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投稿者の特定・訴訟 弁護士監修記事 公開日:2020.6.11  更新日:2023.1.26

発信者情報開示請求は拒否しても大丈夫?その後の流れやリスクを解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Paper

あなたの手元に『発信者情報開示請求にかかる意見照会書』が届いたのであれば、第三者があなたの契約するプロバイダに対しあなたの情報を開示するよう請求を行った状態です。

このコラムでは、発信者情報開示請求にかかる意見照会書の意味やその後の手続について簡単に解説します。

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発信者情報開示請求を拒否したらどうなるか

発信者情報開示請求を受けると、対象者に向けて『意見照会書』が送付されます。

これはあなたが契約するプロバイダに対し、第三者からあなたの契約者情報を開示するよう請求があったことを通知し、情報開示に同意するか否かを確認する通知書です。

意見照会書は、あくまでも契約者の意向を確認するものであり、同意を強制されるものではありません。そのため、自身の情報を開示してほしくないのであれば、「同意しない」と回答すれば足ります。

なお、意見通知書に対して期限内(14日間)の返信を怠った場合には、開示に応じる意思はないものとして処理されるケースが多いようです。

意見照会書に不同意とした場合のその後の流れ

意見照会書に対し「同意しない」旨表明した場合、その後はどのような事態に発展するのでしょうか?

ここでは想定される流れを簡単に紹介します。

請求者がプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を起こす

「同意しない」旨を回答すると、プロバイダから請求者から「同意を得られなかった」ことを理由に、契約者情報の任意開示を拒否することが通常です。

この段階で請求者があきらめれば事態は収拾しますが、ほとんどの請求者は不同意前提で準備していますから、この場合はプロバイダに対して発信者情報開示を請求する裁判を起こすはずです。

裁判の結果、プロバイダ側に開示義務があると裁判所が認めれば、プロバイダに対して「開示せよ」と命じる判決が下され、プロバイダはこれに従って情報を開示します。

このように、たとえ意見照会書に不同意を表明したとしても、最終的に裁判手続を通じてあなたの情報がプロバイダから開示されるリスクは相応にあります。

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

相手から損害賠償を求められる

第三者があなたの契約者情報の開示を求めているのは、あなたが誰であるかを特定し、あなたに対して民事責任を追及するためである場合がほとんどです。

発信者情報開示請求訴訟を通じてあなたの情報が開示された場合、インターネット上の投稿について損害賠償請求をされることは、ほぼ確実といえます。

話し合いで解決もしくは民事裁判による判決

あなたと相手で損害賠償金について合意ができれば話合いで解決しますが、合意ができない場合には、相手があなたに対して損害賠償請求訴訟を提起する可能性があるでしょう。

民事訴訟を提起されると、裁判所から「訴訟を提起されました」という通知書が送付されますので、裁判所の指示に従って答弁書を提出したり、期日に出頭したりという必要が生じます。

裁判所からの支払い命令を拒否することはできない

そして民事訴訟手続を通じて、裁判所から一定の金銭を支払うよう命じる判決が出た場合、あなたが任意の支払いをしなければなりません。

支払いをしなかった場合には、判決に従い強制執行の申立てを受け、財産・給与が差押えられるおそれがあります。

相手から刑事責任を追及される

上記は相手があなたの民事責任を追及する場合を想定していますが、相手があなたの刑事責任を追及したいと考える場合もあります。

この場合、相手はあなたのインターネット上の投稿が名誉毀損などの犯罪行為であるとして、警察に対し告訴状を提出することが想定されます。

警察が告訴を受理すれば、刑事事件として捜査が開始されます。そのため、場合によっては警察から呼び出され、事情を聞かれることもありますし、悪質な場合は逮捕・勾留される可能性もあります。

そして、捜査の結果、検察が起訴した場合、あなたは刑事裁判にかけられ、裁判で有罪となれば所定の刑事罰が科されます。

誹謗中傷で請求される損害賠償の相場

インターネット上での誹謗中傷について損害賠償請求を受けた場合、どの程度の賠償額となるのでしょうか?

