対する仮処分申立て | 裁判所の決定を得るまで2週間程度 | 約10万円~約30万円 (担保金を含む) ※事案によっては、担保金が50万円を超える場合もある |
約12万円~約32万円 |
| ②アクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求 | 半年~1年程度 | 約2万円 | ||
| 新設 | 発信者情報開示命令申立て | 3~4ヵ月程度 | 約3,000円~約4,000円 | 約3,000円~約4,000円 |
新設された発信者情報開示命令手続は、既設の開示請求手続よりも費用が抑えられているとはいえ、手続きが複雑で自力での対応は難しいでしょう。
費用や手続きへの負担が、訴えの提起を躊躇させる原因になるケースも少なくありません。
費用倒れのリスクがある点も、誹謗中傷で訴えるのが難しいといわれる理由のひとつです。
誹謗中傷に基づく損害賠償請求では、投稿者の特定から示談交渉・訴訟など複数の手続きを要します。
発信者情報開示手続や示談交渉・訴訟手続は煩雑なため、弁護士に対応を依頼するのが一般的です。
弁護士費用がかかる一方、一般私人が名誉やプライバシーを侵害されたとしても、賠償金(慰謝料)はさほど高額にはなりません。
弁護士費用が獲得した賠償金(慰謝料)を上回り、結果的に費用倒れに終わってしまうリスクもあります。
経済的な得失を重視する方は、費用倒れのリスクから損害賠償請求を断念してしまうケースも少なくありません。
削除請求や発信者情報開示請求をおこなうためには、何らかの権利が違法に侵害されていることが必要です。
投稿者に損害賠償を請求するには、故意・過失などの要件も満たさなければなりません。
本章では、インターネット上の情報発信で生じうる権利侵害の代表的な類型と、損害賠償請求が認められるための要件(判断基準)を解説します。
インターネット上の情報発信で生じうる権利侵害の代表例が、名誉権侵害(名誉毀損)です。
名誉権侵害(名誉毀損)とは、具体的な事実を示し、あるいは意見や評論によって、個人や法人の社会的評価を低下させる行為です。
社会的評価の低下の有無は、一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断されます。
一般読者とは、文章などが投稿された媒体の一般的な読者を指します。
たとえば特定のテーマを扱う掲示板では、当該テーマに関心を持つ人を指すというのが通常の理解です。
ただし、社会的評価の低下が認められても、全てのケースで名誉権侵害が成立するわけではありません。
損害賠償請求の根拠となる不法行為が成立するかどうかは、以下のステップで判断されます。

第三者の度が過ぎた暴言によって、自尊心やプライドを傷つけられた場合は、名誉感情侵害にあたる可能性があります。
名誉感情とは、自分自身が感じている自分への評価、いわば自尊心や内なるプライドです。
人は誰でも名誉感情を持っており、他人の行為で自尊心を傷つけられた場合には、人格的価値を侵害されたと同様の精神的苦痛を受けるでしょう。
ただし、名誉感情は主観的な感情であるため、無条件に法的保護の対象にはなりません。
裁判所は、態様・程度などから社会通念上許される限度を超える名誉感情に対する侵害に限って、損害賠償請求の対象となるとしています。
自分の写真や動画を勝手に撮影・投稿された場合は、肖像権侵害が成立する可能性があります。
肖像権とは、みだりに他人から写真を撮影されたり、公表されたりしないように主張できる権利です。
ただし、無断で撮影・公開したからといって、直ちに不法行為が成立するわけではありません。
人格的利益の侵害が、社会生活を送る上で受忍限度(我慢の範囲)を超えているかどうかという視点で判断されます。
受忍限度を超えているかどうかの判断では、以下のような事情が総合考慮されます。
| 考慮事情 | 侵害性が上がる例 | 侵害性が下がる例 |
|---|---|---|
| 撮影された人の社会的地位 | 一般私人 | ・公人・公共の利害にかかる人物 ・刑事事件の被疑者・被告人 |
