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ネット誹謗中傷 弁護士監修記事 公開日:2019.7.29  更新日:2022.10.28

SNSの誹謗中傷への対処法|書き込みを削除して加害者を訴えるには

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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SNSは最新のニュースや色んな人の発信などを気軽に楽しめる便利なサービスです。ただその反面、他人を誹謗中傷するような書き込みも多く見受けられます。

SNSへの投稿はシェア機能により、あっという間に拡散されてしまいます。万が一、誹謗中傷トラブルに遭った場合には、被害が拡大する前に早急に対処したほうが良いかもしれません。

この記事では、SNSで誹謗中傷被害に遭った際の対処法をご紹介します。SNSでの嫌がらせにお悩みの方は、参考にしてみてください。

【関連記事】【事例つき】「誹謗中傷」と「批判」の違いを弁護士がわかりやすく解説

ネットの誹謗中傷を
放置するのは危険です!

ネットの誹謗中傷を削除せず放置すると、以下のようなリスクが生じます。

  • 身元を特定されて嫌がらせをされる
  • 仕事や職場での評価の悪影響
  • 家族や周囲の人まで誹謗中傷される
  • 周囲からの孤立やいじめの誘発
  • 取引先や顧客の信頼を損なう


また、SNSや他サイトで拡散され続ければ、完全な削除は難しくなってしまいます。

誹謗中傷の対応は時間との勝負です。

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少しでも早く誹謗中傷トラブルを解決したい場合は、お近くの法律事務所へご相談ください。

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SNSの誹謗中傷を削除したい場合の対処法

SNSの誹謗中傷を削除する方法は、以下の2通りです。

  • SNS運営へ削除依頼を出す
  • 仮処分で削除申請を申し立てる

まずはSNS運営へ削除依頼を出して、削除が失敗した際に仮処分での削除申請を検討するケースが一般的です。まずは、誹謗中傷を削除する手続きについて確認していきましょう。

SNS運営へ削除依頼を出す

SNSの利用規約では、他人に対する誹謗中傷の書き込みは禁じられているケースがほとんどです。誹謗中傷の内容が利用規約の削除要件を満たしていれば、SNS運営への報告で削除に応じてもらえる可能性があります。

SNSの利用規約を参照して、ルールに従って削除依頼を出してください。

SNSの誹謗中傷を削除する手続き

なお、SNSによっては誹謗中傷の投稿者と連絡を取れるケースもあると思われます。

ただ、相手が素直に削除に応じるとは限りませんし、逆上されて嫌がらせが過激化するリスクもあります。投稿者への直接の削除依頼をすべきかどうかは、慎重に検討して下さい。

仮処分で削除申請を申し立てる

SNS運営への削除依頼が失敗した場合には、裁判所への仮処分を申し立てることを検討してみて下さい。仮処分とは、端的に言えば、権利者の権利を暫定的に実現する法的手続です。

【詳細記事】仮処分での削除申し立て|書き込み削除までの流れと費用について

仮処分手続で、誹謗中傷による権利侵害の事実や保全の必要性などが認められれば、該当する投稿についての削除命令が出されます。SNSの管理者は通常は命令に従いますので、結果として投稿が削除されます。

ただし、これらの手続きには法律の専門知識が必要です。個人で対応するのは難しいと思われますので、弁護士への相談を検討されることをおすすめします。

誹謗中傷の投稿者を訴えたい場合の対処法

誹謗中傷の投稿者を訴えて損害賠償(慰謝料)を請求するまでの流れは、以下の通りです。

  1. 誹謗中傷の証拠を保存する
  2. 投稿者の身元を特定する
  3. 民事訴訟で損害賠償請求をする


個人でもこれらの手続きには着手できますが、専門知識がないとスムーズに行うのは難しいです。基本的には、弁護士に依頼して対応するべきでしょう。

誹謗中傷の証拠を保存する

投稿者を特定したり、その民事責任を問うには、誹謗中傷が自分の権利 (名誉権やプライバシー権など)を侵害していること立証しなくてはいけません。

当然、その際にはいつ、どのように誹謗中傷がされたかを証明する証拠が必要になります。誹謗中傷が削除されて内容が確認できなくなる前に、SNSへの投稿を保存しておきましょう。