一般的な目安は下表のとおりですが、あくまで目安であり、実際はケース・バイ・ケースです。これより低額となることもありますし、高額となることもあります。

誹謗中傷の内容

慰謝料額の相場

名誉毀損(一般個人)

10~50万円

名誉毀損(法人や団体)

50~100万円

侮辱

1~10万円

プライバシー侵害

10~50万円

プロバイダへの訴訟が終わる期間の目安

第三者がプロバイダに対して発信者情報開示を求める裁判を起こした場合、特に請求内容に大きな問題がなければおおむね4か月~5ヶ月程度で判決となり、プロバイダから情報が開示されます。

そのため、あなたに意見照会書が送付されてから、実際に開示されるまでは一定期間が空きますので、意見照会書で「同意しない」と回答して、音沙汰がないからといっても安心はできません。

もし、不同意を表明して1~2年経っても音沙汰ないようであれば、第三者に情報開示がされなかったか、第三者側で請求をあきらめた可能性が高いと言えそうです。

発信者情報開示請求を拒否することで生じるリスク

プロバイダからの意見照会書に対して不同意を表明しても、直ちに何らかの不利益があるわけではありません。

しかし、これに不同意とした場合、以下のようなリスクがあり得ます。

訴えられたときの損害賠償額が大きくなる可能性がある

上記のとおり、本人が開示を拒否した場合には、相手は裁判手続きを通じて情報開示を求めていくことになります。

そのため、この手続きに余計な弁護士費用がかかる可能性があり、損害賠償請求においてこの余計な費用について追加で支払うよう請求されるリスクがあるかもしれません。

もちろん、この請求の全額について裁判所が支払いを命じるわけではありませんが、裁判所が余計な費用の全部又は一部を支払うよう命じれば、その分、賠償額は増えてしまいます。

追加の支払いを命じられるリスクがある弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

IPアドレス開示請求

着手金:約20万円

報酬金:約15万円

契約者情報開示請求

着手金:約20~30万円

報酬金:約15~20万円

被害者との示談が難しくなる

本人が自身の情報開示を拒否するのは自由ですが、拒否したことで請求者からの印象が悪くなることは間違いありません。

この場合、請求者側があなたを絶対に許さないと考えた場合、その後の話合いでの解決等が困難となる可能性があります。また、本来民事責任の追及だけでよいと考えていたものが、刑事事件での対応も検討されてしまうということもあるかもしれません。

相手の被害感情が強い場合、あなたが情報開示を拒否したことが、相手の怒りに火を付けて、徹底的な責任追及を受ける可能性があることは心得ておくべきでしょう。

心当たりがある場合は話合いでの解決の方法も

あなたが自身の誹謗中傷となり得る投稿について反省しているのであれば、意見照会書が送付されてきた時点でこれを拒否するのではなく、同意しつつ、被害者との話合いでの解決を模索することも賢い解決策といえるかもしれません。

上記のとおり、明らかな誹謗中傷であれば相手は訴訟手続を通じてあなたの情報を手に入れることができますので、あなたの身元が判明するのは時間の問題です。そしてこの場合、相手と話合いでの解決が難しくなるリスクが有ることも上記のとおりです。

少しでも穏便・迅速にトラブルを穏便に解決したいのであれば、意見照会書には同意しつつ、弁護士からサポートを受けることも検討しながら、被害者との和解を目指すのがベストかもしれません。

まとめ

インターネット上のサイトや掲示板、SNSなどでの誹謗中傷は、たとえ匿名での投稿・書き込みだったとしても発信者情報開示請求によって個人を特定されてしまいます。

プロバイダからは意見照会書というかたちで意向のうかがいを受けますが、たとえ情報開示に同意しなくても、相手が裁判所の手続きを利用すれば情報は開示されるでしょう。

もし、情報開示請求を受けるような心あたりがある場合は、弁護士に依頼して被害者との和解を目指すことをご検討ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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