| 撮影された人の活動内容 | ・水着や裸など肌の露出が大きい状態 ・泥酔している状態 |
・公務・公的行事に参加している ・公開イベントや記者会見でのスピーチしている ・街頭デモに参加している |
| 撮影の場所 | 自宅・ホテル個室内などの私的な空間 | 公園・公道などの公共の場所 |
| 撮影の目的 | 公開を前提としないプライベート写真 | 報道番組での放送 ファッション雑誌への掲載 |
| 撮影・公開の態様 | ・手でカメラを遮るなど、撮影を拒絶する意思表示をしている場合 ・隠し撮りなど、被撮影者が撮影された認識がない場合 |
・被撮影者が撮影を許容していると認められる場合(カメラに向かって笑顔でポーズをとるなど) ・多人数が写っており、特定の人に焦点が当たっていない場合 |
| 撮影・公開の必要性 | 誤報といえるような記事・投稿に写真を添付した場合 | 報道・芸術などの社会的に是認できる目的のために撮影した場合 |
公開を望まない私生活上の情報を投稿された場合は、プライバシー権の侵害が成立する可能性があります。
プライバシー権とは、私生活をみだりに公開されない権利です。
以下の要件を満たす場合、法的保護が及びます。
ただし、損害賠償請求の根拠となる不法行為が成立するかどうかは、公開する側の利益と公開された側が受けた不利益を天秤にかけて判断されます。
前者が後者に優越する場合、不法行為は成立しません。
投稿者を特定する手続きには、発信者情報開示請求と発信者情報開示命令という二つの手続きがあります。
ただし、開示請求や開示命令が失敗に終わるケースもあります。
手続きの流れや失敗例をあらかじめ把握しておくのが大切です。
発信者情報の開示を求める手続きには、発信者情報開示請求と発信者情報開示命令の2種類があります。

従来の発信者情報開示請求では、以下の段階ごとに個別の申立てが必要でした。
2021年改正(2022年10月1日施行)により新たに導入された発信者情報開示命令では、上記を一度の手続きで完結できます。
また、SNSへのログイン時のIPアドレスも開示対象に追加され、裁判所による消去禁止命令でログの消去を防げます。
発信者情報開示請求手続や発信者情報開示命令手続が失敗に終わる可能性があるケースは、以下の3つです。
誹謗中傷の被害に関する証拠が乏しい場合は、発信者情報開示請求・発信者情報開示命令手続が失敗に終わる可能性があります。
発信者情報開示を求めるためには、権利侵害が明らかであることを立証する必要があるためです。
たとえば証拠を確保しようとした段階で、すでに投稿が削除されてしまっているケースがあります。
削除された投稿内容をデータや紙媒体で保存していなければ、権利侵害を受けた事実を証明できません。
投稿を保存していても、同内容が自分の権利を侵害しているとはいえないケースもあります。
たとえば「こいつは詐欺師だ!」と投稿されても、第三者からみて「こいつ」が誰を指すのかわからなければ、権利侵害は成立しません。
権利侵害が明らかといえない場合には、開示請求や開示命令の申立ては棄却されます。
アクセスログの保存期間が過ぎている場合も、発信者情報開示が失敗に終わる可能性が高いです。
アクセスプロバイダが保有しているIPアドレス割り当てのアクセスログは、多くの場合、3ヵ月~6ヵ月程度しか保存されません。
IPアドレスの開示時点で投稿から相当期間が経過していると、開示請求や開示命令の手続中に、アクセスログが消えてしまう可能性があります。
アクセスログが残っていなければ、発信者の特定はできなくなってしまいます。
投稿者が、第三者が契約しているインターネット回線を用いて投稿した場合は、発信者情報の開示を求めても、投稿者本人の氏名・住所などの情報は得られません。
アクセスプロバイダから開示を受けられるのは、投稿に用いられたインターネット回線の契約者情報です。
たとえば、フリーWi-Fiを利用している場合、投稿者の特定は困難を極めるでしょう。
開示請求で判明するのは施設や店舗の契約者情報までで、誰がその場にいて投稿したかを特定するには、防犯カメラ映像や施設側の利用記録が必要となります。
