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ネット誹謗中傷 弁護士監修記事 公開日:2018.10.23  更新日:2022.11.7

誹謗中傷の対策マニュアル|被害の防止策と被害後の対処法について

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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ネット誹謗中書は場合によっては犯罪行為にもなり得ます。典型例としては誹謗中傷行為が『名誉毀損』や『信用毀損及び営業妨害』となるような場合です。

誹謗中傷の対策は、早ければ早いほど被害を抑制しうるものです。

このようなケースは名誉棄損などに該当する可能性が高く、法的な責任を追及できる場合もあります。

被害内容によっては、加害者に慰謝料を請求することも可能です。

この記事では、誹謗中傷の防止策や対処法について詳しく解説します。ネット問題の対策についてお調べの場合は、ぜひ参考にしてみてください。

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ネット誹謗中傷の被害を防止する対策

まずは、実際に被害に遭う前にできる誹謗中傷の対策を2つご紹介します。

  1. 弁護士費用保険への加入|個人向け
  2. 誹謗中傷対策業者への依頼|法人向け

※被害後の対策を知りたい場合は、下記の『誹謗中傷被害に遭った場合の対策』からご参照ください。

①弁護士費用保険への加入|個人向け

弁護士費用保険とは、月々に一定の費用を支払うことで、弁護士への相談・依頼費用を補償してもらえる保険です。

弁護士費用保険

ネット誹謗中傷トラブルは、削除依頼だけでも10〜20万円、加害者を特定して訴訟するなら60万円前後の費用がかかるケースが一般的です。

それに対して名誉毀損の慰謝料は10~50万円が相場(※)と言われているため、依頼費用を支払う決断が難しく、途中で諦められてしまう方も少なくありません。

※慰謝料は被害内容によって決まるのであくまで目安です

しかし、弁護士費用保険に加入をしていれば、費用の負担を軽減できます。誹謗中傷に対して強気な対応を取りやすくなるでしょう。

詳細記事 ネット誹謗中傷を弁護士費用保険で対策|補償内容と契約のメリットとは

誹謗中傷に対する抑止効果も期待できる

弁護士費用保険の加入者には、保険に加入していることを証明する『リーガルカード』が送られます。

相手に訴えられてまで誹謗中傷を続けたいと考える人はほとんどいません。このカードを提示するだけでも、トラブルを収束できる可能性はあるでしょう。

弁護士費用保険への加入を周囲に明示しておくことで、誹謗中傷に対する抑止効果を期待できます。

弁護士費用保険の内容と費用

保険の種類や内容によって費用は異なりますが、一例として『弁護士費用保険Mikata』をご紹介します。

弁護士費用保険Mikataの保険料は、月額2,980円です。1年分の一括払いをした場合には、35,200円と少しお安くなります。

なお、弁護士費用保険には『待機期間』があり、その期間内(Mikataは契約から3ヶ月)に発生した事件は補償の対象外になるのでご注意ください。

弁護士費用保険の待機期間

【引用】弁護士費用保険mikata

②誹謗中傷対策業者への依頼|法人向け

誹謗中傷対策業者とは、会社に対する誹謗中傷の書き込み調査や、GoogleやYahooなどの検索エンジンの検索結果による風評被害の対策を依頼できる業者です。

誹謗中傷業者へ依頼をすれば、ネットでの会社の評判の監視や誹謗中傷サイトを見つかりにくくする対策を任せられます。

ただし、誹謗中傷の削除や加害者の特定などは、法律業務になるため対策業者では対応できません。削除や加害者の得ては弁護士への相談をご検討ください。

相談内容

弁護士

対策業者

サイトへの削除依頼

×

検索の関連ワード・サジェスト対策

逆SEO対策(誹謗中傷サイトの検索順位を下げる)

×

仮処分(削除・IPアドレス開示)

×

投稿者の特定(プロバイダへの開示請求)

