ネットの誹謗中傷問題を弁護士に依頼した場合、投稿削除・開示請求・損害賠償で弁護士費用は100万円前後になることが多いです。
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最近ではことあるごとに『風評被害(ふうひょうひがい)』という言葉を聞きますが、『風評被害』とは法律用語ではなく俗語であるため、明確な定義がありません。
一般的には、『不正確で曖昧な情報(根も葉もないうわさ)が、報道や個人の発言から広がり、本来無関係の人や団体が社会的・経済的な被害を受けること』を指します。
このような被害を受け、警察に寄せられる相談件数は年々増加しています。
(参考:平成28年中におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁)
2016年の相談件数は過去最多となっています。今後さらにネット環境が整い、簡単に情報が発信できるようになっていけば、被害が増加することも考えられます。
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冒頭でもお伝えしましたが、風評被害に明確な定義はありません。
そこで本記事では『風評被害』を『不正確な情報によって企業団体・個人が社会的・経済的な被害を受けること』と定義し、これを前提に一般的・常識的見地から解説します。
本記事では『風評被害』を上記のとおり定義しています。そのため、証拠上明らかとなっている事実について批評・批判されることや、批評・批判によって社会的・経済的な被害が生じていないような場合は、本記事では『風評被害』にはなりません。
例えば、刑事事件で立件され、有罪判決を受けた結果、詐欺行為が明らかとなった人物について「あの人物は詐欺をしていた過去があるので注意しよう」と発言しても、本記事ではこれは『風評被害』には該当しないということになります。
ただし、このような事実を摘示して名誉を害する発言行為が、名誉毀損や侮辱といった違法行為を構成する可能性があることは留意してください。
反対に、以下のようなケースでは、『風評被害』に該当すると評価してもよいかもしれません。
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もちろん、上記のような行為は『風評被害』である以前に、名誉毀損や信用毀損といった犯罪行為に該当する可能性が高いでしょう。ただ、本記事では『風評被害』かどうかに着目していますので、この点はひとまず置いておきます。
ここでは、実際に起きた風評被害の事例をご紹介します。
元従業員が2ヶ月に渡りネット上で、勤務していた会社の信用を低下させる事実に反する投稿(専務がセクハラをしている、汚水を適切に処理していない、労災事故を隠ぺいしている、など)を行った事件です。 |
これらの投稿により、会社・個人の社会的評価の低下、業務の妨害などの被害を受けたとして、会社側は元従業員に対し、損害賠償を求めました。
判決では、元従業員に対し、会社へ100万円、虚偽の発言で名誉を毀損した専務に対し50万円の支払いを命じました(参考:文献番号 2017WLJPCA10178015)。
ネットの掲示板で「A社はどんな会社か」という質問に対し、実際にはA社と無関係であるにも関わらず、「A社の社員から聞きました」などと、本当に話を聞いたかのように名誉・信用を毀損する内容を書き込んだ事件です。 |
これを発見したA社の代表は、投稿者に対し、損害賠償を請求しました。
判決では、当該投稿により、名誉などの権利を侵害していることは明らかであり、信用を低下させる違法な行為と判断し、80万円の損害賠償の支払いを命じました(参考:文献番号 2013WLJPCA01218009)。
このような風評被害は何がきっかけで起きてしまうのでしょうか。ここでは3つの原因についてご紹介します。
近年、ネットの普及により、誰でも簡単に情報を発信できるようになりました。その上、ネットは匿名性が高いので、専門家や関係者であると偽ることも難しくありません。
そのため、企業・団体やある個人と関係ない人でも、真偽が定かではない情報を事実のように発信するのは容易です。このような環境が、風評被害が起きる大きな原因になっているといえます。
受けたサービスがその消費者にとって満足できるものではなかった場合、その不満を何倍にも増幅させて書き込むような人もいます。
話を誇張したり、曲解した表現で書き込んだりして、同情や注目を得たいという感情もあるのかもしれません。
元従業員が、在籍中に感じた不満(職場環境や待遇など)や逆恨みのはけ口として、ネット上に誹謗中傷を含む内容を投稿することもあります。
元従業員なので、投稿された企業部内容の様子にリアリティが出て、その情報に触れた人が信じやすいという点が厄介な部分です。
ここでは、風評被害に遭った場合の対処法についてご紹介します。