同一人物によるものと思われる別の不適切な投稿があれば、当該投稿につき改めて開示請求をすることで、投稿者を特定できる可能性があります。
第三者の端末を用いて誹謗中傷の投稿がなされたときは、当該端末の利用状況を別途調査すると、投稿者が判明する場合もあります。
たとえばインターネットカフェの端末であれば、弁護士を通じて店舗に利用履歴を照会するなどの方法が検討可能です。
発信者情報開示請求が失敗したにもかかわらず、引き続き投稿者の特定を試みるのは容易ではありません。
弁護士に相談して、どのような方法が考えられるのか、現実的に投稿者を特定できる可能性があるのかなどについてアドバイスを受けましょう。
費用倒れのリスクを防ぐためには、弁護士への事前相談が有効です。
費用対効果の見通しを確認することで、開示対象の絞り込みや裁判外の解決など、費用を抑えるための工夫も検討できます。
依頼前に弁護士に相談し、獲得を見込める慰謝料額(損害賠償額)と弁護士費用の目安を確認しましょう。
獲得しうる金額が弁護士費用を上回れば、弁護士への依頼を積極的に検討できるでしょう。
権利侵害の類型別の慰謝料の相場は、以下のとおりです。
| 権利侵害の類型 | 慰謝料の目安 | |
|---|---|---|
| 名誉毀損(名誉権侵害) | 個人 | 10万円〜50万円程度 |
| 法人 | 50万円〜100万円程度 | |
| 名誉感情の侵害(侮辱) | 個人 | 数万円〜十数万円程度 |
| 肖像権侵害 | 個人 | 10万円~50万円 |
| プライバシー侵害 | 個人 | 10万円~50万円程度 |
発信者情報開示手続から損害賠償請求まで弁護士に一任する場合、総額で50万円以上を要するケースが多いです。
そのため、権利侵害の程度が軽微で獲得できる慰謝料額が低い場合は、費用倒れになるリスクがあります。
| 手続きの種類 | 方法 | 着手金 | 報酬金 | 費用合計(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 削除請求 | 任意請求 | 0円〜10万円 | 5万円〜20万円 | 5万円〜30万円 |
| 仮処分申立て | 20万円〜30万円 | 10万円〜20万円 | 30万円~50万円 | |
| 発信者情報開示請求 | 任意請求 | 0円〜20万円 | 5万円〜30万円 | 15万円~30万円 |
| 仮処分申立て | 10万円〜30万円 | 10万円〜30万円 | 20万円~60万円 | |
| 訴訟提起 | 10万円〜30万円 | 10万円〜30万円 | 20万円~60万円 | |
| 発信者情報開示命令 | - | 20万円~30万円 | 10万円~30万円 | 30万円~60万円 |
| 損害賠償請求 | 交渉・訴訟 | 10万円~30万円 | 回収額の10〜20% | 要見積 |
ただし、損害賠償請求訴訟では、開示請求にかかった費用や弁護士費用の一部が損害として認められる可能性があります。
弁護士に依頼する費用対効果は、個々の事情により異なるため、無料相談を活用して確認してみましょう。
誹謗中傷投稿が複数ある場合は、発信者情報の開示を求める投稿を絞り込むのもひとつの方法です。
悪質性が高い投稿や炎上・拡散のもととなった投稿に絞り込めば、手続費用や弁護士費用を抑えられます。
任意の開示請求に応じてもらえる可能性があるプロバイダには、テレサ書式を用いた開示請求を試してみてもよいでしょう。
裁判外での請求が認められれば、コストを抑えられます。
損害賠償訴訟を提起する前に、投稿者に対する直接交渉を試みましょう。
示談交渉がまとまれば、コストを抑えつつ早期に損害賠償を受けられます。
示談交渉をまとめるためには、客観的な証拠を示し、適正な損害賠償額を提示することを心がけましょう。
相場より高い金額を提示すると、相手が交渉のテーブルにつくのを拒否する可能性があります。
弁護士に相談しながら、適切な請求額を検討してください。
示談が成立したら、再発防止のために二度と同様の行為を繰り返さない旨と、違反した場合の違約金の定めも示談書に記載するとよいでしょう。
投稿者に対する訴えを提起する場合には、慰謝料だけでなく、調査費用も請求しましょう。
