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投稿者の特定・訴訟 弁護士監修記事 公開日:2019.10.29  更新日:2023.1.26

ネット誹謗中傷で訴えられたらどうなる?加害者が把握しておくべき対応

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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インターネット上で誹謗中傷を投稿する行為は場合によっては犯罪行為となります。また、犯罪行為とならなくても、投稿内容について慰謝料を請求されるという可能性もあります。

この記事では、ネットでの誹謗中傷を行ってしまった方向けにそのリスクについて簡単に説明します。

万が一、ネットに誹謗中傷を書き込んでしまった、被害者から訴えられているという場合には、参考にしてみてください。

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ネット誹謗中傷を行った場合に起きること

まずは、ネットで誹謗中傷を行った場合に、どのようなことが起こり得るのかについて説明します。

ネットを通じて抗議・クレームを受ける可能性がある

当然といえば当然ですが、インターネットを通じて誹謗中傷を行えば、その相手から、投稿を速やかに削除することや、謝罪することを同じくインターネット上に求められる可能性があります。

この段階で、速やかに投稿を削除したり、相手に謝罪すれば、それ以上大事にならないかもしれません。

しかし、ブログやSNSではない匿名掲示板への投稿の場合、必ずしも自身で投稿内容を削除できない可能性があります。この場合は、サイト管理者へ問い合わせるなどして投稿を削除するなどの対応が必要となります。

開示請求の意見照会書が届く

誹謗中傷となる投稿を行ってからしばらく経過した後に、自身の契約するプロバイダ(通信事業者)から、契約者情報を開示することについての意見照会が届くことがあります。

これは、誹謗中傷の被害者が、あなたの契約するプロバイダを特定し、当該プロバイダに対してあなたの身元を開示するように請求していることを意味します。

当該意見照会に対して同意の義務はなく、同意する・しないはあなた自身の判断となります。しかし、仮に同意しない場合は、被害者側において開示手続きを進めるための労力・コストが余計にかかります。

そのため、後日、あなたの身元が特定された場合に、請求される損害額が一定程度増額される可能性がありますので、その点を留意してください。

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

被害者から刑事告訴されたり、損害賠償請求をされる

被害者が、プロバイダを通じてあなたの身元を特定した場合、誹謗中傷記事が犯罪行為となるのであれば、刑事告訴される可能性があります。

この場合に刑事事件として立件された場合、捜査機関はあなたに対して取調べを行いますし、場合によっては逮捕・勾留(身柄拘束)することもあります。また、最終的に起訴されて有罪となれば、あなたには前科がつきます。

また、被害者が誹謗中傷により被った精神的苦痛や開示手続費用負担について、あなたに対して損害賠償請求をすることも十分にあり得ます

この場合は、民事裁判の当事者として手続遂行の負担を負うことになりますし、最終的に相手の請求が認められれば、被害者に対して一定の損害賠償義務を負うことになります。

違法性のある誹謗中傷の内容とは

ネット誹謗中傷による犯罪(権利侵害)の代表例としては、以下の4つが挙げられます。

誹謗中傷による権利侵害の例

名誉毀損

公然の場で具体的な事実を挙げたうえで第三者の評判を落とす可能性のある言動をとること (例:あいつは不倫している、あいつは前科持ちだ)

侮辱

公然の場で具体的事実を挙げないで第三者の評判を落とす可能性のある言動をとること(例:仕事ができない落ちこぼれ)

肖像権侵害

公然の場で撮影や公開を許可していない肖像物を公表する行為(例:隠し撮りの公開、SNS限定写真の公開)

プライバシー侵害

公共の場で公開を望んでいない個人情報や私生活の情報を暴露する行為(例:本名や住所などの個人情報、出社退社の時間帯)

誹謗中傷の内容が上記の権利侵害に該当する場合は、開示請求で身元を特定されて、上記のような事態に巻き込まれる可能性があります。

なお、刑事事件の対象となるのは『名誉毀損』や『侮辱』に該当する場合です。プライバシー権侵害や肖像権侵害は民事的な問題が生じるのみであり、刑事的な問題は生じません。

ネット誹謗中傷で被害者から「訴えられた」場合

一口に「訴える」と言っても、被害者の対応に民事的対応と刑事的対応の2パターンがあることは上記のとおりです。民事と刑事は手続きが全く異なりますので、明確に区別して理解する必要があります。

民事的対応|損害賠償請求

民事的対応は、要するに、被害者が誹謗中傷記事により被った損害を賠償するよう求めることです。

この場合の慰謝料額は正直ケースバイケースですが、目安としては以下の通りです。

名誉毀損(一般人)

10〜50万円

名誉毀損(事業主)

50〜100万円

侮辱

1〜10万円

プライバシー侵害

10〜50万円

プライバシー侵害(ヌード写真の公開)

100万円以上

なお、裁判官の判断により、慰謝料だけでなく開示手続きに要した費用も損害として認められることがあることも上記のとおりです。

刑事的対応|刑事告訴

被害者が行う刑事的対応とは、捜査機関に対して刑事告訴を行うことです。

刑事告訴があっても、捜査機関が刑事事件として立件するかどうかはわかりません。立件されないこともあります。しかし、事件として立件されれば、あなたは被疑者として捜査対象となります。

捜査の過程で逮捕・勾留される可能性があることや、最終的に起訴されて有罪となる可能性があることは上記のとおりです。

なお、誤解する方もいますが、刑事裁判は国が加害者を訴えるものであり、被害者が加害者を訴えるものではないので、注意してください。被害者が加害者を訴えるのは民事裁判です。

ネット誹謗中傷トラブルについては以下のような犯罪が成立する場合が多いと思われます。

名誉毀損罪

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

侮辱罪

拘留または科料(1,000円以上1万円以下の罰金)

脅迫罪

2年以下の懲役または30万円以下の罰金

信用毀損及び業務妨害※

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

※お店の売上が落ちたり、問い合わせの電話が鳴り止まず業務に支障が出たりなど、営業に支障が出る場合に問える罪のこと

被害者との和解について

上記の通り、被害者が取りうる対応には民事・刑事両方ありますが、いずれの場合でも被害者と和解(示談)することは有益です。

民事の場合、被害者との間で早期和解が成立すれば、訴訟手続に至らず事件が解決します。

刑事の場合も、被害者との間で示談が成立すれば、親告罪であれば刑事手続がそれ以上進みませんし、そうでなくても示談の事実を重く見た検察庁が事件を起訴しないということもあり得ます。

したがって、被害者に身元が特定されて、警告書や保証請求書の送付を受けたというような場合には、早めに弁護士に相談して被害者との示談処理が進められないか検討するべきかもしれません。

【投稿者向け】誹謗中傷に関するQ&A

投稿を削除すれば訴えられない?

被害者がまだ投稿に気がついていない間に投稿を削除すれば、トラブルになることを回避できる可能性は高いです。しかし、投稿については一定のログが残ることがありますので、トラブルリスクが完全に払拭されるわけではありません。

正直な口コミでも犯罪になるの?

内容次第です。

例えば、飲食店への口コミで「料理が美味しくない」と投稿することは、口コミの趣旨に合致していますし、内容も個人の感想に過ぎませんので、基本的に違法性はありません。

しかし、「腐った肉を使っている」というような具体的事実を記載したような場合には、犯罪となる可能性があります。

まとめ

ネットに誹謗中傷の投稿でトラブルになるケースについて簡単に解説しました。

そもそも、ネットに誹謗中傷的な投稿をする必要もなければ、するべきでもないので、本記事を参考にしつつトラブルに発展するような行為は厳に慎んでください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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