風評被害を受けた場合、自社や自分のHP上で被害に遭っていることを公表しましょう。その上で、書き込みやうわさが事実に反していることをしっかりと主張します。
また現在、風評被害を収めるために何をしているのか(書き込みの削除、それを行った者の特定など)を具体的に発信し、消費者が安心するように努めなければなりません。
こうした対策をせずに放置してしまうと、消費者の不安が募り、書き込みやうわさに信憑性があると受け取められてしまうでしょう。消費者に安心感を与えるためにも、現状の正しい情報を発信する必要があります。
サイトや掲示板の書き込みを、勝手に削除することはできません。削除したい場合、そのサイトや掲示板の管理者に削除してほしい旨を伝え、管理者側で削除してもらうことになります。
しかし、管理者側も表現の自由などの権利に配慮する必要があるため、簡単に個人の投稿を削除することはできません。そのため、削除するのが妥当と思ってもらえる詳細な理由が必要になります。
法的な根拠の記載も必要ですので、弁護士への依頼も検討してみてはいかがでしょうか。
サイトや掲示板の管理者に対し、発信者情報開示請求を行うことで、誰が投稿したのか特定できるかもしれません。
この請求が受諾されれば、最終的に投稿者の氏名・住所・投稿を行った年月日や時刻・投稿した端末などの情報を取得できるでしょう。
ただし、この請求も、発信者の個人情報を開示するに値する理由を申立書に記入する必要があります。
なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。
投稿された内容があなた(自社)に対する『名誉毀損』などに該当し、損害が生じた場合や精神的な苦痛を受けた場合は、民事裁判を提起して投稿者に対し、損害賠償を請求できるかもしれません。
精神的な苦痛に対する損害賠償(慰謝料)の相場は、程度によって増減しますが、一般的に10~100万円と考えられています。
上記に記載したとおり、『風評被害』に該当する事案は、名誉毀損や信用毀損といった犯罪行為に該当することが多々あります。このような犯罪行為に該当するような場合は、警察に相談することも視野に入れて対応しましょう。
紹介した②~⑤の対応について、弁護士に依頼・相談することができます。もちろん個人で行うことも可能ではありますが、各種手続関係書類の作成は法律の専門的な知識がないと苦労が多いでしょう。
発覚後、できるだけ早く問題を解決することで、被害の抑制につながります。迅速かつ確実な問題解決を希望するのであれば、まずは弁護士へご相談ください。
風評被害に遭った場合、弁護士に依頼できるのは主に以下の4つです。
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弁護士に依頼することで、ご自身で行うより早く、確実に問題を解決に導いてくれます。しかし、気になるのは弁護士費用ではないでしょうか。
弁護士費用は一律ではありません。そのため、事務所ごとに変動しますが、一般的な目安をご紹介します。
開示請求で裁判を行った場合の弁護士費用は、主に以下のとおりです。
これに加え、裁判の手数料として3~6万円が別途必要になります。
風評被害に対し、損害賠償を請求した場合の弁護士費用は以下の通りです。
刑事事件に発展し、刑事告訴をした場合の弁護士費用は以下の通りです。
風評被害に遭わないための、また、被害に遭った場合でも影響を最小限に留めるための、対策をご紹介します。
どんなに優良企業であったり、ホワイトな経歴を持っていたりしても、風評被害のターゲットになる可能性は決してゼロではありません。
できるだけ被害を小さく留めるためには、ネット上に投稿された企業・個人に対するネガティブワードを、速やかに削除するなどの対応が求められます。
拡散される前に削除申請するなど適切な対処を行うことで、被害を最小限に抑えられるでしょう。
社員の安易な投稿、書き込みが炎上し風評被害に遭うケースもあります。
社員のネットリテラシー(マナー)を再教育するとともに、風評被害の脅威を認識してもらい、社員は個人的な投稿であっても、投稿前に自身の書き込もうとした内容を見直すようにしましょう。
ネット問題に強い弁護士と顧問契約を行うのも、風評被害の対策になるでしょう。ちょっとした不安についても、気軽に弁護士に相談でき、アドバイスをもらえます。
そのため、大きな損害を出す前に、最善の方法で風評被害を食い止められるでしょう。
どれだけ自衛していても、ちょっとしたことで風評被害につながってしまう可能性はあります。しかし、早い段階で適切な対処ができれば、大きな損害を出さずに済むかもしれません。
そのためにも、ネット問題解決が得意な弁護士への相談をおすすめします。
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