誹謗中傷投稿についてのインターネット魚拓を採るのが通常ですが、これが難しい場合はページの印刷やスクリーンショットを確保して対応しましょう。

投稿者の身元を特定する

誹謗中傷の投稿者を特定するには、投稿時のIPアドレスを取得し、当該IPアドレスを管理するプロバイダに契約者情報の開示請求をする必要があります。

SNS投稿者の特定手続きの大まかな流れは、以下の通りです。

SNS投稿者の特定手続きの流れ

  1. 投稿先の管理者へのIPアドレス開示請求
  2. 仮処分(※任意での開示に応じてもらえなかった場合)
  3. IPアドレスからプロバイダの特定
  4. プロバイダへ投稿者の個人情報開示請求
  5. 裁判(※任意での開示に応じてもらえなかった場合)
  6. 投稿者特定

SNSやプロバイダ側にも個人情報の守秘義務があるため、任意で開示に応じてもらえるケースは少ないです。基本的には、裁判手続による対応が必要になるケースがほとんどでしょう。

【詳細記事】ネット誹謗中傷の特定方法|書き込み犯人を調べる費用の相場は?

 

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

民事訴訟で損害賠償請求をする

投稿者を特定したら、相手に対して慰謝料等を請求します。訴外交渉で請求しても良いですが、任意の支払が期待できない場合は裁判(民事訴訟)での対応が必要になるでしょう。

民事訴訟で加害者の違法な権利侵害行為が立証できれば、慰謝料等の損害賠償が認められます。

なお、損害賠償の金額が140万円以下の場合は簡易裁判に提訴、140万円を超える場合は地方裁判所に提訴することになります。

SNSの誹謗中傷が違法になるケースとは

誹謗中傷の内容が違法な権利侵害となるのは以下のような場合です。

誹謗中傷による権利侵害の代表例

名誉毀損

公然の場で具体的な事実を挙げたうえで第三者の評判を落とす行為(例:あいつは不倫している、あいつは前科持ちだ)

侮辱

公然の場で具体的事実を挙げないで第三者の評判を落とす行為(例:昔からずっと根暗、仕事ができない落ちこぼれ)

肖像権侵害

公然の場で撮影や公開を許可していない肖像物を公表する行為(例:隠し撮りの公開、SNS限定写真の公開)

プライバシー侵害

公共の場で公開を望んでいない個人情報や私生活の情報を暴露する行為(例:本名や住所などの個人情報、出社退社の時間帯)

誹謗中傷の被害者は、削除依頼や損害賠償請求をする際に、これら権利侵害の事実を立証する必要があります。

ご自身だけでは誹謗中傷が権利侵害となるのかどうか判断が難しいケースもあるでしょう。そのような場合は、弁護士の法律相談サービスをご活用ください。

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誹謗中傷被害の慰謝料の目安

投稿者に対して請求できる慰謝料の金額は、誹謗中傷の内容や被害状況によって変わります。慰謝料のおおよその目安は、以下の通りです。

名誉毀損(一般人)

10〜50万円

名誉毀損(事業主)

50〜100万円

侮辱

1〜10万円

プライバシー侵害

10〜50万円

プライバシー侵害(ヌード写真の公開)

100万円以上

誹謗中傷に対する刑事罰

誹謗中傷が犯罪行為である場合は、捜査機関に対して告訴が可能です。告訴した結果、刑事事件として立件され、加害者が起訴されて刑事裁判で有罪となれば、以下の刑事罰が科される可能性があります。

名誉毀損罪

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

侮辱罪

拘留または科料(1,000円以上1万円以下の罰金)

脅迫罪

2年以下の懲役または30万円以下の罰金

信用毀損及び業務妨害※

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

「SNSへの投稿削除や慰謝料の支払いを受けるだけでは納得いかない」という場合には、警察に対して告訴(犯罪事実を申告して処罰を求めること)を検討してみてください。

SNSの誹謗中傷は警察にも相談できる?