発信者情報開示に要した費用や弁護士費用の一部が、相当因果関係のある損害と認められる可能性があります。
発信者情報開示手続には専門的な知識や経験が不可欠であり、被害者が自ら対応するのは困難なためです。
過去の裁判例の傾向を踏まえると、調査費用として50万円+慰謝料額の1割程度の金額が認められるのが一般的です。
発信者情報開示請求だけでなく、削除請求の仮処分にかかった弁護士費用も相当因果関係のある損害と認めた裁判例もあります。
誹謗中傷の被害者が取れる法的措置は、損害賠償請求だけではありません。
金銭による賠償では回復できない社会的評価の低下に対しては謝罪広告請求を、加害者への刑事制裁を求める場合は刑事告訴を検討できます。
名誉権侵害(名誉毀損)が認められる場合、名誉回復措置として、謝罪広告や訂正記事の掲載を請求できます。
不法行為に基づく損害賠償は、原則として金銭でおこなうものとされています。
しかし、名誉毀損は、人の社会的評価を低下させるという特殊な形態の不法行為です。
金銭賠償だけでは、低下した社会的評価を回復できない場合があります。
そのため、金銭による損害賠償以外に、名誉回復のための適当な処分の請求が認められています。
裁判所が命ずる処分の例は、以下のとおりです。
損害賠償請求と並行すれば、金銭的な賠償と社会的評価の回復を同時に図れます。
誹謗中傷投稿が、刑法上の犯罪に該当する場合は、刑事告訴も検討できます。
刑事告訴とは、犯罪の被害者などが捜査機関に犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示です。
誹謗中傷の内容・程度によっては、以下のような犯罪が成立する可能性があります。
| 犯罪名 | 成立要件 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 名誉毀損罪 | 公然と事実を示して社会的評価を低下 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 侮辱罪 | 事実を示さず公然と侮辱 | 1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料 |
| 脅迫罪 | 生命・身体などへの害悪告知 | 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 信用毀損・業務妨害罪 | 虚偽の風説流布・偽計による妨害 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 威力業務妨害罪 | 威力による業務妨害 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
刑事事件として投稿者を処罰することは、強力な再発防止の手段でもあります。
悪質性が高いケースや誹謗中傷が止まないケースなどは、刑事告訴も選択肢のひとつです。
捜査機関が動くことで、自力では困難な情報収集も期待できる場合もあります。
なお、投稿内容が公共の利害に関する事実であり、専ら公益を図る目的でなされた場合には、違法性が否定される余地があります。
刑事告訴を検討する際は、あらかじめ弁護士に相談して見通しを確認しましょう。
誹謗中傷の投稿者を訴えることを検討しているなら、「ベンナビIT」を通じて弁護士に相談してください。
「ベンナビIT」は、インターネットトラブルに詳しい弁護士を、地域・相談内容に応じて効率的に検索できるポータルサイトです。
投稿者への責任追及を被害者自らがおこなうのは、物理的にも精神的にも負担が大きいです。
投稿内容や投稿者の資力などによっては、裁判をしても望む結果が得られない場合もあるでしょう。
それでも、誹謗中傷は決して許されることではありません。
誹謗中傷の投稿者にきちんと責任を負わせたいと考えている被害者の方は、一度弁護士の無料相談を利用することをおすすめします。
「ベンナビIT」には、無料相談に対応している弁護士も多数掲載しているので、まずは費用を気にせず弁護士に相談してください。