×

加害者への損害賠償請求

×

誹謗中傷被害に遭った場合の対策

次に、誹謗中傷被害に遭った場合の対策を3つご紹介します。

  1. サイトへの削除依頼
  2. 警察への告訴状の提出
  3. 弁護士への法律相談

①サイトへの削除依頼

最近のサイト(ブログ・掲示板・SNSなど)では、他者を誹謗中傷するような投稿は利用規約で禁じられているのが通常です。

サイトのルールに従って問題のある投稿を報告することで、該当する投稿の削除に応じてもらえる可能性があります。

まずはご自身で対処したいという場合は、サイトの利用規約を確認の上、誹謗中傷の削除依頼に着手してみてください。

詳細記事 ネット誹謗中傷の削除依頼の方法

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

②警察への告訴状の提出

脅迫を受けていたり、性的な画像を晒されたりなど、誹謗中傷の内容に事件性があると判断できる状況では、警察に捜査を依頼できるかもしれません。

加害者の刑事責任(懲役刑や罰金刑など)を追及したい場合は、警察への告訴状の提出(犯罪事実を申告し訴追すること)をご検討ください。

告訴状が受理されて捜査が開始し、その結果、犯罪事実が認められれば加害者は起訴(検察官が刑事裁判を申請すること)される可能性があります。

その後、刑事裁判で有罪が確定すれば、罪状に応じた刑事罰が科されることになるでしょう。

名誉毀損罪

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

侮辱罪

拘留または科料(1,000円以上1万円以下の罰金)

脅迫罪

2年以下の懲役または30万円以下の罰金

信用毀損及び業務妨害※

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

③弁護士への法律相談

サイトが削除依頼に応じるかは管理者の判断に委ねられます。また、警察が動いてくれるかどうかも事件性の有無が重要視されやすいです。

そのため、誹謗中傷が名誉毀損に該当する違法な内容であったとしても、必ずしも上記の対策で解決できるとは限りません。

しかし、弁護士は被害内容に違法性が見られる場合には、法的根拠を示して被害内容を立証することが可能です。

サイト管理者や警察への問い合わせに失敗した後でも、弁護士が法律違反と判断する被害であれば、投稿の削除や加害者の特定・訴訟が成功する可能性は十分にあるでしょう。

個人や警察での解決が難しい問題は、弁護士への法律相談を検討してみてください。

 

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弁護士への依頼費用の相場

弁護士への依頼費用は、該当サイトや法律事務所によって変わります。ここでは一般的な相場をご紹介しますが、あくまで目安として参考にしていただければ幸いです。

ネット誹謗中傷の削除依頼に必要な費用の相場は、以下の通りです。

削除依頼での削除

着手金:5〜10万円
報酬金:5〜10万円

仮処分(裁判)での削除

着手金:約20万円
報酬金:約15万円

加害者の特定と損害賠償(慰謝料など)請求も依頼する場合は、60万円前後がおおよその目安になるでしょう。

ネット誹謗中傷は無視で解決するとは限らない

よく「ネットの投稿なんて無視すれば何も問題がない」という意見は見受けられますが、状況しだいでは必ずしも最善の対策とは言い切れません。

例えば、最近では何も関係がない一般人がネットのデマにより、あおり運転の容疑者に仕立て上げられた事件がありました。

詳細記事 「朝起きたらガラケー女に」“あおり運転殴打事件

上記の事件のように、社会的な評価に影響する誹謗中傷が拡散されてしまうと、仕事やプライベートなど実生活に大きな支障をきたす恐れもあります。

会社やお店の評判なども、悪意のある一つの投稿がきっかけになり、売上や顧客数の低下や炎上が生じる可能性も否定できません。

「馬鹿」「きもい」など、相手にしなければ解決するケースもあるのは事実ですが、リスクのある誹謗中傷にはすぐ対処を検討するべきでしょう。

誹謗中傷被害の相談を検討した方が良い状況

最後に、警察や弁護士への相談をおすすめする状況を2つご紹介します。

  • 自分だけでは被害の沈静化が難しい
  • 現実で大きな損害を被っている

自分だけでは被害の沈静化が難しい

サイトへ削除依頼をしても対応してもらえない、削除が成功しても再びすぐ投稿されてしまう。

このような状況を解決するには、裁判(仮処分)での削除依頼や加害者を特定して責任追及することを検討する必要があります。

上記のような対応は、法律とITの専門知識が不可欠です。個人での対応は難しいので、まずは専門家への相談からご検討ください。

現実で大きな損害を被っている

「根拠のないデマで世間から非難されている」「ネットに裸の画像を晒されている」このような被害内容が深刻な状況では、これ以上の損害を防ぐためすぐ対策するべきです。

上記のような状況では、時間が経つにつれて損害が拡大していく傾向があります。被害を最小限にするため、少しでも早く専門家に相談して対策をしてください。

なお、誹謗中傷による被害が深刻な場合は、損害賠償も高額になりやすいです。損害に対する慰謝料や補填の請求を検討されることをおすすめします。

詳細記事 名誉毀損の慰謝料はいくら?請求事例と弁護士に依頼して訴える費用

プロバイダ責任制限法の改正による情報開示請求の変更点

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行され、手続き等に変更がありました。主な違いは次の3点です。
 