誹謗中傷行為が刑事事件として立件された場合、捜査機関の判断で加害者が逮捕されることもあります。

SNSによる誹謗中傷被害の相談は、警察署または『サイバー犯罪相談窓口』で受け付けています。ただし、事件性があるか判断するのは警察なので、必ず対応してもらえるとは限らない点はご留意ください。

また、警察は民事不介入のため、損害賠償請求や誹謗中傷の削除を目的とするような相談はあまり受けてもらえません。この場合は、警察ではなく、まずは弁護士への相談が望ましいでしょう。

SNSトラブルは弁護士への相談がおすすめ

誹謗中傷の削除依頼や投稿者への損害賠償請求には、法律とITの専門知識が必要です。少しでSNSトラブルを解決できる可能性を高めたいのであれば、弁護士へ依頼して対応するべきでしょう。

ただ、弁護士へ依頼するには費用がかかりますし、依頼が遅くなりすぎてしまうと、投稿者の特定ができなくなるケースもあります。

弁護士へ相談する際には、上記を考慮して慎重に判断しなければいけません。最後に、SNSトラブルの解決を弁護士へ依頼する際の、確認事項をご紹介します。

弁護士への依頼費用の相場

弁護士への依頼費用の相場は、以下の通りです。※弁護士事務所によって金額や料金体系は異なる

 

着手金

報酬金

裁判費用

削除依頼

裁判外

5~10万円

5~10万円

×

裁判

約20万円

約15万円

3万円

発信者の身元特定

裁判外

約5~10万円

約15万円

×

裁判

約20~30万円

約15~20万円

6万円

損害賠償請求

裁判外

約10万円

慰謝料の16%

×

裁判

約20万円

慰謝料の16%

3万円

なお、損害賠償請求をした際に、投稿者の特定に要した費用(弁護士費用も含む)が損害と認められるケースもあります。実際は裁判官の判断次第になるので、あくまでそのようなケースもあるとご認識いただければ幸いです。

※投稿者特定ができる期間には期限がある

投稿者の身元を特定するには、投稿先の管理者から投稿に利用されたの『IPアドレス』情報を開示してもらう必要がありますが、IPアドレスのログには保存期間があります。

SNSによって保存期間は異なりますが、誹謗中傷の書き込みから、おおよそ3ヶ月が目安といわれています。

IPアドレスの情報が消えた後では、投稿者の身元特定はできません。投稿者を訴えたいと考えているのであれば、遅くても誹謗中傷の書き込みから1ヶ月以内に弁護士へ相談を持ちかけましょう。

プロバイダ責任制限法の改正による情報開示請求の変更点

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が施行され、手続き等に変更がありました。主な違いは次の3点です。
 
➀新たな非訴手続きの創設
②開示情報の範囲の見直し
③発信者が開示を拒否した場合の理由照会の義務化
 
ここでは、これら変更点について簡単にお伝えします。 

1回の手続きで情報開示請求できる新たな非訴手続きの創設

これまでは発信者情報を特定するために、「コンテンツプロバイダへの発信者情報開示仮処分」と「アクセスプロバイダへの発信者情報開示請求」の2つの裁判手続きが必要でした。
 
その分、発信者の特定まで時間と費用がかかるうえに、2回の裁判の途中でログ保存期間が経過し、発信者の特定が困難になるなどのデメリットがあったのです。
 
改正後は、新たな非訟手続として「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が創設され、1回の手続で発信者情報の開示請求が可能になりました。非訟手続は訴訟以外の裁判手続のことで、訴訟に比べて手続きが簡易で柔軟な対応ができるのが特徴です。
 