Instagramで活躍するインフルエンサーが、人格を攻撃するような誹謗中傷投稿の被害にあった事例です。
相談者が商品紹介の投稿をInstagramにアップしたところ、相談者の人格を攻撃するようなコメントが投稿されました。
過去にも同アカウントから誹謗中傷を受けていたため、投稿者を特定すべく、弁護士に相談。
依頼を受けた弁護士は、Instagramの運営会社であるFacebook社を相手取り、発信者情報開示の仮処分を申し立てました。
投稿者のIPアドレスを取得したものの、任意での開示請求に応じなかったため、プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟を起こしました。
無事に発信者情報の開示を受け、開示に要した弁護士費用と損害賠償金の支払いを求める訴えを提起。
最終的に、総額110万円を半年間の分割で支払う旨の和解が成立しました。
V系ヲタヌ@たぬきという掲示板で、ナイトワークに従事していた相談者の職業を馬鹿にしたり、名誉を毀損する投稿が繰り返された事例です。
上記誹謗中傷により、相談者は仕事にも影響が出ており、相当の精神的ダメージを受けていました。
少しでも状況が改善すればと、弁護士に相談。
依頼を受けた弁護士は、直ちに発信者の特定手続きを進め、発信者数名を特定。
各人から合計200万円以上の示談金の支払いを受け、二度と同様の行為をしない旨を誓約する和解書を締結しました。
以降同様の投稿は一切なされていません。
本章では、誹謗中傷で訴えを検討している方がよく抱く質問にQ&A形式で回答します。
名指ししていない投稿でも、第三者があなたを誹謗中傷していると認識できる場合は、投稿者を訴えられる可能性があります。
記述の内容や文脈から、読者が特定の人物を認識できると判断される場合は、実名でなくても名誉毀損が成立するためです。
イニシャル・架空の人物名を使っていても、周囲の状況や文脈から本人と特定できる場合は、誹謗中傷として法的責任を問える可能性があります。
すぐに動いてもらえないケースは少なくありません。
投稿内容が名誉毀損罪や侮辱罪にあたるかどうかの判断が難しく、憲法で保障された表現の自由との線引きが簡単ではないためです。
ただし、悪質な投稿で事件性が高いと判断されれば、逮捕に動く場合もあります。
侮辱罪の厳罰化を受け、検挙件数が増加傾向にあるのも事実です。
警察庁の犯罪情勢統計では、令和6年中のインターネット上の名誉毀損罪・侮辱罪の検挙件数は487件に及び、前年より11.7%増加しています。
単に訴えると告げるだけなら、脅迫罪は成立しないでしょう。
脅迫罪は、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害悪を加える旨を告知することを成立要件とします。
法的手続きの予告は上記に含まれません。
誹謗中傷被害者として正当な法的手段をとるのは適法な権利行使です。
ただし、「訴えられたくなかったら、お金を払え」と脅して法外な金銭を請求した場合は、恐喝罪が成立する可能性があります。
不安な場合は、弁護士に相談してください。
誹謗中傷の投稿者を訴えるには、証拠の確保・投稿者の特定などの複数の手続きを経なければなりません。
違法性の判断の難しさ・投稿者特定にかかるコスト・費用倒れのリスクが、訴えに踏み切れない主な理由として挙げられます。
費用倒れを防ぐためには、あらかじめ弁護士に相談して費用対効果の見通しを確認するのが有効です。
発信者情報開示の対象とする投稿を絞り込んだり、裁判外の示談交渉を試みたりすることで、コストを抑えられる可能性もあります。
誹謗中傷の被害を受けたら、まずは投稿を証拠化して、早期に弁護士に相談してください。
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発信者情報開示命令は、ネット上で誹謗中傷をしてきた投稿者を特定するための制度です。本記事では、発信者情報開示命令の特徴、従来の発信者情報開示請求との...
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