➀新たな非訴手続きの創設
②開示情報の範囲の見直し
③発信者が開示を拒否した場合の理由照会の義務化
 
ここでは、これら変更点について簡単にお伝えします。

1回の手続きで情報開示請求できる新たな非訴手続きの創設

これまでは発信者情報を特定するために、「コンテンツプロバイダへの発信者情報開示仮処分」と「アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求」の2つの裁判手続きが必要でした。
 
その分、発信者の特定まで時間と費用がかかるうえに、2回の裁判の途中でログ保存期間が経過し、発信者の特定が困難になるなどのデメリットがあったのです。
 
改正後は、新たな非訟手続として「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が創設され、1回の手続で発信者情報の開示請求が可能になりました。非訟手続は訴訟以外の裁判手続のことで、訴訟に比べて手続きが簡易で柔軟な対応ができるのが特徴です。
 
新設された「発信者情報開示命令に関する裁判手続」では、「①裁判所に対する開示命令」「②コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する提供命令」「③アクセスプロバイダに対する消去禁止命令」を同時に申立てます。
 
このように、1つの裁判手続きで済むことと、消去禁止命令があることから、発信者の特定まで時間が短縮され、ログが消えて発信者情報の開示が困難になるのを防ぎ、より円滑に被害者の損害が回復されることが見込まれます。
 

既存の2段階の手続きも認められている

改正プロバイダ責任制限法では、既存の「発信者情報開示請求権にかかる手続き」による2段階の手続きも認められています。つまり、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」と「発信者情報開示請求権にかかる手続き」のどちらの方法でも発信者情報の開示請求が可能です。
 
もっとも、新設の手続きではアクセスプロバイダとコンテンツプロバイダの間で必要な情報を相互に提供し合う必要があり、円滑に発信者情報の特定に至るか難しいケースも考えられます。
 
例えば、IPアドレスやタイムスタンプなどで発信者が特定可能な平易なケースであれば、新設の手続きを利用するのが理想でしょう。
 
一方、ポート番号など他の情報が必要なケースや、事前にプロバイダが強く情報開示を拒否すると予想されるケースなどは、既存の手続きを必要とする可能性が高く、ケースバイケースでどちらの手続きを選択すべきか判断することになります。

ログイン時情報を開示請求可能に

近年のSNSはログイン型サービスが主流になりました。同サービスではログインした状態で様々な投稿をおこないます。もっとも、そのようなログイン型サービスは、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスを保有していないケースも少なくありません。
 
そして、ログイン時のIPアドレスは既存のプロバイダ責任制限法において「発信者情報」に該当するか明確になっておらず、開示されるかどうかは裁判所により個別に判断されていました。また、ログイン時の通信を媒介したプロバイダに関しては、開示請求の対象とはしていませんでした。
 
つまり、権利侵害を受けたにも関わらず発信者が特定できないケースもあったのです。
 
そこで改正プロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスについて「特定発信者情報」と明文化し、ログイン時のIPアドレスについても開示請求権を認めました。さらに、ログイン時の通信を媒介したプロバイダも開示請求の対象と認めています。
 
これにより、ログイン型サービスにおいて、投稿時のIPアドレスが保存されていないケースであっても、ログイン時IPアドレスを特定発信者情報とし情報開示請求が可能になりました。
 
もっとも、ログイン時のIPアドレスの開示が認められるには「請求対象のプロバイダが特定発信者情報のみしか保有していない」など条件が設けられています。つまり、ログイン時の情報が開示されるのはログイン型サービスのみに限定される点に注意が必要です。

意見照会で発信者が情報開示に応じないときの理由の照会

既存のプロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求があった場合、プロバイダは発信者に対して意見照会をしなければならないと定められています。意見照会は簡単にいえば「発信者に対して情報を開示してもよいか確認すること」と表現できます。
 
改正プロバイダ責任制限法でも意見照会自体について定めがあるものの、新たに、「発信者が開示に請求に応じない場合にはその理由を照会する」旨の規定が定められました。
 
つまり、発信者が情報開示請求に応じない場合、プロバイダはその理由について聞き取りをしなければなりません。
 
これにより、発信者が情報開示に応じない理由を把握したうえで、プロバイダが適切な対応がとれるようになります。

まとめ

当記事では、以下5つのネット誹謗中傷対策をご紹介しました。

  1. 弁護士費用保険への加入|個人向け
  2. 誹謗中傷対策業者への依頼|法人向け
  3. サイトへの削除依頼
  4. 警察への告訴状の提出
  5. 弁護士への法律相談

ご自身だけでは解決が難しいトラブルでも、専門家への相談で解決する可能性があるかもしれません。

「ネットの書き込みだから…」と泣き寝入りはせず、当記事を参考に誹謗中傷対策をしていただければ幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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