新設された「発信者情報開示命令に関する裁判手続」では、「①裁判所に対する開示命令」「②コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する提供命令」「③アクセスプロバイダに対する消去禁止命令」を同時に申立てます。
 
このように、1つの裁判手続きで済むことと、消去禁止命令があることから、発信者の特定まで時間が短縮され、ログが消えて発信者情報の開示が困難になるのを防ぎ、より円滑に被害者の損害が回復されることが見込まれます。
 

既存の2段階の手続きも認められている

改正プロバイダ責任制限法では、既存の「発信者情報開示請求権にかかる手続き」による2段階の手続きも認められています。つまり、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」と「発信者情報開示請求権にかかる手続き」のどちらの方法でも発信者情報の開示請求が可能です。
 
もっとも、新設の手続きではアクセスプロバイダとコンテンツプロバイダの間で必要な情報を相互に提供し合う必要があり、円滑に発信者情報の特定に至るか難しいケースも考えられます。
 
例えば、IPアドレスやタイムスタンプなどで発信者が特定可能な平易なケースであれば、新設の手続きを利用するのが理想でしょう。
 
一方、ポート番号など他の情報が必要なケースや、事前にプロバイダが強く情報開示を拒否すると予想されるケースなどは、既存の手続きを必要とする可能性が高く、ケースバイケースでどちらの手続きを選択すべきか判断することになります。

ログイン時情報を開示請求可能に

近年のSNSはログイン型サービスが主流になりました。同サービスではログインした状態で様々な投稿をおこないます。もっとも、そのようなログイン型サービスは、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスを保有していないケースも少なくありません。
 
そして、ログイン時のIPアドレスは既存のプロバイダ責任制限法において「発信者情報」に該当するか明確になっておらず、開示されるかどうかは裁判所により個別に判断されていました。また、ログイン時の通信を媒介したプロバイダに関しては、開示請求の対象とはしていませんでした。
 
つまり、権利侵害を受けたにも関わらず発信者が特定できないケースもあったのです。
 
そこで改正プロバイダ責任制限法では、ログイン時のIPアドレスについて「特定発信者情報」と明文化し、ログイン時のIPアドレスについても開示請求権を認めました。さらに、ログイン時の通信を媒介したプロバイダも開示請求の対象と認めています。
 
これにより、ログイン型サービスにおいて、投稿時のIPアドレスが保存されていないケースであっても、ログイン時IPアドレスを特定発信者情報とし情報開示請求が可能になりました。
 
もっとも、ログイン時のIPアドレスの開示が認められるには「請求対象のプロバイダが特定発信者情報のみしか保有していない」など条件が設けられています。つまり、ログイン時の情報が開示されるのはログイン型サービスのみに限定される点に注意が必要です。

意見照会で発信者が情報開示に応じないときの理由の照会

既存のプロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求があった場合、プロバイダは発信者に対して意見照会をしなければならないと定められています。意見照会は簡単にいえば「発信者に対して情報を開示してもよいか確認すること」と表現できます。
 
改正プロバイダ責任制限法でも意見照会自体について定めがあるものの、新たに、「発信者が開示に請求に応じない場合にはその理由を照会する」旨の規定が定められました。
 
つまり、発信者が情報開示請求に応じない場合、プロバイダはその理由について聞き取りをしなければなりません。
 
これにより、発信者が情報開示に応じない理由を把握したうえで、プロバイダが適切な対応がとれるようになります。

まとめ

SNSでの誹謗中傷被害に対する主な対処法は、以下の2つです。

  • 誹謗中傷の書き込み削除依頼
  • 投稿者を特定して損害賠償請求


書き込みの削除だけを望むのであれば、まずSNSの利用規約を参考に削除依頼を出します。もし、対応してもらえなかった場合には、仮処分での削除申請をご検討ください。

誹謗中傷の投稿者を訴えたいと考えている場合は、裁判の手続きが必要になるケースがほとんどです。専門知識がないと対応は難しいので、弁護士へ手続きを依頼されることを強くおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事はIT弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※IT弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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